転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2254話

「ふーん……こうして見ると、特に何か変わった様子は見えないな」

 

 サイド7に唯一存在するコロニーに無事侵入した俺は、周囲の様子を見ながらそう呟く。

 月から見れば、ルナツーとサイド7だとサイド7の方が遠い位置にある。

 そんな訳で、俺はルナツーを攻略するというルナ・ジオン軍と別れて、こうしてサイド7にまでやって来た。

 本来なら、1つのサイドというのは幾つものコロニーが集まっている。

 例えばサイド3のズム・シティや、サイド6のリボーといったように、そのサイドの何というコロニーなのかと表現するのが正確なのだが……このサイド7の場合はコロニーが1つしか存在しないという事もあり、サイド7のコロニーで話は通じるんだよな。

 ともあれ、そんな訳で現在俺はそのサイド7のコロニーにいるのだが……今のところ、特に何かがあるといった様子はなかった。

 そもそも俺が以前サイド7にいた時間はかなり短いので、もし何らかの異変があっても気が付けたかどうかは微妙なところだが。

 そんな訳で適当にサイド7を見て回っていたのだが……うーん、軍人が若干増えた、か?

 ただ、それでも以前と比べれば若干というだけであり、ルナ・ジオンという新国家が新たに現れたというのを考えると、そんなにおかしな事には思えない。

 取りあえず、メリル……ルルーの妹でサイド7に関しては任せていた相手と合流するか。

 最初はアムロに関しての見張りを頼んでいたというのが大きかったのだが、それがいつの間にかサイド7全体を見ての諜報員といった感じになっていった。

 とはいえ、別に本格的なスパイをやらせていた訳ではなく、あくまでも普通に生活をしながら得た情報を月に送ってくるという形だ。

 ……スパイと言えば破壊工作員的なイメージを抱く者も多いが、本当の意味でのスパイというのは、メリルみたいなタイプの方が多い。

 どこかの世界では、それこそ新聞の職業募集欄で堂々とスパイを募集したりするらしいし。

 そういう場面で募集されるのは、そういうタイプのスパイだ。

 つまり、連邦軍がこのサイド7で何かやってるというのは、普通に暮らしている人間であっても、普通に入手出来るくらいには有名だという事なのだろう。

 そんな風に考えつつ街中に向かい、色々と観察する意味でも時間を潰す為にファーストフードのハンバーガー屋に入る。

 この手のチェーン店は特筆して美味いという事はないが、それでも大体が一定の品質の味を維持してくれているという点で、こういう時には非常にありがたい存在だ。

 勿論、もっと美味い料理を食えるのであれば、それに越した事はないんだが。

 

「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか?」

「そうだな。なら、このダブルチーズバーガーセットのLLサイズ。飲み物はウーロン茶で。それと追加でアップルパイを3つと、ストロベリーシェイクのLを3つ」

「分かりました。持ち帰りでしたら……」

「いや、ここで食べていく」

「え? ……あ、かしこまりました」

 

 俺の注文した量から、店員はてっきり持ち帰りだと思ったのだろう。

 ……まぁ、普通ならそう考えてもおかしくはないだろうが。

 そんな風に考えつつ、俺は受け取りの札を持ってガラス窓から外が見える席に座る。

 幸い、この店ではハンバーガーを作り終われば、店員が客のいる場所まで持ってきてくれるらしい。

 周囲の様子を観察したい俺としては、わざわざ自分で動く必要もないというのは助かる。

 そんな風にして待っていると、やがて店員がハンバーガーを持ってくる。

 1人で食うにはかなりの量で、当然のように周囲に座っている客は俺の方に奇妙な視線を向けてくる者も多い。

 とはいえ、結局偶然ここにいただけの赤の他人である以上、妙な感じで俺に絡んでくるような奴は……

 

「よぉ、凄く食うんだな、お前」

 

 いないと、そう思ってたんだけどな。

 面倒なと思いつつ視線を向けると……そこには、以前サイド7で見た顔があった。

 向こうは俺の事を完全に忘れているようだが。

 いや、それとも以前は20代の姿だったか?

 だとすれば、今は10代半ばの姿をしてるので、向こうが俺に気が付かなくてもおかしくはないか。

 

「そうか? 普通だろ、これくらい」

「……どこの普通だよ。なぁ、お前達もそう思わないか?」

「そうですね。カイさんの言う通りですよ。そもそも、こんな奴がこれだけの量を本当に食えるのかどうかも疑問ですし」

 

 俺に話し掛けて来た来た男……カイとかいう名前らしいが、その取り巻き? もしくは友人か? ともあれ、そんな感じの男がそう告げる。

 もっとも、その気持ちも分からないではない。

 今の俺は決して身体が大きい訳でも、それこそ大食いが得意なような体型にも見えないのだから。

 たまに痩せの大食いと呼ぶべき者もいるのだが、それは本当にたまにといった感じなだけで、俺がそういう風に見えなくてもおかしくはない。

 

「なら、そこで見てればいい。もっとも、俺は別に急いで食ってる訳じゃないから、食べ終わるまでそれなりに時間が掛かるけどな」

 

 そう言葉を返しつつ、ダブルチーズバーガーに齧りつく。

 かなりの大きさで、ソースも結構使われている関係もあり、こういうハンバーガーを食べる時にはコツがある。

 ハンバーガーを包み紙から取り出さず、包み紙で持ちながら齧り付く事だ。

 そうなればソースが手にベタベタとくっつかない。

 もっとも、包み紙は結局ただの紙だ。

 あまり長く使っていると、当然のようにソースが染み出たり、濡れて破けたりといった事にもなりかねない。

 そんな訳で、俺は味わいつつもダブルチーズバーガーを食べていく。

 

「おお、すげえなこいつ。本当にこれだと全部食えるんじゃねえのか?」

 

 カイの仲間の1人が、俺を見ながらそんな風に言ってくる。

 その言葉を聞きながら……ふと、どうせならこいつらから情報を得ればいいんじゃないか? と思う。

 見た感じ、この連中はいわゆる不良って奴だ。

 もっとも、ペルソナ世界で遭遇した不良に比べると、数段下といったところだが。

 まぁ、あの連中は思いきりヤンキー漫画的な感じだったのに比べて、このカイってのを中心にした連中は、なんちゃって不良……なんちゃってヤンキー? といった感じなのだが。

 まぁ、時代とかそういうのも関係している以上、今はカイ達が普通の不良であってもおかしくはないのだろうが。

 

「そう言えば、ちょっと聞きたいんだけど」

 

 ダブルーチーズバーガーの最後の一口を食べ終えたところで、そうカイに尋ねる。

 

「ん? 何だよ? 俺ちゃんに聞きたいって? まぁ、分かる事があるなら教えてやってもいいけど、無料でってのはなぁ……」

「ああ、ならいいや」

 

 別に金に困ってる訳じゃないし、情報料くらいなら渡しても構わないのだが……ただ、何となくそんな気分にならなかったというのが大きい。

 そもそもの話、カイから教えて貰うような情報は恐らくそこまで重要な物ではないし、何よりそれこそ他の通行人辺りに聞けば教えてくれそうなものだったからだ。

 ……もしくは、カイ達のように平和的な感じじゃなくて、恐喝をしようとした連中からであれば、結構情報を得られる事になるのは間違いない。

 

「ふーん。……ま、そう言うのなら、別にいいけどさ。おい、そろそろ行こうぜ。ちょっと面白い店を見つけたんだよ」

 

 そう言いながら、カイは店の中から出て行く。

 それを見送ると、次にポテトに手を伸ばす。

 ……ナデシコ世界のハンバーガー屋では、ハンバーガーそのものは特に美味いって訳じゃなかったけど、フライドポテトが信じられないくらいに美味い店があったよな。

 この店も、そういう良い意味で驚きに満ちていればいいんだが。

 そう思いながらポテトを口に運ぶが……普通、というのが感想だった。

 決して美味い訳でもないが、不味い訳でもない。

 そんな普通のフライドポテト。

 いやまぁ、あの味くらいのものを期待したのが間違いだったとは思うけど。

 ともあれ、フライドポテトを始めとして、他にも色々と食べたり飲んだりしながら窓の向こうの景色を眺めるが、特に何かこれといったヒントのようなものは転がっていない。

 ……そう思っていると、ふと通りの向こうから見覚えのある人物が歩いて来たのが見えた。

 茶髪で内気そうな性格をしているその男は……そう、アムロ。

 まぁ、アムロがサイド7で暮らしている以上、こうして偶然見掛けるような事があってもおかしくはなかったのだが……そんな風に思っていると、地面を見ながら猫背で歩いていたアムロがふと足を止め、半ば反射的にこちらに視線を向けてくる。

 そして、俺と視線が合った瞬間……露骨に視線を逸らし、今までよりも明らかに足早にその場を去っていった。

 へぇ、てっきり悲鳴でも上げられるのかと思ったが……けど、アムロが俺を見つけたのは、視線でも感じたのか? それとも、ニュータイプ能力が覚醒しているとか?

 ともあれ、俺を見て一瞬だけ恐怖の表情を浮かべたものの、それでもパニックになったりしなかった辺り、アムロも成長しているのだろう。

 もしくは、単純にあの時の恐怖を夢か何かだったと思っている可能性も否定は出来ないが。

 ……ただ、今のアムロの見た印象では、セイラよりもニュータイプ能力が高いとは思えない。

 いや、単純に俺の直感だが、クスコやマリオンよりもニュータイプ能力は低いような気がする。

 この世界の主人公である可能性が高い以上、アムロがニュータイプなのはほぼ間違いないと思うんだが。

 それとも、ニュータイプ能力を覚醒させるにはストレスが有効という話だから、ジオン軍との戦闘の中で多大なストレスを感じて、結果としてそれでニュータイプ能力が高まっていくのか。

 その辺りの理由はまだはっきりと理解出来ないが……今の俺がアムロに接触するのは、多分やめておいた方がいいだろう。

 セイラやクスコとの経験から考えると、多分大丈夫だと思うんだが……それでも、絶対という事はない。

 そもそも、その辺りの事情が本当に発揮しているのであれば、マリオンとも直接接触して、あの精神世界と思しき場所に連れて行っている筈だ。

 だが、セイラやクスコからその辺りの許可が下りないのは、やはりあの世界が色々と危険で、そして何よりも未知の存在であると、そう理解しているからだろう。

 そうなると、アムロの事情に関しては……メリル辺りから聞いた方がいいか?

 メリルとは、連絡を取ろうと思えばすぐに取れる。

 それこそ、メリルがこのサイド7でどこに住んでいるのかという情報は月にもしっかりと知らされているので、そこに行けば一発だろう。

 だが、そのような真似をしないのは……実際に自分の目でサイド7を見ておきたいというのが強い。

 そのような行為をしたおかげで、アムロを自分の目でしっかりと見る事が出来たのだ。

 その状況で何よりも驚いたのは、アムロがトラウマを半ば克服しているという事だったが……さて、正直なところ、これはどう判断したらいいものやら。

 ともあれ、買ったダブルーチーズバーガーのセットやら何やらを全部食べ終わると、いつまでもこうしてはいられないだろうという事で、店から出る。

 

「レツ、キッカ、ちょっと待ってよー!」

 

 店を出て、ふと聞こえてきた声にそちらに視線を向けると、そこでは3人の子供が走り回っていた。

 正確には、1人の子供がレツとキッカと呼ばれた2人を追っている、という表現がこの場合は正しいだろう。

 まさに平和な光景という表現が、この場合は相応しい。

 

「カツ、早く来いってば! 置いていくぞ!」

 

 レツと呼ばれた黒人の子供が叫び、それにカツと呼ばれた子供が走って追いかける。

 そうなると、あの女の子供がキッカという名前なのか。

 にしても……サイド7は連邦軍の影響が強いコロニーなのに、こういう子供もいるんだな。

 以前にセイラと一緒にこのコロニーの中を歩き回った時にも、こういう子供を何人も見ている。

 だが、それでもこうして見ると、しみじみとそのように思ってしまうのだ。

 そうして暫くの間そんな子供達を見て、これからどうするべきかを考える。

 軍人達に話を聞くか? いや、けど軍人がそう簡単にこっちの質問に答えるとは思えない。

 不良軍人というか、金を払えば情報を流す軍人とかもいるのかもしれないが、そうい軍人ってのは詳しい事情を知らなかったりする奴が多いしな。

 そうなると……やっぱり、普通にメリルに話を聞きに行った方がいいか。

 そう判断し、俺は予定よりも少し早いが、メリルの家に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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