転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2255話

 サイド7の偵察……正確にはアムロの偵察だった筈だが、いつの間にか権限が拡大されてしまったメリルの住んでいる家の前に、俺はやって来ていた。

 コロニーだからか、俺が知ってるような超高層マンションとか、そういうのは建てられない。

 詳しい規制は分からないが、何mまでという規制とかがあった筈だ。

 もっとも、サイド7は未だに完成したとは言い切れないような、そんなコロニーだ。

 当然のように土地は余っているので、そういうマンションの類を建てるような必要はない。

 ……実際、セイラがこのサイド7に住んでいた時も、小さめだけど一軒家を使っていたしな。

 そんな訳で、気軽に一軒家を購入したり借りる事が出来る以上、当然メリルが住んでいるのも一軒家だった。

 問題は、メリルがいるかどうかだが……どうだろうな。

 ハンバーガー屋の中でアムロを見たとなると、もしかしたらあの時にメリルは近くにいたのか?

 いやまぁ、アムロの担当をして貰ったからといって、それこそ四六時中アムロを見張ってろって意味じゃないんだが。

 それに、アムロの一件以外にもサイド7で行われているという連邦軍の動きを探って貰っていた事を考えると……うん、部下とかをきちんと派遣してやるべきだったな。

 とはいえ、ルナ・ジオンも人材が余っている訳じゃないし、かといって連邦軍の勢力範囲内で量産型Wやコバッタの類を使える筈もないし……難しいところだ。

 そんな理由で家の中にメリルがいない可能性もあるんだが。

 そう思いつつ、チャイムを鳴らす。

 ピンポーンという、聞き慣れたチャイムの音。

 それから数秒……玄関に付いているカメラで、誰が来たのかを確認したのだろう。

 家の中で慌てたように動いている物音が聞こえてくる。

 普通なら家の前にカメラを設置とかは……まぁ、やらない訳でもないだろうが、メリルの場合は仕事が仕事だ。

 何かあった時……それこそ、連邦軍の軍人だったり、サイド7の警察だったり。そういう連中が来た時の為に用意はしていてもおかしくはない。

 そして数十秒が経ち、やがてメリルが姿を現す。

 

「アクセル代表、何でこんな時間に……来ると聞いていた時間よりも随分と遅かったので、心配してたんですよ」

「あー……そうか、悪い。ちょっとサイド7の中を見て回ってたからな」

 

 当然ながら、俺がサイド7に来るというのはルルーからメリルに前もって知らされていた。

 仮にも一国の代表が……それも、ルナ・ジオンを保護している国の代表が来るのだから、ルルーからメリルに連絡が入るのは当然だろう。

 もっとも、正直なところ、この世界の人間が何をしようとも俺に直接的な危害を加える事は出来ないのだから、その辺は少し心配しすぎといったような気がしないでもないが。

 

「そうですか。……ともあれ、よく来てくれました。取りあえず中に入って下さい。色々と説明する必要もあるでしょうし」

 

 そう言い、メリルが俺を部屋に招待する。

 部屋の中は女らしい部屋……ではなく、あくまでも最低限の荷物しか置いていない。

 勿論、メリルが住んでいるだけあって化粧品とかそういうのが置かれているのは間違いないが、女らしい部屋と言われてこの部屋を思い浮かべるような者はあまりいないだろう。

 

「思ったよりも物が少ないな。暮らしていくのに不自由はないのか?」

「はい。このくらいであれば、全く問題なく。……何が起きるのか分からない以上、連邦軍に見つかったら……いえ、怪しまれそうになったら、すぐに脱出する必要がありますので」

「そうか」

 

 空間倉庫がある俺なら、いざという時でもすぐに荷物を収納して、その場から脱出する事が出来る。

 だが、そういう能力を持っていないメリルとしては、身軽さを重要視してるのだろう。

 

「どうぞ」

 

 それでも一応用意されていたソファに俺が座ると、メリルがそう言って紅茶の入ったカップを俺に渡してくる。

 そのカップを口に運び……

 

「へぇ、美味いな」

 

 予想外に美味かった紅茶に、思わず呟く。

 そんな俺を見て、メリルは満面の笑みを浮かべた。

 

「そう言って貰えると、私もこの茶葉を用意した甲斐がありますね。……うん、我ながら上出来です」

 

 ソファは俺が使っているので、メリルが座っているのは食事をする時に使う椅子とテーブルだ。

 ……1人用だから、そっちの椅子も1脚しかないんだよな。

 だからこそ、俺がこうしてソファに座ったのだが。

 

「あー……取りあえずそうやって離れられていると、ちょっと話しにくいな。ちょっと待ってろ」

 

 そう言い、俺は空間倉庫の中から新たにソファと足の低い、ソファとかに座りながら使う為のテーブルを取り出す。

 

「これは……かなり由緒ある品なのでは?」

 

 座っていた椅子からこっちに近づいてきたメリルが、テーブルとソファを見ながらそう告げる。

 

「まぁ、それは否定しない。出す所に出せば、多分かなりの値段が付く筈だ」

 

 W世界においてデルマイユが所有していたソファやテーブルだ。

 当然のように高級品で、それこそ下手をすれば数百万、数千万といった値段がついてもおかしくはない。

 それも、円ではなくドルで。

 まぁ、デルマイユが使っていた家具だと考えれば、妥当な値段だろう。

 

「かなりの値段って……その、私がこれを使ってもいいんですか? 傷を付けたりしたら……」

 

 恐る恐るといった様子で尋ねてくるメリルだが、確かメリルの家も相応の名家と呼ばれる家だったような気がするんだが。

 ダイクン派だったせいで、ザビ家によって弾圧されて没落したらしいけど。

 ともあれ、そんなメリルだけに、そこまで驚くような事はないと思うんだが……

 まぁ、ただの名家とロームフェラ財団の中でもトップに位置したようなデルマイユの家だと、やっぱり格とかそういうのが色々と違うんだろうな。

 

「そうかもしれないが、どうせ家具なんだし使った方がいいだろ」

 

 そう告げ、紅茶のカップをテーブルの上に置く。

 それに、もし傷が付いたり汚れたりしても、技術班とかに頼めば何とかしてくれそうな気がしないでもない。

 ……うーん、こういう事なら、高級品じゃなくてそこそこの値段の、それこそいつでも使い捨てに出来るような奴を用意しておくべきだったな。

 ともあれ、メリルは少し躊躇していたが、それでもやがてソファに座る。

 普通の、それこそ店で売っているソファとは段違いの柔らかさで身体を包み込んでくるのに驚き、同時に生地の滑らかさにも驚いた様子を見せるメリル。

 まぁ、この感触に慣れてしまうと普通のソファとかは使いにくくなるよな。

 デルマイユ本人は色んな意味で残念な奴だったが、それでもその審美眼の類はかなりのものがあり、所有していた家具、そして芸術品の類はどれも間違いなく一級品と呼ぶに相応しい代物だった。

 軍事とかには手を出さず、大人しく商売とかしていればああいう結果になる事もなかっただろうに。

 まぁ、金を十分に入手すれば、次に名誉の類が欲しくなってもおかしくはないのか。

 ともあれ……

 

「どうする? このソファを使いたいなら、置いていってもいいけど」

 

 そう尋ねると、メリルは即座に首を横に振る。

 

「こんな良い品を貰えません! それこそ、傷を付けたり汚したりしないかと、凄く気になってしまって、家の中でリラックス出来ません!」

 

 メリルの口から、全力で拒否の言葉が出る。

 そうか。メリルには色々と迷惑を掛けているし、その礼にでも……と思ったんだが。

 どうやら、少し大袈裟すぎたらしい。

 

「なら、今回の一件が終わったら俺が持って帰るよ。……それで、早速だが」

 

 その短い一言で、俺が何を言いたいのか理解したのだろう。メリルは俺の言葉に数秒前まで浮かべていた戸惑ったような表情をすぐに切り替え、真面目な表情となって口を開く。

 

「分かりました。それで、どの情報からにしましょうか」

 

 そう言ってくるメリルに、俺は幾つか気になっている事のうち、アムロの件を尋ねる。

 

「アムロは俺との接触で半ばトラウマを負ってるって風に報告を受けてたな。けど、今日サイド7内を見て回っていた時にアムロに遭遇したんだが、その時のアムロは俺を見ても驚いて恐怖を感じたようだったけど、騒ぐといった真似はしなかった」

「それは……私が知ってる限りでは、特に何か特別な事をしているという様子はありませんでした。その状況でそのような……言ってみれば恐怖を克服したのであれば、それは内面的に何らかの変化があったのでは?」

 

 内面的な変化か。

 まぁ、ニュータイプというのは外見的に何らかの影響が出たりする訳でもない以上、内面的な変化でその能力が上がったり、トラウマを克服出来たりするといった事になっても、おかしくはない……のか?

 そう考えれば、アムロの態度にも納得出来るものがない訳ではない。

 

「そうか。……なら、今のアムロをルナ・ジオンに引き込む事は出来ると思うか?」

 

 アムロがこの世界の主人公であれば、今のアムロを原作とは全く関係のないルナ・ジオンに引きずり込むのは、色々と悪影響がでそうではある。

 だが、そもそもルナ・ジオンという国家が月を占領している時点で、原作の流れからは大きく離れているのだ。

 であれば、それこそ原作の流れ云々というのは、今更の話だろう。

 そして、恐らくは高いニュータイプ能力を持っているだろうアムロを、ニュータイプのセイラが治めるルナ・ジオンという国に引き込むというのは、大きな意味を持つ。

 ニュータイプ論について最初に語った、ジオン・ズム・ダイクン。

 その娘が女王として建国されたルナ・ジオンに、多くのニュータイプが集まってくるということは、ニュータイプという存在に大きな意味を持つのは間違いない。

 もっとも、今のところセイラ以外にニュータイプと呼べるのはクスコとマリオンの2人だけだが。

 ニュータイプ研究所から助け出された子供達の中にも、ニュータイプとしての能力を覚醒しつつある者はいたが……その子供達がどのような未来を選ぶのかは、それこそ強制出来ることではない。

 

「どうでしょう。……そもそも、アムロ・レイは自分がニュータイプであるという認識があるのかどうかも微妙なところです。その認識があるのであれば、ルナ・ジオンに所属する気になってもおかしくはないと思います。ですが……」

 

 そう言い、言葉を濁すメリル。

 何だ? 何か言いにくい事でもあるのか?

 

「どうした?」

「はい。その……アムロ・レイの父親は、テム・レイという技術者です。この人物なのですが……まだはっきりとした情報を得る事は出来ていませんけど、どうやら連邦軍のMS開発計画に関わってるようです」

「……なるほど。妙なところで妙なものに繋がるものだな」

 

 そう言いつつも、納得出来る事はある。

 原作が始まれば、当然のようにアムロはMSに乗って戦う事になるのだろう。

 だが、MSというのはいきなり乗ってすぐに乗りこなせる……といったような兵器ではない。

 いやまぁ、PTとかVFとかKMFとか……もしくはもっと単純にSEED世界やW世界のMSといった機体を操縦した経験があれば、レイアウトの違いとかはあれども、操縦する事は出来る。

 完璧にという訳ではないが、それでも何も知らない素人がMSを操縦するよりは天と地くらいの差があってもおかしくはない。

 それは、ニュータイプであっても同じで、セイラも最初は操縦に四苦八苦していた。

 少なくても、俺が知る限りではニュータイプ能力でMSの操作方法を直感的に分かったといった事はなかった筈だ。

 だが、父親が連邦軍のMS開発計画に関わっているとなれば、アムロが連邦軍のMSについて情報を得られていたという可能性は十分にある。

 ……もしかして、アムロが俺との接触で得たトラウマを克服してるのは、その辺が関係していたりするのか?

 主人公という事を考えれば、その可能性は十分にある。

 

「……ん? そうなると、もしかしてここ最近連邦軍がサイド7で色々と動いているというのは、連邦軍のMS開発が関係していたりするのか?」

「その辺は何とも……ただ、可能性はありますね」

 

 俺の言葉にメリルがそう返してくる。

 さて、そうなると連邦軍の動きの方も、俺が考えていたよりもしっかりと対処する必要があるのだが……どうしたものだろうな。

 

「その連邦軍の動きだが、まだ本格的には何も掴めていないという認識でいいのか?」

「……はい。申し訳ありません」

 

 少しだけ悔しそうな表情を浮かべるメリルだったが、俺はそれに対して首を横に振る。

 

「気にするな。そもそも、サイド7にはメリルだけしか派遣していなかったんだ。元々はアムロの件だけを任せていたんだし。そういう意味では、連邦軍の動きを知らせてくれただけでも、こっちとしては助かるよ」

 

 そう、告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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