転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2268話

 取りあえず、ホワイトベースの格納庫に戻ってくるとすぐにデータ収集が始められた。

 というか、分解して腹の部分にあった戦闘機が取り出されたというのが正しい。

 取説を見て、そこに脱出用の戦闘機があるというのは知っていたが、こうして実際に見ると……うーん。

 いやまぁ、MSが撃破された時にパイロットを無事に脱出させる必要があるというのは知ってるし、あの戦闘機、コアファイターって名前らしいが、そのコアファイターの中には教育型コンピュータがあって、MSの操縦データとかが蓄積されていくので、それを無事に確保するという意味もあるらしい。

 何しろ、この教育型コンピュータはかなり高価らしいしな。

 少なくても、その為にこうしてコアファイターを用意する理由の1つになるくらいには。

 他にも、MSパイロットの経験者が少ない連邦軍にしてみれば、その安全性に注意を払うのは当然だろうが。

 ……あ。でも、ガンキャノンにある教育型コンピュータが連邦軍の手に渡るって事は、当然のように俺の操縦データも連邦軍に渡る訳だ。

 これはちょっと不味いか?

 いやまぁ、結局のところ俺の操縦技術を完全に模倣するなんて事は出来ないと思うが、それでも幾らかであっても使えるようになると、下手をすればジオン軍が一気に不利になる可能性もある。

 そう思ったが、ガンキャノンとガンダムのどちらが連邦軍の主力量産MSの雛形に相応しいのかと言われれば、普通ならガンダムを選ぶだろう。

 ただ、シャアを相手に俺が互角に戦ったのを考えると、もしかしたらもしかするか?

 そんな風に思っていると、不意にガンダムのコックピットから降りたアムロがこっちに近づいてくるのが見えた。

 

「……シャアを相手に、よく互角に戦うことが出来ましたね」

 

 そう尋ねてくるアムロの視線の中にあるのは、当然のように疑惑の色だ。

 アムロにしてみれば、俺の正体を疑っているのだから、それもおかしくはないのだが。

 

「まぁ、知っての通りルナ・ジオンではMSの運用も行われているからな。俺もそのおかげでMSを操縦出来た訳だ。……何か疑問でもあるのか?」

「そうですね。ただ、ここで言っても意味はなさそうなので、言いませんが」

 

 なら、何でわざわざ俺のいる場所にやって来たんだ?

 トラウマを克服しても、俺に対して苦手意識を抱いているのは間違いないだろうに。

 

「で? お前は初めて……いや、2度目にMSで戦闘をしてどう思った」

「……面白い訳ないじゃないですか。人を、殺したんですよ? なのに、その実感もないし」

 

 だろうな。

 MSで敵を倒すというのは、相手を直接見ずに殺すという事でもあり、当然のように戦いにおける現実感がない。

 このUC世界において……だけではなく、どこの世界であっても旧世紀、特に銃という存在が一般化してきた時期には、トリガーを引くだけで人を殺すというのに実感がない者が多かったらしい。

 そして時代が更に流れると、数km先からでも射撃出来る狙撃銃のような物すら登場してくる。

 狙撃銃を使っての狙撃は、更に人を殺すという実感を奪う事になる。

 ……勿論、それはあくまでもそういう傾向にあるというだけで、それこそ個人によってその辺は大きく変わってくるのだが。

 ともあれ、殺す対象を直接見る銃ですらそんな感じなのだから、MSに乗って相手の顔を直接見る事がなくなった戦いである以上、そこに人を殺した実感を感じるのは難しい。

 俺とシャアがやったように近接戦闘の場合なら、接触回線によって相手の断末魔を聞こえたりといった事もあるんだろうが……

 

「イザークさん! 無事でしたか!?」

 

 俺とアムロが話していると、不意にそんな声が聞こえてくる。

 声の聞こえてきた方に視線を向けると、そこにいたのはメリル。

 ああ、そう言えば俺がブリッジに呼ばれてから、メリルとは会ってなかったな。

 ブリッジからは、直接出撃準備をする為に格納庫にやって来たし。

 だとすれば、メリルが俺を心配してもおかしくはないのか。

 俺が死ぬ可能性がないと知っていても、メリルの場合はあくまでも知識でそう知ってるだけだ。

 実感としてその辺を知っている訳ではない以上、この反応もおかしくはない。

 

「ああ、心配するな。MSも特に被害を受けていない。……もっとも、アムロと違って敵を撃破する事は出来なかったが」

「……皮肉ですか、それ」

 

 俺とメリルの会話に、アムロが不満そうにそう言ってくる。

 メリルもアムロとの面識こそないが、当然のようにその顔は知っている。

 アムロの様子を観察させ、可能ならルナ・ジオンに引き込むというのと担当していたのだから、当然だろうが。

 

「イザークさんがシャアを引き付けておいてくれたから、僕はあのザクを倒す事が出来たんですよ。もしシャアが相手なら……恐らく、負けてました」

「そうか? シャアの能力を思えば、勝つ事は難しかっただろうけど、引き分けに持ち込む事は出来たと思うぞ。……ガンダムの性能あってこその話だが」

 

 実際問題、ザクが相手では例えS型であってもガンダムを撃破するというのは難しい。

 ザクバズーカやヒートホークならダメージを与えられるかもしれないが、前者は砲弾の速度が遅いので回避されやすく、ミノフスキー粒子下では撃ちっ放しにしか出来ない。

 そして後者は、それこそ宇宙では敵との間合いを詰めるのが難しい。

 やはりザクにとって一番使いやすい武器はザクマシンガンなんだろうが、肝心のそのザクマシンガンは、ルナ・チタニウムの装甲を持つガンダムには無意味だ。

 その辺りの諸々を考えれば、アムロがシャアと戦っても、勝つ事は出来ずとも負けはしなかった筈だ。

 そんな風に考えつつ、俺はアムロに視線を向ける。

 だが、そんな視線を向けられた事そのものが、アムロにとってはあまり面白くないのだろう。こちらを睨み付けてくる。

 

「ほら、君もあまりイザークさんに突っかからないの。アムロ君だったわよね? 貴方がホワイトベースを守ってくれたのは、皆が分かってる事なんだから」

「え? その……」

 

 メリルにそう言われ、アムロは照れたのか、頬を赤く染めながら視線を逸らす。

 うん。俺が言うのもなんだけど、ムッツリだな。

 まぁ、メリルは間違いなく美女と呼ぶに相応しい美貌をしており、その身体も女らしい起伏に富んでいる。

 思春期真っ只中の、女に興味津々たる10代半ばのアムロにしてみれば、それこそメリルに興味を持つなという方が無理だろう。

 ……もしかして、メリルが色仕掛けをすればアムロはあっさりとルナ・ジオンに引っ張り込めたんじゃないか? そう思ってしまうくらいに。

 まぁ、メリル本人は軍人としての教育を受けたとはいえ、貴族令嬢だ。

 色仕掛けの素養はあっても、実際にそれが出来るかと言われると……正直、微妙なところだろう。

 ただまぁ、アムロもムッツリとはいえ、そこまで積極的に女を口説くといった真似が出来るようなタイプじゃないと考えると、もしかしたらこの2人が上手くいく可能性もない訳ではない……のか?

 とはいえ、アムロの場合は既にフラウと若干進展しているようなので、その辺がどうなるか微妙なところだが。

 

「イザークさん、それよりもこれから……」

「おーい、アムロとイザークの2人は、至急ブリッジに来て欲しいそうだ!」

 

 メリルの言葉を遮るように、メカニックの1人がこっちを見て叫ぶ。

 通信機の近くにいるということは、恐らくブリッジと何らかの連絡をしていて、それで急に呼ばれたのだろう。

 まぁ、シャアとの戦闘が終わった直後だ。ブリッジにいるブライトにしても、俺達と色々と相談することがあるのだろう。

 何しろ、俺とアムロは今のホワイトベースにとって唯一のMSパイロットだ。

 それこそ、俺が色々と怪しいと分かっていても、現在は使える者は使う必要があると、そう考えるのは当然だった。

 こっちとしても、ガンキャノンに乗れるのは嬉しい。

 戦闘の関係のない時であれば、ガンダムにも乗ってみたいし……ガンタンクにも一応は乗ってみた方がいいのかもしれないな。

 とはいえ、実際にその機会があるかと言えば……まずないだろう。

 恐らくブリッジに呼ばれた理由は、これからどうするかという事だ。

 そしてホワイトベースにとっての最善は、ルナツーに向かう事。

 ……ん? 待てよ。ふと思ったんだが、ホワイトベースのデータとかを調べるのなら、こっちの本拠地たる月に行って貰うのがベストだ。

 そうなれば補給やら何やらの名目でアークエンジェルもどきのこのホワイトベースを調べる事も出来るし、搭載されているMSにしても同様だ。

 特に、出来ればガンタンクは個人的にあまり乗りたくない……というか、高機動戦を得意とする俺にとってはあまり面白くない機体なので、出来れば月でデータを取って乗らないようにして欲しい。

 ルナツーがルナ・ジオン軍によって既に陥落させられていても、データを取るという点では同じような物ではあるが……ただ、やはり機材とかが連邦軍の物よりは、ルナ・ジオン軍の方がいいだろう。

 よし、そうした方がこちらとしても連邦軍との交渉で色々と有利になるし……そうさせてもらうとしようか。

 決断すれば、気分はすっきりする。

 何より、ルナ・ジオン……いや、シャドウミラーの者だと隠さなくてもいいというのは、この場合大きな利益だった。

 ただ、アクセル・アルマーという名前をどうするか、が問題だな。

 まずないと思うが、俺がアクセル・アルマーだと知って、人質に取る……などという事を考える奴がいないとも限らない。

 建国宣言の時に生身の力についてもその片鱗を見せてはいるが、世の中には頭の固い者も多い。

 こっちに集まっている情報によれば、魔法などというものは存在しないと、俺が見せたのはあくまでも手品でしかないと、そう言ってる奴もいるらしいし。

 まぁ、そういう風に思うのであれば、こちらとしても特に何も言うつもりはないが。

 本当にそう思ってるのなら、それこそこちらとしても相対した時に色々とやりやすいし。

 

「メリル、呼ばれたから俺はちょっとブリッジに行ってくる。……準備をしておけ」

 

 短くそれだけを告げるが、その準備という事で大体俺の言いたい事は分かったのか、メリルは頷きを返す。

 

「分かりました。すぐに準備に入ります。……ただ、イザークさんも気をつけて下さいね」

「ああ。こっちも多分問題はない」

 

 そう言葉を交わすと、アムロが微妙に嫉妬の込められた視線をこっちに向けているのに気が付く。

 あー、うん。メリルと親しげに話していたのが駄目だったのか?

 ただ、俺が視線を返すとアムロもすぐに自分がどんな視線を向けているのかに気が付いたのか、そっと視線を逸らす。

 それを気にした様子を見せず、アムロに声を掛ける。

 

「ブライトをあまり待たせると怒られるだろうし、さっさと行くぞ」

「え? あ、はい」

 

 嫉妬の視線で俺を見ていたという後味の悪さがあったからか、アムロは俺の言葉に頷き、ブリッジに向かう。

 一瞬、俺の正体を知らせるのなら影のゲートを使って転移してもいいんじゃないかと思わないでもなかったが、一応ホワイトベースの中を見ておくのは悪い事じゃないと判断し、そのまま進む。

 

「……随分と人が増えたな」

「何でも、サイド7に戻ってきた事で、避難民も多くなったらしいですよ」

 

 別にアムロに話し掛けたつもりはなかったのだが、アムロは話し掛けられたと思ったのか、そう返してくる。

 

「避難民が多い、か。今のホワイトベースの状況を知った上で、避難してくるのは正直どうかと思うけどな」

 

 連邦軍が開発した新型MSを搭載し、ホワイトベースもMS運用艦として設計されている。

 それを考えれば、シャアを始めとしたジオン軍のMSが再度襲ってくる可能性は高い。

 ジオン軍のトップエースたる赤い彗星に狙われるというのは、それだけ死が近づいているという事を意味している。

 だとすれば、わざわざ好き好んでホワイトベースに乗ろうとする奴がそんなにいるというのは、俺にはちょっと信じられないんだが。

 

「このままコロニーにいるのと、ホワイトベースに乗るののどちらが助かる可能性が高いのか。それを考えれば、そこまでおかしな話ではないと思いますけどね」

 

 だが、アムロにしてみれば避難してきた者の事は理解出来るらしい。

 ……実際に俺が乗っている以上、ホワイトベースの撃墜という結末は存在しないのだから、それは間違っている訳ではないのだが。

 そんな風に話しつつ、通路に溢れている避難民を避けながら進み……やがて、俺達はブリッジに到着するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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