転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2278話

 結局、ルナツーにあるクレーターの中で補給作業をしているシャア達に対して、ホワイトベースは攻撃を仕掛ける事になった。

 その最大の決め手となったのは、やはりシャアが補給を受けている最中で、迂闊に考え込んでいられる時間がないから、というのが大きいのだろう。

 また、こちらは恐らくという予想ではあるが、ルナツーを占拠したルナ・ジオン軍から、向こうもこの戦いには手出しをしないと言われている可能性があった。

 ルナ・ジオン軍にしてみれば、今回の一件は自分達が何もしなくても、連邦軍の新型MSとジオン軍のトップエースたる赤い彗星が戦いを行うのだ。

 どちらとも現在は友好的な関係ではない――ジャブローにいる連邦軍は別だが――ルナ・ジオン軍としては、下手にどちらかの手を貸すよりも、戦わせてデータを取るようにした、という可能性が高い。

 さて、もしそうだった場合、一体誰がそんな決断をしたのやら。

 考えられるとすれば、ダグラス、シーマ、ラル……といったところか。

 

『イザーク、準備は出来てますか?』

 

 通信にて、ミライがそう尋ねてくる。

 あれ、ミライってホワイトベースの操艦を任されてるんじゃなかったか?

 それとも、操艦をしながら通信とかもするのか?

 いやまぁ、その理由はどうでもいいが。

 

「ああ、問題ない。他の連中は?」

『皆、準備は完了しています』

「そうか。……じゃあ、頼む」

『了解しました。気をつけてね』

 

 その言葉と共に、カタパルトデッキに設置された俺のガンキャノンが射出される。

 ああ、こういう時は……

 

「イザーク、ガンキャノン、出るぞ!」

 

 そう言った時、既にガンキャノンは射出されてルナツーの地上……地表? の上を飛んでいた。

 ちょっと言うのが遅かったな。

 そう思いつつ、地面に着地し……

 

『おわぁああああああああああああああああっ!』

 

 俺のすぐ後に射出されたカイのガンキャノンが、地面にぶつかりそうになりながら、何とか着地する事に成功する。

 

「一応聞いておくけど……無事か?」

 

 カイのガンキャノンの近くまで行き、その装甲に手を乗せて接触回線を使って尋ねる。

 

『あ、ああ、問題ない。大丈夫だ』

 

 映像モニタに表示されたカイは、そう言いながら強がるが、パイロットスーツのヘルメット越しであっても、顔が引き攣っているのは確認出来た。

 今の着地失敗が、よっぽど怖かったらしい。

 

「あー、ほら。落ち着け。MSの操縦を実際にするのはこれが初めてなんだから、シミュレータ通りにいかないのは当然だろ。とにかく、今は自分がやるべき事をやればそれでいいから」

『わ、分かってる、分かってるよ!』

 

 今の会話でようやく人心地ついたのか、映像モニタに映し出されているカイはその言葉通り、数秒前の混乱した様子から多少なりとも落ち着く。

 

「シミュレータでやった事を、そのままやればいい。最悪の場合は、ガンキャノンの特性を活かして背後からの援護射撃に専念してもいい」

 

 俺がシャアと戦った時は、ガンダムよりも厚い装甲を活かして近接攻撃を行った。

 だからこそ、カイもガンキャノンを使っての戦闘では同じように戦うといった事を考えているのかもしれないが、それはぶっちゃけ難しい。

 そもそも、俺はザクを始めとしてジオン軍のMSを操縦した経験があり、それがガンキャノンの操縦でも活かされている。

 だが、当然ながら素人のカイがそのような事を出来る筈もない。

 であれば、やはりガンタンク隊と同様に後方からの援護に集中して貰った方がいいのは間違いなかった。

 

『イザークやアムロが出来るようなことを、俺が出来ない訳がないだろ?』

 

 そう告げるカイだったが、俺は色々と例外だが、アムロに出来てってのは……まぁ、俺はアムロをこの世界の主人公であると理解しているから一種特別視してるが、カイにとってアムロというのは、やはり同級生だったり、顔見知りだったりという意識の方が強いのだろう。

 ましてや、ファーストフード店で会った時には、カイの周りには大勢の友人の姿があった。

 そういう一種社交的なカイにしてみれば、どうしても内向的な性格をしているアムロを下に見てしまうのだろう。

 とはいえ、アムロと以前から知り合いだったという事は、恐らくカイも原作では活躍するだろう人物である可能性が高いので、この戦いで下手に敵に突っ込んで死ぬといった事は、出来れば避けたい。

 その為にも、まずはカイに落ち着いて貰う方が先か。

 

「落ち着け。お前の中でどういう風に考えているのは分からないが、アムロは実際にガンダムに乗って結果を出している。それこそ、ジオン軍のMSを撃破するという結果をな。それを考えると、カイはこれが初陣だ。その辺をしっかり考えて、まずは自分が生き残る事を最優先にして動け」

『……分かったよ』

 

 俺の言葉に、不機嫌そうになりながらもそう言葉を返してくるカイ。

 一応、落ち着いたという認識でいいのか?

 

「なら、いい。取りあえずシャア達がいるクレーターに向かうぞ。こっちが行動に出るよりも前に、向こうが補給を終えたりしたら最悪の結果になりかねない」

『あいよ』

 

 そうしてクレーターに向かっていると、不意に先行していたアムロからの連絡が入る。

 

『イザークさん、カイさん。クレーターにシャアのムサイ級を発見しました。それと、あれは……パプア級、ですね。それもいて、現在補給作業をしているようです』

 

 ガンダムは装甲や攻撃力ではガンキャノンに劣るが、機動性や運動性という意味ではガンキャノンよりも上だ。

 だからこそ、俺とカイよりも早くカタパルトデッキで射出され、先行偵察といった形で問題のクレーターを調べて貰っていた。

 ……そして補給作業を開始しているという情報を得たのだから、その甲斐はあったといったところか。

 

「ホワイトベースの方には?」

『もう知らせました。まずは確実にクレーターを包囲して、全機で一斉に攻撃しろと』

 

 なるほど。つまりは当初の作戦通りに進んでいる訳か。

 今回の作戦の鍵となるのは、ムサイ級が現在どのような状況になっているのかという事が第一条件だ。

 ジオン軍の中で最も使われている補給艦のパプア級は、補給する時にその対象に向かってコンベアパイプというのを接続する必要がある。

 そうなれば、当然のようにムサイ級の方ではろくに動く事が出来ず、攻撃された場合は一方的に撃たれ続ける事になるのは確実だった。

 ……まぁ、コンベアパイプに、そしてパプア級やムサイ級に被害が出てもいいのなら、無理に動いたりも出来るだろうが。

 そして、シャアが敵に見つからないようにとクレーターに隠れているというのも、包囲して一方的に射撃をするのに丁度いい。

 もっとも、当然のようにシャアだってその辺はしっかりと考えているだろうから、ミノフスキー粒子を散布している筈だ。

 シャアのMSが出てこないといいんだが。

 もしシャアのMSが出てきたりしたら、それこそガンタンク部隊では、どうしようもないまま一方的に狩られるだけになるのは確実だった。

 そうならないようにする為には、こっちが敵に気が付かれるよりも前に攻撃を開始出来ればいいんだが……さて、どうなる事やら。

 この場合、どうしてもガンタンク隊の足の遅さが影響してくるんだよな。

 まぁ、だからこそガンタンクの配置場所はクレーターの中でもホワイトベース側にしたのだろうが。

 それに、ガンタンクの低反動キャノンの威力は相当に高い。

 それこそ、当たれば数発でムサイが沈んでもおかしくはないと思える程に。

 ……もっとも、ガンナーはどれもカイ同様に素人同然の連中だと考えると、命中弾はあまり期待出来ないというのも、間違いのない事実なのだが。

 

「カイ、行くぞ。MSの操縦は問題ないな?」

『ああ、問題ない。お前やアムロに出来てるんだからな。俺は大型の免許も持ってるんだぜ?』

「あー……うん、そうか。まぁ、頑張れ。ただし、お前が乗ってるのは大型の車両って訳じゃなくて、あくまでもMSだ。戦闘になった時に下手にパニックになって攻撃したりするなよ? それで味方に被害を与えたりしたら、洒落にならないし」

 

 現状、連邦軍のMSの中で最強の攻撃力を誇っているのは、ガンキャノンのビームライフルだ。

 それこそ、ガンキャノンの持つビームライフルは、ザクマシンガンを正面から撃たれても全く無傷のガンダムの装甲ですら、あっさりと貫く筈だった。

 だからこそ、カイには混乱して四方八方にビームライフルを撃つ……といった真似は絶対にして欲しくはない。

 そういう意味では、クレーターの底の部分でシャアのムサイ級が補給をしているというのは、俺達にとっては運が良かったと言えるだろう。

 

『分かってるって。最初は驚いたけど、動かしていればそれなりに慣れてくるから、心配はいらねえよ』

 

 そう告げるカイの言葉を、一体どこまで信じていいものやら。

 とはいえ、こうして見る限りでは実際にガンキャノンの動きはそこまで悪いものではない。

 言葉通り、動かしている事で次第に慣れてきた……といったところか。

 

「そうか。ともあれ、まずは……」

 

 しっかりと配置につくようにしろ。

 そう言おうと思ったのだが、その言葉を遮るように、唐突にパプア級が爆発する。

 それも、明らかに何らかの事故で爆発したのではなく、外側から攻撃をされての爆発だ。

 

『なっ!? ちょっ、おい、イザーク、何があったんだよ!?』

 

 いきなりのパプア級の爆発に、カイが戸惑ったように言ってくる。

 少し考え、恐らく一番正解に近い答えを口にする。

 

「多分だが、ガンタンク隊の誰かが暴走したんだろうな」

 

 基本的に中距離からの援護射撃を目的として開発されたガンキャノンと違い、ガンタンクは遠距離、それこそ戦闘が行われているエリアの外といった場所から援護攻撃をする為に開発された機体だ。

 それだけに、当然その気になればまだ移動中であってもクレーターに向かって攻撃する事は可能だ。

 その攻撃がパプア級に命中したのは、技量……というよりは、単純に運が良かっただけだろう。

 最初はガンダムの攻撃かとも思ったのだが、ガンダムを操縦するアムロは一応実戦を経験している。

 そうである以上、我慢出来なくて攻撃をするといった真似をするとは思えなかった。

 いやまぁ、もしかしたら実は普通にそういう事もあるのかもしれないが……ともあれ、現状では恐らくこれが実戦のガンタンク隊の方が可能性は高い。

 

「アムロ、聞こえているか? アムロ。今の攻撃はお前の仕業か?」

『違います! 僕じゃないです。イザークさんやカイさんじゃ?』

「そっちも違う。……やっぱり、ガンタンク隊か」

 

 考えてみれば、向こうは3機もいて、さらに1機につき2人のパイロットが必要で、更にはガンナーには素人を乗せているのだ。

 だとすれば、戦闘の緊張に耐えられず、もしくは興奮してしまい、全員が当初の予想位置に到着するよりも先に攻撃をしたというのは、理解出来ない訳でもない。

 今回の作戦を立てたのはブライトやパオロといった面々であり、実際にその作戦案は決して悪いものではない。

 それこそ、もし今回の作戦に参加したMSパイロットが全員ジオン軍のMSパイロット並の技量を持っているのなら、その作戦は完璧に機能しており、シャアをここで倒す事も恐らくではあるが出来ただろう。……俺の個人的な事情としては、ここでシャアを倒されると困るのだが、それはともかくとして。

 だが、ブライト達にとって最大の誤算は、やはり素人を本職のMSパイロットと同じように考えていた事だろう。

 だからといって、リュウ、ジョブ、メリルのようにMSの操縦が出来るパイロットをガンナーに持っていくと、ガンタンクそのものがまともに動けなくなる……どころか、場合によってはホワイトベースに向かって突っ込んでいく可能性すらあった。

 それを考えれば、今回の一件は仕方がなかったんだろう。

 残る可能性としては、リュウ、ジョブ、メリルのうち2人を1機のガンタンクのパイロットとして使うのもあったが……その場合、ガンタンクという優秀な射撃戦力が減る事になってしまう。

 ガンタンクが持つ低反動キャノンは、両肩に装備されているので1機で2門。

 つまり、ガンタンクが1機しか出撃していない場合、本来なら6門の低反動キャノンが2門になってしまう。

 ブライトやパオロといった面々は、恐らくその辺を考えたのだろう。

 シャアを沈める為には、それが最善だと判断し……そして結果として、最悪の結末に辿り着いてしまった。

 

『おい、イザーク。どうするんだよ!』

 

 焦ったカイの声に、どうするか考え……例え俺の個人的な思惑を抜きにしても、ここで攻撃をしないという選択肢は存在しなかった。

 

「もう攻撃してしまったものは仕方がない。攻撃しろ! ただし、まだMSが補給されていないだろうことを考えると、パプア級に攻撃を集中させろ!」

 

 そう、通信で叫ぶのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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