転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2279話

 パプア級を撃てという俺の命令に、その通信を聞いていたカイとアムロは即座に従う。

 ……が、ここでカイがミスを犯す。

 低反動キャノンを撃った時の衝撃に驚き、そして混乱し、連射モードでクレーターの中に大量の砲弾を撃ち込んだのだ。

 その中の何発がパプア級や、場合によってはムサイ級に命中したのかは分からない。

 だが、殆どが全く検討違いの場所……具体的にはクレーターの底に命中し、結果として周囲には大量の土煙が巻き上がる事になる。

 

「カイ、低反動キャノンを使う時の注意事項を忘れるな!」

『わ、分かってるって!』

 

 叫ぶカイだったが、まだ混乱からは立ち直っていないらしく、その声には強い動揺がある。

 

「ちっ、しょうがない。アムロ、そっちからは狙えるか!?」

『無理ですよ!』

 

 クレーターに最初に近づいたアムロも、土煙がある状況ではどうしようもないらしく、戸惑ったように言ってくる。

 こういう時こそ、ニュータイプ能力を発揮してパプア級を撃破してくれると助かるんだが。

 そう思いつつ、まだホワイトベースも来ていない今、まともに攻撃出来るのは俺だけだろう。

 ガンタンク隊の方は、最初の1発を撃ってからは攻撃をしてくる様子はない。

 となると……

 

「まずは、パプア級を潰した方がいいな」

 

 MSの補給をする為にやって来たパプア級である以上、その補給艦を沈めてしまえば、シャアにMSが渡る心配はない。

 ビームライフルを構えつつ、その銃口をパプア級のあった場所に向ける。

 ……とはいえ、カイの低反動キャノンによって周囲に大量に舞い上がった土煙の為に、パプア級を狙う事が出来ない。

 これがT-LINKシステム搭載機、具体的にはニーズヘッグなら、T-LINKシステムを使って狙い定める事も出来るのだが……まさか、MSを開発したばかりの連邦軍にそんな特殊なシステムは期待出来ない。

 あるいは、セイラのようにニュータイプならそれを使って相手のいる場所をしっかりと認識出来るのかもしれないが。

 ああ、でもT-LINKシステムを使わないと相手を把握出来ないのに、ニュータイプだと把握出来るというのを考えると、ニュータイプ能力は純粋に念動力の下位互換といった認識はおかしいかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、狙いをつけ……トリガーを、引く。

 瞬間、ガンキャノンのビームライフルが放たれ……土煙の中にあっても、パプア級の船体を貫いたのだと半ば確信する。

 そして同時に、周囲に響く爆発音。

 パプア級の一体どこに命中したのか、そして今の一撃がどれだけの被害を与えたのか。

 それは分からなかったが、取りあえずビームライフルの一撃が命中したのは間違いのない事実だった。

 

「アムロ、そっちはどうだ!?」

『攻撃はしてますが、土煙で当たっているかどうかが、分かりません!』

 

 映像モニタに表示されているアムロの表情は、パイロットスーツのヘルメット越しでも、焦っているのが分かる。

 いやまぁ、今のアムロは決して高いニュータイプレベルを持っている訳ではない以上、ニュータイプ能力で敵のいる場所をしっかりと把握しろという方が無理なのかもしれないが。

 ともあれ、アムロがこの状況ではカイの方もまだ混乱してるのは間違いない。

 そうなると、いっそクレーターの外から射撃をするのではなく、クレーターの中に移動して、土煙の中で直接パプア級やムサイ級に攻撃をした方がいいか?

 そう思い、クレーターの中に突っ込もうとした瞬間、クレーターの中に連続して砲弾が叩き込まれる。

 これは……ガンタンク隊か!?

 ガンナーが素人だからとはいえ、まだ完全に包囲を整える前に攻撃をし、その上でこれか。

 恐らく、最初に砲撃した奴が落ち着いた事により、ようやく足並みを揃えてガンタンク隊で攻撃してきたのだろうが……

 

「リュウ!」

『何だ! 今、こっちは忙しい! 後にしてくれ!』

 

 そう言われ、通信が切られる。

 おいおい、一体どういうつもりだ?

 もしかして、リュウも今の攻撃で興奮していて、こっちと通信を繋げる余裕がないのか?

 ……まぁ、考えてみればリュウだって別に生粋のMSパイロットって訳じゃなく、あくまでもシミュレータでしか動かした事がなかったって話だ。

 そう考えれば、今の状況で半ば混乱していたとしても、そうおかしくはない、のか?

 

『イザーク、どうするんだよ、これ!』

『イザークさん、どうするんですか!?』

 

 カイとアムロの二人から、ほぼ同時にそんな通信が入ってくる。

 どうするって言われてもな。

 俺がやろうとしていた、クレーターに直接入るというのは、現状ではまず無理だ。

 そうである以上、今の状況で出来るのは……

 

「土煙の中に、攻撃を撃ち込め! 運が良ければ当たる筈だ!」

 

 結局、そう言う事しか出来なかった。

 出来れば、今回の戦いでは楽に敵を倒したいところだったのだが……その辺は、しょうがないか。

 そもそもの話、現在のホワイトベースを運用している面々からして、正規の軍人の数はかなり少ない。

 士官学校をまだ卒業していないブライトが艦長をやっているくらいなのだから。

 MSのパイロットも同様に殆どが素人か、もしくはシミュレータでの訓練しかやった事のない連中だけ。

 幾ら上手い作戦を立てても、それが成功しなければ……

 

『うっ、うわぁっ! ちょっ、おいイザーク。あそこを見てみろよ、あそこ!』

 

 そう言うカイだったが、あそこと言われてもどこを見ればいいのかは分からない。

 いっそ、ガンキャノンが指さすといった真似でもしてくれれば、こちらとしても色々と分かりやすいのだが。

 そんな風に思っていたが、取りあえずガンキャノンの頭部……メインカメラの見ている方を見る。

 すると、そこでは土煙の中から1機のザクが姿を現したところだった。

 ……一瞬ザクという事でシャアのS型が出てきたのかとも思ったが、よく見ればそのザクは赤ではなく緑で、外見もザク……ザクⅡではなくザクⅠ、いわゆる旧ザクと呼ばれているザクだった。

 まさか、シャアに補給されるMSってあの旧ザクだったりするのか?

 いやいや、幾ら何でもそれは有り得ないだろ。……有り得ないよな?

 シャアのS型も俺との戦いでは表だった損傷はなかったが、殴ったりした衝撃で内部が壊れて使えず、旧ザクに……とかだったら、面白い気がしないでもないが。

 

「取りあえず落ち着け。向こうは旧ザクだ。それこそどんな手段を使っても、ガンキャノンを撃破するなんて真似は出来ないからな」

 

 独立戦争が始まった当初は核バズーカとかを使ってたりしていたが、南極条約で禁止になったし。

 実はこの南極条約、結んだのは連邦とジオン公国だけなので、ルナ・ジオンの所属であれば普通に核兵器を使っても問題なかったりする。

 そんな真似をすれば色々と面倒な事になるので、使わないが。

 また、ザクマシンガンではルナ・チタニウムの装甲を破壊する事は出来ないが、核バズーカが使えなくなった代わりに配備されたザクバズーカ、もしくはドムやリック・ドムが装備するだろうジャイアントバズのような武器であれば、ガンダムやガンキャノンであっても被害を受ける可能性は高い。

 だが……幸いな事に、本当に幸いな事に、土煙の中から姿を現した旧ザクは、何も武器を持っていない。

 牽制用にザクマシンガンくらいは持っていてもおかしくはないのだが……何故、武器を手にしていないのかは疑問だ。

 ともあれ、相手が武器を持っていないというのは、こっちにとっては間違いなく有利な出来事なので、それを疑問に思っても不満に思うような事は全くなかったが。

 

『あ、ああ。……そうだよな。向こうは武器を持っていないんだ。なら、こっちに有利なんだ』

 

 落ちついたのか、自分に言い聞かせるようにカイが呟いている声が聞こえてくる。

 それを聞きながら、俺はアムロに通信を送る。

 

「アムロ、そっちから旧ザクが出てきたのは見えるか?」

『いえ、見えません。土煙の向こう側なので……』

 

 そう告げるアムロの言葉に、俺はしょうがないかとガンキャノンの持つビームライフルを構える。

 さて、こっちの攻撃が向こうにどこまで通じるのか。

 それがちょっと面白そうだと思っていると、向こうの旧ザクもこっちの存在……自分にビームライフルの銃口を向けている俺の存在に気が付いたのか、即座にこちらに向かって駆け出してくる。

 その右肩を突き出したその形は、いわゆるタックルをするつもりではあるんだろうが……だが、遅い。

 いや、この土煙の中で偶然あのザクと遭遇したのであれば、まだ話は別だっただろう。

 土煙の為に視界が効かず、間近で急に遭遇した……というのであれば、格闘戦をやるには十分な間合いなのは間違いない。

 向こうにとって不幸だったのは、こっちが全員完全に配置につく前にガンタンクが攻撃を始めてしまった事だろう。

 結果として、ガンキャノン隊――2機だけだが――と旧ザクの間には大きく間合いが開いており、結果として素手の旧ザクでビームライフルを持っているガンキャノンと、それもかなり離れた場所で遭遇する事になってしまった。

 これは、あの旧ザクにとって最悪の結末であると考えてもいいだろう。

 

「運がなかったな」

 

 呟き、ビームライフルのトリガーを引く。

 低反動キャノンの方は、撃った時の反動で精密射撃といった真似は出来ない。

 だが、ガンキャノンのビームライフルは、ガンダムのビームライフルと比べても間違いなく性能は上だ。

 そんな訳で、命中と射撃のステータスが高い俺の攻撃がこんな場所で外れる筈もなく……ショルダータックルをしようとしていた旧ザクは、次の瞬間には前に出していた右肩を貫かれ、同時にその背後にあった核融合炉までをも破壊し、周囲に大きな爆発を生み出す。

 クレーター部分にも爆発の被害は広がり、周囲に存在する土煙までをも吹き飛ばし……俺の撃墜数の数字が1上がる。

 これは相手の命を奪った時だけ数値が上昇する以上、今の一撃で間違いなく旧ザクを使っていたパイロットを殺したという事を意味している。

 1しか数字が上がっていないってことは、パプア級はさっきの攻撃で撃破出来ていなかったという事か。

 今更、本当に今更の話だが、あの旧ザクに乗っていたのはシャアじゃないよな?

 いやまぁ、機体の操縦の癖がS型を操縦していた時とかなり違っていたのを考えると、多分シャアじゃないのはほぼ間違いないんだろうが。

 ともあれ、そうして旧ザクを撃破し……すると、まるでそのタイミングを狙っていたかのように――実際に狙っていたのだろうが――土煙を突き破るようにして、ムサイ級が姿を現す。

 このまま逃がすのは面白くない。面白くないが……今の状況でムサイ級を撃沈すれば、シャアが生き残るのも難しくなってしまう。

 だとすれば、胴体だけではなくスラスターの部分を破壊してしまえばいいか?

 そう思い、ビームライフルの狙いを付けようとした瞬間……

 

『全機、ホワイトベースのメガ粒子砲の射程から退避しろ!』

 

 そう通信を入れてきたのは、ブライト。

 功を逸った……といったところか。

 実際、ムサイ級を撃破するのであれば、別にホワイトベースのメガ粒子砲を使わずとも、ガンキャノンのビームライフルでも十分に撃破出来た筈だ。

 それでもブライトが自分で……ホワイトベースでムサイ級を撃破しようとしたのは、やはりそのムサイ級にシャアが、赤い彗星が乗っていたからだろう。

 だからこそ、ブライトが自分で撃破したいと、そう思ったのだろう。

 この辺は、まだ実戦を経験した事のない士官候補生だからと言われれば、納得せざるを得ない。

 まぁ、ここでシャアを倒す気がない俺にとっては、寧ろブライトの行動は歓迎すべきものだ。……とはいえ、ホワイトベースのメガ粒子砲が命中すれば、ムサイ級は確実に沈んでしまうのだろうが。

 新型艦だけあって、当然のようにホワイトベースの性能は高い。

 当然ホワイトベースが有しているメガ粒子砲の威力も、相応だろう。

 士官候補生の操るホワイトベースが、シャアの操るムサイ級に攻撃を仕掛けても大丈夫か……その辺は非常に気になるところだ。

 とはいえ、ブライトの功名心のおかげで俺は攻撃をしなくてもよくなったとはいえ、ホワイトベースに攻撃して意図的に射線を逸らす……なんて真似が出来る筈もない。

 こうなると、後はシャアが何らかの手段で敵の攻撃を回避するか、もしくはブライトが先走ってメガ粒子砲を外すということを期待するしかないだろう。

 さて、どうなる?

 この世界の原作において、シャアはアムロの、主人公のライバルという立ち位置だった筈。

 であれば、この程度の攻撃を回避出来ないなどという事はない筈であり……

 そう思った瞬間、不意にオープンチャンネルにて通信が聞こえてくる。

 

『そこの2隻。あたしらの占拠したルナツーの側で好き勝手やってくれるじゃないか。一体どういうつもりだい?』

 

 その声は、俺にも聞き覚えのある声……というか、シーマの声だ。

 けど、ブライトがルナツーを占拠したルナ・ジオン軍と交渉していた筈だ……一体どうなってるんだ?

 そう疑問に思っている間に、リリー・マルレーンが姿を現し……それと入れ替わるように、シャアのムサイ級はこの場を離れていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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