転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2281話

 クレーターの中の探索については、結局ルナツーからも人を借りて行う事になった。まぁ、ルナ・ジオン軍にしても、ジオン軍とは半ば敵対関係にあるのだから、それを考えればそこまでおかしな話でもないだろう。

 ホワイトベース側としても、正規の軍人の数が少ない以上、助かるのは事実なので拒否は出来なかった。

 いや、一応ブライトが拒否しようとすれば拒否は出来たんだろうが、そうなるとホワイトベースの人員だけで探索をしなければならなくなり、かなりの時間が掛かる事になる。

 ブライトやパオロも、それを嫌ったのだろう。

 ……ちなみに、最初はルナツーで降ろせと言う避難民もいるのかと思ったが、クレイドルで受け入れるという話を前もってしてあった為か、そういう事を言う者はいなかった。

 ただ、パオロだけは結構な重症で月に行くのは危険だと判断されて、人道的な見地からルナツーで降ろされることになった。

 これによりブライトが臨時的に中尉という階級になり、パオロの代わりの相談役という事で、リードとかいう大尉がホワイトベースに乗り込む事になる。

 

「気をつけな。このリードという男、あまり良い噂は聞かないよ」

 

 ルナツーにある一室。現在、俺とブライト、アムロの3人はシーマと会っていた。

 ちなみに、ホワイトベースは現在食料や推進剤といった物を運び込んでおり……だからこそ、こうしてシーマと部屋の中で話していられるような余裕があったのだが。

 

「良い噂を聞かない、ですか。……それは、具体的に言えばどのような形でしょう?」

 

 ブライトのその言葉に、シーマは持っていた扇子で自分の顔を扇ぎながら、口を開く。

 

「言ってみれば、タカ派の連中にくっついていた小物だね。もっとも、リード本人は別にタカ派って訳じゃない。影響力の強いタカ派とくっついていれば、良い思いが出来るからというのがその理由のようだけどね」

「あー……そういうタイプか」

 

 シーマが小物と口にした通り、本当にリードは小物なのだろう。

 だが、小物だからといって侮ることは出来ない。

 そもそも、ただの小物が大尉という階級になれる訳はないのだから。

 ある程度は能力のある小物といったところか。

 具体的には、上司に取り入る才能とか。

 だからこそ、上手い具合にタカ派に取り入る事が出来たのだろう。

 

「何故そのような人物を?」

 

 納得した俺とは逆に、不愉快そうな態度なのはブライトだ。

 中尉という階級を貰ったのはいいが、そこに大尉という自分よりも上の階級、それもシーマに小物と断言される人物が乗艦するのだから、不機嫌になるのも当然だろう。

 間違いなく……そう、間違いなくホワイトベースの中に下らない騒動を持ち込む事になる筈だ。

 とはいえ、それでも上官は上官。

 ブライトがそれを拒める筈はない。

 ……取りあえず、士官候補生だったブライトよりも有能である事を祈ろう。

 もし無能だったら……

 

「ホワイトベースはまだ新造艦だし、何か事故が起きて、誰かが宇宙に流されてしまっても、仕方がないよな?」

 

 そう呟くと、部屋の中にいる二人の視線がこちらに向けられる。

 シーマは笑みを含んだ視線だったが、ブライトとアムロからは本気か? といったような視線。

 

「まぁ、その人物が馬鹿な真似をしない奴なら、問題はないだろ。そう思わないか?」

「そうだねぇ。馬鹿な上官が戦場で事故にあうのは、何も珍しい話じゃないしね」

 

 まさか、シーマが俺の言葉を認めるような真似をするとは思わなかったのだろう。

 ブライトは唖然とした様子でシーマに視線を向ける。

 

「おや、どうかしたかい? あたしは戦場でなら起きて当然のことを口にしたつもりだったんだけどね」

「……いえ。何でもありません」

 

 口では敵わないと思ったのか、ブライトはシーマに対して言葉を濁す。

 アムロの方も、シーマに何かを言えば自分に不幸がやってくると判断したのか、思うところはあるようだったが、実際にそれを口に出すような真似はしていない。

 これもまた、ニュータイプ能力だったりするんだろうか。

 そんな風に思いながら、俺達はシーマとの間で世間話を進める。

 

「そう言えば、イザークをこっちで使ってますが、それは構わないんですか?」

「ああ、それは別に構わないよ。相手がシャアともなれば、正規の軍人がいない今のホワイトベースでは、色々と危険だろう?」

「それは……」

 

 言葉に詰まったブライトの視線が向けられたのは、アムロ。

 実際、アムロは原作においてこのような状況でもどうにか乗り切っていたのだから、それを考えればブライトが何を言いたいのか、想像するのも難しくはない。

 とはいえ、原作ではルナツーが他国に占拠されているなんて状況ではなかったのだろうが。

 

「そういう意味で、イザークはあんたらにとっても有益な存在の筈だよ」

 

 満面の笑みを浮かべてそう告げるシーマは、女王の風格らしきものを備えていた。

 ……もっとも、シーマ本人はルナ・ジオンの女王に対して強い忠誠心を抱いているのだが。

 

「……分かりました。そう言うのであれば、イザークにはこれからもホワイトベースで役に立って貰います。イザーク、お前もそれでいいんだな?」

「ああ、こっちとしても、ホワイトベースは色々と興味もあるし、親しい相手も出来た。それがシャアのムサイ級に撃破される可能性を考えると、それを放っておくような真似は出来ないな」

 

 ホワイトベースに興味という点で、ブライトが一瞬だけ眉を顰めたが、結局それ以上はその件について何も言わない。

 ルナツーに寄ったり、月に向かうという時点で、ある程度ホワイトベースを始めとしたMSの性能を調べられるというのは理解しているのだろう。

 

「それで……そっちの坊やがあのガンダムとかいうMSのパイロットって事でいいんだね?」

「は、はい」

 

 シーマの迫力に押されつつも、アムロが答える。

 ……メリルに憧れるくらいだから、色気たっぷりのシーマにも憧れるかと思ったんだが、どうやらアムロにシーマの相手は無理だったらしい。

 シーマの色気はアムロには過ぎたものという事なのだろう。

 そんな風に考えていると、そんなアムロの態度が面白かったのか、シーマは満面の笑みを浮かべ、扇で口元を隠す。

 

「ふふっ、随分と純情な坊やだね」

「……」

 

 シーマの言葉に何かを言い返そうとするアムロだったが、シーマの色気の前には何も言う事が出来ずに固まってしまう。

 どうやら、アムロにとってシーマは天敵のような存在らしい。

 

「ねぇ、坊や。ガンダムって言ってたわよね。あのMSは操縦していて、どんな感じがするんだい? もし良かったら、あたしに教えてくれないかね?」

「え? どんなって言われても……僕だってMSに乗ったのはガンダムが初めてですし……その違いを言ってみろと言われても、ちょっと困ります」

「そうですね。それにガンダムは連邦軍の軍事機密です。それを考えると、迂闊に情報を漏らす訳にはいきません。それが、例え私達に食料や水といったものを分けてくれた貴方達でもです」

 

 アムロを庇うようにブライトが言うのだが、ぶっちゃけ俺がガンキャノンに乗っている以上、それは意味がないような気がしないでもない。

 とはいえ、ここで俺がそれを言えば色々と不味い事になりそうなので、特に口にしたりはしないが。

 シーマの方も、そんなブライトの言葉に反発するのではなく、おや? といった様子に少しだけ感心した様子を見せる。

 本気でMSについて聞き出せるとは思っておらず、それこそ聞き出せればいいなといった程度でしかなかったのだろう。

 だが、それでもこうしてブライトに真っ向から反発されるのは予想外だった……といったところか。

 

「そうだね。ここでそういう事を聞くのは、少しルール違反だったかもしれないね。けど……ふふっ、そっちの坊やは、将来的に良い男になりそうじゃないか」

 

 今のやり取りだけで、シーマはブライトを気に入ったのか、扇子で口元を隠しつつも、笑みを浮かべているというのが声音で分かる。

 

「……ありがとうございます」

 

 ブライトの方も、いきなりのシーマの言葉に少し戸惑った様子を見せていたが、それでも好意を寄せられた相手だけに、感謝の言葉を口にしていた。

 もっとも、今まで多少なりとも接してきたブライトの性格から考えると、シーマのような女の色気たっぷりの相手は、生真面目な性格のブライトの好みではないような気がする。

 もっとも、それを正面から向かって言えば、ブライトの性格上どのように反論してくるのかは、大体想像出来るのだが。

 そのように思いつつ、少しの間世間話を進め……そんな中、不意に扉がノックされる音が聞こえてきた。

 そのノックの音に、先程まで上機嫌だったシーマの表情が不愉快そうに歪められ、口を開く。

 

「入りな」

「失礼します! リード大尉、出頭しました!」

 

 そう言い、部屋の中に入ってきたのは1人の男だった。

 リードと、そう名乗ったのを見る限り、この男がシーマの言っていた、新たにホワイトベースに乗り込む事になった人物なのだろう。

 シーマにはきちんと敬礼しつつ、一瞬だけこちらに視線を向けてくる。

 その一瞬の間にリードの目に浮かんだのは、こちらを値踏みする色、そして自分の方が立場が上だと確信する色。最終的にはこちらを見下す色。

 一瞬、ほんの一瞬にしてその表情が変わるその様子は、いっそ見事と言ってもいい。

 この辺りが、シーマに小物と呼ばれている理由なんだろうな。

 もっとも、本人がそれをどう思っているのかは、分からないが。

 

「ブライト中尉と民間協力者のアムロ、そしてイザークだ。ホワイトベースの中でも艦長とエースパイロット2人と言ってもいい。特にイザークはあの赤い彗星のシャアと互角にやり合えるだけの実力を持っている」

「なっ!?」

 

 シーマの説明に、リードは俺の方を見て驚愕の視線を向けてくる。

 まぁ、シャア・アズナブルはジオン軍の中でも大々的にプロパガンダで放送されているエースだ。

 しかも、いわゆる虚構のエースという訳ではなく、一週間戦争やルウム戦役、それ以降の戦いでも数多くの活躍をしてきた、本物のエースと言ってもいい。

 特に、何だかんだとジオン軍から多くのエース級がルナ・ジオンに行ってしまった為に、ジオン軍にいるエースの数は相対的に減ってしまった。

 そんな中で、シャアは本物のエースと言える。

 ……実際には、ジオン・ズム・ダイクンの息子で、ザビ家にとっては抹殺対象と言ってもいいような相手なんだが。

 だが、シャアとキャスバルが同一人物だと知らないジオン軍では、エースとして活躍出来ている訳だ、

 ともあれ、そんな本物の実力者を相手にして互角に戦えると言われたのだから、リードが驚くのも当然だし……その目の中に、俺を利用して何らかの利益を得ようという打算が浮かんだのも当然の事だった。もっとも……

 

「そうそう、言い忘れてたけど、イザークはルナ・ジオンの人間だ。今回は偶然サイド7にいたから協力しているだけで、別に連邦軍の人間って訳じゃない。それは覚えておくんだね」

 

 シーマの口からそんな言葉が出ると、一瞬にしてリードの目は絶望に染まるが。

 リードにしてみれば、俺という大事な手駒を失った事が、非常に大きかったのだろう。

 いや、失うと表現はしたが、俺がリードの所有物になった事は1度もないのだが。

 

「その、それでは彼はここで降りるんですか?」

「いや、月まではホワイトベースと一緒に行動させるつもりさ。そもそも、まだホワイトベースはシャアに狙われてるんだ。そんな中でイザークがいなくなったら、それこそ……どうなるか分かるだろう?」

 

 意味ありげなシーマの言葉に、リードの顔は先程までとはまた違った形の絶望に染まっていく。

 もしホワイトベースに俺が乗っていない状況であればどうなるのか、それを考えたのだろう。

 実際にはアムロがいるし、ガンキャノンやガンタンクも複数あり、ホワイトベースもかなりの性能の高さがあるのを考えると、それなりに対応は出来そうな気がしないでもないんだが。

 ただ、それはあくまでも俺がこうして直接ホワイトベースと行動しており、多少なりとも原作知識――小惑星を地球に落下させようとして、シャアとアムロが戦っている場面――を知ってるからこそ、言える事だ。

 リードの立場で考えてみれば、俺がいない場合どうなるのかというのは、それこそ考えるまでもないだろう。

 

「ま、安心しな。イザークの能力は確かだ。シャアにも決して負けていないというのは、実際に戦いで証明されているし……何なら、あたしが保証してもいいよ」

 

 満足そうな笑みを浮かべ、シーマはそう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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