転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2283話

「これから月に向かうにあたってのコースだが、少しでも早く月に到着する事を優先し、真っ直ぐ向かう事になった」

 

 第2ブリッジにて、ブライトの説明をホワイトベースを動かす主要メンバーが聞く。

 ルナツーで補給しているシャア達に奇襲を仕掛ける時もここで作戦会議をしたが、その成功にあやかってという訳ではなく、単純に大勢を集めるのに前回も使ったここが丁度良かったのだろう。

 とはいえ、映像を使って主要メンバーに知らせるという方法もあったとは思うのだが。

 まぁ、全員の意見を聞くという点では、こうして直接顔を合わせて話す方がいいのは間違いない。

 もしかして、ブライトにはこの機会にリードの存在を全員に見せておきたいという思いがあったのかもしれないが。

 

「艦長、ですが真っ直ぐ月に向かうとなると、当然のようにシャアが待ち構えている可能性があります。それなら遠回りしてでも、シャアと遭遇しない進路をとった方がいいのでは?」

 

 ジョブのその言葉に、ブライトが何か言おうとし……

 

「何を言っている。迂闊に遠回りすることになれば、避難民共が騒ぐだろう。今ですら、毎日結構な騒動が起きてると聞いているぞ」

 

 それを遮るように、リードが告げる。

 上から目線の居丈高な態度だけに、ジョブを含めて他の何人かも面白くなさそうな表情を浮かべる。

 だが、それでも言い返すような真似をしなかったのは、ここに集まっているのは軍人が多いという事もあるし……何より、リードの言ってる事が決して間違いではないというのもあった為だ。

 ルナツーを出発した時に格納庫でカイとかと話したように、食料や水が十分にあっても結局一般市民である以上、戦争の当事者になるというのは精神的にかなり厳しいものがある。

 その辺りの事情を考えると、少しでも早く月に行って避難民を降ろした方がいいというリードの言葉も決して間違っている訳ではないのだ。

 けど、もしこれをリードが出したのだとすれば……もしかして、シーマの論評通りに無能という訳ではなく、実はそう装っているだけだという可能性もあるのか?

 

「……リード大尉の言ってる事は正しい。避難民の精神的なプレッシャーが限界に近い以上、出来るだけ早く降ろした方がいい。実際、避難民が騒ぎを起こしているという話は幾つか聞こえてきている」

 

 ブライトが渋々といった様子でそう告げる。

 それにしても、やっぱり避難民の方で騒ぎを起こしている連中がいるのか。

 月に到着するまでは、大人しくしていると思ってたんだけどな。

 避難民にしても、ここで騒動を起こしても自分達の印象が悪くなるだけだという風に思っても、おかしくはない。

 

「そんな訳で、ここは私の意見を採用して月に向かう。月に到着さえすれば、面倒な避難民はとっととそこに降ろして、地球に向かう事が出来るんだ。ホワイトベースとしても、それが最善の行動なのは分かっているだろう?」

 

 これもまた、リードの言ってる事は正しい。正しいんだが……避難民を露骨に邪魔者といった扱いをしていることが面白くなかったのか、集まっている者の幾らかが不愉快そうな視線をリードに向けていた。

 うーん……ここまで嫌われるってのはちょっと予想外だったな。

 言ってる事は決して間違ってる訳ではないんだし。

 ただ、もうちょっと柔らかい言い方とか、オブラートに包んだような言い方をしてくれれば、他の連中もそこまで気にするような事はなかっただろうに。

 

「ん、ごほん」

 

 他の面々のリードに向けられる視線に気が付いたのだろう。ブライトがそんな空気を誤魔化すように咳払いする。

 そして、気を取り直してから、改めて口を開く。

 

「それでだ。真っ直ぐ月に向かうという事は、当然のようにシャアが……それも、ルナツーで補給を終えたシャアと戦いになる可能性は高い。もっとも、もしかしたら……本当にもしかしたら、万が一の可能性として、シャアと遭遇しない可能性もあるがな」

 

 そう告げるブライトだったが、本人が一番自分の言葉を信じていない様子だった。

 とはいえ、ブライトの言った事は全く可能性がない訳でもない。

 シャアは飛び抜けたエースであるのは間違いないが、だからといって別に転移魔法やフォールドの類を使える訳ではない。

 俺達がシャアと遭遇しない事を期待して、遠回りしながら月に向かうというコースを取ったと向こうが判断した場合、ブライトの言うようにシャアと遭遇しないで月に到着するという可能性も否定は出来ないのだ。

 ……とはいえ、その可能性が恐ろしく低いのは、間違いのない事実なのだが。

 

「とにかく、遭遇しないという幸運だけを期待する訳にもいかん。もし遭遇した時にはどう対処しておくのか。それを決めておく必要がある」

「ブライトさん、ちょっといいかい?」

 

 ブライトの言葉にそう言ったのは、カイだった。

 周囲の……そしてブライトの視線を受けたカイだったが、それでも特に緊張した様子もなく、ブライトに視線で促されて口を開く。

 

「シャアと遭遇した時にどうするかを決めるって言ったって、結局のところ敵はムサイ級だけなんだろ? なら、MSの数も……3機? 4機? 確かそれくらいだったよな? なら、シャアの相手はイザークにして貰って、それ以外のMSでシャア以外のMSと戦うって事でいいんじゃない? アムロのガンダムとかは、凄い性能らしいし」

 

 ざわり、と。

 カイのその言葉に、周囲で話を聞いていた者達がざわめく。

 そのざわめきの中には、不安もあれば信頼もある。

 中でも特に多かったのは、俺がシャアを押さえてくれれば、本気でどうにかなるといったものだった。

 避難民がいれば、そんな無茶なと口にした者もいただろう。

 だが、ここにいるのは全員がホワイトベースの運用に関わっている者で、それはつまり多くの者が俺がシャアと互角以上に戦っている光景をその目で見ているのだ。

 だからこそ、今回の一件においては恐らく大丈夫だろうと、こちらに視線を向けたと思ってもいい。

 ……いや、実際にどうにかしろと言われればどうにかするだけの自信はあるし、MSの性能からもそれは容易だ。

 だが……だからと言って、俺がアムロの成長の機会を奪うのは、正直どうかと思わないでもない。

 将来的に俺がセイラと接触した時に見た、シャアが小惑星を地上に落下させようとしている光景。

 もしそれを俺が知れば、当然止めようとするだろう。

 しかし、もしそれが何らかの理由で間に合わない場合、俺が見た光景通りにアムロがシャアと戦う必要が出てくる……という可能性は十分すぎる程にあった。

 だからこそ、今この時……MSに乗ったばかりで、急激な成長を望めるだろう今、アムロにはシャアとぶつかり合って欲しいと思うのは間違いではない。

 

「取りあえず、前にも何度か言ったけど、今の状況で……」

「分かっている」

 

 俺の言葉を遮るように、ブライトが口を挟む。

 そして、アムロに視線を向けたまま、言葉を続ける。

 

「ここから月に向かう途中、恐らくシャアに襲われるだろう。その時、シャアと戦うのは……アムロ、君にやって貰う」

「え!?」

 

 ブライトの言葉は、アムロにとって完全に予想外だったのか、信じられない! といった様子でブライトに視線を返す。

 いや、ブライトの言葉を疑問に思っているのは、アムロだけではない。

 他の面々もまた同様に、疑問の表情を浮かべていた。

 そんな視線を向けられたブライトは、皆を説得する為に言葉を続ける。

 

「いいか、既にここにいる者であれば知っているのが大半だと思うが、イザークとメリルは月の人間だ。つまり、このままホワイトベースが月に行った場合、そこで降りる事になる可能性が高い。その時までイザークやメリルに完全に頼るといった真似をしていた場合、その2人がいなくなったらどうなるのか……考えるまでもなく、分かるだろう?」

 

 ブライトのその言葉に、部屋の中にいる者達の多くの視線が俺に向けられる。

 いやまぁ、その気持ちも分からないではない。

 ここにいる者達にしてみれば、俺という存在は現在このホワイトベースを運用する上で、シャアという最大の敵に対しての絶対の切り札といった扱いなのだ。

 言ってみれば、エースと呼ぶべき存在が月に行けばいなくなるという事なのだから、動揺するのも当然だろう。

 とはいえ、リュウを始めとして本当に現状を理解している面々は、驚きを露わにしたりはしていない。

 

「そういう訳で、アムロには今回頑張ってシャアと戦って貰う。それでいいか?」

「ちょっと待って下さい! 相手は赤い彗星なんですよ!? なのに、僕が1人で、どうやって勝てって言うんですか!」

「別に、1人で戦う必要はないだろう? カイやリュウ、それにブライト……それぞれ十分に戦力となるのは間違いない。メリルは……どうする?」

 

 メリルに向かって、そう尋ねる。

 俺はシャアと互角以上に戦う事が出来るので、今回の一件ではアムロの成長を促す為にも戦いに参加しない。

 だが、俺でなければ……例えばメリルは、俺と違ってエースパイロットという訳ではない。

 であれば、メリルが戦闘に参加してもおかしくはない筈だった。

 ……そもそもの話、宇宙空間でガンタンクが戦闘に参加するとなると、ルナツーのような場所でもない限りはホワイトベースの装甲の上で移動砲台くらいしかやる事はないのだが。

 とはいえ、移動砲台として使えるガンタンクの攻撃力は侮れないものがある以上、その辺を考えるとあまり侮るといった事も出来ないのだが。

 逆に言えば、パイロットとしての能力は殆ど必要とされない以上、無理してメリルが戦闘に参加する必要もないのだが……

 

「やります」

 

 意外な事に、視線を向けられたメリルはそう言った。

 

「いいんですか?」

 

 驚いた様子でメリルに尋ねたのは、メリルと一緒にガンタンクに乗っている女だ。

 メリルに向けられている視線の中には、強い好意と感謝の視線がある。

 ただ、何か微妙にその好意の視線が友情ではなく、愛情寄り……それも異性に向けられる意味での愛情のような気がするんだよな。

 同性であるというのは、分かってるんだが。

 そのうち、お姉様とか言い出さないだろうな?

 そう思いつつ、視線で許可を求めてくるメリルに頷きを返す。

 

「分かった。メリルが乗るのはガンタンクだし、本格的な戦闘に参加するという可能性は低いだろ。なら、問題ないと思う。ホワイトベースを守る為にも、防衛戦力はあった方がいいしな」

「いや、それならイザークが出るのが一番じゃないか? 一応言っておくけど、ホワイトベースが破壊されればイザークも死ぬんだぜ? それを分かってるのかよ?」

 

 カイのその言葉にメリルに向けられていた他の面々の視線が俺に向けられる。

 

「まぁ、そうだな」

 

 俺はそれだけ答えて、それ以上は口にしない。

 実際のところ、もしホワイトベースが撃破されたとしても、混沌精霊の俺は宇宙空間でも普通に行動する事が出来るので、死ぬという事は有り得ないのだが……それをこの場で口にするのも不味いだろう。

 

「なら、もう少し協力してくれてもいいんじゃないか?」

「俺としては、十分に協力していると思うんだけどな。カイとかにもシミュレータで模擬戦をやってるだろ?」

「それは……」

「なら、僕と模擬戦をして下さい」

 

 カイが言葉に詰まったのを見てか、アムロがそう言ってくる。

 へぇ。……今まではシミュレータで対戦するかと聞いても絶対にそれを引き受けたりはしなかったのにな。

 何が理由で……いや、自分がシャアと戦う事になったから以外に理由はないか。

 であれば、俺としてもそれを断るつもりはない。

 元々アムロの成長の為に、シャアとの戦闘を譲ったのだから。

 アムロの成長具合によっては、もしかして……本当にもしかしたらの話だが、次の戦闘でシャアを倒すという展開も有り得るか?

 とはいえ、アムロが俺とシミュレータで戦って腕を磨いたのと同様に、シャアもまた以前の戦闘で俺という強敵と戦ったのだ。

 そして、当然ながらシミュレータと実戦では、色々な意味で大きく違ってくる。

 複数回のシミュレータよりも、1度の実戦。

 さて、アムロとシャアの戦いがどうなるのか……少し気になるな。

 ああ、それとアムロを月で降りないかどうかの意思確認もしておいた方がいいか。

 以前までの、俺にトラウマを抱いていたアムロであればそんな真似は絶対にしなかったが、フラウの両親がクレイドルに住むという事になれば、もしかしたらもしかするかもしれない。

 とはいえ、そうなるとホワイトベースの戦力は更に落ちる事になり……その場合は、ルナ・ジオンやシャドウミラーから誰かを派遣するというのも面白いかもしれないな。

 ……本物のイザークとか。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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