転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2287話

 シャアの襲撃があった翌日……俺の姿は、ホワイトベースのブリッジにあった。

 本来なら、俺という月の人間をホワイトベースの機密の塊でもあるブリッジに入れるというのは、避けるべき事だろう。……本当に今更の話ではあるが。

 ともあれ、そんな状況であっても俺がこうしてブリッジにいるのは、いよいよホワイトベースが月に近づいたからだ。

 そして、月にはバルジ、リーブラ、ニヴルヘイムという3つの機動要塞が、防御を固めている。

 その上、このホワイトベースはサイド7の件から色々と問題があり、そんな状況で月に向かった場合、下手をすれば主砲によってホワイトベースが撃破される可能性があった。

 ……一応、ルナツーから連絡が行ってる筈なので、恐らく心配はないだろうが、それでもやはりいざという時の事を考えると、俺にブリッジにいて欲しかったのだろう。

 それを提案したのが、ブライトなのか、それともリードなのかは分からない。

 分からないが、それなりに頭が回るというのは、間違いのない事実だった。

 ホワイトベースの映像モニタに表示されていた月の姿が、近づくに従って大きくなってくる。

 同時に、リーブラの姿も見えてきた。

 他の2つの機動要塞は、今はこちらから見えない場所にいるのだろう。

 

「イザーク、本当に大丈夫だと思うか?」

 

 そう言ってきたのは、ホワイトベースの中でも数少ない軍人のリュウ。

 まぁ、リュウにしてみれば、今のホワイトベースの戦力で月と戦うという事になるのは、絶対にごめんだと思っているのだろう。

 

「多分大丈夫だと思う。ルナツーから連絡が行ってると思うし……何より、月の方でもとっくにホワイトベースの接近については理解している筈だ。もし問題があるようなら、それこそ何らかの警告が来ているのは間違いない」

 

 場合によっては、警告するよりも前に主砲が発射されるといった可能性もあるのだが、取りあえずそれは黙っておいた方がいいだろう。

 ブリッジにいる面々を、下手に驚かす必要もないだろうし。

 

「そうか」

 

 俺の言葉にブライトがそう呟くがその表情は決して心の底から安堵しているようには見えない。

 リードの方は、完全に俺の言葉に安堵しているように見えるが。

 この2人、階級は中尉と大尉で1階級しか差がないんだが、その割には随分と危機感のようなものが違う。

 これは、恐らく実際にサイド7での戦いを経験しているかどうかの差だろう。

 ブライトにしてみれば、ここで油断など出来る筈もないと思っているのだろうが、リードにしてみれば、ルナツーでの一件で取りあえず無事だといった風に思っている、と。

 まぁ、その辺はどっちかが間違っているって訳でもないんだけどな。

 

「そろそろ、月の勢力圏内に入ります」

 

 オペレーターの1人がそう告げ、何人かが思わずといった様子で息を呑む。そして……

 

「リーブラから通信です」

「出せ」

 

 オペレーターの言葉に、ブライトが短く命令する。

 その言葉に従い、映像モニタに1人の人物が映し出され……

 

「え?」

 

 その映像を見たブリッジメンバーの誰かが小さく疑問の声を口にする。

 いやまぁ、それはしょうがない。何故なら、映像モニタに映し出されたのは仮面を被った相手……量産型Wだったのだから。

 基本的に、リーブラだけではなくバルジやニヴルヘイムも、月の周辺を移動している間は量産型Wとバッタ、コバッタ、メギロートといったような者達で運用されている。

 その中で、相手と直接会話を出来る存在は量産型Wだけである以上、こうしてリーブラとの通信で量産型Wが出てくるのは当然だった

 

『事情は聞いている。こちらの指示通りの航路でクレイドルに降りるように』

 

 感情を感じさせない、そんな声音。

 いやまぁ、量産型W何だから感情の類は存在しないと俺は分かっているのだが、ホワイトベースにいる中で驚いてないのは……誰もいないな。

 メリルも驚いているのは、やはりルナ・ジオンが建国されてから月に行った事がないからか。

 リードは何故驚いている? と一瞬思ったが、考えてみればルナツーを占拠したのは、あくまでもルナ・ジオン軍だけでだ。

 そこで量産型Wの類とかは使われていない筈で、それを考えればリードが量産型Wを見るのが初めてでもおかしくはない。

 

「ブライト」

「っ!? あ、ああ、分かった。……ミライさん、向こうの指示通りに」

 

 俺の声でブライトが我に返り、ブライトの声でミライが我に返る。

 そうしてホワイトベースが動き始めると、挨拶の類もないまま唐突に通信が切れた。

 

「なっ!?」

 

 そんな量産型Wの態度に不満を露わにしたのは、リード。

 まぁ、大尉という立場にある自分に対し、何の挨拶もないままいきなりこのような態度を取ったとなれば、それを不満に思うのも当然だろう。

 それでも不満を直接口にしなかったのは、ルナ・ジオンの人間と考えられている俺とメリルがブリッジにいるからというのと、ルナツーの戦いでルナ・ジオン軍の強さをこれでもかと見せつけられたというのが大きい。

 

「あー、一応言っておくけど、あれは量産型Wといってシャドウミラーから借りている人造人間……人型の機械のようなものだ。ルナツーにはいなかったのか?」

 

 リードの様子から見て、恐らくいなかったのだろうと思いつつ、尋ねるが……

 

「人造……人間……?」

 

 どうやら俺が思っていた以上のショックを与えてしまったらしい。

 一応この世界でも、ジオン軍のニュータイプ研究とか、そっち系の技術はあるんだが……連邦軍だからか?

 まぁ、実際には量産型Wとニュータイプ研究は同じではないのだが。

 

「ああ。だからこそ、感情の類は存在しない。決められた事を決められた通りにやる事しか出来ない。今回の件も、このホワイトベースに俺やメリルが乗っているのを確認し、ルナツーから連絡があった通りだと判断したからこそ、これ以上はもう用事がないと判断して通信を切ったんだろうな」

 

 実際には、ホワイトベースに乗っているのが少将や中将のような将官の類なら、もう少しゆっくりと情報収集するような真似をしたかもしれないが……この中で一番高い階級を持つのは、大尉のリードだしな。

 情報を聞く必要もないと判断したのだろう。

 実際、リードはルナツーで尋問を受けて、知ってる情報は洗いざらい喋っている筈だし。

 その辺の情報についても、当然のように本拠地の月には知られているということなのだろう。

 

「艦長、ルートの指示来ました」

「分かった。そのまま進んでくれ」

「ちょっと待て! あのような存在の言葉に唯々諾々と従っていいと思うのかね!?」

 

 不意に、リードの口からそんな叫びが漏れる。

 いや、今更何を言ってるんだよ。

 既に月に向かうというのは決まっていた事だし、当然月でもそれは理解している。

 なのに、この状況でいきなりそんな我が儘を言われても、どう対応すればいいのか困るというのが、正直なところだ。

 量産型Wに蔑ろにされたのも、このような態度を取っている理由なのだろう。

 

「落ち着け。元々ルナツーからこっちに関する連絡は入っていて、向こうはそれに従っただけだ。……それとも何か? お前はホワイトベースが近づけば、リーブラに攻撃されると、そう思っているのか?」

「それは……」

 

 言葉に詰まるリード。

 まぁ、俺とメリルがいる前で、そのような事を言える筈もない。

 もし言えば、それこそ色々と不味い事になるのは確実なのだから。

 

「なら、取りあえず指示されたルート通りに移動しろ。それに、ガンキャノンはともかく、ガンダムの修理は絶対に必要だろ? それが出来る施設がある場所は少ないんだ」

 

 そう言われると、リードとしても沈黙するしかない。

 実際に今の状況を考えると、MSの修理は絶対条件なのだから。

 もしここで月に行くのを拒否した場合、ルナツーで得られた食料や水はともかく、MSの補充分やら何やらはすぐにどうしようもなくなってしまう。

 そして、ホワイトベースが月から離れれば、シャアが襲ってくる可能性は高い。

 聞いた話だと、シャアを撃退はしたものの、機体に損傷らしい損傷は与えていないらしいし。

 そして、月は言うまでもなくジオン公国の本拠地たるサイド3のすぐ側だ。

 援軍を呼ぶのは、そう難しい話ではないだろう。

 つまり、ここまで来た時点でホワイトベースに月に行かないという選択肢は存在しないのだ。

 

「……分かりました」

 

 渋々、本当に渋々といった感じで俺の言葉に頷くリード。

 ブリッジにいる他の面々も、リードの癇癪が収まった事で取りあえず安堵し……

 

「では、ミライさん。指示通りにホワイトベースを月の……」

 

 ブライトが言葉に迷い、こちらに視線を向けてくる。

 どうやら、今の騒動で月の首都の名前を忘れてしまったらしい。

 

「クレイドルだな。月の首都。……正確にはそんな表現が相応しいのかどうかは分からないけど」

「相応しくない? それは一体、どういう意味なんだ?」

「巨大。それにつきるな。首都というよりはコロニー数個がそのまま月にあるという認識でいいと思う」

 

 北海道以上の大きさを持つクレイドルだけに、それこそクレイドルの中でだけで別に首都があってもおかしくはないのだ。

 ブライトやリードといった面々も、クレイドルの概要については知っているかもしれないが、詳細なところまでは理解していないだろう。

クレイドルに移住してきた者達の通信や手紙は、特に禁止していないのだから。

 勿論、怪しい行動を取っている者の場合は量産型Wやコバッタといった面々が監視しているので、機密情報の類を送るといった事はかなり難しいのだが。

 そもそも、クレイドルに入る際の手続きで大体スパイや工作員といった者達を見破る事が出来るし。

 

「コロニーが数個……それはとんでもないな」

 

 ブライトの感心したような呟き。

 実際、その言葉には強い興味もあった。

 堅物な性格をしているんだとばかり思っていたが、意外と柔らかいところもあるのか。

 まぁ、士官候補生からいきなりホワイトベースの艦長を任され、階級も中尉に上げられたとなれば、それも当然だろう。

 基本的に士官学校を卒業した者に与えられる階級は少尉だが、そこから中尉になるのは簡単なものではない。

 ……もっとも、今はジオン軍の独立戦争が行われているので、武勲によって昇進するというのは有り得るだろうが……今回のブライトの場合は、それもまた違うしな。

 

「他にも海や川、山、草原。そういうのもあって、ピクニックとか出来る場所もあるな。他の世界から連れてきた、この世界にはいない動物とかが独自の生態系を作ったりしていて、それを目当てにして地球や各コロニーからクレイドルにやって来たいって学者も多い」

「それは……」

 

 その辺の事情は知らなかったのか、ブライトだけではなくリードまでもが驚きの表情を浮かべていた。

 けど、何気にそういう研究者や科学者ってのは大事なんだよな。

 そういう研究者や科学者を受け入れているからこそ、MSとかに関係する技術の分野の科学者とかもクレイドルにやって来る誘引剤的な存在となっている。

 

「とはいえ、ホワイトベースは連邦軍の……他国の軍艦だ。少し前ならともかく、今はお前達がクレイドルの街中を歩いたり、自然豊かな場所に行ったりといった事は出来ないと思う」

 

 ルナツーの強行派が月に攻めて来たり、もしくはあの演説を行ったりする前であれば、ある程度の自由は認められたのかもしれないが……今となっては、連邦はジオン公国程ではないにしろ、準敵性国家といった扱いになってしまっている。

 ゴップとは連絡を取り合っていて、向こうも少しでも関係を改善させようとして頑張ってはいるんだけどな。

 だが、ルナツーの強硬派はつくづくゴップ、そしてレビルといった面々の頑張りを無にするかの如く、無駄に戦力を消耗したり、月に対して挑発的な演説をしたりしていた訳だ。

 うん、正直なところゴップにレモンや技術班が作った胃薬辺りを送ってやろうかと思わないでもない。

 

「そうか。……残念だ」

「まぁ、今はどうしようもないだろ。とはいえ、ルナツーのタカ派も今回の一件で大掃除されたし、これから連邦軍が取る行動によっては、月と連邦の関係も改善するかもしれないな」

「だと、いいんだが」

 

 心配そうに告げるブライト。

 だが、多分大丈夫だろうというのが、俺の予想だ。

 ……実は、まだ他にも大量にタカ派がどこかにいるといった事になった場合は、どうなるか分からないが。

 さすがにそんな事はない……と、そう思いたい。

 そうして話している間に、やがてホワイトベースはクレイドルの宇宙港に無事入港するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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