転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2289話

 避難民達がホワイトベースから下りて入国審査をしている中、俺とメリルは特にその手の作業を受けないまま、普通に外に出る。

 そこでは、避難民達を街中まで連れて行く為だろう。バスの類が何台も用意されていた。

 

「アクセル代表!」

 

 そんな中、メリルと一緒に一旦政庁に行くかどうかといった風に話をしていると、不意に名前を呼ばれる。

 ……うん、ここにホワイトベースの面々がいなくてよかった。

 

「あ、そうですね。これからはイザークさんじゃなくて、アクセル代表と呼ばないといけないんでした」

 

 イザークという呼び名に慣れていたのか、少しだけ照れ臭そうにメリルが呟く。

 

「そうだな。クレイドルに戻ってきた以上はそっちの方がいい。……で、お前達は連邦軍のMSの調査か?」

 

 俺に声を掛けてきたのは、ヅダの設計チームの1人で、見覚えのある人物。

 何故そのような人物がここに来ているのか。それは考えるまでもなく、連邦軍のMSが目的なのは間違いなかった。

 

「はい。連邦軍が開発したMS……一体、どのようなMSなのか。ヅダやこの先開発するだろうMSにどれだけの改修を加えられるのか。非常に楽しみにしています」

「そうか。……ああ、そう言えば連邦軍MSが1機、トレーラーごと俺の空間倉庫の中に入ってるけど、どうする?」

『本当ですか!?』

 

 俺と話していた男だけではなく、他の面々からも一斉に告げられる。

 まぁ、連邦軍のMSというのは、それこそ初めての代物だ。

 データ取りだけでも大きな利益になるというのに、その上で実機が手に入るとなれば、この連中にはとってはこれ以上ない嬉しさだろう。

 

「サイド7でMSを運搬している時にジオン軍の襲撃があってな。その時、どさくさ紛れにトレーラーを1台手に入れておいた。シートが掛かっていたから、正確にはどのMSかは分からないけど」

 

 ずっとホワイトベースに乗っていたから、何だかんだとどういうMSなのかを確認するような余裕はなかったんだよな。

 ルナツーにいる時ならもしかしたら確認出来たかもしれないが、空間的な余裕はともかく、時間的な余裕がなかったし。

 

「それは……では、これから……いえ、まずはホワイトベースでしたか? その軍艦や、そこに搭載されているMSのデータも調べる必要が……けど、出来れば……」

 

 そう告げ、悩み始める技術者達。

 連邦軍のMSやホワイトベースに興味津々なのは間違いないが、どちらを重視するのかといった問題も出てくるのだろう。

 

「夜! 今日の夜に、研究所の方に持ってきて貰えませんか! 現在研究所にはディアナのメンバーが揃っているので、皆に一斉に見て貰えるかと!」

「研究所に行くのは構わないが……ディアナ?」

 

 いきなり出てきたその名前に首を傾げ、隣で成り行きを見守っていたメリルに視線を向ける。

 だが、当然の話だがメリルがそのディアナという言葉の意味を知っている筈もなく、首を傾げていた。

 そんな俺達の様子に、技術者は一瞬戸惑い……やがてすぐに納得したように頷く。

 

「そう言えば、アクセル代表はここ最近月にいなかったんですね。ディアナというのは、現在クレイドルにいる各種技術者や研究者といった者達を纏めた、国営の兵器メーカーの名前です」

 

 そう言えば、と。

 色々な場所から来ている技術者達を纏めて兵器メーカーにするというのは、以前から聞いていた。

 だが、その名前がディアナというのは、初めて知った。

 とはいえ、ディアナという名前はそれなりに有名な名前なのは間違いない。

 ディアナ。正式にはディアーナ。

 ローマ神話に出てくる女神で、狩猟や貞節、そして月の女神だ。

 セイラが女王を務めているというのを考えると、月の女神という意味でディアナという名前が付くのはそうおかしな話ではない。

 そもそも、ルナ・ジオンのルナだって月って意味なんだし。

 ただ、セイラ……アルテイシアが女王なんだから、アルテミスという名前でも良かった気がしないでもないが。

 まぁ、もう決まってしまった以上、俺がそれに対して何かを言うつもりはない。

 

「分かった。ディアナだな。覚えておく」

「お願いします。ともあれ、そんな訳でディアナの研究所に来て貰ってアクセル代表が確保した連邦軍のMSを研究させて貰えば、と思います」

「ああ、それで構わない。ただ、俺もこれから色々と用事があるからな。出来るだけ早く行こうと思うが、今日確実にとは約束出来ない」

 

 その言葉に、技術者達は残念そうに、それでいながら嬉しそうに俺の言葉に頷き、宇宙港に向かった。

 これは、ホワイトベースの方でも色々と大きな騒動になりそうな気がする。

 ホワイトベースのメカニック達には、頑張って貰うとしよう。

 

「アクセル代表」

 

 メリルの言葉に、俺は頷きを返す。

 

「ああ、分かっている。政庁に向かうとしよう。……入国審査が終わった連中も、出てきてるみたいだしな」

 

 宇宙港から出てきた何人かが、バスに乗っている光景が目に映る。

 このままここに俺達がいるのが知られれば、少し面倒な事にもなりかねない。

 そうである以上、やはり早めに行動に出た方がいいのは事実だ。

 メリルも俺の言葉に異論はないのか、頷きを返し……建物の影に移動すると、そのまま影のゲートで転移するのだった。

 

 

 

 

 

 政庁に到着すると、俺とメリルはそこで別行動を取る事になる。

 当然だろう。メリルはルナ・ジオンに所属しており、サイド7に潜入していたスパイだ。

 それに比べると、俺はシャドウミラーの代表という立場である以上、当然のようにこれからも同じ行動をするという事は有り得ない。

 

「では、私はこれで失礼します。……アクセル代表、今回は色々と、本当に色々とありがとうございました」

 

 深々と一礼してくるメリルだったが、今回助けられたのは俺の方だ。

 もしメリルがいないと、サイド7での動きやホワイトベースでの行動、それ以外にも様々な面で苦労していたのは事実なのだから。

 何より、メリルがいなければ一般人であったアムロやカイ、ハヤトといった面々と、軍人のブライト、リュウといった面々との間で衝突していた可能性もある。

 その場合、リュウが緩衝材となっていた可能性が高いが。

 特にブライトは、まだ正式には軍人ではない。

 いやまぁ、今は中尉という階級である以上、正式に軍人なのだろうが、元々は士官候補生で学生だ。

 つまり、艦長としての教育といったものも完全には履修しておらず、色々と手探りでやっているのは間違いない。

 そんな時にアムロ……はともかく、皮肉屋のカイが色々と言ったりした場合、間違いなく怒鳴り散らしていただろう。

 ただでさえ素人が殆どの寄り合い所帯でそのような事になったら、色々な意味で洒落にならないのは間違いない。

 下手をすれば、それが原因でシャアにホワイトベースを鹵獲されていた可能性すらある。

 

「ミライだったか。あの女がどうにかしてくれればいいんだけど。……どうなるんだろうな」

 

 呟き、政庁の中を進む。

 何人かは俺の姿を見て驚きの表情を浮かべている者も多いが、それは俺がアクセルであると知っているからだろう。

 ……イザークという名前で俺を呼ぶ奴がいないのは、幸運だったと言えるだろう。

 イザークがこの世界に来るといった事はまずないだろうから、気にする必要はないんだろうけど。

 とはいえ、いずれイザークの耳に入るのも確実なんだろうな。

 そうなれば、追いかけられるのは目に見えている。

 何だかんだと、イザークは実働班の中でも有数の実力者となっているので、逃げるのは結構大変なんだよな。

 ともあれ、政庁に軍人の数が少ないのは、やはりルナ・ジオン軍の大半がルナツーに向かっているからだろう。

 そうして考えつつ、俺は政庁の中でも馴染みの場所……セイラがいつもお茶を飲んでいる部屋に向かう。

 執務室に直接向かっても良かったのだが、恐らく今は色々と忙しいだろうし。

 何しろルナツーの占領や返却、そしてホワイトベースの入港といった具合に、この短時間で多くの出来事が起きているのだから。

 当然のように、月の女王たるセイラも、それに対処するので忙しいのは確実だった。

 とはいえ、普段からこの部屋に誰かがいる訳でもなく、俺以外は誰もいない部屋で椅子に座り、空間倉庫の中から缶の紅茶を取り出す。

 いつもであれば、セイラのメイドが紅茶を淹れてくれるのだが、今の状況でそのような事が出来る筈もない。

 ここで時間を潰していれば、そのうちセイラがやってくるだろうし。

 それを待っていればいい。

 別に急いでは……ああ、そうだな。そう言えば一応シャドウミラーの方に連絡しておいた方がいいか。

 もしかしたら、何か緊急の用事とかがあったりするかもしれないし。

 空間倉庫から通信機を取り出し、ホワイトスターに連絡を入れる。

 すると、空中に浮かんだ映像スクリーンに映し出されたのは、あやかの姿だった。

 

『あら、アクセル君。UC世界でホワイトベースとかいう軍艦に乗っていたという事でしたけど、戻ってきましたの?』

 

 俺の顔を見て、驚いた様子を見せるあやか。

 とはいえ、その驚きはそこまで大きいものではない。

 ……当然か。今回はサイド7に行っていてホワイトベースに乗ったが、これまでは未知の世界に向かうという事も珍しくはなかったのだ。

 だとすれば、あやかにしてみれば俺がいなかったのはほんの短い間……それも、いつ戻って来るのか全く分からない状況に比べれば、今回の小旅行とでも呼ぶべき代物は、そこまで気にするような事ではなかったといったところか。

 

「ああ、ついさっきクレイドルに到着した。それで、俺がいない間に何か大きな問題はなかったか聞こうと思って連絡したんだけど、どうだ?」

『問題ですの? 細々とした問題はありますが、それは政治班の方で処理出来るような小さなものですので、アクセル君に至急知らせないといけないような事はありませんわね。……ああ、でも技術班の方でアルトロンガンダムの改修が終わったと、レモンが言ってましたわ』

 

 その言葉に、俺は納得すると同時に若干だが驚く。

 アルトロンガンダム。

 言うまでもなく、W世界出身の五飛の乗機だ。

 だが、W世界でならともかく、シャドウミラーの機体としては色々と性能不足という一面もあってか、改修が必須となっていた。

 ちなみに、それはスティングのウイングガンダムゼロカスタム、アウルのガンダムエピオン、綾子のトールギスⅢも同様だった。

 だが、他の面々は五飛程には機体に強い拘りを持っていなかったので、技術班に対して任せるという選択をしたのに対して、五飛は徹底的に口を出していたのだ。

 もっとも、この辺はシャドウミラーに所属して長いスティングやアウルは技術班の持つ技術力に強い信頼を――時々暴走するが――持っていたり、綾子のようにFate世界という、元々は人型機動兵器の存在しない世界からやって来たという理由から、自分に相応しいように改修を任せるといった事をしたのではなく、中途半端にMSに対しての知識もあった、というのが大きいだろう。

 そして何より、五飛は自分のMSに対して抱く拘りはかなりのものだった。

 そういう意味でも、五飛がアルトロンガンダムに対して色々と注文をするというのは当然だった。

 さて、具体的にはどんな感じになってるのか。少し楽しみではあるな。

 ホワイトスターに戻ったら、レモンやマリューに聞いてみるか。

 

「なるほど。その辺は分かった。……ところで、スレイの機体がどうなっているのかは、知ってるか?」

 

 スレイは今まではシャドウを使っていた。

 勿論普通のシャドウではなく、スレイ専用にカスタム化したシャドウで、量産型Wが乗っているシャドウよりも性能は上だと言ってもいい。

 だが、そんなスレイに対して、技術班が専用機を作るといった事を以前言っていたのだ。

 ちなみに、ベースとなる機体はヴァイクル。エアロゲイターの使用していた機体で、ホワイトスターの中にあるデータが完全ではないにしても、サルベージ出来た物をベースとする予定になっていた。

 ただ、基本的にはヴァイクルというのは念動力を持つパイロットが必須な訳で、またその辺のデータもサルベージ出来なかったらしく、その辺はシャドウミラー独自の技術たるET-LINKシステムを使って解決する事になっている筈だった。

 とはいえ、そのET-LINKシステムの開発に難航していたので、どうなったのかと思ったのだが……

 

『そちらも開発は順調だそうですわよ。もっとも、完成するにはもう少し時間が必要だと言ってましたけど』

「……なるほど」

 

 魔法球を使っている技術班がそう言うという事は、ET-LINKシステムというのは俺が予想していたよりも随分と開発が難しい代物なのだろう。

 レモンやマリューには頑張って欲しいものだ。

 そう思いつつ、俺はあやかと少しの間、世間話をするのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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