転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2292話

 ゆかりを散々に消耗させ、月光館学園に登校する前に魔法球の中でゆっくりと休憩した日……朝食やら何やらを終わらせると、俺はサイド7に行っていた間に用意された書類に目を通す。

 その多くは政治班の方である程度何とかしたといった報告の書類であったが、中にはどうしても俺の判断やサインが必要となる書類もあった。

 特に、現在俺が見ている書類……SEED世界とマクロス世界の間で起きた貿易の問題については、どう判断すべきか迷う。

 SEED世界側の要求としては、マクロス世界側が手数料を取りすぎているというもので、マクロス世界側からは、SEED世界側が自分の意見を通して不当に手数料を安くしようとしているというもの。

 この辺の問題は、今までにもそれなりに結構多く起きていた。

 そもそも、同一世界間ならまだしも、全く違う世界の人間が貿易をするのだ。

 当然自分の世界のルールを基本としているだろうし、相手の世界のルールでも疑問に思えばそれが不満に感じるだろう。

 この辺は今までは政治班が解決してきたのだが……こうして俺のところまで未解決のままで回ってきたという事は、政治班の判断だけではどうにも出来なくなったって事なのか?

 責任者を呼んで、シャドウミラーが立ち会って話し合いを行うとあるので、サインをしておく。

 取りあえずこれでいいだろ。

 異世界間で行われている貿易は、利益が大きいだけにどうしても自分達がもっと儲けようと、そう考える者が多い。

 それでも俺達にとって幸いだったのは、異世界間貿易はあくまでもホワイトスターをハブ地点として行われているという事だろう。

 もしこれが同一世界間での貿易であった場合、下手をすれば戦争になっていた可能性もある。

 それが行われなかったのは、やはりそれぞれが別の世界だからだろう。

 ……いやまぁ、もし本当に相手の世界が許せないのだとすれば、もしかしたらホワイトスターを経由して相手の世界に攻め込むといった真似をしないとも限らないのだが。

 ただ、そのような事をした場合は、完全にシャドウミラーを敵に回す事になる。

 SEED世界もマクロス世界も、シャドウミラーがどのような国なのかというのは、当然のように知っている。

 SEED世界では、連合軍を相手にシャドウミラー……特にメギロートの集団によって、圧倒的な勝利を得たし、マクロス世界ではバジュラとの戦いでシャドウミラーはその力を示した。

 そんな風にシャドウミラーという存在を理解している以上、迂闊な真似をするという可能性は……限りなく少ない。

 もしそれが分からずに行動した場合、最悪の場合はその世界と繋がっているゲートを閉じるという選択肢も有り得る。

 もっとも、相応の戦力やら何やらを向こうの世界に置いてある以上、それを引き上げる必要は出てくるだろうが。

 どちらの世界もそんな真似は当然したくないだろうから、最終的にそういう騒ぎにはならない……と、思う。

 世の中にはこっちの想像を超えるような性格をしている奴もいるので、中には何故そういう行動を取ったのか分からない……といった真似をされたりもするので、注意が必要ではある。

 ともあれ、この件はこれでいいとして、次は……

 

「おおう」

 

 その書類を手に取り、読んでいる途中で、俺の口の中から妙な声が漏れる。

 だが、この書類に書かれている内容は、それ程に驚くべきものだった。

 UC世界の地球、ハワイにて行われているアプサラス計画。

 その計画において、大きな進捗があった事を知らせる報告書だったのだから。

 今更の話ではあるが、アプサラス計画はルナ・ジオン軍に組み込まれている計画であると同時に、大量の資源やら研究者やら精密部品やらが必要である為、非常に金が掛かる。

 それこそ、ルナ・ジオン軍だけではそれらを用意するのは無理……とは言わないが、懐に相応のダメージを与えられるくらいには。

 だからこそ、アプサラス計画に興味を持った俺がシャドウミラーとして援助しており、この書類が俺の所に送られてきたのもそれが理由だ。

 そして俺が驚いたのは、その書類に書かれた進展というのが予想していたよりも大きなものだったからだ。

 もともと、アプサラスというのは空中を浮かんで強力なメガ粒子砲を撃てるといったコンセプトの代物だ。

 敵、この場合は連邦軍の防空圏外である大気圏外まで移動し、そこから連邦軍の本拠地であるジャブローに降下して強力なメガ粒子砲でジャブローを攻撃する。

 それが元々のアプサラス計画だった。

 ただし、ギニアス率いるサハリン家がルナ・ジオンに所属する事になると、その性質は変わった。

 いや、機体コンセプトそのものは前と変わらないのだが、現在月と連邦軍はそれなりに友好的な関係を築いている。……まぁ、ルナツーの件は置いておくとして。

 そんな訳で、アプサラスが狙うのはジャブローに限った訳ではなく、他にも色々な目標が考えられている。

 ……それでも、やっぱりジャブローが一番難易度の高い目標であるのは、間違いのない事実だったが。

 ともあれ、アプサラスの鍵は空を飛ぶ事……ホワイトベースでも使われている、ミノフスキークラフトだ。

 だが、問題なのは、そのミノフスキークラフトを使うのにはその辺にある動力炉では出力が足りないという事で、その辺で苦労していた筈なんだが……それを解決したのは、俺にとっても予想外な事に、ゾックだった。

 ルナ・ジオンやシャドウミラーに対するお近づきの印として献上されたゾック。

 だが、水陸両用MSである以上、月では使えず、結果としてこの機体はHLVで物資と共にハワイに送られる事になった。

 ゾックは、言ってみれば水陸両用型のガンタンク的な存在だ。

 いや、実弾のガンタンクに比べてゾックの武器はメガ粒子砲である以上、純粋な遠距離射撃用の機体として考えれば、ゾックの方が性能は上だろう。

 勿論、実弾は実弾で山なりに攻撃をしたりといった風に優れている場所も多い。

 移動速度は……まぁ、ジャンプ移動するゾックとキャタピラで移動するガンタンクという事で、正直なところどっちもどっちといったところなのだが。

 ああ、でも水中での移動速度という点ではジオン軍の水陸両用MSの中でも結構優秀らしい。

 ともあれ、そんなゾックだったが……動力炉の出力という点で考えれば、ジオン軍のMSの中でもトップクラスの性能を誇る。

 例えば、この書類によるとザクの動力炉は976kwなのに対して、ゾックの動力炉は3849kw。

 つまり、ザクの4倍近い出力を持っているのだ。

 ……勿論、だからといってゾックの動力炉をそのままアプサラスに流用出来る訳ではない。

 水陸両用MSの動力炉というのは、水中で使う事を前提にして作られているのだから。

 だが、それをベースにして改修したり、同じ物を作るというのは、難しくはあっても不可能ではない。

 少なくても、ゼロから新型の動力炉を作るよりは、こちらの方が楽なのは間違いなかった。

 そんな訳で、現在ゾックの動力炉の改修型の試作型とでも呼ぶべき物を使って、アプサラスの1号機を作っているらしい。

 もっとも、これはあくまでもゾックの動力炉とミノフスキークラフトの相性を調べるという意味での事もあり、MAではあっても、特に攻撃力を持たせたりはしないらしいが。

 その書類を読み、通信機を使ってUC世界の地球にあるハワイに通信を送る。

 

『はい……ア、アクセル代表!?』

 

 空中に浮かんだ映像スクリーンに表示されたのは、俺も何度かハワイで見た事のあるオペレータだった。

 そのオペレータの女は、まさか俺から通信が来るとは全く思っていなかったのか、焦った様子で頭を下げてくる。

 

『その、失礼しました。それで、アクセル代表、一体どのようなご用件でしょうか?』

「ギニアスに変わってくれ。アプサラス計画の事で、少し聞きたい」

『分かりました。少々お待ちください』

 

 そう言い、十数秒が経ち……映像スクリーンに表示されている人物が、先程のオペレータからギニアスに変わる。

 

『アクセル代表、お久しぶりです。こうして連絡をしてきたという事は、アプサラス計画の件でしょうか?』

「ああ、そうだ。ゾックの動力炉で一気に性能が上がって研究が進んだみたいだな」

『はい。これもアクセル代表のおかげかと。……色々と大変だったのは、間違いないのですが』

 

 ギニアスが、俺の言葉に笑みを浮かべて頷いてくる。

 こちらに向けてくる笑みは、以前のギニアス……それこそ、宇宙線に身体を侵されていたギニアスと比べるとまるで別人のようにすら見えた。

 やっぱりギニアスの身体を治療したのは、悪い事じゃなかったんだろうな。

 

「そうか。……それで、アプサラスの件について改めて聞きたいところだが、今はちょっと構わないか?」

『問題ありません。今は全てが順調に進んでいますので、時間の余裕はありますから』

 

 ゾックの動力炉の件は、ギニアスにとってはこんな笑みを浮かべるだけの代物だった訳か。

 

「そうか。それは何よりだ。特に地上ではハワイしか拠点がない今の状況を考えると、戦力は幾らあってもいいしな」

 

 そう言いながらも、実はハワイという場所を守るだけであれば、現在開発中のアプサラスよりゾックの方が使いやすいのかも? と思わないでもない。

 アプサラスは空を飛んで強力なメガ粒子砲を撃つといった機体コンセプトだが、空を飛ぶという事は、敵に狙われやすいという事も意味している。

 それに比べると、ゾックは海という自然の防壁を使える。

 だとすれば、遠距離からの砲撃という意味ではゾックの方が有利なのは間違いのない事実なのだ。

 ……もっとも、それはあくまでもハワイだからの事であり、それこそ他の場所……海とか川とかがないような場所であれば、ゾックは非常に使いにくいMSなのは間違いない。

 それに比べると、アプサラスは空を飛べるという事で戦場を選ぶ必要がないし、水中を移動しなければならないだろうゾックと比べても移動速度は明らかに上だろう。

 

『そう言って貰えると、助かります。……正直なところ、ここまでアプサラス計画が上手く進むとは思っていなかったというのが、正直なところです』

「あー……まぁ、そうだろうな」

 

 ギニアスの言葉に、そう頷く。

 事実、ギニアスが最初アプサラス計画をザビ家に持ちかけたところ、あっさりと却下されたのだ。

 ジオン軍ではなくザビ家というところが、サハリン家の力といったところだろうが……その名家の力でも、ザビ家に話を持っていく事は出来ても計画を了承させるような事は出来なかったらしい。

 実際にはシャドウミラーがグラナダを攻略した一件で、ジオン軍のMSや軍艦、戦闘機、それ以外にも様々に破壊されてしまったからそんな余裕はなかった、というのが正確なところなのだが。

 グラナダ攻略の一件が原因でとなると、もしかして原作ではアプサラス計画って普通にジオン軍で行われていたんだろうか。

 そして、アムロがガンダムに乗ってアプサラスと戦うとか。

 ……遠距離からのメガ粒子砲。普通にアムロなら回避出来そうな気がしないでもないんだよな。

 ともあれ、グラナダの一件が原因でアプサラス計画の許可が下りなかったというのは、当然のようにギニアスも知っている。

 それでもこうして俺に恨み言を口にしたりしないのは、最終的には当初の予定よりも多くの資材とかを優遇して貰っているからだろう。

 

「ともあれ、だ。ゾックの一件は予想外の幸運だったな」

『そうですね。……それで、出来ればもう少しでアプサラスの1号機の開発が完了するので、その試運転にはアクセル代表にもいらして欲しいのですが……どうでしょう?』

 

 試運転か。

 ギニアスにしてみれば、俺は最大のスポンサーだ。

 そう考えれば、見に来て欲しいと思ってもおかしくはない……か?

 そんな風に考えつつ、これからの予定を考え……ふと、これってもしかして良い機会じゃないか? と考える。

 現在月で補給やら修理やらをしているホワイトベースだが、それが終われば当然地球に向かう事になる。

 なら、それに途中まで一緒に乗って行ってもいいのでは? と、そのように思ったのだ。

 別にホワイトベースに乗って地球に行かずとも、HLVを使ってハワイに補給物資やら何やらを降下する時、それに一緒に乗っていけばいい。

 だが、ホワイトベースに乗っていてもおかしくはない理由があり、アムロと関わっておいた方がいいと考えると……この案は、決してそこまで突飛なものではない。

 ホワイトベースにしても、シャアを撃退出来る戦力を見逃すという選択肢は、存在しないだろうし。

 そんな風に思いつつ、俺はギニアスに向かって頷きを返すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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