転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2301話

「……は? 本気か?」

 

 俺は、ブライトに持ちかけられたその提案に、半ば反射的にそう返す。

 当然だろう。ブライトが提案してきた内容というのは、それだけ突拍子もないものだったのだから。

 いや、それは俺だからそう感じているだけで、もしかしたら他の者が聞けば、そうおかしな話ではないのかもしれない。

 実際、周囲で話を聞いていた者達は、そこまで驚いてはいない。だが、それでも……

 

「ヅダってのは、ルナ・ジオン軍の中でも機密だぞ? 勿論、連邦軍のMS程には重要な機密ではないが、それでも……」

「分かっています。ですが、アムロの能力を少しでも伸ばすのは、必要でしょう。……アクセル代表も、それには納得して貰えるのでは?」

「それは否定しないが……だからといって、ガンダムとヅダで模擬戦をやるってのは……」

 

 そう、ブライトが提案してきたのは、ガンダムとヅダの模擬戦だった。

 その気持ちは分からないではない。

 ヅダは高機動型MSで、シャアの戦闘も同じようにS型の機動力を活かしたものなのだから。

 ……ブライトがヅダの性能について知っているのは若干疑問だったが、ルナ・ジオン軍も自分達の能力を誇示して月に攻められないようにする為に、ある程度の情報は公開している。

 また、士官候補生のブライトであれば……あるいは中尉となった今であれば、その辺りの情報を見る事も出来るだろう。

 だからこそ、シャア対策という事でヅダとの模擬戦……それもシミュレータを使った模擬戦ではなく、実機を使った模擬戦をアムロにやらせてやりたいという思いは理解出来る。

 だが、理解出来るからといって、実際にそれを許せるかどうかとなれば……それは当然のように難しい。

 何より、シャアと戦う事になるのは宇宙空間だ。

 つまりヅダと模擬戦をやるという場合、当然ながら月面ではなく宇宙空間でやる必要がある。

 そして宇宙空間まで出ていけば、当然のようにそれを観測……場合によってはシャア本人がちょっかいを出してきてもおかしくはない。

 そもそも、この月はサイド3のすぐ側と言ってもいいような場所にあるのだから。

 連邦軍のMSがそのような場所で模擬戦をすればどうなるのか、分からないでもないだろうに。

 

「アクセル代表の心配も理解しています。なので、月の裏側ではなく表側……フォン・ブラウン市がある方で、というのはどうでしょう?」

 

 フォン・ブラウン市か。

 月面都市として2つ有名所を選べと言われれば、月の表側――あくまでも地球を主観としてだが――にあるフォン・ブラウンと、月の裏側にあるグラナダだろう。

 もっとも、それは以前までの話で、今となっては首都のクレイドルの知名度の方が高くなっているが。

 ともあれ、フォン・ブラウン市方面で模擬戦をやった場合は、サイド3には見つかりにくくなる。

 ただし、それはあくまでもサイド3からならばの話だ。

 月の周辺には暗礁宙域が幾つかあり、そのどれかにシャアが隠れているものと思われる。

 それだけに、フォン・ブラウン市の近くで模擬戦を行ったりした場合は、すぐにシャアがやって来るという可能性もあった。

 機動要塞群がある以上、そう簡単にやって来る事はできないだろうが、シャアならもしかして……と、そう思ってしまうのは過大評価か?

 いや、シャアの能力を思えば、決して過大評価なんて事はない筈だ。

 

「なるほど、一応考える価値はあるな。……けど、もし可能であっても、模擬戦の回数はそこまで多く出来ないぞ?」

 

 現在色々と修理やら補給やらをしているホワイトベースだが、当然のようにずっとこのままという訳ではない。

 ガンダムやガンキャノン、ガンタンク。そして何より、ホワイトベースという軍艦をジャブローまで持っていく必要がある筈だった。

 であれば、当然のようにガンダムの部品を消耗させたりする訳にはいかない。

 そうなると、どんなに多くても……

 

「そうだな、1回か2回。そんなところか。宇宙空間で模擬戦をやっているのを知れば、いらない観客達もやってくるだろうし」

 

 少なくても、アムロにとって嬉しい出来事とは到底思えない状況になるのは間違いない。

 

「それで構いません。それと、もう1つ。出来れば、ヅダのパイロットはアクセル代表にやって欲しいのです」

「へぇ」

 

 俺が戦力としてホワイトベースに乗ると言っていた時は決して認められないといった風に言っていたのに、今回は俺にMSに乗って欲しい、か。

 正直なところ、ここまで態度が変わるというのは予想外だった。

 とはいえ、こちらとしてもアムロとの模擬戦というのは好都合ではある。

 俺の戦い方次第によって、ここでアムロの能力を出来るだけ上げられるかもしれない。

 そう思えば、俺がブライトの意見に反対する筈もない。

 

「分かった。なら、その提案に乗ろう。それで、いつやるんだ? 時間がない以上、出来るだけ早い方がいいだろうが」

「こちらはいつでも構いません。アムロにもその辺の事情は話してますから」

「あー……なるほど」

 

 今のアムロなら、俺との模擬戦も引き受けるだろうな。

 既に、アムロは俺に対するトラウマを克服している。

 それどころか、何気にムッツリで女好きのアムロはメリルと仲のいい俺に嫉妬心を抱いているし、同時にミナトや綾子といった、メリル以上の美女を連れて来た俺を面白くないと思っているのは間違いない。

 ……シャアを相手にして、小破しながらであっても撃退したというのも、アムロの自信になってるのかもな。

 そうなると、ここで一度伸びている鼻をへし折っておいた方がいいのか?

 そう考えれば、今回の一件はいい機会だと言えない事もないな。

 一応、俺とアムロはMSで戦った事もある。

 だが、それはあくまでもシミュレータを使ってのものであり、今回ブライトに言われたように、実機を使ってのものではない。

 また、その時に使ったのも俺が使っていたガンキャノンであって、高機動型のMSたるヅダではない。

 

「分かった。なら、MSを輸送する軍艦はこっちで用意するから、2時間後までに準備をしておいてくれ。それでいいな?」

「……いいんですか?」

 

 ブライトの口から驚きの声が上がる。

 半ば俺が引き受けるという流れになっていたとはいえ、まさかこれからすぐ――それでも2時間後だが――に模擬戦を行うというのは、思ってもいなかったのだろう。

 

「ああ。やるなら急いだ方がいい。今からなら、もしかしたら思ったよりも多く模擬戦が出来るかもしれないからな」

「アクセル代表のMSは、用意を出来るのですか?」

「そっちも問題ない。別にヅダの全てをルナツーまで持っていった訳じゃないしな」

 

 また、これは直接口に出すような真似はしなかったが、ヅダはルナ・ジオン軍の量産型MSである以上、日々生産され続けている。

 であれば、それこそまだ新品同様のヅダを用意するのは、難しい話ではない。

 この場合、擬似的なシャアの動きを模倣するとなると……使うのは、強襲型のA型か? そんな風に考えながら、取りあえずその場は解散となるのだった。

 

 

 

 

 

「そうね。パプア級か、それかいっそカトンボはどうなの?」

 

 月の近くで模擬戦を行うという事で、当然のようにその場で一番重要な相手から許可を貰いにきた。

 ……まぁ、いつものようにセイラなのだが。

 最近では月の女王と呼ばれるようになったセイラだけに、そのお偉いさんから許可を取るのが一番手っ取り早いのは間違いない。

 

「なら、パプア級だな。ホワイトベースの面々には、あまりこの世界以外の技術を見せたくはない」

 

 プロトタイプガンダムを奪っておいて、何を言ってるといった感じもするが。

 ともあれ、技術的な優位は得ておいた方がいい。

 カトンボは重力波砲の類は使えないが、それでもディストーションフィールドという、UC世界においては完全に未知の技術を持っているし。

 それに比べると、パプア級の方は完全にこの世界で開発された輸送艦だし、何よりも開発されてからある程度の時間が経っているので、連邦軍の面々がそれを見ても特に問題がないというのが大きい。

 ……シャドウミラーの技術班辺りにパプア級を見せれば、色々と改修したりといった事はするかもしれないが。

 ただ、今はその辺を心配しなくてもいいだろう。

 

「そう。構わないわ。……アムロだったわよね。しっかりと鍛えてあげて」

 

 セイラが俺に向かってそう告げる。

 俺と初めて接触して精神世界っぽい場所に行った時、小惑星を地球に落とそうとしているシャアと戦っていたのは、アムロだった。

 この歴史ではセイラがルナ・ジオンを建国してそのような真似は阻止しようとしているが、万が一、本当に万が一にもシャアがそのような事をしようとしている場合、カウンター的な存在としてアムロを鍛えておくというのは、悪くない……どころか、必須ですらあった。

 それを考えれば、セイラが俺の意見にあっさりと頷いた理由も分かるだろう。

 

「ああ。これからジャブローに向かう以上、アムロは多くの戦いをする筈だ。その時に死なないように、出来るだけ鍛えておく必要がある」

「……多くの? ジャブローにある南米にホワイトベースが降下すれば、それで終わりではないの?」

 

 俺の言葉に、セイラは意外といった様子で視線を向けてくる。

 いや、このUC世界においては、これは当然の反応なのだろう。

 それこそ、ホワイトベースがSEED世界のアークエンジェルと同じような状況でなければ、俺もセイラの意見に賛成した可能性があるのだから。

 

「地球に降下するタイミングで、敵が襲撃してくる可能性がある。ホワイトベースとしては、当然それに対処するだろうが……場合によっては、ジャブロー以外の場所に降下する可能性も高い」

 

 そう、それこそアークエンジェルがアラスカではなくアフリカに降下したように。

 

「そんな真似をしたら、それこそ攻撃した方が危険ではなくて?」

「それは否定しない。ハイリスクではあるが、ただ同時にハイリターンでもある。だとすれば、ジオン軍……いや、シャアがそれを行う可能性は十分にある筈だ」

 

 ジオン軍のトップエースたるシャアなら、それこそ一点突破でそんな攻撃をしてきてもおかしくはない。

 そしてジャブロー近辺以外の場所にホワイトベースが降下した場合、ジオン軍の勢力範囲内をどうにかして抜けてジャブローに向かう必要が出てくる。

 であれば、当然のようにその勢力圏内で有望な部隊やパイロットがホワイトベースを狙うのは当然だろう。

 あの赤い彗星すら撃退した、連邦軍の開発したMSとMS運用艦。

 それを鹵獲出来れば……もしくは撃破出来れば、その手柄は非常に大きいのだから。

 ホワイトベースやガンダムといったMSの情報がジオン軍の中でどこまで広がっているのかというのは、分からない。

 それこそ、シャアがしっかりと情報を流しているのであれば、もしかしたらMSパイロットの多くが素人でしかないというのが知られている可能性もある。

 そうなれば、当然のようにジオン軍の攻撃は厳しくなるだろう。

 ……何だかんだと、ジオン軍のMSパイロットの層は厚いからな。

 結構なエース級をルナ・ジオン軍に引き抜きはしたが、それでも尚ジオン軍の中には腕利きのMSパイロットが多い。

 そういう連中がアムロに、そしてホワイトベースに襲い掛かってくるとなれば、今の実力では結構厳しいのも事実だ。

 何だかんだと、今のところホワイトベースが襲われたのは、シャアの率いる1部隊だけなのだから。

 ルナツーでの戦いでは、シャアの乗るムサイ級はパプア級が撃破されるとすぐにその場を離脱したし。

 ……あるいは、シーマが邪魔をしなければ撃破出来ていた可能性もないではなかったが。

 とはいえ、ルナ・ジオンやシャドウミラーとしては、シーマの行動に文句はない。

 いや、寧ろよくやったと言いたいくらいだ。

 

「シャアなら、ホワイトベースが地球に降下する隙を狙うという事くらいはすると思うが、どう思う?」

「……そうね。キャスバル兄さんならそのくらいは普通にやりそうな気がするわね」

 

 シャアの小さい頃を知っているからだろう。セイラは少し考えた後で頷く。

 セイラにしてみれば、シャアは普通にそういう事をやりかねないと考えているのだろう。

 実際、セイラから聞く限り、シャアという人物はそういう傾向がある。

 本来のシャア・アズナブルを事故死に見せ掛けてザビ家に自分の身代わりとし、それと入れ替わったというのがセイラの主張なのだが、妹にすらそう思わせるような、そんな性格をしているのだろう。

 

「取りあえず、何があってもいいようにアムロは鍛えておくよ。それに、宇宙では出番の少なかったガンタンク隊も、地上では活躍出来るだろうし」

 

 そう言い、俺はパプア級やヅダA型の用意、模擬戦用のペイント弾等の用意といった事をする為に、セイラの執務室から出るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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