転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2303話

 当然の話だったが、模擬戦が始まった中で真っ先に攻撃をしてきたのはアムロのガンダムだった。

 アムロの乗っているガンダムが使うビームライフルというのは、この世界においては極めて強力な武器だ。

 シャドウミラーの機体であれば、Eフィールドのようなバリアの類があるので、ある程度攻撃が命中しても問題はない。

 だが、このヅダには当然のようにそんなバリアの類は用意されておらず、そうなるとビームライフルの攻撃に命中しない為には、回避するという選択肢しか残されていなかった。

 

「っと」

 

 ガンダムに近づきながら、アサルトブースターの位置を少し変え、ヅダの進行方向を若干ではあるが斜めにする。

 すると次の瞬間、ヅダの機体があった場所をビームライフルのビームが貫く。

 この辺りの勘の良さは、やはりニュータイプだからか。

 もしくは、1度とはいえシャアと戦った事によって、ガンダムの操縦に慣れてきたというのもあるのかもしれないな。

 ともあれ、その一撃を始めとして次から次に連続して放たれるビーム。

 その全てを、俺はスラスターやアサルトブースターを使いながら回避していく。

 うん、やっぱり強襲型のA型にしておいて良かったな。

 もしこれがノーマルのヅダであれば、アサルトブースターがない分、細かな運動性能の差でアムロの攻撃を回避出来ていたか分からない、

 また、現在のように攻撃をしているアムロに直接向かっているその状況では尚更だろう。

 次々と放たれるビームを回避しつつ進んでいると、映像モニタに表示されたガンダムの姿が急速に近づいてくる。

 ビームの威力そのものはかなり低く抑えられており、命中しても被害を受ける事はない……と、そう聞いてはいるが、この世界の人間ならかなり怖い光景だろうな、これ。

 そんな風に思いつつ、シャアが使う攻撃方法の中でも強い印象を持つ一撃離脱戦法を使う。

 というか、そもそものA型のヅダが持っている武器はショットガンで、至近距離でこそ優秀な効果を発揮する武器だ。

 だからこそ、ガンダムに致命傷――模擬戦のシステムによる判定だが――を与える為には、距離を詰める必要があった。

 

「取りあえず、これでも食らっておけ」

 

 その言葉と共に、肩と足の部分からミサイルを全弾発射し、それを確認してからミサイルポッドを切り離す。

 発射されたミサイルは、そのままガンダムの方に向かっていき……だが、途中で宇宙空間にペイントの華を作った。

 ちっ、頭部バルカンか。

 MSを相手にする分には、威力的に決して強力な武器ではない頭部バルカンだったが、今回のようにミサイルなんかを迎撃する時にはかなり便利な兵器となっている。

 当然これが模擬戦である以上、頭部バルカンの弾丸もペイント弾なんだろうが、それでもミサイルを迎撃するには十分な威力があった訳だ。

 とはいえ、ペイントの花はアムロにとっても予想外の効果をもたらす。

 そう、ペイントによって、ガンダムとヅダの空間の幾つかに目隠しを作ってしまったのだ。

 もしこれが実戦なら、生み出されたのはペイントではなく爆発の花だっただろう。

 そう考えれば、意外と忠実にその辺りを再現しているのかもしれないな。

 ともあれ、ガンダムの姿がペイントで見えなくなったという事は、当然のようにガンダムからもヅダの姿が見えなくなったという事を意味している。

 俺にとっては、一気に距離を詰めるには十分な間合い。

 アサルトブースターを使い、ペイントの煙幕とでも呼ぶべきものの中を突っ切る。

 ……ペイントに触れた事により、ヅダの装甲にも結構なペイントがくっついたが、それはしょうがないだろうと諦め、更にスラスターを全開にした。

 そうしてペイントの華を抜けると……そこには、ビームライフルとシールドを手にしたガンダムの姿。

 ペイントの華を突っ切ってきたヅダの姿を見て驚いたのか一瞬動きを止め、慌てたようにビームサーベルに手を伸ばそうとするが……遅い。

 その躊躇がなければ、あるいは間に合っていたかもしれないが、アムロは俺に対して大きな隙を作ってしまった。

 急速にガンダムに近づき、至近距離で散弾を撃つ。

 間近で撃たれた為だろう。ガンダムの装甲はかなり広範囲にペイントが付着し……だが、それでも模擬戦は終わらない。

 元々、ショットガンというのは広範囲に弾を散らばらせるという意味では非常に有効だったが、純粋に一撃の威力となると決して強い訳ではない。

 少なくても、ルナ・チタニウムで出来たガンダムの装甲を貫くといった真似は出来ないのだ。

 そもそも、ガンダムの装甲はザクマシンガンの直撃を受けても平気なだけの頑丈さをもっているのだから、ショットガン程度でどうにか出来る筈もない。

 あるいは、もしかしたらアムロも最初からその辺を計算に入れていた、という可能性もあるのか?

 ともあれ、一度動きを止めたガンダムだったが、すぐに気を取り直したように……いや、やられた仕返しだと言わんばかりに、俺に向かってビームライフルを投げてくる。

 咄嗟の判断だろうが、それは悪い選択ではない。

 接近してきたヅダに対処する為、手持ちのビームライフルは邪魔になる。

 素直にそれを手放し、ビームサーベルに持ち替えるという手もあるだろう。

 だが、その場合はヅダの接近を容易に許してしまう。

 数秒といった程度の時間であっても、今のような近接戦闘の場合においては、大きな意味を持つ。

 そしてアムロは半ば反射的にそれを行い、ヅダが投擲されたビームライフルを回避している短い間に、バックパックからビームサーベルを引き抜く。

 俺もまた、ショットガンを手放し、ヒートソードを引き抜き……ビームサーベルを受け止める。

 ヒートソードでビームサーベルを受け止められるというのは、メカニックからしっかりと聞いてはいた。

 理論の方も色々と聞いたが……ようは、ヒートソードでビームサーベルと鍔迫り合いが出来るというのを理解出来れば、それで問題はない。

 こちらに向かって振るわれるビームサーベルの一撃を受け止められた事に驚いたのか、アムロの動きが一瞬止まる。

 これを見ると、アムロもヒート系の武器でビームサーベルを受け止められるという事は知らなかったのか?

 シャアとの戦いで、そういうのがあってもおかしくはないが。

 っと、そう言えばそうだった。今の俺はあくまでもシャアの役目で、こうして足を止めて攻撃をするといった訳にはいかないんだったな。

 鍔迫り合いから、足を使ってガンダムに蹴りを入れる。

 ルナ・チタニウムの装甲である以上、衝撃くらいは与えるかもしれないが、装甲にダメージを与えるといったような一撃ではない。

 それでも、蹴りというか足で押すといった一撃によってガンダムとの間合いは開く。

 そして距離が開いた瞬間、アサルトブースターを使ってガンダムから離れる。

 俺本来の戦い方であれば、一旦距離を開けたところで一気に間合いを詰め、更に攻撃を続けるのだが、今回はあくまでも一撃離脱を中心とした戦い方を希望している。

 本当にシャアくらいの腕利きパイロットともなれば、一撃離脱に拘るような事なく、それこそどんな戦い方であっても対応は出来ると思うんだが。

 とはいえ、まだMSパイロットになったばかりのアムロにそこまで求めるのは正直どうかという事で、今回の戦いではヅダの、それも強襲型たるA型を最大限に活かした戦いをする事になっていた。

 そしてガンダムと距離を取れば、さっきのビームライフルを投げてきたというアムロの行動は大きな判断ミスとなる。

 バズーカの類でも持っていれば話は別だったが、残念ながら今のガンダムはバズーカを持っていない。

 慌ててビームライフルを探しているが、それを見越してクラッカーを投擲する。

 ザク用の武装として有用な武器である為に、ヅダでも採用されている。

 ザク用の武装という事で、ツィマッド社からやって来た面々はあまり面白い様子はなかったが、それでも武器は武器だ。

 有用な代物がある以上、使わないという選択肢はない。

 何より、クラッカーは作るのも簡単だというのが大きかった。

 もっとも、爆風で破片を飛ばすというこのクラッカーは、本来なら地上でこそ最大限の効果を発揮する武器だ。

 宇宙では、その効果は半減……とまではいかないが、それでも地上で使うより威力が弱まるのは確実。

 ただし、今回のように牽制をするという意味では、問題なく使用出来るのだが。

 

「慌てすぎだ」

 

 クラッカーが目の前まで移動してきたのを見て、アムロは焦った様子を見せる。

 ルナ・チタニウムの装甲である以上、クラッカー程度の威力でどうにかなる事はないんだから、冷静に行動をすればいいんだが……この辺は、どうしても慣れが影響してくるのか。

 ともあれ、アムロが焦っている間に俺はアサルトブースターを使ってその場から退避する。

 アムロが何とかビームライフルを拾った時、既に俺の姿はガンダムから大きく離れていた。

 暗礁宙域とかがあるような場所での訓練なら、一撃離脱戦法をするにも、十分な威力を発揮出来るんだけどな。

 そのような現場であっても、元々高機動型のMSで、それをアサルトブースターで更に強化しているA型だからこそ、十分一撃離脱戦法を行う事が出来る。

 ガンダムと距離を取り、その機動力で大きく進行方向を変える。

 ニュータイプとしての能力か、もしくはガンダムの性能か。

 その辺りは分からなかったが、俺の通りすぎた後の空間を、ガンダムのビームライフルから放たれたビームが貫いていく。

 当然のように単純な軌道で移動してれば、アムロに先読みをされやすい。

 

 よって、スラスターを頻繁に使いつつ、少しでもアムロに狙いを絞らせないようにしながら移動し……そうして大回りしながら、再びアムロに近づいていく。

 とはいえ、最初に近づいた時のようにミサイルを目眩ましとして使う真似は出来ない。

 そうなると、当然のように純粋に俺の実力とヅダの性能によって攻撃を回避していく必要があった。

 

「っと!」

 

 スラスターを使い、咄嗟に機体を動かす。

 すると次の瞬間には、一瞬前にヅダのあった場所をビームが貫いていく。

 そんな動きを何度か繰り返しつつ、再び急速に近づいてくるガンダム。

 盾を手に、ビームライフルの銃口をこちらに向けている。

 先程と少し違うのは、ガンダムのすぐ近くにビームサーベルが浮いているという事か。

 そちらの方が咄嗟の取り扱いがしやすいと、恐らくはそういう事なのだろう。

 その辺の感覚は、結局のところ人それぞれだ。

 アムロがそちらの方がやりやすいと判断したのであれば、それは問題ない。

 ちなみに、現在のヅダは右手にヒートソード、左手にショットガンだ。

 ……こうして見ると、実は結構盾って便利な代物なのかもしれないな。

 俺は基本的に攻撃を回避してるので、盾は別になくてもいい。

 だが、ヅダは量産機である以上、エース以外の兵士が乗る可能性が高い筈だ。

 そして一般の兵士は、敵の攻撃を回避するといったことが出来ない……訳ではないが、それでもやはりエースパイロットに比べると回避率は格段に落ちる。

 そうである以上、一般兵士が使うヅダにはシールドを持たせるという方法も十分にある。

 暗礁宙域とかを移動する時も、シールドを使えば……いや、そもそも一般兵士なら暗礁宙域に突入するなんて事はしないのか。

 そんな事を考えている間にガンダムとの間合いは近づいていき、ビームライフルでの射撃を諦めたアムロは、自分のすぐとなりに浮かんでいたビームサーベルを手に取り、シールドを前に出してこちらを待ち受ける。

 

「今度はそう来たか。……だがなっ!」

 

 間合いが近づいたにも関わらず、俺はヅダの速度を一切緩めず……いや、それどころかより速度を上げる。

 こちらが近づいてくるのを、シールドにある隙間から覗いていたのだろう。

 一切速度を落とさないヅダに、戸惑った様子を見せ……それは、待ち受けるアムロの立場としては、決して最良の行動ではなかった。

 シールドによって視界を幾らか狭めてしまったのも、ミスと言ってもいい。

 アサルトブースターとスラスターを最大限に使い、普通パイロットならGで肋骨を折ってもおかしくないような動きで、強引にシールドを持っている方に回り込む。

 そしてアムロが気が付いた時には、シールドと腕の隙間を通すようにヒートソードの先端をガンダムのコックピットに突きつけ、ショットガンもいつでも撃てるように準備を整え、銃口を突きつける。

 まさにホールドアップと呼ぶに相応しい状況であり、これによってこの模擬戦は俺の勝利で終わるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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