転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2307話

 ハヤトには忠告したのだが、それでも俺と柔道をやると言い張られ、非常に困っていた。

 困っていたのだが……綾子から、やってみたらどうだという風に言われ、このまま俺が引き受けなければハヤトも納得しないだろうという事で、この場で柔道をやる事にした。

 正直な事を言わせて貰えば、別に今ここで柔道をやらなくても、それこそ地球に降下して、俺達がホワイトベースから下りる前とかに柔道をやっても良かったと思うんだが。

 それでも今この状況でやらなければならないというのは、納得出来ない。出来ないのだが……これは言ってみれば、ハヤトの意地、男の意地とでも呼ぶべきものだと思えば、それを引き受けない訳にもいかない。

 いやまぁ、本来なら引き受けず、シャアの襲撃に備えるというのが最善なのは間違いないんだが。

 足を震わせ、それでも俺に挑もうとしているハヤトを見れば、ここで引き受けないという選択肢はなかった。

 とはいえ、柔道着など持ってる訳もない。

 空間倉庫の中にも柔道着はなく困っていると、ホワイトベースにある新品の柔道着をリュウから借りる事になった。

 ……いや、ハヤトは柔道をやっていたんだから、避難する時に柔道着を持ってきたのも少し無理はあるが納得出来る。

 だが、何でホワイトベースの中に柔道着が、それもまだ新品の奴があるんだ?

 それ以前に、何故畳があるのか。

 そんな疑問もあったが、まぁ、ないよりはあった方がいいという事で、その疑問は棚上げにした。

 そんな訳で、俺は柔道着に着替え……畳の上に立ってハヤトと向かい合う。

 

「幾ら黒帯でも、一般人がアクセルと柔道で勝負するとか、無謀もいいところなんだが……」

 

 畳の外で様子を見ている綾子の声が聞こえてくる。

 そんな綾子に、カイが興味深げに色々と聞いてるが……メリルの次は綾子に狙いを定めたのか。

 いや、あるいはミナトの方にもちょっかいを出す可能性はある。

 こうして見る限りでは、カイの方も本気で口説けるとは思ってないのかもしれないが。

 純粋に口説く振りをして、そういう自分を周囲に見せつけている……そんな感じがするのは、俺の気のせいか?

 

「では、双方共に準備はいいな?」

 

 審判として畳の上に立っているリュウの言葉に、俺とハヤトはそれぞれ頷きを返す。

 そんな俺達2人を確認してから、リュウが口を開く。

 

「始め!」

 

 俺にとって少し意外だったのは、試合が始まった瞬間にハヤトの足の震えが止まった事だ。

 てっきり、試合が始まってもまだ足の震えが止まらず、動揺したまま一気にこっちに突っ込んでくるのではないかと、そう思ったからだ。

 だが、俺にとってもハヤトにとっても幸いな事に、現在はお互いに相手の隙を窺うような立ち振る舞いをしている。

 何気にこの試合は興味を引くのか、メカニック達も興味深そうに眺めている者が多い。

 もしかして、連邦軍の中で柔道が流行っていたりするんろうが。

 

「やああああっ!」

 

 ハヤトが鋭い叫びと共に、俺との間合いを詰めてくる。

 10代半ばの俺の姿はそこまで背が高い訳ではないが、それでもハヤトは今の俺より背が小さい。

 それだけに、ハヤトは自分よりも大きな相手と試合をするのは慣れているのか、慎重に、だが確実にこちらとの間合いを詰めてくる。

 こっちもそんな柔道の動きを眺めつつ、ハヤトを迎え撃つように前に出る。

 ……そう言えば、柔道じゃなくて柔術って意味なら、エヴァが使えたよな。

 しかもかなりの……それこそ、ハヤトとは比べものにならないだけの技量で。

 その動きを知っているだけに、どうしてもハヤトの動きには粗が見えてしまう。

 元々、俺も別に何の体術も習っていないという訳ではない。

 士官学校にいる時は軍隊としての格闘術を習ったし、ネギま世界においてはそれこそ素手で様々な戦いを乗り越えてきた。

 今も、エヴァと生身での戦闘訓練をしたりとか、普通にするしな。

 ともあれ、そんな方面から見ても、やはりハヤトの動きは鈍い。

 こちらの襟元に伸ばしてきた手を回避し、そのまま伸ばしてきた腕の裾を掴み、両足を大きく払う。

 すると次の瞬間、ハヤトは両足を刈られた事により、畳に転ぶ。

 

「一本! それまで!」

 

 リュウの声が格納庫の中に響き……こうして、柔道の試合は呆気なく終わってしまうのだった。

 

 

 

 

 

「強いですね、アクセルさん」

 

 カイがリュウによって一本背負いで投げられているのを見ながら、ハヤトが呟く。

 

「まぁ、これでも色々と戦場を渡り歩いてきた身だ。それこそ、そうあっさりと負けたりは出来ないな」

「……戦場で戦えば、アクセルさんみたいに強くなれるんですか? その……」

 

 一旦言葉を濁したハヤトは、ガンダムの調整をしているアムロの方を一瞬見て、口を開く。

 

「アムロよりも」

「どうだろうな。ただ、正直なところを言わせて貰えば、ハヤトが求めているのは俺が持ってるような、戦場での強さじゃないと思うぞ」

 

 戦場での強さ。

 それは言ってみれば、相手を無力化……言葉を選ばなければ、相手を殺す為の強さだ。

 ハヤトが求めているのは、そんな強さではないだろう。

 ハヤトは強制的に家を立ち退かされた関係もあって、アムロに対して強い対抗心を抱いている。

 だが、それはあくまでも対抗心であって、殺したいという憎悪ではない。

 そんなハヤトが戦場で得られるような強さが似合っているのかと聞かれれば、俺は首を横に振る。

 

「そう、ですね。……はい、そうかもしれません。でも、じゃあ、どうすれば強くなれるんですか?」

「さあな。強さってのは、人それぞれだ。それこそ、ハヤトが自分で考えて、その力を目指すしかないだろ。例えば、このまま柔道の道を極めていくというのも、ありと言えばありだろうし」

 

 そんな俺の言葉に何か思うところがあったのか、ハヤトは無言で頷く。

 俺はハヤトの隣で、綾子に投げ飛ばされるカイの姿をただ見るだけだ。

 ……正直なところ、こういうのは俺の性に合わないんだが。

 それこそ、あそこで審判をやっているリュウ辺りが今の俺の役が相応しいだろう。

 ホワイトベースで偉いのはブライトやリードだけど、ブライトは士官候補生だったのが、今回の一件で半ば無理矢理艦長になったようなもので、実戦経験が殆どない。

 そして、リードは……うん、まぁ……

 そんな訳で、今回の一件は俺が慣れないことをする羽目になった訳だ。

 

「綾子さん、でしたよね。彼女ももの凄く強いですね」

「あー……まぁ、そうだろうな。正直なところ、ハヤトが目指すなら綾子のような強さがいいと思うぞ」

 

 綾子は、俺と関わる前……それこそ普通の学生をやっていた時から各種武芸を習っており、そういう意味では武道的にハヤトの上位互換と言ってもいい。

 勿論、半サーヴァントになってからは、普通の人が出るような大会とかにも出られなくなったが。

 今の綾子……いや、W世界で俺と再会するより前の綾子であっても、普通の人間とは基礎能力という点で大きく違う。

 そんな人物が大会に出れば、それこそドーピングを疑われるだけで済めばいい方だろう。

 いや、それ以前にFate世界で魔術は隠蔽するものだ。

 その辺りはネギま世界でも同様だが、その本気度合いが大きく違う。

 もし綾子がFate世界で何らかの大会、それこそオリンピックとかに出ようものなら、ほぼ間違いなく魔術協会からの刺客がやってきただろう。

 それでやられる綾子や凛ではないが、自分からそういう面倒な事に首を突っ込むかと言われれば、答えは否だ。

 もっとも、こうして仲間内だけでやる分には問題ないのだが。

 

「一本! ……で、いいんだよな?」

 

 いつの間にかカイが審判になり、リュウが綾子と柔道をしていたものの、あっさりと一本背負で畳に叩きつけられ、柔道の心得が殆どないカイであっても、一本と反射的に発言していた。

 

「……ああ」

 

 畳に叩きつけられたらリュウの口から、そんな声が漏れる。

 その声に痛みや畳に叩きつけられた衝撃の類がないのは、リュウが上手い具合に受け身を取ったというのもあるが、それよりも綾子が畳に叩きつける直前に上手い具合にリュウの身体を引っ張り上げて、身体に与える衝撃を最小限にしたからというのが大きいのだろう。

 

「……強い、ですね」

 

 ハヤトが小さく呟く。

 綾子にも柔道の経験があるからこそ、ハヤトもその動きを見れば、綾子がどれだけの腕を持っているのかが分かる……といったところか。

 

「まぁ、綾子は元々武芸の類が得意だったからな。学生の時は、弓の腕前を鍛える為だけに、弓道部に入って、初心者だったにも関わらず、最終的には部活の部長を任されるくらいの技量になっていたらしいし」

 

 部長になるのは、実際には弓の腕よりも性格とかの方が重要なんだろうが……綾子の場合は、その両方で優れていた、というのを以前寝物語に凛から聞いた覚えがある。

 もっとも、その凛は凛で盛大な猫を被り、学生時代はミス・パーフェクトとか何とか言われていたって、こちらも綾子から寝物語で聞いた事があるのだが。

 そんな風に考えながら見ていると、柔道の試合というか訓練? はもう終わったらしい。

 リュウの指示により、メカニック達が畳をどこかに運んでいく。

 

「おーい、アクセル。畳の片付けはメカニック達に任せるから、パイロット組はそろそろ着替えて準備をするぞ! 気分転換もこの辺にしておこうや!」

 

 どうやら、リュウにとって今のは訓練というよりも気分転換だったらしい。

 いやまぁ、しっかりと練習をしていた訳ではないのだから、そう言われてもしょうがないのかもしれないが。

 

「分かった! ……ハヤトもそれでいいな?」

「問題ありません」

 

 少しだけ先程よりもすっきりした表情を浮かべたハヤトが頷く。

 とはいえ、これで完全にアムロへの対抗心とかが吹っ切れた訳でもないだろう。

 そもそもの話、俺がハヤトとしたのはあくまでも力についての話だ。

 その根底にあるのはアムロへの対抗心だろうから、全くの無意味って訳でもないんだろうけど。

 ともあれ、柔道をやっていた面々はそれぞれ更衣室に行って着替える。

 綾子も当然ながら女子更衣室に行って着替え、パイロットスーツ姿になった俺達はパイロットの控え室として使われている部屋に集まった。

 

「ん? アムロ、ガンダムの調整の方はもういいのか?」

「まぁ、大体は。月にいる間に、ディアナの人達から大まかには調整して貰いましたし。おかげで、今の調整はそこまで大変じゃなかったですから」

 

 そう言いながら、何らかの飲み物を飲むアムロ。

 無重力空間でも周囲に散らばったりしないように、ストロー付きの入れ物なので、何を飲んでいるのかというのは、外からは分からないが。

 

「そうか。お前の腕とガンダムの性能なら、よっぽどの事がない限りは問題ないと思うけど、油断はするなよ」

 

 ハヤトの事といい、自分でもこんなアドバイスをするのはらしくないと、思わないでもない。

 だが、セイラと初めて接触した時の事を考えれば、やはりアムロには出来るだけ強くなっていて欲しいと思うのは当然だろう。

 ハヤトも、正直なところそんな打算からの行動だ。

 既に原作が始まっているのは確実であり、そうである以上、アムロの友人……いや、知人か? ともあれ、そんな関係のハヤトやカイといった面々は、恐らく長い付き合いになる可能性が高い。

 であれば、シャアの行った小惑星落としにも関わってくるという可能性は十分にある。

 

「アクセルさんは、地球に下りたらホワイトベースを下りるんですよね?」

「そうだな。元々ハワイに行くのが目的だったからな」

 

 ハワイでギニアスが頑張っているアプサラス計画も、ゾックのおかげでかなり進展があったみたいだし。

 正直なところ、ゾックの動力炉は色々な意味でオーバースペックだよな。

 勿論、水中での運用を前提としているからこそ、というのもあるんだろうが。

 そういう意味では、アプサラスでもそのまま流用といった事が出来ないのは残念だ。

 

「ハワイ、ですか。……何でも、ルナ・ジオンの建国でかなり人が増えたらしいですね」

「HLVに乗って移住を希望する者が多いらしいからな」

 

 何しろ、未だにハワイの人口は増加中らしい。

 普通に考えれば、ハワイというのはあくまでも月に向かう途中の場所でしかない筈なのだが、ルナ・ジオンが治める事によって犯罪とかが大幅に減ったらしい。

 まぁ、量産型Wとコバッタ、バッタを結構な量派遣しているので、犯罪が少なくなるのは当然だろう。

 また、ルナ・ジオンの領土という事で、ジオン軍や連邦軍も攻撃をしてくる事はない……とは言わないが、他の地球上の場所に比べるとかなりマシだという事で、戦禍から逃れてやって来た者達の中でも、宇宙に行きたくないという者達はハワイに移住を希望しているんだとか。

 とはいえ、ハワイは結局のところ小さな島の集まりだ。

 その辺のところ、いずれ何とかしないといけないんだろうなぁ……

 そう思いながら、俺はアムロや他の面々と会話をするのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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