ガンキャノンの補給が完了し、俺は再度ホワイトベースから出撃した。
とはいえ、アムロとシャアがどこで戦っているのかが分からない以上、こちらとしてもどこを探せばいいのか分からなかったのだが……
『アクセル、MSの戦闘光と思しきものを見つけたわ。そっちに向かってちょうだい』
ホワイトベースのミナトからそう通信が入り、データが送られてくる。
にしても……なんだってミナトが通信を?
基本的にミナトは操舵士としてブリッジにいる筈だったのだが。
ミナトの様子を見る限り、嫌々やっていたといった様子でもなかったので、問題はないのだろうが。
「分かった。戦闘光があるって事は、まだアムロはやられてはいないな。急いで向かう」
そうミナトに通信を返し、ガンキャノンのスラスターを全開にして、指示のあった方に向かう。
そのまま十分程……1対1での戦い、それもシャアのようなエースパイロットの戦いともなれば、普通ならそこまで長引くといった事はない。
にも関わらず、アムロとシャアの戦いは俺がカイの助けに入る前に始まり、未だに続いている。
そうなると、長期戦になってるって事だが……何がどうなってそうなったのやら。
そんな風に思いながらガンキャノンを進めると、やがて視線の先には暗礁宙域が姿を現す。
俺が足止めのムサイ級と戦った暗礁宙域ではなく、また別の暗礁宙域だ。
月の周辺には重力の関係からか、こういう暗礁宙域が多かったりするんだよな。
この戦争が終わった後なら、月の人間が暗礁宙域から岩塊なりなんなりを運んできて、キブツ用にシャドウミラーに売るといった産業も考えられるんだろうが……それは将来の話だな。
「アムロ、聞こえているか? アムロ!」
幸いな事に、この辺にミノフスキー粒子は殆ど散布されていない。
であれば、ある程度距離があっても通信が繋がる。
そう思って通信を送ったのだが……
『アクセルさん!?』
予想通り、アムロからの通信が返ってきた。
「そっちの様子はどうだ? まだ余裕はあるか?」
『……推進剤や武器の残弾が……』
「だろうな」
アムロはパイロットとして優れた資質を持ってはいるが、それでもまだ新人なのだ。
ましてや、シャアのような強敵を相手にしているのを考えると、武器を節約しながら戦うなどといった真似が出来る筈もない。
そういう意味では、カイと同様によく頑張ったと言ってもいいだろう。
「で、シャアは?」
『それが……さっきビームライフルで狙った後は、全く。……隠れてるんだと思いますけど』
「シャアにしては珍しく消極的だな」
『多分、新しいMSに慣れてないんだと思います』
おい、ちょっと待て。
今、何て言った?
「新しいMS?」
シャアが使っていたのは、ザクのS型。
ザクの中で指揮官やエースパイロットが使う為に特別に開発された、F型の性能向上機だ。
俺が海兵隊にいた時にシーマが用意してくれたFS型も一応分類としてはF型の性能向上機という扱いになってはいるのだが、FS型は結局のところF型の簡易的な改修機という扱いでしかなく、それに比べるとS型はFS型とは比べものにならないくらい、根本的に改修されている。
ましてや、シャアのS型は普通のS型を更に改修したというのだから、そんなS型の代わりに乗る機体というのは……
「リックドムか?」
『え?』
俺の呟きに、アムロが戸惑ったような声を出す。
一応リックドムとかもそれなりに生産されている筈なんだが、ザクの数を考えると影が薄くなってしまうのはしょうがないのか。
「シャアの乗っていた新型機だ。ずんぐりむっくりとした機体じゃなかったか?」
微妙にドムの表現としては酷い気がしたが、厚い装甲もあって重MSという表現がドムには合う。
それだけに、ずんぐりむっくりという俺の表現も、そう間違ってはいない筈だ。
『いえ、スマートな感じのザクでしたけど』
「……ザク?」
S型と他のザクの見分けがアムロにつくのかと思わないでもなかったのだが、考えてみればアムロは元々機械好きとして有名だったし、ホワイトベースに来てからはMSの訓練とかもやっており、月にいた時も色々と勉強していたというのは知っている。
そう考えれば、シャアの乗っていたザクをS型ではなく他のザク……おい、まさか……
ふと、嫌な予感を覚える。
考えてみれば当然の話だが、S型よりも高性能のザクと言えば……それも宇宙で使っているとなれば、考えられる可能性は非常に少ない。
それは、高機動型ザク……いわゆる、R型だ。
問題なのは、果たしてR型はR型でも、どのバージョンなのかという事だ。
現在ジオン軍が所有しているR型は、R-1A型が一般的だ。
だが、リックドムとのコンペで用意されたR-2型。これは、コスト面でこそリックドムに負けたが、その性能はリックドムを上回っていた。
何より宇宙空間での戦いを前提に開発されただけに、宇宙での性能はS型をも上回る。
ただ、R-2型は俺が譲渡されたのを含めて合計5機しかなかった筈だ。
普通なら、そんな貴重な機体を渡すとは思えない。
思えないが……その機体を使うのがジオン軍のトップエースとして名高いシャアであれば、話は違ってくる可能性があった。
せめてもの救いは、R-1AであってもR-2であっても、ビーム兵器の類は使えない事か。
基本的にどちらの機体であっても、使用する武器はザクマシンガンがメインだ。
ザクバズーカも当然のように使えるが、このような暗礁宙域の中でも使えるかとなると……正直なところ、それは難しいだろう。
それを考えれば、シャアがアムロを倒すにはヒートホークを使うか、スペースデブリに砲弾がぶつからないようなすぐ近くでザクバズーカを使うか。
だからこそ、アムロとシャアの戦いはここまで長引いたのだろう。
もっとも、シャア以外の部隊はもうほぼ壊滅状態だ。
いつまでもシャアがここに残っているというのは、正直なところかなり疑問なんだが。
「ともあれ、話は分かった。幸いなことにシャアの攻撃でガンダムがダメージを受ける事はない……とは言わないが、その手段は限られている。それに、シャアが乗っているMSが俺の知っている新型のザクだとしたら、推進剤の消費がかなり激しい筈だ」
R型は、多少の改良はあっても高機動型である為に、推進剤の消耗が激しい。
実際にR型の初期、R-1型を普通のパイロットに使わせてみたところ、推進剤切れになった者が多数出たらしいし。
勿論、その辺はパイロットの技量である程度はどうとでもなる。
ましてや、そのパイロットが赤い彗星のシャアである以上、そう簡単に推進剤切れは起こさないだろう。
だが、どれだけ推進剤を消耗しないようにしても、結局は有限なのだ。
これが、シャドウミラーで使われているブラックホールエンジンでテスラ・ドライブを使う……といった事なら、推進剤切れの心配もなく、それこそパイロットが限界を迎えるまでは延々と戦い続ける事が出来るが、このUC世界においてはそのような技術がある筈もない。
そうである以上、今の状況は決して悪いものではなかった。
『そうなんですか? だったら、このまま時間を稼げば……』
「ガンダムの推進剤はどうなってるんだ?」
『出来るだけ節約してましたから、まだ少しは余裕があります。……ホワイトベースに戻る必要がありましたし』
「だろうな」
幾らシャアを撃退することが出来ても、ホワイトベースに帰還出来なければ意味がないしな。
「取りあえず、このミノフスキー粒子の濃度なら、シャアも俺がアムロの応援に来たのは知ってる筈だ。だとすれば、俺が何かをするよりも前にさっさと撤退する……という可能性も、ない訳じゃない。もっとも、出来れば倒してしまいたいけどな」
実際には倒す訳にはいかないのだが、取りあえずホワイトベースに乗っている身としては、そう返しておく。
もし本当に撃墜出来るチャンスがあっても、セイラの事を考えるとそんな真似は到底出来そうにないんだよな。
R型に乗ったシャアが暗礁宙域という場所にいるのだと考えれば、そう簡単に撃墜できるようなものではないのだが。
「推進剤が危ないアムロはここで暫く待ってろ。まだ余裕のある俺が暗礁宙域の中を動き回って、シャアを誘き寄せてみる」
『分かりました』
アムロが予想外に素直に頷いたのは、それなりに強がってはいたが、やはり推進剤の残りが少ないというのが効いていたからだろう。
あるいは、体力の残りが少なくなっているのか。
何だかんだと、1時間以上もシャアと戦うといった真似をしているのだ。
こうしてスペースデブリに隠れているような時間が多かったとしても、当然のようにアムロを精神的にも体力的にも消耗させていてもおかしくはない。
この戦いが終わったら、地球に到着するまでの間であってもある程度体力トレーニングをさせた方がいいかもしれないな。
「じゃあ、ここでじっとしてろよ。そうしていれば、多分シャアに見つかるような事はないだろうから」
そう言い、アムロの返事を待つことなく、暗礁宙域の中を進み始める。
大きな岩塊の類は回避し、小さい岩塊は取りあえず命中しても構わないといった感じで。
出来れば、シャアがガンキャノンを見てそのまま撤退してくれるというのが、こちらにとっては最善の選択なのは間違いないんだが。
ただ、シャアがこのガンキャノンを見てどう考えるか、だろうな。
俺が乗ってると判断すれば、そのまま撤退する可能性もある。だが、もしカイのガンキャノンだと判断すれば、ここで撃墜しようとして攻撃を仕掛けてきてもおかしくはない。
まぁ、シャアにしてみれば、俺がセイラを騙したという風に考えているらしいので、私情を優先するのなら逃げないで攻撃を仕掛けてくるという可能性も十分にあるが。
……普通ならそんな事はないだろうと思うのだが、以前戦った時の事を考えると、何だか普通にありそうなんだよな。
そんな風に考えながら暗礁宙域の中を進んでいると……
「っと! 本当に来たか!」
噂をすれば何とやら。
こちらに向かってきたザクバズーカの砲弾を察知すると、スラスターを使ってすぐにその場から退避しつつ、頭部バルカンを使って砲弾を撃破する。
暗礁宙域という場所で、小さな破片の類にも当たらないようにしてザクバズーカを撃ったのは、ジオン軍のトップエースだけの事はあるのだろう。
だが、それだけの実力があるのなら、今回の戦いでジオン軍が受けた被害を考えて、大人しく退却してくれれば、一番良かったんだが。
そんな俺の思いとは裏腹に、ザクバズーカの砲弾の爆発に紛れるようにして、シャアのザクが一気に間合いを詰めてくる。
微かにではあったが、爆発に紛れるようにして近づいて来たザクの姿を見る事が出来た。
あくまでも短時間だったので、はっきりとそう断言は出来ないが……恐らく、シャアが乗っているのはR型の中でも、R-1A型。
少数ではあっても量産された高機動型ザクだ。
その事に、少しだけ安堵する。
リックドムとのコンペの際に、エリオットが俺に渡したR-2型。
その性能は当然のように高く、それこそ純粋な機体性能ではガンダムに匹敵してもおかしくはない。……ビームライフルが使えない以上、当然のようにルナ・チタニウムの装甲を持っているガンダムやガンキャノンに被害を与えるのは難しいだろうが。
ともあれ、その高い機動力を活かし、こっちに近づいてくる真っ赤なR型に対し、ビームライフルを撃つ。
当たれば例えR型であっても1撃で撃破されてしまうだろうが、あのシャアにこっちの攻撃がまともに命中する筈がない。
実際、俺がビームライフルを構えた瞬間、こちらに近づいてきた動きから即座に移動し、MSを隠すのには十分なサイズの岩塊の後ろに移動したのだから。
当然俺もそれを黙ってみている筈もなく、低反動キャノンをその岩塊に撃ち込む。
そこまで距離がなかった為か、撃たれた砲弾はシャアが撃ったザクバズーカと同様、途中で細かな岩塊に当たったりするような事はなく、シャアが盾にした岩塊に命中し、破壊する。だが……
「いない、か」
周囲の視線を見るが、赤いR型の姿はどこにも存在しない。
あのシャアが、岩塊の後ろに隠れたとはいえ、ずっと同じ場所にいるというのは、ちょっと考えられなかったから、当然かもしれないが。
もし岩塊の後ろにいれば、それこそ今の低反動キャノンによって破壊された一撃で石礫による散弾の攻撃を受けていた筈だ。
ルナ・チタニウムならともかく、超硬スチール合金の装甲では被害も結構大きくなったと思う。
……動かず、その場で暫くシャアの姿を探すが……その後10分程が経過しても、シャアのR型が姿を現す事はなかった。
結果として、取りあえず撤退したのだろうと判断し、俺はアムロと共にホワイトベースへ帰還するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:305
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1449