ホワイトベースにある、士官室。
以前サイド7から移動した時に使っていた部屋のベッドで、俺は横になっていた。
ブライトからは、それこそ艦長室を使って欲しいと言われもしたのだが、今の俺はあくまでもホワイトベースのMSパイロットという立場だ。
それに、この部屋にそれなりに慣れているという事もあり、以前と同様にこの部屋を使わせて貰う事になった。
そもそも、艦長室というのは艦長が使うからこそ、艦長室なのだ。
ただでさえ、艦長という仕事は大変である以上、ブライトがゆっくり出来るだろう空間を奪う気はない。
というか、下手に俺が艦長室を使い、ブライトが他の部屋で安らぐ事が出来ずに体調を崩すといった事になってしまえば、本末転倒でしかない。
「にしても、リード……何気に結構使えるよな」
シーマからは無能とはっきり言われていたリードだったが、移動する際の航路の選定や、R型についての情報を持っていたりと、何気に結構有能なようにも見えてくる。
……もっとも、その代わりに自分の思い通りにならないとヒスを起こしたり、といった真似をするので、どうしても有能だと思うのは難しいのだが。
まぁ、何だかんだとあの年齢で大尉になっているのだから……ああ、でもシーマが言うには、強硬派の連中に擦り寄って、それで昇進したとか何とか言ってたような。
ともあれ、威張り散らすだけの無能ではなく、ある程度使えるけど威張り散らす……ん? これってもしかして無能だけど威張り散らすよりも質が悪くないか?
無能であれば、それこそリードが何を言っても無視すればいい。
だが、ある程度の有能さがあるとなると、それこそある程度は話を聞かなければならない訳で……
そう思うも、取りあえず大変なのはブリッジの面々、特に艦長のブライトだろうからという事で、気にしないでおく。
若い時の苦労は買ってでもしろって話は結構聞くし。
もっとも、そういう意味では俺もまだ若い……少なくても今の外見年齢は10代半ばだし、一番年上の外見になっても20代なんだから、十分に若いと言われる年齢なんだが。
ともあれ、ミナトがブリッジにいる以上、もしリードが何か勝手な事をしようとしても、一定以上のラインを超えればミナトがリードに口や……場合によっては手を出すと思う。
そんな風に考えていると、部屋の扉がノックされる音が聞こえてきた。
「入ってもいいぞ」
「失礼します。その、アクセルさん。食事を持ってきたんですけど……」
そう言って扉から顔を出したのは、フラウだった
「ああ、悪い。別に食堂の方に行っても良かったんだけどな」
以前は避難民が大量に乗っていた事もあり、俺が食事をするのは食堂ではなくこの部屋で、というのが多かった。
だが、今はもう避難民もいない以上、食堂が混んでいるという事はない。
いやまぁ、勿論本当に食事時という事になれば、ホワイトベースを運用している軍人や軍属といった者達が食堂に集まるので、そういう限られた時間帯なら混むだろうが……それだって、少し時間をずらしさえすれば、ゆっくりと食べる事が出来る。
「あれだけの戦いの後ですし、食堂まで行くのは疲れたかと思って」
「そうか、悪いな。……そう言えば、アムロの様子はもういいのか?」
ホワイトベースに戻ってきて、ガンダムから出た瞬間に意識を失ったアムロ。
それだけ消耗していたという事で、当然のようにアムロはそのまま真っ直ぐ医務室まで連れて行かれた。
この部屋の隣がアムロの部屋なのだが、そこにはまだアムロの気配はない。
だとすれば、恐らくまだ医務室のベッドで眠っているのは間違いない筈だった。
フラウの立場……いや、有り体に言って異性的な意味でアムロに好意を抱いているフラウにしてみれば、ホワイトベースの雑用とかをするよりも、アムロに付いていたいと思っても当然なのだから。
「はい。アムロもかなり疲れていて、寝ているだけだとお医者さんが言ってましたから。なら、ずっと一緒にいるよりも仕事をした方がいいと思って。両親にも、任された仕事はしっかりするようにと、そう言われましたし」
「……ああ」
その言葉で、そう言えばフラウの両親はフラウと一緒に避難民としてホワイトベースに乗っていたのだという事を思い出す。
「家族と別れてよかったのか? クレイドルは暮らしやすい場所なのは間違いないぞ。少なくてもコロニーと比べると税金とかはかなり安いし、食料とかも安く、新鮮で美味いしな」
避難民の中には、何故ここまで暮らしやすいのだと、不思議がる者も多かったらしい。
他にも、これだけ暮らしやすいのなら移住希望者を募った時に応募しておけばよかったと、そう言っている者も多いとか。
地球のすぐ近くにあるサイド7に住んでいた住人達ですらそう思うのだから、一般的なコロニーの生活がどれだけ苦しいものなのかは、容易に想像がつくだろう。
何よりも大きいのは、やはり連邦政府からやって来たコロニーの市長が税金を高くして、自分の懐に入れている事なのだろうが。
それによって、コロニーの住人の生活は厳しくなり、物価も上がってしまうのだから。
「はい。色々と相談したんですけど、最後には分かってくれました。……もっとも、あの子達までついてくるとは思いませんでしたけど」
あの子達というのが誰の事を言ってるのかというのは、それこそ考えるまでもなく明らかだ。
カツ、レツ、キッカ。
フラウに懐いている、あの3人の子供達だろう。
「ホワイトベースは危険だし、出来ればクレイドルに残って欲しかったんですけどね。両親が預かってもいいって言ってくれましたし」
そう言い、困ったように笑うフラウ。
それでいながら、フラウの表情にどこか嬉しさがあるのは、自分に対して懐いてくれている子供達が可愛いからか。
「それにしても、よくブライトが許したな。ブライトの生真面目な性格なら、子供を軍艦に乗せるのは許容出来ないと思うんだが」
あるいは、どうしようもない状況であれば……例えばクレイドルに寄らなかったりした場合は、ブライトも許容出来たかもしれない。
だが、実際にはクレイドルに寄って多くの避難民がホワイトベースを下りているのだ。
であれば、ブライトの性格を考えると許容出来ないと思うんだが。
それでもあの子供達をホワイトベースに乗せたのは……さて、一体どんな考えがあっての事やら。
「最初はブライト艦長も断ろうとしてたんですが……リード大尉が何かを言ったら、渋々と」
「……リードが?」
これはまた、意外。
とはいえ、リードは今までも色々と小さな問題を起こしてきている。
それを考えれば、納得出来ない訳ではない。
ただ……リードの考えが若干透けて見えるだけに、あまり良い気分はしないが。
そう、子供がいるとなれば、俺もホワイトベースを見捨てるといった事は簡単には出来ない。
勿論、向こうにとってそこまで深く考えた訳ではないのかもしれない。
だが、そういう風に受け取れる事は間違いない。
「はい。リード大尉のおかげというか、せいというか……」
苦笑を浮かべる様子を見せるフラウの様子に、何と答えるべきかを迷う。
勿論、リードが本当は何も考えておらず、ただ成り行きで……それこそ、階級も年齢も下のブライトに対する嫌がらせで、という可能性もあるのだが。
いや、寧ろそっちの可能性の方が高いような気すらする。
もっとも、困りながらも喜んでいるフラウにそんな事を言うのはどうかと思うのだが。
「取りあえず事情は分かった。今は、食事を楽しませて貰うよ」
アムロの事を心配しているだろうフラウだけに、ここで俺が時間を取らせると、それだけ医務室に行くのが遅れるだろうと判断し、食事を受け取るとそう告げる。
ただ、アムロの方はフラウの気持ちに気が付いているのか、いないのか。
正直なところ、微妙なんだよな。
アムロの方は、メリルや綾子といった大人の女に惹かれているように見えるし。
とはいえ、それで相手にされるかどうかとなれば、また別の話な訳で……
メリル辺りなら、それを知ってハニートラップをすれば、意外とあっさりとシャドウミラーの引き込めたようにも思える。
ああ、でも意外とニュータイプ能力を使って、その狙いを悟ったか?
「ありがとうございました。では」
小さく頭を下げ、フラウが部屋から出て行く。
こうして、俺の部屋には食事だけが残ったのだが……こうして配っているからだろう。食堂で出て来るプレートの食事ではなく、サンドイッチが入ったボックスだ。
これも、食堂の方で食べやすいようにと色々工夫してのものなのだろう。
折角なので、冷蔵庫の中から冷えたお茶を取り出してから、サンドイッチを食べ……少しだけ、驚く。
「へぇ、美味い」
これは別に、食堂で働いている者達を貶すつもりの言葉ではなく、純粋に食材が新鮮な事による驚きから出た言葉だ。
だが、少し考えれば、その理由は分かった。
ホワイトベースは、ルナツーで食料とかの補給は大量に貰っているし、それはクレイドルでも同様だ。
特にクレイドルでは農場から新鮮な野菜が出回るようになっているし、ホワイトスター経由で新鮮な肉や卵、魚介類といった様々な食材が安価に――UC世界のコロニーと比べると、だが――出回っている。
そういう意味では、ホワイトベースに新鮮な食材が大量に補給されたのは、おかしな話ではない。
そして料理の技量という点ではそれなりの腕を持つホワイトベースの料理人達は、その食材の味を十分に活かしてこの料理を作ったのだろう。
特に卵サンドが美味い。
普通に卵をみじん切りにしてマヨネーズや刻んだタマネギ、ピクルスと合わせただけの卵フィリングとレタスが一緒になってる、そこまで難しいサンドイッチという訳ではないのだが、やっぱり材料が新鮮だからこその味だろう。
勿論、料理人として細やかな仕事……辛子バターをパンに塗ってパンが湿気を帯びたりしないとか、そういうのもこの味に一役買ってるのは間違いない。
「美味い」
別に絶品という訳ではなく、それこそこれより美味いサンドイッチなら、今まで何度となく食べてはいる。
だが、これはそういうのとは別の意味で美味いと、素直にそう思う。
気が付けば、卵サンドの他にハムサンド、野菜サンドといった具合にバスケットの中に入っていたサンドイッチ1種類につき2つずつの合計6個を食い終わる。
最後にお茶で口の中を洗い流し、こうして俺の食事は終わった。
出来ればデザートか何かが欲しいところだが、今のホワイトベースの状況で贅沢は……と思ったら、バスケットの中に一口サイズのゼリーがあった。
市販品の、一口ずつ包装されている奴だが、それでも十分だ。
そのゼリーを食べ……これでようやく、本当の意味で食事が終わる。
「さて、後は……」
食事も終わった事だし、少し休憩するとしよう。
報告書は……起きてから書けばいいだろうし。
そう考え、俺はベッドの上に移動し、そのまま眠りに落ちるのだった。
「……ん?」
扉をノックする音で、目が覚める。
部屋の中にある時計に視線を向けると、どうやら1時間くらい眠っていたらしい。
「入っていいぞ、ミナト」
その声に、扉が開いてミナトが部屋の中に入ってくる。
「あら、分かっちゃったんだ」
「まぁ、ミナトだしな。その気配を察するくらいは出来るさ。それで、どうしたんだ?」
「用事がないと、恋人の部屋に来ちゃ駄目なの?」
少しだけ拗ねた表情を浮かべるミナトに、俺は首を横に振る。
「いや、別にそれは構わない。それこそ、ミナトならいつでも歓迎だよ。……ただ、今はホワイトベースの方でも色々と忙しいだろ。そんな中で来たんだから、俺に何か用事があったのかと思っても、おかしくはないと思うが?」
「まぁ、そうだけど……取りあえず、今は戦闘後の騒動も一段落したし、ホワイトベースは地球に向かってるわ。私は、ミライと交代して暇になったからアクセルの部屋に遊びにきたの」
「そういう意味なら、いつでも歓迎だよ」
そう言い、冷蔵庫からお茶を取り出してミナトに渡す。
ミナトはお茶を飲みながら、ふとテーブルの上にあるサンドイッチボックスに気が付く。
「あ、これフラウが配ってた奴でしょ。……手を出してないでしょうね?」
ミナトもサンドイッチを食べたのか、納得したように呟き……だが、すぐに疑惑の視線を俺に向けてくる。
「フラウに手を出す筈がないだろ。というか、手を出そうとしても、フラウの方からお断りされるよ。フラウが誰を好きなのかは、俺が教えるまでもないだろ」
ミナトは自分の恋愛にも、そして他人の恋愛にも興味津々だ。
だからこそ、フラウが誰を好きなのか……そして、誰の為にホワイトベースに残ったのか、その辺りはそれこそ俺が教えるまでもなく知ってる筈だった。
「それは勿論知ってるわよ? ……でも、アクセルの手管に掛かれば、あっさりと陥落しそうじゃない?」
「お前は、俺を何だと思ってるんだよ」
「10人以上の恋人と同棲して、毎晩のように熱い夜を楽しんでいる、横綱スケコマシでしょ?」
その言葉に俺は反論する事が出来ず、取りあえず話を逸らすのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:305
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1449