転生とらぶる   作:青竹(移住)

24 / 4298
0010話

 え? あれ? 何でキョウスケがここにいるんだ?

 いや、ここは士官学校なんだし、原作でもアクセルとキョウスケはそんなに歳が離れているように見えなかった。

 つまりは同年代って事で、それを考えればキョウスケが俺と同じジュネーブ士官学校にいてもおかしくはない、のか?

 原作でキョウスケとアクセルがライバルではあるけど、顔見知りじゃなかった理由は原作のアクセルは俺と違ってジュネーブ士官学校に入学しないで、他の士官学校なりなんなりで入隊してシャドウミラーに所属する事になった?

 ……うわ、もしかして俺ってば気が付かない所で思い切り原作ブレイクしてしまったんじゃ?

 混乱している間にも、キョウスケの説明は続いている。

 ただ、その説明は基本的に幼年学校卒業者は知っているような常識についての事だった。

 基本的に教官に指定された時間の10分前には到着して待機しているようにとか、外出届けとか外泊届けの出し方とか、その辺。

 

「さて、説明は大体これで終わりだな。それと、幼年学校主席のアクセル・アルマーというのは?」

 

 バリソンに背中を突かれ、ふと気が付く。

 どうやらお呼びが掛かったようだ。

 ……まさか、アインストに感染させられるなんて事は無いよな?

 

「はい、自分です」

「そうか。1年時のクラス代表は慣例的にそのクラスに所属している幼年学校の生徒で、一番成績の良かった者となる。つまり今年の1年の場合はお前という事だ。2年以降の代表は1年を通しての総合成績が1番良い者がなる」

「分かりました」

 

 内心びくびくものだったが、表情は変えずにやり過ごせた。

 

「連絡事項は以上だ。我々パイロットコースの上級生はお前達の入学を歓迎する」

 

 キョウスケは最後に敬礼をして、教室を出て行った。

 

「ふぅ」

「ん? どうしたんだ? さすがに幼年学校主席でも、上の学年の主席には緊張するものなのか?」

 

 バリソンがからかうように言ってくるが、それをやり返すだけの気力は現在残っていないので、軽く手を振るだけで答える。

 にしても、まさかここでキョウスケと出くわすとはな。正直驚きすぎて思わずスライムを出してそのまま襲わせる、なんていう考えも一瞬頭をよぎってしまった。

 

「……あれ?」

 

 よく考えてみる。

 そもそもキョウスケがアインストに感染するのは、士官学校卒業後で任地に移動中のシャトル事故だ。つまり、現在のキョウスケはこう言ってはなんだが至ってノーマルな普通の人間という事になる。

 つまり今のうちにキョウスケを殺すなりなんなりしてしまえば、アインストに感染する事も無くなり、結果的にベーオウルブズは結成されない。あるいは結成されても原作よりも弱体化するのは間違い無しとなる。

 

「行ける、か?」

 

 今のうちにキョウスケを殺してしまった時の利点は今まで考えた通りだ。

 次に考えるのは、キョウスケがいない場合の不利益になる点。

 これは簡単。俺の知ってる原作とは全く違う展開になってしまうので、転生者としての最大のアドバンテージである原作知識が使えなくなってしまう点だ。

 だから、例えばこのままキョウスケを殺してしまった場合はシャドウミラーの反乱の行方が分からなくなる。

 いや、正直俺の頭程度ではいくら凄腕揃いで高性能な機体を使用しているとは言え、所詮は1部隊でしかないシャドウミラーが連邦に対する反乱で勝利出来るとはとても思えない。

 某中将も『戦いは数だよ、兄貴』と言っている。

 まぁ、その数に対抗する為のWシリーズなんだろうが。

 つまりはどう考えても反乱は失敗する以上、原作知識を使えなくするのはやめておいた方がいいという事か。

 それにもしキョウスケがいなくて、アインストが他の誰かに感染してしまった場合は手に負えなくなる。現在の俺は、原作知識があるからこそキョウスケがアインストに感染されると分かってる訳で、キョウスケを殺してしまった場合のアインスト感染先の特定は極めて困難だ。

 

「結局は現状維持だな」

「何を考えていたのかは分からないが、もういいのか?」

 

 バリソンの声でふと我に返る。

 予想以上に考え事に熱中していたのか、既に教室には俺とバリソンを含めて数人しか残っていない。

 

「っと、悪い。待たせたな」

「いや、そうでもないさ。それにそういう台詞は恋人にでも言ってやったらどうだ?」

 

 一見して寡黙な男にしか見えないが、そんな冗談を口にする事も出来るらしい。

 にしても、恋人。恋人ねぇ。

 アクセルに転生した以上、やっぱりレモンとくっつくべきなのか。

 個人的には、ああいう大人で知的なタイプは好みなので全然問題無い。

 と言うか、むしろ大歓迎。

 ああ、じゃあそういう意味でもやっぱりキョウスケには原作通りにシャトル事故にあってもらわないといけないのか。

 確かシャトル事故で死んでしまったエクセレンをWナンバーズの基礎になった人造人間の技術で蘇生させたんだけど、エクセレンだった記憶が無いのがレモンだった筈だし。

 ま、それも結局は実際にレモンに会ってみないとどうにもならないけど。

 

「さて、じゃあ俺達も寮へと行くとするか」

「そうだな、これからよろしく主席さん」

 

 バリソンと2人連れだって、教室を出る。

 

「それで、寮の場所は知ってるか?」

「さぁ? 幼年学校出身とは言え、別に何でも知ってる訳じゃないんだ。入学案内書に書いてないか?」

「ん? ああ、書いてるな。結構近い。まあ、パイロットコースの寮だけにパイロットコース棟の近くにあるのは当然と言えば当然か」

 

 校舎から出て、徒歩10分もしないうちに寮が見えてくる。

 外見だけで言えば、それなりのものだ。

 少なくても、築30年の木造で隙間風が入ってくるなんて心配はなさそうだ。

 寮の前に置いてある機械に、パイロットコースの生徒である証のIDを通す。

 バリソンと共に寮の中に入ると、入り口の近くにある管理人室から初老の爺さんが出てきて明らかに手作りと思われる冊子を渡される。

 冊子のタイトルは『パイロットコースの寮則とかそんなの』

 ……いや、本当にタイトルに『そんなの』って書いてあるんだよ。

 誰だこれ作ったのは。明らかにやる気が感じないぞ。

 隣を見ると、バリソンも苦笑を浮かべながら冊子を見ている。

 

「玄関から入って、右側の階段を上れば男子寮。左側が女子寮だ。どっちも5階まであるけど男子寮と女子寮は繋がっていない。女子寮に行く為には1階を通らなきゃ駄目だが、原則として夜9時以降の移動は禁止になってるから気をつけるように。後はその本に書いてあるから読んでおく事。後、荷物はもう部屋に運ばれてるから」

 

 言いたいだけ言うとさっさと管理人室へと戻っていく。

 

「俺は405号室、アクセルは……207号室だな」

「207号室。つまりは2階か。毎朝階段を昇らなくて良いだけラッキーだな」

「取りあえず部屋に行こう。荷物の整理なんかもしたいしな」

 

 バリソンの言葉に頷き、右側の階段を昇っていく。

 これがゲームか何かなら、間違って左の階段を昇って女キャラとのフラグを立てるんだろうが。

 ……いや、スパロボはゲームか。

 

「なあ、バリソン。俺は右側の階段昇っていくからお前は左側の階段に行かないか?」

「断る。入学早々変態のレッテルを貼られるのは御免だ」

「それって、入学早々じゃなきゃいいのか?」

「くだらん揚げ足を取ってないで行くぞ。昼食は1400時まで大丈夫らしい。荷物の整理なんかも考えて、1300時でどうだ?」

「了解。じゃ、1300に食堂でな」

 

 右の階段を昇り、2階の踊り場でバリソンと別れて207号室へと向かう。

 

「なかなか広い部屋だな」

 

 207号室は、6畳程度の部屋で明らかに幼年学校の寮よりも広かった。

 部屋の中にはベッドとTV、エアコン、そして小さめの冷蔵庫がぽつんと置かれており、壁際には収納棚が設置されている。

 以前誰かが暮らしていたらしい痕跡はあるが、恐らく俺と入れ違いで卒業していった生徒のものだろう。ここで暮らしていればそのうち慣れる。

 

「さて、時間は1200ちょっと前か。なら時間は十分にあるな」

 

 PDAで時間を確認し、ベッドの上に倒れ込みつつ冊子を読む。

 寮則自体は幼年学校の時とそれ程変わらないが、いくつか違う点もある。

 まず、基本的に士官学校からの無断外出は禁止で最低3日前に外出届なり外泊届けを出さないと許可を貰えないとか。変わった点では購買部での買い物には現金や電子マネーの利用も可能だがツケも可能らしい。もっとも、そのツケは給料から差っ引かれるらしいが。

 寮の構造は地下にトレーニングルーム、1階に食堂と休憩室、会議室があるらしい。

 で、2~5階は寮になっていると。

 食堂での食費はもちろん無料。また、食材を持ち込めば自分で調理も可能らしい。

 朝食が0530~0730。昼食が1100~1400、夕食が1700~2000。

 ただし、前もって話しておけば取り置きもしてくれるらしい。

 士官学校内で生活している分には門限等は無いが、外出している場合は2200が門限となる。

 寮則やらなにやらを確認していると、いつの間にか約束の時間5分前になっていた。

 

「最初から遅刻する訳にもいかないし行くとするかね」

 

 PDAをポケットに入れ、部屋を出て1階に降りると丁度バリソンの姿を発見したので声を掛ける。

 

「よ、時間に正確なのはいい事だな」

「そうだな」

 

 頷くだけのバリソンと共に食堂へと向かう。

 ちなみに昼食はおかわりし放題の数種類のパスタだった。

 ……味はまぁ、それなり。




名前:アクセル・アルマー
LV:7
PP:10
格闘:134
射撃:152
技量:144
防御:141
回避:169
命中:191
SP:198
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。