転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2317話

「……は?」

 

 その話を聞いた時、俺の口から出たのはそんな間の抜けた声だった。

 現在地球に向かっているホワイトベースの中で、時には訓練をし、時には食事をし、時にはお喋りをし……また、これは本当に限られた者だったが、時には部屋の中で恋人とイチャつく。

 そんな風にしながら食堂で食事をしていた時、リュウから聞いたのがその話だった。

 即ち、サイド3からそう遠くない場所で、連邦軍とジオン軍による小規模な戦闘があった、と。

 そもそも、その連邦軍ってのは一体どこから出て来たんだ?

 ルナツーに関しては、現在連邦軍と月の間で引き渡し交渉が行われている以上、現在まだルナ・ジオン軍が占領している状況だ。

 つまり、実質的に宇宙における連邦軍の大規模な軍事拠点はない。

 なのに、何故か連邦軍は戦力を用意しており、小規模ながらジオン軍と戦うってのは……

 いや、それだけならそこまで驚くべき事ではなかったのだが、その小規模な戦闘で連邦軍が勝利を収めたとなれば、更に話は変わってくる。

 

「それって、連邦軍の情報戦とかそういうのじゃなくて、本当に真面目な話か?」

「どうやらそうらしい」

 

 俺の言葉に頷いたリュウだったが、そのリュウ本人も自分の言葉が信じられない様子を見せていた。

 

「……なら、その連邦軍はどこからやって来たんだ? ルナツーは今はルナ・ジオン軍に占拠されているし、サイド7は……言うまでもないだろ?」

 

 元々ホワイトベースはサイド7にいたのだから、ジオン軍の攻撃でどれだけの被害を受けたのかというのは、これ以上ないくらいに理解している。

 そんな状況で、どこから小規模とはいえジオン軍と戦うだけの戦力を用意したのか。

 純粋にそれが分からない。

 サイド7からずっと俺と行動を共にしていたリュウも、その辺の情報は分からないらしく、首を横に振るだけだ。

 

「分からん。ただ、考えられるとすれば……コロニーに残っていた戦力を集結したのか……いや、それだって戦力的には……」

 

 リュウが迷ったように呟く。

 実際にそこにはリュウの立場ではどうしようもない謎があるのだろう。

 

「ともあれ、どこから戦力を用意したのかはともかく、連邦軍が勝利したってのは間違いないんだろ? なら、取りあえず喜んでもいいんじゃないか? それに、シャアの部隊との戦いに引き続いて連邦軍に負けたんなら、こっちに向ける追っ手の戦力も少なくなるかもしれないし」

 

 実際のところ、それは非常に助かる。

 ホワイトベースという新型艦を相手にしたとはいえ、ジオン軍はちょっと有り得ないくらいの被害を受けた。

 それに続いて、連邦軍との遭遇戦――なのかどうかは分からないが――に負けたとなると、ジオン軍は今よりも更に戦力の余裕はなくなっている筈だった。

 

「うーん、それはそうなんだけど……」

「そもそも、その情報は一体どこから流れてきたんだ?」

「ブライトが……いや、正確にはリード大尉が知り合いと通信をして情報収集をした時に、らしい」

「リードか……」

 

 相変わらず、あの男は有能なのか無能なのか、判断に困るところだな。

 普段の態度を見ている限りでは、間違いなく無能なのに。それこそ、酒を飲んで酔っ払っているところとか。

 だが、時々妙に鋭い意見を言ったり、今回のように本来なら知られていないだろう情報を集めて来たりといった具合で、正直なところ、どう判断したらいいのか分からない。

 いっそ、リードの集めてきた情報だから、実は出鱈目だった……とか、そういう風に言えたら、それはそれで助かるんだが。

 

「一応聞くけど、それは何らかの聞き間違いとか、リードの妄想とか、もしくは単純に連邦軍のプロバガンダとか、そういう事はないよな?」

「ああ、どうやら本当らしい。リード大尉が自信たっぷりに言っていた」

 

 リードが自信たっぷりに言っていたからって、それが真実であるという事の証拠にはならないと思うんだが……まぁ、いい。

 

「連邦軍が勝ったとして……でも、結局のところは小規模な戦いでしかないんだろ?」

 

 動揺しているリュウを落ち着かせる意味でも、そう言っておく。

 いや、実際にその戦いが具体的にどれくらいの規模だったのかまでは分からないのだが。

 ただ、それでもリードが小規模と言っていたとなると……下手をすると、それこそザクが1機にセイバーフィッシュ数機が遭遇して、という可能性もない訳ではない。

 

「うーん……まぁ、そうだな。ジオン軍の戦力を減らしたって意味でなら、評価してもいいんだろうけど。ただ、ジオン軍はオデッサを占領しているから、今では資源に困ってないんだよな。……どこぞの勢力が資源を売ってるって話も聞くし」

 

 ジュースを飲みながら、リュウがジト目をこちらに向けてくる。

 まぁ、自軍と敵対している国に資源を売ってるんだから、そんな風に思ってもおかしくはないか。とはいえ……

 

「資源を売ってるって意味なら、連邦軍にも売ってるぞ。それこそ、ジオン軍よりも安くな」

 

 本来なら、地球のハワイまで運んでそれを連邦軍に売ってるんだから、輸送費を考えればジオン軍よりも割高になってもおかしくはない。

 それをジオン軍よりも安く売ってるんだから、感謝されても責められる謂われはないと思うんだが。

 とはいえ、その辺りの事情を詳しく知ってるのは連邦軍や連邦政府の上層部であって、リュウのように前線に出て来る下士官がその辺の事情を知っているのかどうかは……正直、微妙なところではある。

 下士官というのは意外な繋がりを持っていたりして、その繋がりから思いも寄らない情報を入手するといった事もあるので、あるいはリュウもその辺の事情について知っていてもおかしくはない。

 

「それはともかくとして……」

 

 リュウがそう告げ、話題を変える。

 

「このまま、無事に地球まで辿り着けると思うか?」

「あー……どうだろうな。ホワイトベースの速度はかなりのものだし、シャア達も前回の戦いで結構な被害を受けた。そこに続いて小規模な戦いとはいえ、連邦軍の勝利だろ? 普通なら、改めてこっちに手を出す予定はないんだろうが……」

「シャアは普通じゃない、と」

 

 俺の言葉に続けるようにして、リュウがそう告げる。

 そうなんだよな。普通ならしない。

 だが、それをやるのが、普通ではない能力を持つシャアらしいところだ。

 

「ああ。恐らく、最低でももう1度……場合によっては2度くらいは襲撃があると考えておいた方がいいだろうな。特に危ないのは、地球に降下する寸前だ。シャアにしてみれば、上手くやった場合あまり労力を使わないままで、ホワイトベースやその搭載MSを破壊出来るかもしれないんだからな」

「……嘘だろ? それ、下手をすればシャア達だって死ぬ可能性があるじゃないか」

「そうだな。ハイリスク・ハイリターンって奴だ。シャアなら、そのくらいはやってもおかしくはない。それに……この世界じゃないが、他の世界で同じような事をやられた経験がある」

「お前って……」

 

 リュウが信じられないといった様子で視線を俺に向けてくる。

 まぁ、自分達が陥っているような状況を既に経験済みともなれば、そんな風に思ってもおかしくはないか。

 

「だからこそ、ブライトも、そして出撃するだろう俺達……俺とアムロ、カイの3人も、大気圏に突入する時の訓練をシミュレータでやればいいと思うんだが……ないんだよな、そういうデータが」

 

 まぁ、それも当然だろう。

 連邦軍では、MSそのものがまだ開発されたばかりの兵器である以上、まさか大気圏に突入するかどうかという場所でのMS戦があるとは、思ってもいないだろうし。

 一応メカニック達が弄れば、多少は似たような状況設定になるかもしれないが、下手な設定で慣れていたりした場合、いざという時にそれに引きずられて大きなミスになりかねないという問題もある。

 ……そういう点では、ホワイトベースの甲板を移動するガンタンクは、そこまで苦労しなくてもいいんだよな。

 

「うーむ。……正直なところ、それをどうにかするのは難しいだろうな。メカニック達だって、MSのメンテナンスとかでかなり忙しいし」

 

 リュウのその言葉も分からないではない。

 何しろ、MSが6機もあるのに、メカニックの数がどうしても足りないのだ。

 いや、寧ろ今の状況でどうにかしてるのが凄いと思う。

 ……この辺もSEED世界と似た感じだが、向こうの世界ではアークエンジェルに搭載されていたのは、ストライクとブリッツの2機とムウのメビウス・ゼロ、もしくはスカイグラスパーだけだったからな。

 ああ、でもスカイグラスパーが実は2機だった事を考えると……まぁ、それでもこの世界よりはメカニックの負担は少なかったと思うが。

 

「ともあれ、ジオン軍がどう動くにしても、ホワイトベースのやるべき事は変わらないんだ。……地球の軌道上を占拠している戦力とかに見つからないようにして、そしてシャアにも見つからないようにして地球に降下する。それだけだろ」

「言うは易しって奴だな。アクセルの言う通り、そう簡単に出来たら戦争も楽に勝てるんだろうけどな」

 

 リュウが憂鬱そうに、そう告げる。

 パイロットの中では、ジョブと並んで唯一の正規の軍人だけに、やっぱり現在のホワイトベースの状況に色々と思う所はあるのだろうが。

 とはいえ、それを今更言ったところで、あまり意味はないと思うんだが。

 そうして悩むリュウを置いて、俺は食堂から出るのだった。

 

 

 

 

 

「あら、アクセル」

 

 そう声を掛けられたのは、ホワイトベースにある部屋に向かおうとしていた時だった。

 俺に声を掛けてきたのは、ミナト。

 ただし、ミナトだけではなくミライの姿もそこにはある。

 

「珍しい組み合わせ……って訳じゃないか。けど、操舵士の2人が揃って通路にいるってのは、ちょっと珍しいんじゃないか?」

「大丈夫よ。今は特に何も問題がないから、素人でも少し動かし方を知ってれば問題なく動かせるわ。寧ろ、地球に降下した後の事を考えれば、その辺にも少しは慣れて貰う必要があるし」

「あー……うん。そうだな」

 

 地球に降下して、俺達がホワイトベースからいなくなったら、当然ながら操舵士はミライだけになる。

 他のブリッジ要員もそうだが、特に操舵士というのはホワイトベースを直接動かすという意味で、そして何より敵の攻撃を咄嗟に回避したりする必要があるので、かなり重要な仕事だ。

 ……それをミナトはともかく、ミライのような素人がやらなければいけないというのが、現在のホワイトベースの苦しいところだ。

 ここにノイマン辺りがいれば、ホワイトベースでもバレルロールをやったりするんだろうけど……ミライに、そこまでの事を期待は出来ないだろう。

 ミナトなら、もしかしてその辺も出来るかもしれないが。

 

「それで、結局2人揃って何をしてるんだ?」

「ちょっと世間話をね。……ねぇ?」

「……え、ええ」

 

 ミナトに尋ねられたミライは、頬を……どころか、顔全体を見て分かる程に赤くしながら、そう答える。

 ミナトと一体どんな話をしていたのかが気になるが……この様子を見ると、それは何も聞かない方がいいのだろう。

 

「取りあえず程々にな。それに、いざって時にブリッジにきちんとした操舵士がいないと、色々と不味いだろうし」

「あのねぇ、アクセルがそういう事を言うと現実になりそうだから、出来れば止めて欲しいんだけど?」

 

 俺の言葉が不満だったのか、ミナトがそう言ってくる。

 ……実際に俺が色々と動き回っているとトラブルに巻き込まれたりするトラブル誘因体質とでも言うべき体質である以上、ミナトの言ってる事は決して間違ってる訳ではないが。

 

「前回の戦いでも勝ったんだから、大抵の相手ならどうにか出来るとは思うけどな」

 

 アムロはともかく、カイもこの前の戦いを経験した事によって、かなり成長している。

 何だかんだと、MSの操縦センスの類は凄いんだよな。

 あの皮肉屋の性格から、あまりそうは思えないけど。

 

「それは分かってるわ。けど、やっぱり戦いはない方がいいのは間違いないでしょ?」

「……それをジオン軍が許してくれれば、だけどな」

「ふふふ」

 

 そんな俺とミナトのやり取りを見ていたミライの口から、何故か笑い声が上がる。

 

「どうした?」

「いえ、2人のやり取りが凄く自然で。そうしたら、少し羨ましいと思ったのよ」

「……羨ましい、ねぇ」

 

 男から、ミナトのような美人と一緒にいることを羨ましがられる事は多いが、ミライのような女に羨ましがられるというのは、俺にとってもちょっと予想外だった。

 

「ふふっ、まぁ、アクセルと一緒にいると、色々と面白いのは間違いないわ。ねぇ?」

 

 ミナトが何故か少しだけ自慢げにしながら俺に聞いてくるが、この場合は一体どう答えるのが正解なのやら。

 そんな風に思いつつ、俺は取りあえず頷いておくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:305
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1449

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