カタパルトデッキから射出されたガンキャノンに乗った俺は、当然のように真っ直ぐムサイ級がいる方に向かって進む。
ホワイトベースに戻るまでの時間、戦闘可能時間が5分である以上、出来るだけ早く敵を倒す必要があった為だ。
ガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、そしてホワイトベース。
それらの援護を受けているとはいえ、悠長に時間を掛けていられる暇はない。
「っと」
時間を掛けられないのは、ジオン軍も同様なのだろう。
ムサイ級から発射されたザクが、次々とこちらに向かってザクマシンガンやザクバズーカを使った攻撃をしてくる。
いや、数がホワイトベースで聞いたよりも多い? ちっ、こっちが戦闘準備を始めたのを見て、更に追加で出撃してきたのか!?
こちらで把握出来るMSの数は、合計14機。
ホワイトベースから出撃する前に聞いていたのは12機だったから、2機増えていることになる。
そんな中で一際俺の目を惹いたのは……明らかに他のザクとは違う動きをしているザク。
そう、それは暗礁宙域の中でシャアが乗っていた、R-1A型の高機動型ザク。
シャアがいるとは思っていたが、それでもこのような危険な状況の中でシャア本人が出て来るとは思わなかった。
今回のような戦闘では、それこそムサイ級で指揮に専念していてもおかしくはない。
……いや、このような状況であっても、自分から戦場に出るからこそ、シャアはジオン軍のトップエースとして知られているのだろう。
「シャアが出て来た! シャアの相手をしながら他のMSを迎撃するけど、何機かは後ろに通してしまうかもしれないから、気をつけろ!」
ホワイトベースやその近くで待機しているアムロとカイに告げると、シャアの注意をこっちに引き付ける為に低反動キャノンを撃つ。
きちんと狙った訳でもないのだが、ステータスの命中の数値と、これまでの経験からだろう。
低反動キャノンから放たれた砲弾は、その全てがきちんとシャアのいる方に向かう。
とはいえ、シャアも自分が狙われているのは気が付いていたのか、R-1A型の特性たる運動性と機動性を活かして自分に向かってくる砲弾を回避する。
何が驚いたのかといえば、砲弾を回避するその動きが、前に出るというものだった事だろう。
つまり、俺との間合いを詰めながら攻撃を回避したのだ。
さすが赤い彗星と褒めるべきか。
こちらに効果はないと分かっているのだろうが、シャアはザクマシンガンを連射しながら、こちらとの間合いを詰めてくる。
もっとも、ザクマシンガンの連射も全く何の意味もない訳ではない。
低反動キャノンの砲弾も、ザクマシンガンが命中すれば、そこで爆発するのだから。
シャアもそれを狙っているのだろう。
ましてや機体の動きからか、このガンキャノンには俺が乗っているというのがシャアには分かっているらしい。
他のザクを置き去りにし、真っ直ぐこっちに向かって進んでくる。
それこそ他は何も見えないといったような、そんな様子で。
もっとも、シャアのその行動は理解出来ない訳ではない。
自分と互角に戦える……つまり、連邦軍にも赤い彗星がいると言ってもいいような状況でその戦力を放っておけば、それはジオン軍に大きな被害を与えるのは間違いない。
そのような表向きの理由以外にも、セイラの件で俺に言いたい事があるのだろう。
とはいえ、それはこちらにとっても同様だ。
同様ではあるのだが……このような状況の中で、シャアを鹵獲するというのは色々と不味い。
それこそ下手をすれば大気圏突入の際に殺してしまう可能性もあるし、ホワイトベースに連れ帰っても、連邦軍が所有権を主張するだろう。
ましてや、ホワイトベースはジャブローに向けて降下しようとしている以上、ここでシャアを鹵獲するというのは、避けた方が良いのは間違いない。
「っと!」
シャアに向けて……ではなく、シャアの後方から迫ってくるザクに向けてビームライフルを撃つ。
真っ直ぐに伸びたビームは、撃った次の瞬間にはシャアの後ろ……それもかなり離れた距離にいたザクを貫き、爆散させる。
まず1機。
続けて、2射、3射し、2機目、3機目のMSを撃破していく。
これで残り11機。
にしても、1機目をビームライフルで撃墜された状況からの反応が妙に鈍いな。
それこそ、ルナ・ジオン軍のMSパイロットなら、1機目が撃破された時点で散開するなりなんなりとするのだが、今回襲ってきたジオン軍は、最初に仲間が撃破された時、数秒とはいえ呆然としてしまった。
結果として、ビームライフルの連射を食らい、2機もMSが撃破されてしまった訳だ。
……もしかして、新兵を連れて来たのか?
シャアが近づいてくるのを見ながら、そう考える。
ジオン軍のMSも、別に無敵の兵器という訳ではない。
実際、1週間戦争やルウム戦役において、MSは相応の数が撃破されている。
また、現在の主戦場は地球であり、腕の立つパイロットは地球に回される可能性が高い。
そう考えれば、それこそ士官学校を卒業したばかりの新兵だったり、場合によってはMSの操縦適性によって士官学校を繰り上げ卒業した……といった新米パイロットがシャアの援軍として回されてきてもおかしくはない。
いや、そこまで酷くなくても、ベテランと呼ぶには難しいだろうパイロットが回されたという可能性もある。
ともあれ、本格的にシャアとの戦闘が始まるよりも前に、ザクを3機撃破出来たのは美味しい。
「っと!」
ザクマシンガンを放り投げ、ヒートホークを手に突っ込んでくるシャア。
ルナ・チタニウムの装甲にダメージを与えるには、ヒートホークかザクバズーカが必要なのだが、シャアのR-1A型は最初からヒートホークだけで、ザクバズーカを手にしている様子はない。
ザクバズーカでは、俺に命中させることが出来ないと、そう判断しての行動なのだろう。
その判断は正しい。
ガンダムよりは劣っているが、それでもガンキャノンは運動性や機動性がそれなりに高い。
ましてや、シャアが低反動キャノンの砲弾をザクマシンガンで迎撃したように、ザクバズーカの砲弾を頭部バルカンで迎撃するといった真似も可能だ。
シャアも、当然のようにその辺を理解しての行動だろうが……
「近接戦闘になると、こっちが不利なんだよな!」
格闘は出来るものの、ビームサーベルを使うといった真似が出来ないのは痛い。
そんな訳で、ヒートホークが振り下ろされる寸前に、手を伸ばしてザクの腕を掴む。
幾らシャアが凄腕のMSパイロットであっても、MSの性能以上の動きは出来ない。
……その辺は、MSの性能が上がっていけば、また話は別なんだろうが。
ともあれ、そんな感じでR-1A型の動きを止め……そして、接触したのを好機と、接触回線で通信を送る。
「まさか、こんな場所で攻めてくるとは思わなかったな。自殺願望でもあるのか?」
『やはり、この声は……アクセル・アルマーか!』
「俺だと分かっていた上で、攻撃を仕掛けてきたんだろう? なら、そこまで驚く事もないと思うが……なっ!」
その言葉と同時に、低反動キャノンを撃つ。
もっとも、その狙いはシャアのR-1A型ではなく、動きを止めたシャアに追いつこうとしていたザクの方だったが。
さすがに両肩の低反動キャノンで2機同時に撃破……とはいかなかったが、それでも1機は核融合炉を撃ち抜かれて爆散し、もう1機は右肩を吹き飛ばされて戦闘力は大きく減った。
『貴様っ!』
接触回線を通して聞こえてくる、シャアの怒りの声。
自分の相手をしながらも、俺がシャアの部下達を撃破したのが面白くなかったのだろう。
とはいえ、俺としてはザクをそのまま通す訳にはいかない以上、この行動は当然の事だったのだが。
「悪いな。ホワイトベースをやらせる訳にはいかないんだよ」
当然の話だが、シャアは本気でホワイトベースを沈めにきている。
ホワイトベースにセイラが乗っていたりすれば、もしかしたら手加減をしたのかもしれないが。
恐らく、原作ではそんな流れだったんだろう。
「それより、シャア。以前も聞いたが、何故月に来ない? セイラが……お前の妹が、お前を待ってるぞ」
ヒートホークを構えたR-1A型の腕を押さえつつ、接触回線で尋ねる。
『私には、やらなければならないことがある!』
シャアの怒声とも呼ぶ声が、ガンキャノンのコックピットに響く。
やらなければならない事? と一瞬疑問に思うが、シャアとセイラのこれまでを思えば、それが何なのかは容易に想像出来る。
それに、セイラが言うにはシャアに帝王学を教えたラルの父親、ジンバ・ラルはザビ家を恨むよう、一種の洗脳に近い形で教育をしたらしいしな。
「ザビ家への復讐が、妹の助けになるよりも大事か!」
叫びつつ、再度低反動キャノンを発射。
次第にこちらに近づいてきていたザクのうちの1機が、脚部を破壊される。
核融合炉が破壊されるといったことはなかったが、脚部を破壊されればAMBACが上手く働かない以上、戦闘に参加するのは難しい。
であれば、そのまま戦わず母艦のムサイ級に戻るのは確実だろう。
『貴様に何が分かるっ!』
「少なくても、お前が妹を見捨てている、というのは分かるぞ」
ヒートホークではこれ以上ガンキャノンを押し込めないと判断したのだろう。
シャアはスラスターを使い、腕を掴まれたまま強引にこちらに蹴りを放ってくる。
その一撃は、かなり高度な技量がないと出来ないものだ。
何しろ、下手にここでバランスを崩せば、ガンキャノンが掴んでいる腕に強い負担が掛かり、腕が損傷する可能性すらあったのだから。
そういう意味では、やはりシャアのMSの操縦センスというのは非常に高いのだろう。
もっとも、そうでなければジオン軍の中でもここまで頭角を現すといった事は出来ないのだろうが。
『ふざけるなっ! これは、アルテイシアの為でもある!』
「冗談も程々にしろ、よ!」
低反動キャノンではなく、ヒートホークを持っている手を押さえつけていたのとは反対の手に持っていたビームライフルで射撃。
1機のザク……だけではなく、その後ろにいたザクを含め、2機纏めて撃破する。
『おのれっ!』
再び部下が殺された事に苛立ったのか、接触回線からシャアの怒りに燃えた声が聞こえてくる。
それでも、このままの状況ではどうしようもないと判断したのか、R-1A型はガンキャノンに抑えられていた右手で握っていたヒートホークを放り投げ、それを左手でキャッチすると、そのままこちらに向かって振り下ろしてくる。
相手の左手を押さえるのは、難しい話ではない。
だが、そうなるとビームライフルを放り出してその攻撃を受けるしかなく、そうなると最悪ガンキャノンの持っているビームライフルをジオン軍に奪われる可能性もあった。
ガンダムの持つビームライフルよりも取り回しが悪いとはいえ、性能はこちらの方が上だ。
そうである以上、これを奪われるといった真似は可能な限り避けたいと思うのは当然だった。
「しょうがないっ!」
このまま押さえつけておくのは無理と判断し、頭部バルカンを発射しながらR-1A型から距離を取る。
最初は離れるようなことはなく、ヒートホークを振り下ろそうとしていたシャアだったが、頭部バルカンの威力はそこそこ強力だ。
ルナ・チタニウム製の装甲であれば、全く問題がないだろう。
だが、ザクの場合は下手をすれば……当たり所が悪ければ、頭部バルカンでも損傷してしまいかねない。
それは逆に言えば、当たり所が良ければ問題なく行動出来るという事ではあるのだが。
ともあれ、こっちとの間合いを詰めようとしたR-1A型は、頭部バルカンを発射したと思った瞬間にはAMBACとスラスターを使ってこちらの攻撃を回避し、距離を取る。
だが……今の状況で、俺から距離を取るというのは、果たして正解かな?
距離を取った事により、俺はガンキャノンを自由に動かす事が出来るようになった。
こちらの戦闘に巻き込まれないようにだろう。遠回りをしながらも、ホワイトベースに向かうザクに向けてビームライフルと低反動キャノンを構え……ちっ!
シャアからの指示なのか、それともムサイ級の艦長達が自分で判断したのかは分からないが、3隻のムサイ級が揃ってこちらにメガ粒子砲とミサイルを一斉に発射したのだ。
ルナ・チタニウムの装甲は、物理攻撃に強い耐性を持っているが、それでもPS装甲程ではない。
ザクバズーカの一撃でルナ・チタニウムの装甲が破壊される以上、それ以上の破壊力を持つミサイルを食らえばどうなるのか、それは考えるまでもないだろう。
ましてや、メガ粒子砲ともなれば言うまでもない。
何だかんだと、このUC世界においてメガ粒子砲というのは極めて強力な威力を持つ武器であり、唯一絶対の矛でもある。……少なくても、今の状況では、の話だが。
ガンキャノンが撃破されても、俺が死ぬという事はない。
ないが……だからといって、回避出来る攻撃を受けてガンキャノンという貴重な連邦軍のMSを破壊してもいいのかと言われれば、やはり答えは否だ。
俺はスラスターを使ってムサイから放たれた何条ものメガ粒子砲を回避し……
「悪い、ホワイトベース。そっちにMSを何機か通した!」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:335
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1454