「傍受した通信によると、サンディエゴからフェニックスにかけてかなり分厚くジオン軍が防衛線を敷いています。その戦力によって、連邦軍の部隊は湾岸からカリフォルニア半島へ押し出されて……全面退却は時間の問題ですね」
取りあえずホワイトベースが周囲から見つかりにくい場所に身を潜める事に成功して数日、主要なメンバーが集まってブリッジで現状の確認をしていた。
ちなみにカリフォルニア半島というのは、メキシコと平行するように存在している、細長い半島だ。
……一応連邦軍の方でもMSの運用を始めているという話だったんだが、やはりMSを運用するとういう意味ではジオン軍の方に一日の長がある、といったところか。
「ガンダムを出撃させろ! 前の戦いの時のような強さを発揮すれば、何とか敵の防衛線を突破出来る可能性もある!」
「無茶を言わないで下さい、リード大尉! 今のガンダムは、ランドセルを始めとして諸々が故障しており、ろくに戦闘出来るような状態ではありません!」
リードがガンダムに頼りたい気持ちは分かる。
実際、あの戦いでのアムロの活躍は獅子奮迅と呼ぶに相応しいものだったのだから。
だが、結果として調子の悪いガンダムに無茶をさせた事により、機体のダメージはかなり大きい。
極限状態だったアムロも精神的にかなり消耗したらしく、戦いが終わった後は部屋で疲れ切って眠っていた。
あの戦いから数日経った今でこそ起き上がれるようになってはいるが、半ば燃えつき症候群的な感じになっている。……いや、燃えつき症候群とは違うか?
ともあれそんな状況である以上、リードが言うようにアムロだけでどうにかしろというのは、無茶がすぎる。
「ぐっ……」
リード本人もそれが分かってはいるのだろうが、それでもやはり今いる場所からそう遠くない場所にジャブローが、連邦軍の本拠地があるというのが、リードの目を曇らせているのだろう。
いや、普段から曇りまくっていると言われれば、間違いなくその通りではあるのだが。
ただ、シーマが言っていたように本当に無能だという訳ではなく、時々ではあるが鋭い指摘をする事もあるんだよな。
常にその状態でいて欲しいと思うのは、決して俺だけではない筈だ。
「ともあれ、やっぱりレジスタンスと連絡を取って、少しでも補修部品を手に入れる必要があるな」
そう告げるが、問題なのはどうやってレジスタンスと接触するのかという事か。
ルルーやメリルといったような諜報の訓練を受けた者なら、その辺りの事情も理解出来て、どうにかレジスタンスと接触する事も出来るだろう。
だが、このホワイトベースにはそういう諜報について訓練を受けた軍人はいない。
いや、もしかしたら当初はいたのかもしれないが、サイド7に対するシャアの攻撃により、そのような人物はいなくなったのかもしれないのか。
であれば、当然のようにレジスタンスと接触するのは難しい。
「それでも、今の状況を覆すのならレジスタンスと接触するというのが必要だろうな。あるいは、運が良ければ……本当に運が良ければだが、連邦軍のスパイや工作員がジオンの勢力圏内にいる可能性もあるから、そっちと接触出来れば最善だろうが」
連邦軍にしても、ジオン軍に占領された北米の情報は必要だろうし、いざという時の為に何らかの行動を起こせる工作員の類がいてもおかしくはない。
いや、連邦軍の規模を考えれば、そういう存在がいても当然だろう。
北米に存在する連邦軍の全てが排除された訳でもないし。
ただ、問題なのは……果たして、こちらがその連中に接触する事が出来るかどうか、だろうな。
「取りあえず、近くにある街か村に人をやってみたらどうだ?」
「アクセルの言いたい事も理解出来る。出来るが……怪しまれてジオン軍を呼ばれるといった事になると、非常に厄介な事になりかねん。それは、アクセルも分かるだろう?」
ブライトの言葉に、俺も頷く。
実際、殆どが素人揃いのこのホワイトベースにおいてそういう行為が出来る奴がいるかと言われれば、正直微妙なところなのだから。
それこそ下手に接触した結果、疑われて最悪の結果を招くという危険すらある。
「けど、どこかで一か八かの勝負に出ないと、ジリ貧だぞ? MSはともかく、ホワイトベースの部品はないだろうし」
「それは……」
俺の言葉に詰まるブライト。
結局のところ、最終的にはそこに戻ってしまうんだよな。
ジオン軍と戦うにしろ、逃げるにしろ、ホワイトベースとMSの状況をどうにかしないといけないのは間違いない。
……いっそ、ホワイトベースを含めた全てを俺の空間倉庫に収納して、後は全員が徒歩でジャブローに向かうか?
MSとかがない状況なら、ジオン軍も怪しまないだろうし。
そう思った瞬間……
「艦長、緊急通信です!」
「何っ!?」
不意にオペレーターの男が叫ぶ。
その言葉にブライトが驚いた様子を見せ……いや、それ以外にも全員が驚きの様子を見せていた。
当然だろう。現在ホワイトベースがこの場所に隠れているというのは、誰も知らない筈なのだ。
だというのに、そんな状況で緊急通信を送ってきたとなると、それは色々な意味で危険だろう。
少なくても、相手は俺達がここにいるというのを理解した上で通信を送ってきているという事になるのだから。
「相手は!」
「ちょっと待って下さい。これは……通信、流します」
『……ベース、こちら地球連邦軍、第136連隊マチルダ・アジャン中尉。現在、複数のミデアでそちらに補給物資を運搬中ですが、ジオン軍に見つかって攻撃を受けています。至急、援護を!』
ざわ、と。
マチルダと名乗った女の通信に、ブリッジのメンバーはざわつく。
そこにあるのは、戸惑い。そして……間違いなく喜びだ。
当然だろう。こうして補給を持ってきたという事は、決してジャブローがホワイトベース隊を見捨てたという訳ではない事の証なのだから。
いや、実際には見捨てているのだが、それに反対する人物がマチルダを派遣したという可能性も皆無ではないのだが。
「ブライト中尉、すぐ援護に向かえ!」
リードが叫ぶ。
その表情は、目が血走っているという表現が相応しい。
そんなリードの気持ちも分からないではない。だが……ブライトはその言葉に迷う。
現状のホワイトベースの戦力を考えると、とてもではないがミデアを攻撃している部隊に対して、すぐに対処出来るかどうか分からない……といったところか。
とはいえ、ホワイトベースがこのままではジリ貧である以上、今回に限ってはリードの言葉が正しい。
ブライトもそれは分かっているのだが、それでも現在の戦力で無理が出来ないのは間違いなかった。
そもそも、現状のホワイトベースはとてもではないが戦闘に耐えられるような状況ではないのだ。
「今の状況では、そもそも出せる戦力がありません!」
「ガンペリーがあっただろう! あれはMSを搭載出来るように設計されている!」
ブライトの無理だという言葉にリードが叫ぶ。
ガンペリーというのは、俺も格納庫で見た事がある。
何というか……長方形の箱に無理矢理飛行機部分を付けたような、そんな感じの航空機だ。
今まではホワイトベースが宇宙にいたので使い道がなかった機体。
いや、ガルマに襲われた時は、一応使おうと思えば使えたのか?
けど、ガンペリーは基本的に輸送機でしかない。
それこそ、現在ホワイトベースの方に向かっているミデアと似たようなものだ。
総合的に見ると、寧ろガンペリーの方が明らかに急ごしらえな分、性能的に劣るだろう。
一応ミサイルを装備出来るらしいが、機体性能そのものが問題である以上、ガルマとの戦いで出していても盾代わりくらいにしか使い道はなかった筈だ。
「ですから、幾らガンペリーがMSを搭載出来ても、そもそも搭載するMSがありません!」
「ガンダムは無理でも、ガンキャノンがあるだろう!」
「無理です! ガンキャノンとガンタンクは、両肩の砲身が邪魔でガンペリーに搭載出来ません!」
「なっ!?」
ブライトの言葉に、リードは唖然としてそれ以上言葉を口に出来ない。
……まぁ、砲身が邪魔だってのは理解出来る。出来るんだが……どうせなら、その辺も加味してガンペリーを開発して欲しかったと思うのは、俺の我が儘か?
そもそも、ガンタンク、ガンキャノン、ガンダムの順番にMSは開発されていったのだから、ガンタンクはまだしもガンキャノンには対応して欲しいというのが正直なところだ。
ともあれ、現状は普通に考えれば半ば詰みに近い。
あの通信から考えて、ミデアは俺達が助けに行かなければ、間違いなく敵の攻撃によって全滅する可能性が高い。
だが、現状のホワイトベースで助けに行くとなると、ほとんどろくに動かないだろうガンダムを乗せるガンペリーで移動するしかなく、アムロの方も精神的な疲れが溜まっている。
そうなると、この場合は一か八か、0か100かといった方法をとるしかない訳で……
「ホワイトベースを出撃させるしかないな」
俺の言葉に、ブライトとリードが……いや、その話を聞いていた全員がざわめく。
当然だろう。現在のホワイトベースは、それこそ半壊……どころではないような状況なのだから。
それこそ、下手をすればミデアを襲っているジオン軍に攻撃されて、ホワイトベースそのものが撃破される可能性すらあった。
その辺りの事情を考えると、やはりこれは自殺行為以外の何物でもない。
「待ってくれ、アクセル。正気か?」
「ああ、正気だ。というか、正直なところその選択肢しかないだろ。ミデアを見捨てるのなら、ホワイトベースが被害を受けない可能性もあるが、そうなった場合はホワイトベースの補充部品やら何やら……いや、恐らくMSの補充部品の類も、全てがジオン軍に奪われる事になる。そうなれば、ホワイトベースのデータをジオン軍に渡す、渡さないどころの話じゃないと思うが?」
「それは……」
俺の言葉に、ブライトが言葉に詰まる。
そう、結局のところホワイトベースにとっては、ミデアを助けに行くという選択肢しか存在しないのだ。
もし助けにいかない場合、ホワイトベースのパーツも足りない状況でずっとジオン軍から逃げ隠れする事になり……将来的には、いずれ確実に見つかるだろう。
その上、先程俺が言ったようにジオン軍に連邦軍のMSやホワイトベースの部品がそのまま渡る事になる。
「分かってる筈だろ? 現在まともに動く戦力はガンキャノンとガンタンク。そしてどちらもガンペリーに乗せる事が出来ない以上、ホワイトベースで直接運んでいくしか出来ない。それに……所詮補給部隊を襲撃している部隊だ。ホワイトベースが近づいてくるのを感じれば、そのまま撤退するという可能性も十分以上にある」
その言葉を聞き、やがてブライトは厳しい表情を浮かべ、口を開く。
「分かった。アクセルの言う通りホワイトベースで出撃する」
「ぐっ! ……しょ、しょうがない……」
意外な事に、リードはブライトの言葉に反対するのかと思いきや、素直にその言葉を認めていた。
リードはホワイトベースをジャブローに持っていく事に固執していたから、てっきり反対するのかと思ったんだが。
俺とブライトの話を聞いて、このままだとミデアが鹵獲されて、そこからホワイトベースやMSの部品やデータがジオン軍に流されるというのを、脅威に感じたのか?
ともあれ、ここでリードに……仮にも現在ホワイトベースに乗っている人員の中で最も階級の高いリードに騒がれないというのは、この場合助かったと言える。
「アムロは……戦力として活用出来るかどうか分からない。その場合、アクセルがガンダムに乗って貰えるか?」
「俺がか? いやまぁ、いいけど……アムロに一応意見を聞いた方がいいと思うけどな。アムロがそれでもいいなら、構わない。ただ、現在のガンダムの状況を考えると、下手に今回の戦いでガンダムを出撃させると、敵に撃破されなくても、こっちの動きで破壊される事になる可能性が高いと思うぞ。そうなると、例えミデアがガンダムの部品を持ってきていても、意味がなくなる。ここは大人しく、ガンキャノンとガンタンクだけを出した方がいいと思うけどな」
「とにかく、その辺は向こうに移動しながら考える。……ホワイトベース、緊急発進!」
そんなブライトの言葉に、ミライが艦内に緊急に発進する旨を通達し、やがて地上に着地していたホワイトベースが浮き上がる。
機関部からはかなりクレームの通信が入っているようだったが、ブライトはそれを半ば強引に押し通す。
いやまぁ、今回の一件は少しでも急いでミデアの護衛に向かう必要がある以上、ブライトが多少強引に今回の件を決めても、おかしくはないのだろうが。
そんな風に思いつつ、襲撃されているミデア隊が全滅する前に間に合うのかどうか、疑問を抱く。
まぁ、ミデア隊もこちらに向かっている筈なので、多分間に合うとは思うのだが……世の中、絶対ってのはないしな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:345
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1456