「えーと……それはギャグか何かか?」
ブリッジに戻ってきたところでブライトから聞かされた話に、思わずそう返す。
本来なら今日は休暇だった筈で、海水浴を楽しむつもりだった。
だが、そんな中で急に呼び出されてホワイトベースに戻ってきてみれば、ブライトの口から出たのは明後日に行われるロス奪還作戦にホワイトベース隊も参加する事になった、というもの。
それも遠距離からの砲撃支援とかではなく、敵の支配地域の中に侵入し、機動力を使って援護しろと……つまり、敵陣の中で囮になれと、そう言ってるのだ。
それに対して、俺がギャグかと口にしてしまったのは当然だろう。
「そもそも、ホワイトベースは太平洋を抜けてユーラシア大陸に行くようにゴップやレビルから命令が出ていた筈だろ? その状況でロス奪回作戦に参加しろってのは、色々と矛盾してないか?」
「そう思わないでもないが、命令そのものはきちんと上からのものだ。……まぁ、ジャブローではなく北米軍からのものだったが」
北米軍、か。
ほぼ全てがジオン軍の勢力圏内に入った北米で、まだ連邦軍が頑張っていたのはちょっと驚きだ。
いやまぁ、アムロの故郷があるという街は一応連邦軍の勢力範囲内だったんだから、そうおかしな話じゃないのか?
その北米軍が、連邦軍の中でも精鋭以上の成果を発揮してきたホワイトベース隊に期待するのは分かる。分かるんだが……実際には正規の軍人は少なく、その正規の軍人もブライトのように半ば強引な任官だったり、新米だったりと、ベテランの数は少ない。
ホワイトベースの現状を、その北米軍とやらは分かっているのか?
そう思って口を開こうとした時、不意にオペレータの1人が驚きの声を上げる。
「ブライト艦長! アムロ君がロサリトから内陸部に……ジオン軍の勢力圏内に向かっています!」
「何ぃっ!?」
ブライトにとっては完全に予想外の事だったのか、大声で叫ぶ。
いやまぁ、ブライトの立場を考えれば、それも無理はない。
ガンダムのパイロットのアムロは、ホワイトベース隊にとってエースと呼ぶべき存在だ。
操縦技術という点では俺の方が上なのだが、俺の場合はホワイトベース隊の所属ではなく、あくまでもルナ・ジオンから派遣されているという形で、言ってみれば傭兵に近い。
実際、本来なら俺達は地球に到着した時点でホワイトベースからは下船する予定だったんだし。
今でこそゴップの依頼を受けてホワイトベースの戦力として活動しているが、それでも傭兵扱いなのは変わらない。
そんな状況でアムロというエースに何かあれば、色々な意味で不味いことになりかねない。
「すぐにアムロを呼び戻せ!」
「ですが、ここから通信を送れば、間違いなくジオン軍にキャッチされてしまいますが……」
「ぐっ」
オペレーターのその言葉に、ブライトは言葉に詰まる。
アムロが死ぬというのは、俺にとっても最悪の結論だし……
「分かった、俺がアムロを助けに行く。綾子を連れていくけど、いいか?」
「は? いや、それは……」
ブライトにとって、俺の言葉は完全に予想外だったのだろう。
とはいえ、実際に俺と綾子が行くのが一番安全なのは間違いない。
ジオン軍の勢力圏内に向かうという事は、MSの運用はまず出来ないと思ってもいい。即座に見つかってしまうし。
そうなると、車での移動か……ガンダムとかのコックピットに使われているコアファイターの予備が何機かミデア隊から補給されたので、それを使うか。
ともあれ、MSを使わない戦闘になるのは間違いないのだから、やはりここは生身での戦闘を得意としている俺と綾子の出番だろう。
「任せろ。MSを使えない以上、生身での戦闘となる。そうなると、俺と綾子以上に相応しい奴はいない」
そんな俺の言葉に、ブライトは数秒考え……やがて頷くのだった。
「アクセルとのデートは嬉しいけど、戦場でのデートってのはどうなのかしら」
車――といっても装甲車だが――でアムロのいる方に向かっている最中、隣で綾子がそう呟く。
本来なら車の運転という事でミナトが来たがったのだが、いざという時にホワイトベースを動かさなければならない以上、操舵士としてミライよりも腕が上のミナトはホワイトベースに残しておきたいという事になった。
その代わりという訳ではないが……
俺は上空を飛んで先行していったコアファイターに視線を向ける。
あのコアファイターに乗っているのはリュウだ。
アムロを迎えに行くのに俺と綾子という外様だけを出すというのは外聞が悪いという事で、リュウが参加する事になった訳だ。
……ただ、コアファイターには教育型コンピュータが搭載されているから、かなり高価な代物なんだよな。
それこそ、こんな事で破壊されたりすれば、連邦軍にとっては大きな赤字だと思うんだが。
そんな風に考えつつ、俺は飛んでいったコアファイターから視線を外す。
「たまには戦場でのデートも悪くないだろ。……アムロを迎えに行くっていうデートだから、帰りは3人だけど」
実際問題、俺と綾子なら相手がMSで出て来ても、生身で何とか出来るだけの実力は持っている。
そもそも物理攻撃が意味をなさない俺はともかく、綾子の場合は半サーヴァントだけあって、それこそ戦車の砲弾とかであっても容易に回避出来るし、物干し竿を持っていれば斬り落とすといった真似すら可能だ。
これがミナトになれば、相手が人ならともかく、戦車とか戦闘機とかそういうのにはまだ勝つ事が出来ないからな。
生身の兵士が相手なら、そういうのに対処は可能なのだろうけど。
「ミナトはハワイでショッピングデートなのと比べて、こっちは戦場でデート、ね」
言いながらジト目を向けてくる綾子。
このままだと拗ねる可能性が高い。
そういう綾子も可愛いんだけどな。
「ハワイに行ったら、ミナトとは別にデートって事で手を打たないか?」
そんな俺の言葉に、綾子は少し考え……やがて頷く。
と、まるでそんなタイミングを計っていたかのように、遠く離れた場所で戦闘によるものと思われる光が瞬く。
とはいえ、その光があったのは上空だったので、アムロが関係していないのは間違いない。
……もっとも、空という事で、恐らくコアファイターに乗っているリュウがあの戦闘の原因だろう。
そう考えていると、やがてコアファイターがこちらに向かって来た。
いや、それはいいんだが、機体の後方から推進剤か何かがこぼれ落ちているのが、見て分かる。
『すまねえ、ルッグンにやられた。俺は一旦ホワイトベースに戻るけど、アクセル達はどうする?』
通信機から入ってきたリュウの声。
ただ、どうすると言われてもな。
このまま俺達までもがホワイトベースに戻れば、間違いなくアムロが危険な目に遭う。
そうなると、俺としては都合が悪い訳で……
いや、その場合に都合が悪いのは俺じゃなくてホワイトベースもそうだろう。
エースを失うという可能性を考えれば、出来るだけそんな事を避けたいと思うのは当然だった。
「取りあえずこのまま行く。ただ、リュウが見つかってしまった以上、ジオン軍も当然だけど警戒が厳しくなっている筈だ。そうなれば、アムロを回収するのに騒動が大きくなるのは当然と思ってくれ」
取りあえず、これから騒動が大きくなった場合、その原因はリュウにあるのだという事にしておく。
そうなれば、ちょっとやそっと大きな騒動になっても問題ないしな。
『分かった、アムロの安全を最優先してくれ』
リュウは俺の言葉の裏にある意味を理解してないのか、それとも理解した上でそう言ったのか……その辺りは俺にも分からなかったが、ともあれそんな風に言ってくる。
コアファイターが被害を受けて一杯一杯になっていたのかもしれないが。
何しろ、教育型コンピュータを含めて、戦闘機としてはちょっと有り得ないような値段になっているらしいしな。
こんな場所でそれを破壊するなんて風になったら、それこそちょっと洒落にならないだろう。
ともあれ、去って行くリュウのコアファイターを見送ると、ハンドルを握る手に力を入れながら、綾子に視線を向ける。
「そんな訳で、戦場でのデートはちょっと過激になりそうだけど、それでも構わないか?」
「それは今更でしかないような気もするけどね」
そう言い、笑みを浮かべる綾子。
凛と共に、Fate世界では幾つもの修羅場を潜ってきたらしいから、その辺からも慣れているのだろう。
勿論、シャドウミラーに合流してからも、当然のように多くの修羅場を潜ってきているが。
というか、エヴァとの訓練は普通に修羅場だし。
ともあれ、そんな事でホワイトベースに戻っていくリュウのコアファイターとは裏腹に、俺の運転する車はアムロがいるらしい方に向かって進む。
そうして走る事、十数分……
「見えたな」
車から見えた光景に、小さく呟く。
もっとも、見えたのはアムロ……ではなく、爆発だ。
もしかしたら、その爆発はアムロとは関係ない可能性もあるが……いや、でもアムロが逃げた先で起きた爆発だと考えれば、その可能性は少ないのか。
恐らく……いや、ほぼ確実に、今の爆発はアムロが何らかの理由でジオン軍に追われている可能性の方が高いだろう。
そして、追っているのがザクのようなMSでないというのも、この距離からならすぐに分かる。
そもそも、全高18mくらいのザクが移動しているのであれば、その高さから容易に判明出来るのは間違いないのだから。
「そうね。取りあえずアムロと合流しましょうか」
綾子の言葉に頷き、俺は車の速度を上げる。
すると、次第に事情が理解出来た。
10台近い車が、アムロの乗っている車を追っているのだ。
……その車にアムロが乗っているというのは、それこそ座席に座っているアムロの顔を確認出来たのだから、それで明らかだった。
さて、どうするべきか。
一瞬そう思ったが、ジオン軍の兵士達は明らかにアムロを殺そうとしている。
であれば、こちらもそこまで手加減をする必要はないだろうと判断し、車を近くの岩に隠すようにして停める。
「綾子、これ」
空間倉庫の中から取りだした物干し竿を綾子に渡し、俺はアムロに分かるよう手を振る。
そんな俺の姿に気が付いたのだろう。必死になって背後から追ってくる装甲車……ああ、それとワッパも数台いるな。
そんな敵の攻撃から逃げ続けていたアムロの表情が、助かったといったように輝く。
多分、近くにMSが潜んでいるとか、もしくは他に武器を持っているリュウとかが隠れていると、そう思ってるんだろうな。
実際には外れなんだが。
そうしてアムロの車が近づいてきたところで、自分の影を軽く踏む。
その合図に出て来たのは、当然のように俺の召喚獣たる刈り取る者。
相変わらず、見る者に死を予感させるような、そんな迫力を備えている。
そんな刈り取る者の姿を見たせいか、車を運転するアムロの操縦が大きく乱れる。
これは、もしかしてニュータイプ能力で何かを感じ取ったのか?
取りあえずここは荒野で岩もそこまでないので、操縦をミスってもいきなり事故るという事がないのは幸いだった。
ともあれ、アムロが乗った車が俺と綾子の横を通りすぎると、当然のようにジオン軍の車……装甲車やワッパがこっちに向かってくる。
すると、向こうも当然こちらに気が付く訳で……刈り取る者の姿を見て驚き、アムロと同様に操縦をミスる者もいた。
だが、アムロと違って不運だったのは、何台も装甲車やワッパが纏まって走っていた事だろう。
運転手数人が操縦をミスれば、すぐ近くを走っていた他の車にぶつかってしまう。
……それでも何とか横転とかしなかったのは、何気にそれだけ腕が良かったのだろう。
とはいえ……
「マハラギダイン」
刈り取る者が魔法を使い、一面を極大の炎が埋める。
装甲車に乗っていようとも、いきなりの爆炎にどうする事も出来ず、ここで先程の操作をミスったのが影響し、今度こそ横転する車も出て来る。
そこまでいかなくても、タイヤが炎によって溶かされ……いや、燃やされ、ろくに動けなくなる車も続出した。
とはいえ、車はまだ運転手が車の中にいたから、良かったのだろう。
この場合、運が悪かったのはワッパの運転手だ。
バイクのように、直接乗り込んで操縦するワッパだけに、刈り取る者のマハラギダインを直接その身で味わう事になってしまう。
とはいえ、運良くか運転手の腕かは分からないが、刈り取る者の攻撃を回避した装甲車もおり、その生き残りはアムロよりもこっちが明らかに危険だと判断して重機関銃を撃ってくるが……
「させない!」
キキキキキキン、という連続した金属音。
一体何をしたのかと言えば、綾子が物干し竿を使って重機関銃の弾丸の全てを斬り落とした音だ。
当然ながら、これは綾子が半サーヴァントであり、同時に厳しい訓練を続けてきたからこそ、出来た事だ。
……それを見た、重機関銃を撃ったジオン軍の軍人は、何が起きたのかというのかが分からず、ただ呆然とするだけだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469