アプサラスのメガ粒子砲照射実験。
これをやるべき場所として真っ先に思い浮かぶのは、やはり砂漠だろう。
もっとも、砂漠は砂漠でメガ粒子の拡散といった問題も出て来るのだが。
とはいえ、アプサラスの持つメガ粒子砲は、明らかに普通のメガ粒子砲……ガンダムやガンキャノンが使うようなビームライフルに比べると、数段どころか、数十段も上の代物だ。
同じメガ粒子砲であっても、一緒にするのはちょっと難しいだろう。
ぶっちゃけ、アプサラスのメガ粒子砲はホワイトベースのメガ粒子砲よりも威力は上だろうし。
ミノフスキークラフトとメガ粒子砲だけに特化したMAだけに、その構成は非常にシンプルだ。
とはいえ、シンプルであっても、それはそれで開発が難しいのは事実であったが。
ぶっちゃけ、今のUC世界においてはかなり難易度が高い。
だからこそ、ギニアスもサハリン家所属の技術者達だけではなく、MIP社に協力を要請したり、俺達が渡したゾックの動力炉を使ったりといった事をして、ようやく試作機の完成にこぎ着けたのだろうが。
ともあれ、明日の約束を取り付けた上で、俺達は研究所から出るとハワイの街中を見て回っていた。
当然のように俺の両脇にはミナトと綾子2人の姿があり、周囲にいる者達……特に男の視線を釘付けにしている。
「ねぇ、アクセル。一応聞いておきたいんだけど、これが前に約束していたデートって訳じゃないわよね?」
ミナトが笑みを浮かべつつ尋ねてくるが、その目は笑っていない。
こんな事で誤魔化すつもりじゃないでしょうね? と、そう尋ねられているのは明らかだった。
とはいえ、これに関しては俺もそのつもりはなく、今日はあくまでも3人でのデートで、2人きりのデートは後でやるつもりだった以上、ミナトの言葉には特に後ろめたさを感じるでもなく、頷きを返す。
「ああ、そうだ。約束したデートは、今日のこれとは別だから安心してくれ」
「ふーん。……ならいいか。綾子もそれでいいわよね?」
ミナトの言葉に、綾子もまた同様に頷きを返した。
綾子は外見では格好いい女……それこそ、年下の女からお姉様呼ばわりされる事も珍しくはない凜々しい系の女なのだが、実際には女らしいところがあるのを俺は知っている。
だからこそ、デートらしいデートを楽しみにしているのだろう。
もしミナトの言葉に同意していれば、物干し竿が飛んできてもおかしくはなかった。
「こうして見ると、やっぱり人が多いわね」
街中を歩きながら、ミナトが呟く。
取りあえず、デートに関しては納得してくれたのか、それ以上突っ込んでくる様子はない。
「ハワイは安全地帯としてかなり情報が広まってるみたいだしな」
「……連邦軍もジオン軍も、月とは戦いたくないんだろうね」
綾子の言葉に、頷きを返す。
ジオン軍はグラナダを攻められた一件でこちらの実力を知っているだろうし、連邦軍はルナツーを攻略された事でこちらの実力を承知している。
勿論、連邦軍はその巨大さから月を侮っている者がまだいるだろうし、月そのものには脅威を抱いていても、月の領土たるハワイは月から遠く離れているので、侮っている者がいてもおかしくはない。
強硬派のような連中がいる事を考えれば、月だって絶対に安全という訳ではないのだが……それでも、現在戦争中の連邦軍やジオン軍が占拠している場所と比べると、ハワイが圧倒的に安全なのは否定出来ない。
また、知ってる者がどれだけいるのかは分からないが、ハワイには各種水中用MSが配備されているし。
ともあれ、他の地域に比べてハワイが安全だというのは、間違いのない事実だった。
ゲラートも当然そんな風潮は理解しており、その風潮を事実にしようと量産型Wやコバッタを使って治安の悪化を防ぎ、出来るだけ多くの者を迎え入れるようにしている。
ルナ・ジオンにとって大きな弱点となるのは、やはり人口の少なさだ。
月そのものを手に入れたとはいえ、それでも人口という観点ではジオン公国はともかく、連邦には遠く及ばない。
人は城、人は石垣、人は堀……って感じの事を武田信玄が言っていたらしいが、まさに今のルナ・ジオンはそんな状況な訳だ。
そしてハワイに来た者達には、ハワイよりも安全で住みやすく、自然も豊かで、場合によっては魔法を習得する事も可能かもしれないクレイドルに移住するように勧める。
当然地球にいる者の多くはエリート意識があったり、コロニーに住むのを不安に思ったりとしているので、それを素直に受け入れる者はそう多くはない。
だからこそ各種優遇措置をしたり、数日から数週間といった具合に短期的な留学というか、移住を体験して貰うといった行事を開催したりもしている。
それらの行為は、今すぐに結果を出すといった事はないだろうが、それでも長い目で見た場合は確実に効果を発揮する筈だった。
それこそ、今のクレイドルの状況を思えば、将来的には月が最大の人口密集地になってもおかしくないくらいには。
「ともあれ、今のハワイは治安もいいし、基本的には平和な場所な訳だ。……お、ロコモコ丼だ。食べていくか?」
ハワイ名物と言えば色々あるが、ロコモコ丼もその1つだろう。
いや、丼となるとご飯の上に乗せるから、米食文化のないところでは、ただのロコモコなのか?
ともあれ、俺の視線の先で売ってるのは、ロコモコ丼だった。
もっとも、ロコモコ丼と言っても基本的には白米の上にハンバーグと目玉焼きをのせただけの代物だ。
パイナップルだったり、サラダだったりといった代物が一緒に乗っている場合もあるが。
そう言えば、ペルソナ世界で食べたロコモコ丼は、ご飯の上にたっぷりの野菜炒めを乗せ、その上にハンバーグと半熟の目玉焼きを乗せるといったアレンジをしていた。
野菜炒めがある分、普通のロコモコ丼よりは栄養バランスはいいし、それなりに美味かったと思う。
ともあれ、単純な――簡単なではなく――料理だけに、色々とアレンジの方法もある訳だ。
「私は賛成だ。ミナトはどうする?」
「うーん、綾子とアクセルが食べるのなら。ただ、私はちょっと軽めのものでいいわ」
身体を動かす事が多い綾子はあっさりと頷き、ミナトは軽いものなら、と賛成する。
そんな訳で店に入ると、店の中は当然のようにかなり混んでいた。
今のハワイの人口を考えれば、このくらいは当然なのかもしれないが。
いや、寧ろ客が少ないのか?
ともあれ、人口が増えたおかげでハワイがかなり好景気になっているのは間違いない。
普通なら人数が増えれば、間違いなく治安が悪化したりするのだが、その辺は量産型Wとコバッタが大量に見回っている事で、特に問題もないし。
「お待たせしました」
店員が俺達の前にロコモコ丼を2つと、アップルパイを1つ置いていく。
アップルパイはミナトが注文したものだ。
「このソース、グレイビーソースって言うんだったか。美味いな」
「それはそうでしょ。グレイビーソースって、焼いた時に出た肉汁とかを材料にして作ったソースだもの。美味しいわよ」
アップルパイが美味かったのか、満足そうな笑みを浮かべつつ、ミナトがそう告げる。
肉汁ね。つまり、ハンバーグを焼いた時に出た肉汁とかを使ったのか?
まぁ、それはそれで美味そうではあるけど。
そんな風に考えつつ、ロコモコ丼を食べる。
「なぁ、聞いたか? 月に行った連中、かなり良い生活してるらしいぜ?」
「聞いた聞いた。けど、それって本当なのか? そんな風に見せ掛けているだけって可能性もあるだろ?」
「でも、宇宙に住む場合って、空気税とかそういうのが取られるんじゃなかった? 嫌よ、私はそんなの」
「何だよ、知らないのか? コロニーとかはそうだけど、月では空気税とかは必要ないらしいぜ? クレイドルだったか。そこだけじゃなくて、フォン・ブラウンを始めとした、他の月面都市でも」
「それ、本当?」
「ああ。その辺の資金は、税収から出せるようになったらしい。だから、スペースコロニーに住んでいる連中も、かなり月に移住する奴がいるんだってよ。しかも、それでも以前に比べると税金は下がってるんだってよ」
少し離れたテーブルから、そんな声が聞こえてくる。
どうやら、月に移住を希望する者は結構いるらしい。
月の住人としては、嬉しい限りだ。
「良かったわね」
アップルパイを食べ終え、追加で頼んだ紅茶を飲んでいたミナトがそんな風に声を掛けてくる。
まぁ、空気税の撤廃とかそういうのは、俺がセイラに提案した事だしな。
当初、政治家の中には空気を浄化する為の資金はどうするのか言う奴もいたのだが、その辺は税収でどうにか出来るという目算が立っていた。
……いや、それどころか空気税を込みに考えても、かなりの余裕が生まれる余地があったのは間違いない。
つまり、今まではそれだけ月の上層部は資金横領とかそういう事をしていたという事なのだろう。
寧ろ、今はそれ以上に余裕すらあると言ってもいい。
おかげで、以前の上層部=悪事を働いている奴という認識が広がりつつあるのが若干の問題だったりする。
実際には何の罪も犯していない者も相応にいるのだが、何しろ犯罪者の方がどうしても目立つ。
その上、具体的にどのような罪を犯していたのか、そして幾ら横領していたのかといった事までもが公表されるのだから、それで目立つなという方が無理だった。
とはいえ、それももう暫く時間が経てば、ある程度問題はなくなってくるだろうが。……だと、いいんだが。
「そうだな。取りあえず人が増えるのは大歓迎だよ。……もっとも、ハワイの周辺にもメガフロートを作ろうって計画は進んでるらしいが」
いわゆる、人工島とでも呼ぶべき存在。
とはいえ、そういうのは漁とかにも結構な影響が出るので、どこに設置するのかといった事は詳細に検討する必要がある。
「メガフロートね。……いっそ、マクロス世界でもう1隻クレイドルのようなのを作って貰う?」
「色々な意味で難しいだろうな」
何よりも大きいのは、やはりそのような物が量産出来るとなると、絶対に連邦から作って欲しいと要望されるからだ。
連邦にしてみれば、クレイドルのような存在はそれこそ喉から手が出る程に欲しいだろう。
今は、それこそクレイドルくらいしかないからという事で諦めてはいるが、この先も同様になるとは限らない。
であれば、やはりクレイドルについてはあまり表に出さない方がいいのは間違いなかった。
というか、マクロス世界でも実際にクレイドルと同じような都市艦を作って欲しいと言われても、かなり難しい筈だ。
勿論作れないという訳ではないだろうが、元々クレイドルというのは現在移民船で主に使われている新マクロス級の次世代艦のテスト艦……より正確には技術立証艦的な意味を持っている。
言ってみれば、このUC世界においてコスト度外視として開発された、ガンダムと似たような存在だ。
とはいえ、その規模は比較にならない。
あくまでもMSの1機でしかないガンダムと違い、クレイドルは北海道以上の大きさを持つ。
海や川や森、林、山……それ以外にも様々な自然が充実しており、基本的にはクレイドルだけで完全に自給自足出来るようになっている。
その上で俺達が頼むという事は間に入る訳で、そうなると他にも中間マージンが発生してしまう。
個人的にはいらないような気もするが、ケジメとしてそういうのは必ず取らなければならないらしいし。
そうでないと、妙な勘違いを引き起こして次からも無料でやってくれと言われたりする事もあるらしい。
その辺の事情を考えると、後々の面倒を引き起こさない為にもその辺りはきちんとした方がいいのだろう。
「そうなのか? ……マクロス世界なら、そういうのも結構簡単そうに出来るような気がするんだけど」
綾子の言葉に、隣で話を聞いていたミナトも頷く。
凛辺りなら、その辺をしっかりと理解出来てると思うんだが。
あ、でも元々機械の類が苦手だという事を考えると……交渉となれば、別か?
「取りあえず、色々とあるんだよ。それにクレイドル級のような物を作るとなると、当然のように資源も大量に必要となるし」
何しろ北海道以上の大きさを持ち、自然の類もコロニーとは比較にならない程、大量に必要となるのだ。
そう考えれば、連邦であろうともそう簡単に用意出来るような代物ではない。
……コロニーの技術をマクロス世界に輸出すればと考えないでもなかったが、マクロス級のような、言ってみれば動くコロニーの類があるのを思えば、別世界の技術を集めるという以外の理由で、わざわざコロニーの技術を欲するとは思えないし。
その辺の事情を考えると、このUC世界は発展しているようでいて、微妙に発展していなかったりするんだよな。
そんな風に考えつつ、俺はミナトと綾子とのデートを楽しむのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469