転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2354話

 ミナトと綾子の2人とデートした日の夜、俺はとある一軒家にやって来ていた。

 ハワイの中でも田舎で、殆ど人が来ないようなそんな場所。

 そこにある一軒家に住んでいるのは……

 

「やぁ、アクセル。よく来てくれたね」

 

 満面の笑みを浮かべたガルマが、俺を出迎えた。

 それこそ、ホワイトベースにいた時に比べると間違いなく元気になっているような気がする。

 実際にホワイトベースから下りてそんなに時間は経っていない筈なのだが、それでもイセリナと2人だけの時間というのは、ガルマにとって十分に満足出来るものだったのだろう。

 イセリナの方も、ガルマと2人で幸せそうな表情を浮かべている。

 ただ、この家をゲラートに用意して貰ったのはいいのだが、果たしてこの2人だけでどうにか出来るのか?

 具体的に言えば、家事全般。

 ガルマにしろ、イセリナにしろ、言ってみれば金持ちの坊ちゃん、嬢ちゃんだ。

 まだガルマの方は、士官学校で多少は食事を作るといった訓練はしたかもしれないし、イセリナも習い事として料理を習っていた可能性はある。

 だが、その辺りの事情を色々と考えると、どっちもあまり当てには出来ないんだよな。

 ガルマは士官学校で料理をやった……と言っても、それは一種の行軍訓練とかそういうのでやった訓練だろうし。

 例えば、野生動物とかを捕らえて捌いて料理して食う、とか。

 ……コロニーだと、そんな事をやるような余裕はないか?

 ともあれ、家で料理をするといった点では難しいと思ってもいい。

 イセリナの方は、まだ料理は出来るかもしれないが……イセリナが使い慣れているような調理器具の類は当然ここには存在せず、必要最低限の調理器具で料理をする必要がある。

 あー……ガルマ達の護衛と監視を込めてコバッタを派遣するって話だったが、いっそ家事技能を覚えさせた量産型Wを派遣した方がいいかもしれないな。

 

「どうしたんだ? 入りなよ」

「ん? ああ、悪い。2人の愛の巣にお邪魔してもいいのかどうか迷ってな」

 

 誤魔化し半分――つまり半分は本気――でそう告げると、玄関にいたガルマとイセリナの頬が赤く染まる。

 婚約者だってくらいなんだから、何だかんだと2人の仲は進んでてもいいと思うんだが、この様子を見る限りまだ最後まではいってないらしい。

 

「全く、あまりからかわないでくれ。それより、ほら。中に入ってくれよ」

 

 ガルマに招き入れられ、部屋の中に入る。

 一軒家ではあるが、やはりそこにあるのは俺が予想した通り普通の……言ってみれば、ガルマやイセリナが使い慣れているような高級な家具やら何やらといった物は殆ど存在しない。

 イセリナの家から空間倉庫で持ってきた家具の類は、幾らか置かれているが。

 それでも、ガルマとイセリナにとってはこの家はようやく手に入れた2人の愛の巣なのだ。

 ……今は使い慣れない状況であっても、ここで暮らしていれば自然と慣れてくるかもしれないな。

 

「取りあえず、食料とかそういうのを適当に持ってきたぞ。食料に関しては、コバッタや量産型Wが持ってきてくれるから、これからもそこまで心配しなくてもいい。……料理は大丈夫なんだよな?」

 

 一応、といった様子で尋ねると、ガルマは視線を逸らしたがイセリナは笑みを浮かべて頷く。

 どうやらやっぱりイセリナはある程度料理が出来るらしい。

 恐らく、花嫁修業とかそういうのの影響なんだろうな。

 父親が死んだばかりなのだが、悲しそうな表情を浮かべてないのは……若干無理をしてるのか?

 ガルマと一緒にいられる事で心の傷が癒やされているのも、間違いのない事実なんだろうが。

 

「そうか。なら、取りあえずここでの生活にあまり問題はないな」

 

 もし本当に駄目なようなら、やっぱり家事技能を習得した量産型Wでも派遣しておけばいいだろうし。

 テーブルに案内され、イセリナが俺の前に紅茶を置く。

 俺が紅茶好きだと知っていて紅茶を置いたのか、それとも単純にガルマやイセリナもコーヒーではなく紅茶派なのか。

 その辺りの事情は分からなかったが、取りあえず俺は紅茶を楽しむ。

 

「それは、ハワイで作られた紅茶らしいですよ」

「……ハワイでも、紅茶って作ってたのか?」

 

 俺は紅茶派ではあるが、缶紅茶とかでも全然問題ない程度の紅茶派だ。

 それこそ、紅茶がどこで作られているのかというのは、有名所くらいしか知らない。

 そう考えれば、ハワイで紅茶が栽培されていてもおかしくはないのだ。

 まぁ、UC世界だけで、他の世界では作られていない可能性もあるのだが。

 

「ええ。そこまで多くはないらしいですけど」

 

 そんな風に、色々と会話をする。

 出来るだけ今回の一件……独立戦争については関わらないような世間話をする。

 穏やかな時間がすぎていき、やがてそれなりの時間になった事もあって、俺はそろそろ帰る事にする。

 空間倉庫に入っていた、イセリナの荷物を出す事を忘れずに。

 

「また、来てくれ。ハワイには知り合いもいないし、イセリナと2人だけというのもいいが、それでもやはり他の人とも会いたいからな」

「分かった。……ちなみに、ガルマとイセリナがよければ、今度俺の恋人達を連れてきてもいいけど、どうする?」

「おお、勿論だよ! ……ん? 恋人達?」

 

 疑問の視線をこちらに向けてくるガルマに、俺は笑みを浮かべながら口を開く。

 

「ホワイトスターは、重婚が可能なんだよ。だから恋人も何人もいる」

 

 まぁ、結婚そのものはしておらず、同棲……もしくは、こういうのが事実婚なのか?

 ともあれ、そんな感じなのは間違いない。

 

「ほう」

「ガルマ様?」

 

 少しだけ興味深そうに呟いたガルマに、イセリナは笑みを浮かべてその名を呼ぶ。

 ……笑みを浮かべてはいたが、イセリナの身体からは得体の知れない迫力が滲み出ている。

 お淑やかな性格かと思ったけど、中身はそうとも言い切れないらしい。

 それこそ、もしガルマが死んでいれば、その原因となったホワイトベースにザンジバルやガウで特攻しかねないかのような、そんな感じがするのは、きっと俺の気のせいって訳じゃないだろう。

 ガルマもそんなイセリナの様子に気が付いたのか、何でもないと即座に首を横に振る。

 

「いや、アクセルがどのような暮らしをしているのか、少し気になっただけだ。決してイセリナ以外の相手にどうこうという訳では……」

 

 慌てたように告げるガルマだが、将来的云々以前に、今の時点から尻に敷かれているな。

 取りあえず、その辺に触れると面倒な事になりそうなので、今はそっとしておく。

 

「じゃあ、俺はこの辺で失礼するな。今度来る時は、ミナトと綾子……俺の恋人達を連れてくるから、イセリナも女同士で話が出来るようになると思う」

「まぁ」

 

 俺の言葉に、イセリナはガルマを威圧するかのような雰囲気を納めると、嬉しそうに笑う。

 ガルマから感謝の視線を向けられたが、別にそういう積もりではなかったんだけど。

 ガルマが感謝してくれるのなら、それはそれで構わないが。

 ともあれ、俺は影のゲートを使ってガルマ達の家からゲラートが用意してくれた宿舎に戻る。

 ちなみに、ホワイトベースの面々は前もって言っておいた通り、月の時と同じくドッグの中だけにいて貰っている。

 ……いや、月はドックからなら多少は出るくらいなら問題なかったが、ハワイにおいてはどうしても狭いので、ドックから出るのも禁止されていた。

 後で、何かホワイトベースに差し入れを持っていった方がいいかもしれないな。

 それこそ、人数分のロコモコ丼とか。

 ロコモコ丼で喜ぶかどうかは、分からないが。

 

「あら、お帰り。もう少し向こうでゆっくりしてくると思ってたのに、随分と早かったのね」

 

 影のゲートでゲラートが用意した部屋に戻ると、ミナトが俺の姿を見てそんな風に言ってくる。

 綾子もまた、読んでいた雑誌からこちらに視線を向けて口を開く。

 

「アクセルの事だから、ミナトの言うように戻ってくるのは遅くなると思ってたんだけどな」

「ガルマとイセリナは、新婚……いや、まだ正式に結婚した訳じゃないから、新婚とは言わないのか? そうだな、同棲したばかりで、今が一番楽しい時期だ。だから、あまり邪魔をするのも悪いと思ったんだよ」

 

 そう告げつつ、あの2人に本当の意味での新婚生活を送れる日が来るのかと、若干心配になる。

 表向きに死んだという事にされている以上、ガルマが堂々とガルマ・ザビとして表に出られるのは……正直、いつになるのかは分からない。

 イセリナも、いきなり住んでいた家から何の痕跡もなく姿を消したのだから、イセリナを必要――もしくは利用――とする者にしてみれば、是が非でも見つけたい相手だろう。

 こんな2人が、堂々と結婚式を挙げるなんて真似は……取りあえず、今の戦争が終わるまでは無理だと思った方がいい。

 もっとも、戦争が終わったら終わったでかなり忙しいから、ガルマとイセリナ程の有名人の結婚式を挙げるとなると、戦後復興後に……さて、イセリナがそこまで我慢出来るか?

 そんな風に思いつつ、俺は冷蔵庫の中からゼリーを取り出す。

 ナタデココ入りのそのゼリーは美味いが、ナタデココってハワイで作られてるんだったか?

 ともあれ、美味いものは美味いのだから、それに文句を言うつもりはない。

 

「まぁ、そうね。……もっとも、私はアクセルと暮らし始めた時は他にも大勢一緒に暮らしている人がいたから、正直なところそういう気持ちはあまりなかったけど」

 

 そう告げるミナトだったが、そこには若干羨ましそうな色はあるものの、そこに暗い感情の色はない。

 実際、恋人10人以上と同棲をしているのだから、それも当然だろう。

 ましてや、ミナトが俺と一緒に暮らすようになった時には同じ恋人としてエリナが、そして養子としてラピスとルリとも一緒に同棲を始めたのだから、余計に一緒に暮らす人数が多くなったんだし。

 

「俺達の場合は、時間の制約とかが基本的にないからな。そういうのは、いずれ……ってところか」

 

 時の指輪のおかげで不老となっている以上、シャドウミラーに所属している多くの者は、時間的な余裕が大きい。

 まぁ、そういうのを全く感じさせない程に騒いでいる連中も、相応の数がいるのだが。

 

「ふーん。……ま、そういう事にしておいてあげる。その第一歩は今度のデートね」

「分かってるよ。ただ、お前達も聞いてたと思うけど、明日はアプサラスの件でかなり遠くに出掛ける事になっているから、明後日以降になると思う」

「それは別に構わないわ。どのみち、ホワイトベースの修理には結構な時間が掛かるでしょうし」

「とは言っても、ユーラシア大陸で何らかの作戦が待っている以上、あまり時間も掛けられないんじゃない?」

 

 ミナトの言葉に、綾子がそう告げる。

 そうなんだよな。ホワイトベースを完全に修理したいというのはあるけど、本当の意味で完全に修理するとなると、どうしても時間が掛かる。

 一応、マチルダ率いる補給隊が、ミデアで各種補給部品とかそういうのを持ってきてくれる事になってはいるのだが。

 とはいえ、そのマチルダが来るまでの時間が、ルナ・ジオンの人間にとってはホワイトベースの地上で行われた戦闘のデータを取る為の時間でもあり……正直なところ、色々と悩ましいところなのは間違いない。

 ともあれ、それでも1日2日って訳にはいかないだろうから、ある程度の余裕があるのは間違いない。

 というか、下手に修理が完全ではない状況でユーラシア大陸に向かうと、それが致命傷となる可能性も捨てきれないし。

 

「ユーラシア大陸、か。一体どういう作戦になるんだろうな」

 

 俺が知ってる限り、ユーラシア大陸で連邦軍とジオン軍の勢力圏内はかなり複雑に入り交じっている。

 北米がジオン、南米が連邦といったように、綺麗に分かれてはいないのだ。

 もっとも、アムロの故郷があった辺りの話だったり、北米軍が残っていたりだとか、そんな占領下であっても本当の意味で完全に占領されているといったことはないのだが。

 そんなユーラシア大陸に向かうとなると、色々ときな臭いものを感じるなという方が無理だろう。

 ましてや、俺に力を貸して欲しいという事でピクシーという、連邦軍にとっては非常に貴重なMSまでをも報酬として渡してるのだから。

 

「さぁ? でも、アクセルがいるって時点で、連邦軍の作戦は成功したのも同然なんじゃない?」

 

 気楽に告げるミナトだったが、実際にその言葉はそんなに間違っている訳ではない。

 この戦争は、最終的には連邦軍に勝って貰う予定なのだから。

 出来ればルナ・ジオンを勝者にしたいという思いがない訳でもないが、地球と宇宙の全てを動かすには、ルナ・ジオンは決定的に人材不足だ。

 まぁ、SEED世界やUC世界の月面都市でやってるように、量産型Wを使えば、ある程度はどうにかなるかもしれないが。

 ただ、セイラ本人は別に地球圏を支配したいなどとは、全く思っていない。

 セイラが望むのは、シャアが将来的に行うであろう、小惑星落としを止める事だ。

 ……そう言えば、ガルマの一件でシャアはどうなったんだろうな?

 ガルマは俺が捕らえたので、シャアが暗殺しようとした件は広まっていないだろうが……それでも、シャアがガルマと一緒の戦場にいた以上、色々と問題となっているのは間違いない。

 願わくば、ユーラシア大陸で行われる作戦にシャアが出てこなければいいんだが。

 そんな風に思いつつ、俺はミナトや綾子と世間話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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