ミナトとのデートの翌日……昨夜が激しすぎたせいか、ミナトは今日は外に出ることなくベッドで1日をすごすと聞き、俺は街中に向かおうかと思っていたのだが、ゲラートから呼ばれてルナ・ジオン軍の格納庫に向かっていた。
取りあえず、ミナトは今日1日で体力を回復出来ればいいんだが。
そもそもの話、ホワイトスターにいる時は毎晩のように10人以上を相手にしているのに、昨日はミナトだけだ。
体力の限界になっても、それは当然の事なのだろう。
ともあれ、そんな訳で……綾子とのデートを今日にしてもよかったのだが、綾子の方で今日はちょっと用事があったらしく、こうしてゲラートに呼ばれても特に不満もなくやってきた訳だ。
そうして格納庫に入った俺を待っていたのは……
「へぇ、これがグフカスタムか」
そう、それは数日前にゲラートに見せられた、グフの改修機たるグフカスタムだった。
フィンガーバルカンを廃し、ヒートロッドも鞭ではなくKMFのスラッシュハーケンに近い形になったそれは、汎用性という点で以前よりも明らかに上だ。
「そうだ。改修機が完成したので、出来ればアクセルにちょっとテストをしてみて欲しいと思ったんだが、構わないか?」
少し離れた場所でメカニックと何かを話していたゲラートが、俺の姿に気が付いて近づき、そう言ってくる。
なるほど。改修が終わったグフカスタムのテストを俺にさせるつもりだったのか。
……普通なら、自分の国の後ろ盾になっている国のトップにそんな真似をさせるというのは有り得ない話だが、俺の場合は戦いの中でも自分から進んで敵に突っ込んでいくし、何より俺がグフカスタムの話を聞いた時に興味を持っていた、というのが大きいのだろう。
「分かった。ただ、どう操縦すればいい? 俺が本気で操縦すれば、機体の消耗……特に関節部分の損耗が激しくなるけど」
「構わん。機体の限界値を知るには、丁度いい。それに、グフカスタムの関節部分はヅダと同様にルナ・チタニウムを使っている。アクセルが本気で操縦しても、ある程度は耐えられる筈だ」
「……なるほど」
一番損耗しやすい関節部分にルナ・チタニウムを使うのは有効だと、ヅダで判明している。……まぁ、そのおかげでヅダのコストはかなり上がってしまったのだが。
当然このグフカスタムも、コスト的には通常のグフよりも上だろう。
もっとも、ルナ・ジオン軍ではグフそのものを製造する生産ラインの類は存在しない。
つまり、グフを入手するにはジオニック社から横流しして貰うか、それ以外何らかの手段で入手する必要があった。
こうなると……いっそ、ジオニック社からグフの製造ラインを譲渡して貰う交渉をするか?
幸い、本当に幸いな事に、ヅダの改修チームが目の敵にしているのはザクだ。
とはいえ、実は今はもうそれ程でもないのだが。
やはりヅダがルナ・ジオン軍で正式採用機にされ、性能もザクを圧倒しているというのが大きいのだろう。
その上、今回欲してるのはザクではなくグフだ。
……実際には、グフとザクというのはパーツの共用も含めてかなり近しい機体らしいのだが、外見という点ではザクとグフは大きく違う。
だからこそ、恐らくそう敵意なくグフの生産ラインを引き受けることになるかもしれないというのが、俺の予想だった。
「分かった。なら早速乗ってみるか」
俺の言葉に、ゲラートは満面の笑みを浮かべる。
どうやら、このグフカスタムには余程の自信があるらしい。
元々グフの設計にも関わっていただけあって、ゲラートはグフという機体をかなり理解している。
そんなゲラートだからこそ、今回のグフカスタムという改修機には自信を持っているのだろう。
そんなゲラートに促されつつ、コックピットに乗る。
同じジオニック系MSという事もあり、操作性そのものはザクと大差ない。
……いや、けどこのグフカスタムをルナ・ジオン軍で普及させるといった事になった場合、結構難しいものがないか?
元ジオン軍出身者はともかく、現在のルナ・ジオン軍にはシーマに憧れてとかそういうのも含めて、素人として入隊した者が多い。
そんな者達が操縦するのは、当然のようにヅダな訳で……言わば、ツィマッド系のMSだ。
そしてツィマッド系とジオニック系のMSでは、それなりに操縦方法とかが違う。
この辺は、現在ディアナで研究しているようにジオニックやツィマッドを組み合わせてジオン系の技術として、プロトタイプガンダムで得られた連邦軍系の技術の双方を組み合わせる事により、ディアナ系、ルナ・ジオン系、月系。そんな感じの操縦に統合されていくとは思うが。
そうなると、グフカスタムを操縦するのは産みの苦しみといったところか。
その辺は俺が考える事じゃないか。
そもそも、グフカスタムはあくまでも地上で運用されるMSだから、戦力の大半が宇宙のルナ・ジオン軍にはあまり関係ないだろうし。
あるいは、ドムがリックドムになったように、グフも宇宙用に……いや、ヅダがあるから意味はないか。
「起動するぞ、離れてくれ」
外部スピーカーで外にそう声を発しながら、グフカスタムを起動させる。
そうして動いた機体に、周囲にいたメカニック達は……そしてゲラートまでもが、喜びの表情を浮かべていた。
おい、もしかしてグフカスタムを起動するのは、これが初めてって事はないよな?
さすがに、今までにも何度も起動実験とか、そういうのはしてるよな?
そう聞きたくなったが、何となくそれは止めておいた方がいいかと判断し、機体を格納庫の外に向けて進ませる。
途中でガトリングシールドを始めとした武器を装備する事も忘れない。
メカニックに案内されて到着したのは、かなりの広さを持つ更地。
恐らく、MSを始めとした機体の運用試験用の場所なのだろう。
小さな島々が集まっているハワイ諸島では、贅沢と言ってもいい。
とはいえ、ハワイの防衛を担うMSの試験をする場所とかは、絶対に必要なのは間違いない。
……ハワイで一番必要とされているのは、水陸両用MSなのだが。
そんな風に考えていると、格納庫の方からかなり古くなった……それこそ、もう動かすのは無理だろうというザク、それもザクⅡではなくザクⅠ、今では旧ザクと言われているザクが姿を現す。
この旧ザク、一体どこから入手したんだ?
何だかんだとジオン軍では未だに旧ザクも使われているらしいから、入手するのは必ずしも無理ではないだろが。
あるいは、ジオン軍がハワイから撤収する時にもう使い物にならないと判断して置いていった……という可能性もあるか。
まぁ、見たところ完全にスクラップとしか呼べないような状況になっているし、今はもうそこまで気にする事はないか。
「まずガトリングシールドを使ってみるぞ」
外部スピーカーでそう告げる。
広場……演習場? には、ゲラートを始めとして、メカニック達の数も多い。
自分達が改修したグフカスタムが、どのような性能を発揮するのか、自分の目で見たい者達だろう。
俺の言葉に、一応といった様子で全員が下がる。
グフカスタムからある程度距離を取っていたので、そのくらいで問題はないのだろう。
そんなゲラート達を確認してから、ガトリングシールドを構え……トリガを引く。
ガガガガガガ、という連続した発射音が周囲に響き渡り、旧ザクに次々と命中する。
全ての弾丸が装甲を貫くとまではいかなかったが、それでもかなりの数の弾丸が旧ザクの装甲を貫く。
続いて、ガトリングシールドの下にある3連ガトリング砲を撃つ。
威力そのものは、砲身の短さもあってガトリングシールドには及ばない。
そもそも、この3連ガトリング砲はグフにあったフィンガーバルカンを改良したものだ。……いや、改良とはちょっと違うか?
指がバルカンになっていたのを、外付けにしたといった形なのだから。
ぶっちゃけ、何で最初のグフはフィンガーバルカンなんて代物にしたのかが、疑問だ。
ああ、でも敵の意表を突く隠し武器としては、それなりに有効なのか?
そういうのがあると分かれば、隠し武器としての効果は薄れるから、すぐにその効果は薄れるだろうが。
ともあれ、ガトリングシールドの下の3連ガトリング砲を撃ちながら、旧ザクとの間合いを詰めていく。
そして間合いが縮まったところで3連ガトリング砲の射撃を止め、ヒートロッドを射出。
前情報通り、KMFのスラッシュハーケンに近い感じの武器ではあるが、KMFと違うのは……
ヒートロッドが旧ザクの残骸に命中した瞬間、そこから電撃が流れる。
旧ザクはもうろくに動かないので問題はなかったが、もし普通に動いているMSであれば、システム的に大きな被害を与えただろう事は間違いない。
そしてヒートロッドを強引に引っ張る。
すると、残骸に近い状態だからだろう。ヒートロッドに引っ張られた旧ザクがこちらに向かって引っ張られてきた。
そんな旧ザクの残骸に向けて、俺はガトリングシールドを排除し、ヒートサーベルを引き抜き、振るう。
このヒートサーベルは、普通のグフが使っているヒートサーベルと違ってヒート状態……つまり、熱せられた状態でなくても、普通に実体剣として使用可能なのだ。
もっとも、ヒート状態の方が威力が強いのも事実である以上、よっぽどの事がない限りは素のままで使うといったことはしないのだが。
今回も当然のように熱した状態にし、ヒートロッドでこちらに向かって突っ込んできた旧ザクの残骸を真っ二つに切断する。
うん、残骸で動力炉が動いてなくて本当によかったな。
もしそんな状況だったりしたら、恐らく……いや、ほぼ間違いなく動力炉が破壊されて、爆発が起こっていた筈だ。
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』
一連の動きに、聞こえてくる歓声。
自分達が改修したグフカスタム――設計とかはジオニックから流されてきたらしいが――が、ここまでの性能を発揮するとは思ってもいなかったのだろう。
実際、感心するに相応しい性能なのは、間違いなかったし。
このヒートロッドがKMFのスラッシュハーケンのような使い方が出来るのなら、このグフカスタムは空を飛ぶ事は出来ないが、擬似的な三次元行動は出来るようになる。
とはいえ、それをやるには結構な操縦技術が必要になる以上、ベテラン……程度ではちょっと難しいか。エース級でどうにかといったところか?
そんな風に思いつつ、俺はグフカスタムを歩かせ、元の場所に戻ってコックピットから下りる。
「アクセル!」
地上に降りた俺に、喜色満面といった様子で近づいてきたのは、当然のようにゲラート。
愛着のあるグフが、改修によってここまでの性能を見せた事が、それだけ嬉しかったのだろう。
とはいえ、今回の一件においてはゲラート以外の面々も嬉しかったようではあったが。
「グフカスタム。確かに悪くない機体だな。特に、あのガトリングシールドは使い勝手がいい」
とはいえ、ガトリングシールドの問題がない訳でもない。
シールドとガトリング砲を一緒にした為に、どうしても一定以上の重量となるのだ。
それこそ、W世界でヘビーアームズがガトリング砲をエネルギー切れになった時に切り離しているのを考えれば、明らかだろう。
その辺のデメリットを考慮しても、使い勝手のいい武器なのは間違いないのだが。
それこそ、グフカスタムはヘビーアームズとは違って近接戦闘用の武装も揃っている――元々そちらが本領――以上、敵と接近したらガトリングシールドを排除してもそこまで問題はない。
火力という点では劣るが、左腕には3連ガトリング砲もあるし。
ガトリングシールドを切り離した事により、機動性が上がるのは間違いない。
であれば、総合的な戦力という点では大差ないだろう。
もっとも、それはあくまでもグフカスタムの性能を使いこなすような、エース級のパイロットが操縦していれば、の話だが。
特にガトリングシールドが強力な武器であるが故に、それを切り離す事に躊躇し……その隙を突かれるということを、想定する必要もあった。
「そうだろう」
「ただ、性能がそれなりに尖ってるから、新兵とかには向かないな。最低でもベテラン……可能なら、エースとかが乗るのに相応しい機体だ。それこそ、闇夜のフェンリル隊とか、あとはアプサラス計画のノリスやガトーのような」
「やはりそうなるか。……その辺は心配ない。元々ベースとなるグフの入手が難しいのを考えると、そこまで多くは製造出来ないしな」
そう言うゲラートだが、もしかして自分が乗ろうとか、そんな風には考えてないよな?
まぁ、ゲラートはホワイトスターで目の治療を終え、今では問題なくMSを操縦出来るようになっている。
ラルと親友というだけあってか、ゲラート本人のMS操縦技術も非常に高い。
それだけに、もしかして……と、そんな心配をしてしまっても、決しておかしな話ではなかった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469