「そうなると、じゃあホワイトベースの修理はかなり進んでるんだ」
ハワイの街並みを綾子と共に歩きながら、そんな会話をする。
……綾子とのデートという意味では、かなり無粋な会話をしているとは思うのだが、綾子から振ってきた話題である以上はしょうがないだろう。
「そうだな。もう数日とはいかないけど、1週間から10日くらいで、ホワイトベースの修理は完了する筈だ」
「そうなると、いよいよユーラシア大陸、か」
綾子の言葉に頷く。
とはいえ、マチルダの言葉を聞く限りでは、ユーラシア大陸に移動してモルモット隊と合流。その後は陸戦型ガンダムとやらを運用している部隊の基地を拠点として少し活動する事になりそうらしいが。
陸戦型ガンダムとか、地味にこちらの弱点……欲しい情報やMSを餌にしてぶら下げてくるよな。
とはいえ、正直なところを言わせて貰えば、陸戦型ガンダムにはそこまで期待していないというのも事実だ。
何しろ、ガンダムを製造する上で基準をパス出来なかった部品を使って開発されたMSらしいし。
宇宙での戦闘を完全に切り捨て、地上での戦闘に特化したという意味では、ピクシーに似ているところもあるかもしれないが……印象としては、俺のピクシーやアムロのガンダムの、それぞれ下位互換って感じなんだよな。
それでも連邦軍の数少ないMSという事で、興味を持つなという方が無理なのだが。
「日本に寄ったりはしないの?」
「あー、どうだろうな。ハワイの位置からだと……沖縄辺りは通るかもしれないけど、本州に寄るのは難しいんじゃないか?」
無理をすれば寄れない事もないと思うが、このUC世界において日本がどれだけの意味を持っているのかは微妙なところだ。
まぁ、リュウやハヤト、カイといった具合に結構日本風の名前を持っている奴はいるんだけど。
「そうなんだ。ちょっと残念だね」
「興味がないと言ったら、嘘になるけどな」
この世界においても、日本は色々と特色があってもおかしくはない。
それこそ、UC世界独自の発展とか。
「ん? へぇ……綾子、ちょっとあの店に寄ってみないか? 麦わら帽子が売ってるみたいだぞ」
個人的に、麦わら帽子と言えば日本らしいというイメージがあったのだが、実はこういう場所でも売ってるらしい。
綾子も麦わら帽子には少し興味があるのか、俺の言葉に素直に頷く。
「行ってみよう」
そう言い、店の中に入る。
その店は、別に麦わら帽子だけを売ってる店ではない。
小物の類を売ってる店で、その中に麦わら帽子があるのだ。
ちなみに、この小物屋はこの前ミナトと一緒に入った店とはまた別の店だ。
「いらっしゃい」
店員が、店に入ってきた綾子を見て少し驚いた様子を見せながらも、そう声を掛けてくる。
驚いたのは、綾子の美貌に対してだろう。
実際に男の店員の視線が向けられているのは、綾子だったし。
「アクセル、これとかどうかな?」
そう言い、綾子が麦わら帽子を手に取り、被ってみせる。
意外な程に……というのは少し綾子には失礼かもしれないが、似合っていた。
いや、元々似合うとは思っていたのだ。
ただ、麦わら帽子を被った綾子は、それこそどこぞの令嬢のように見えたというのは、少し予想外だった。
これで白いワンピース辺りでも着ていれば、間違いなくお嬢様のように見えただろう。
「ああ、似合ってると思う。……麦わら帽子1つで、随分と印象が変わるんだな」
「それはどういう意味?」
俺の言葉に、綾子が若干不機嫌そうに聞いてくる。
俺はそっと視線を逸らしながら、特別な意図があった訳ではないと、そう告げた。
綾子はそれでも俺の方を怪しげな様子で見ていたが、麦わら帽子を買ったことで満足したのか、店を出ると機嫌は良くなる。
「あ、クレープが売ってるな。買っていかないか?」
「そうね。どうせならハワイらしいクレープがいいけど……」
「……ゴーヤとかはないよな?」
綾子の言葉に、恐る恐るといった様子でクレープを売っている屋台のメニューを見る。
ハワイらしいという訳ではないが、南国で育つ野菜がゴーヤだ。
一応大丈夫だと思うが、それでもこれまで俺が行く先々をゴーヤクレープは侵食してきた。
であれば、もしかしたら……本当にもしかしたらと、そんな風に思ってしまっても仕方がないだろう。
とはいえ、幸い店のメニューの中にゴーヤクレープの姿はなかった。
その事に安堵しつつ、俺はベリー系がメインのクレープを頼み、綾子は南国フルーツが中心のクレープを頼む。
そうしてクレープを食べながら、向かうのは砂浜だ。
ミナトと一緒に海水浴をしたというのを知った綾子からのリクエスト。
いやまぁ、綾子もミナトと一緒に水着を選んだという話だったので、それに関しては俺としても嬉しいんだが。
「こうしてみると、戦争中なのに気軽に遊んでいる人も多いのね」
「元々戦争を嫌ってハワイにやって来た者も多いんだし、今は平和を楽しんでるんだろ」
連邦軍にしろジオン軍にしろ、ルナ・ジオンを……何よりその背後にいるシャドウミラーを敵に回すようなつもりはない筈だ。
まぁ、連邦軍の中にはルナツーに集まっていたタカ派のような連中も存在しているので、必ずしもそうなるという訳でもないのだろうが。
「ふーん。……なら、この平和は守りたいわね」
「そうだな」
何だかんだと、綾子は他人に対して優しい。
少なくても、穏やかに暮らしているような者達に対しては。
……無意味に暴力を振るうような相手とかになると話は別なのだが、ハワイでそのような真似をすれば、すぐにでもコバッタや量産型Wがやって来て、捕まってしまう。
そういう意味では、ハワイというのはこのUC世界において最も安全な地域の1つだろう。
当然、月も安全な地域に入ってはいるだろうが。
そんな風にクレープを食べつつ、話をしながら歩いていると、やがて目的のビーチに到着する。
「綺麗ね……」
「何度も見てるだろ?」
「馬鹿。アクセルと一緒だから、1人で見るよりも綺麗に見えるに決まってるでしょ」
綾子の呆れの視線が向けられ、クレープを食べ終わって抱いていた俺の腕に力を入れる。
……綾子の柔らかな双丘が腕で潰れる感触は嬉しいんだが、同時に微妙に関節技を掛けてきたりもしてるんだよな。
「じゃあ、まずは着替えてくるか。綾子の水着姿も楽しみだし」
「ふん、だ」
俺の言葉に若干照れたのか、綾子は薄らと頬を赤くしながら、俺から手を離す。
そのまま着替えをする為に、俺から離れていくのだった。
「これは、また……」
さっさと海パンに着替え終え、綾子を待っていた俺の前に姿を現したのは、黒のビキニを着た綾子だった。
運動をしている為か、引き締まった四肢。
それでいながら女らしい柔らかさや丸みを決して捨ててはおらず、その双丘は服を着ている時には着痩せして分からないが、かなりの大きさだ。
そんな魅惑的な肢体を黒のビキニが包み込んでいる様子は、生唾を呑み込むのに十分な代物だった。
実際、周囲にいる者達は男女問わずに綾子の水着姿に目を奪われており、それでいながら恋人と一緒にいる男は連れている相手に足を踏まれたりといったことをしていた。
「どう?」
「うん、似合ってる」
少し照れた様子で尋ねてくる綾子に、短くそう告げる。
俺の褒め言葉を聞いた綾子は、少しだけ照れた様子を見せてはいたが、それでもすぐに嬉しそうな笑みを浮かべる。
数え切れない程に俺の前で一糸纏わぬ姿を見せてきたのに、水着姿を見せて照れるというのは……恐らく、女心という奴なんだろう。
正直なところ、その気持ちは正確には分からないのだが。
それでも照れている綾子という光景は、強い破壊力を持っているのは間違いのない事実だった。
「えっと、その……それで、これからどうする? 何かをして遊ぶ? ミナトは海の上をビニールマットに乗って漂ったりしていたらしいけど」
「あー、そうだな。綾子がそれを望むなら、俺はそれでも構わないぞ。どうする?」
「うーん、でもミナトと同じというのも芸がないし……他に何かない?」
「何かって言われてもな。……ジェットスキーとかを借りてくるか?」
ジェットスキーというのは、言ってみれば水上を走るバイクのようなものだ。
当然のように、海水浴の客がいる場所の近くでやるのは禁止されているが、ある程度沖の方に出れば問題はない。
綾子と2人で遊ぶには、丁度いい代物だろう。
……沖の方に出すぎれば、外からの攻撃を警戒している水中用MSと遭遇する可能性もないとは言わないが。
「いいわね、それ」
綾子も意外に乗り気で、結局ジェットスキーを借りる事になるのだった。
「きゃああああああああっ!」
俺の後ろで綾子が悲鳴を上げるが、それは怖いからの悲鳴ではなく、面白いからの悲鳴だ。
当然の話なのだが、半サーヴァントである綾子なら、このジェットスキー以上の速度で走る事が出来る。
それも、素の状態でだ。
魔力や気による強化をすれば、更にそれよりも上の速度を出せる。
とはいえ、やはり海の上で……それも、俺と一緒にこうしてジェットスキーに乗るというのは、別物という事なのだろう。
黒いビキニに隠されている豊かな双丘が、俺の背中で思い切り潰れている様子がある。
……綾子も、誰にでもこのような事をするのではなく、あくまでも俺と一緒だから、思う存分はしゃいでいるという事か。
そんな綾子を喜ばせる為に、俺はジェットスキーの速度を更に上げる。
「きゃああああああああははははははははは!」
悲鳴の途中から笑い声になっているのだが、綾子本人はそれに気が付いているのかどうか。
ともあれ、そうやって俺と綾子は少しの間ハワイの沖でジェットスキーを使って遊んでいたのだが……ふと気が付くと、結構離れた場所に俺と同じくジェットスキーに乗っている相手を発見する。
へぇ、俺達以外にもジェットスキーに乗ってる奴がいたのか。
いや、これを借りる時も店員が結構流行ってるみたいな事を言ってたから、そう思えば不思議でも何でもないのか?
そう思っていると、そのジェットスキーに乗ってる奴がこっちに近づいてくる。
競争……レースでも仕掛けてくるのか? と思ったが、どうもそういう雰囲気ではない。
「よぉ、そこの兄ちゃん。向こうの方に鮫が出たらしいから、行かない方がいいぜ!」
声を掛けてきたのは、40代程の……いわゆる、ちょい悪親父というタイプの男。
特にこちらに喧嘩を売るといった様子もなく、親切からの行動だったらしい。
「そうなのか? 分かった、気をつけるよ」
「ああ。じゃあな。美人の姉ちゃんを連れてるんだから、気をつけろよ」
そう告げ、男はジェットスキーで去っていく。
それにしても、鮫か。
このUC世界では、ジオン軍がコロニー落としを行った事もあって、自然にも結構な被害が出た。
それを思えば、今こうして暢気に海水浴とかで遊ぶ事が出来るのは、ある意味で凄いんだろうな。
とはいえ、鮫がこっちに来るとか、そういうのは自然環境の破壊云々とは関係ないんだろうが。
元々ハワイというのは、色々な島が集まった場所だ。
それだけに周囲が海に囲まれており、だからこそ鮫とかも普通にいる。
常夏の島と言われてるだけあって、水温も高いしな。
「どうする?」
耳元で囁く綾子。
この場合のどうする? というのは、鮫を倒しにいくか、それともこのまま放っておくかといったところか。
ここがハワイ以外の場所なら、それこそ俺も放っておいたんだろうが、ハワイはルナ・ジオンの領土だ。
そうである以上、こちらとしてもそのままにしておく訳にもいかない。
ハワイにいる者の中には、一般人……いや、戦争を嫌ってやって来た者も多い。
そのような者にしてみれば、ハワイというのは戦争という悲惨な現実が存在しない場所なのだ。
であれば、ここで鮫がいるからと海で泳ぐ事が出来ないとなれば、少し面白くはない。
折角なのだから、ハワイを存分に楽しんで貰うに越した事はないだろう。
それに、折角なのだから鮫料理を楽しむのもいい。
鮫は仕留めた瞬間からアンモニア臭によって臭くなっていくのだが、空間倉庫がある俺の場合は、そういうのはあまり気にしなくても構わないし。
それにフカヒレは高級食材だから、四つ葉にお土産として持っていってもいいかもしれない。
フカヒレは乾燥させる必要があり、完成まで時間が掛かるので、生のを持っていても……いや、魔法球を使えば……
そんな風に思いつつ、鮫を倒す事にする。
綾子も俺の言葉に異論はなく……いや、寧ろ綾子の方が鮫を倒すのに積極的になり、鮫がいたという方に向かって進む。
当然ながら、俺と綾子の2人に掛かれば鮫を見つけるのも、倒すのも難しい話ではなく……体長5m程もあるかなり大型の鮫は呆気なく退治され、その死体は無事空間倉庫に収納されるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469