転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2367話

「は? いやまぁ、それはいいけど……何でまた?」

 

 ユーラシア大陸に入った翌日。

 俺はブライトに呼ばれてホワイトベースのブリッジにやって来たのだが、そんな俺に言われたのは、モルモット隊との合流は東南アジア戦線の基地で行われるという事だった。

 以前マチルダから聞いた話によると、モルモット隊と合流してから東南アジア戦線の基地で少し待機するという話だった筈だ。

 だというのに、何故いきなり合流場所が変わったのか。

 それに疑問を持つなという方が難しかった。

 

「何でも、モルモット隊がジオン軍のMS部隊と接触して、幾らか被害を受けたらしい。なので、ホワイトベースよりも近い東南アジア戦線の基地の方に寄る事になったとか」

「あー……なるほど。MSの関係か」

 

 その説明には、完全にという訳ではないが納得出来るものがある。

 ホワイトベースはMS運用艦として設計された軍艦だ。

 正確には本来は別の用途に使う予定で設計されていた軍艦を、開発途中でMS運用艦として再設計したとか何とかいう話だったが……ともあれ、MS運用艦なのは間違いない。

 それでも、やはり軍艦である以上はMSの搭載数も限られているし、何より修理する設備の類もしっかりとした基地に比べると劣ってしまう。

 その辺りの事情を考えると、MSを修理するという点ではホワイトベースに頼るのではなく、連邦軍の基地に向かった方がいいのは確実だった。

 

「分かって貰えたようで何よりだ。アクセルには、前もって言っておいた方がいいと思ってな」

 

 これは、俺が……正確には、俺とミナト、綾子の3人が連邦軍の所属ではなく、シャドウミラーの者だから、というのが大きいだろう。

 本来なら、言ってみれば傭兵に近い俺達にそこまでブライトが説明する必要はない。

 だが、そのシャドウミラーの所属ともなれば、どうしても気を遣わなくてはならなくなる。

 その為に、こうして今回の一件を教える事にしたといったところか。

 

「ああ、その配慮に感謝する。……とはいえ、別にその件は機密事項って訳でもないんだろ?」

 

 生真面目なブライトの性格から考えると、本当に他人に明かせないような軍事機密ともなれば、それこそ相手が俺であっても簡単に口にするような真似はしないと思えた。

 この点は融通が利かないという事でもあるが、それは同時に口が堅いので信頼出来る相手であるという事でもあった。

 ともあれ、そうやって話が決まると、ホワイトベースは東南アジア戦線にある基地に向かって移動を始める。

 ちなみに移動速度そのものは、そこまで速い訳ではない。

 海の上では潜水艦部隊からの追撃を避ける為に途中からはかなりの速度で移動したので、現在は巡航速度というか、ある程度遅い速度で移動しつつ、ハワイで修理した場所におかしなところがないかを確認しながらの移動となっている。

 正直なところ、最初に全速で動かしたんだから、恐らく問題はないと思うんだが。

 ただ、メカニック達にしてみればいざという時にホワイトベースが満足に動かないようにはなって欲しくないといったところか。

 何より、これからホワイトベースがどこかの基地か何かを攻略する可能性が高い以上、ホワイトベースの状態を万全にしておきたいのだろう。

 東南アジア戦線の基地でなら、ある程度の修理やら調整やらは出来るだろうし。

 そうして進む事、数日……俺達は、目指していた東南アジア戦線の基地に到着するのだった。

 

 

 

 

 

「正直、モルモット隊だったか? その部隊が襲われたって話だったし、俺達も基地に向かうまでに攻撃されるのかと思ってたんだけどな」

 

 窓から見える連邦軍の基地を見ながら、そう呟く。

 そんな俺の言葉に、他の面々も同意する。

 まさか、ここまで何もないまま無事に基地に到着するとは、思っていなかったのだろう。

 これは、宇宙にいる時から何度となく延々と襲われ続けてきた経験から出た言葉であり、周囲で同意している面々が頷いているのも同じ理由からだろう。

 もっとも、客観的に見た場合は俺達……ホワイトベースが襲撃された回数そのものが異常なのだろうが。

 

「ともあれ、ここまで無事に到着した以上、これからは大分楽になる……と思う」

「アクセルはそれを本気で言ってるの?」

 

 希望的観測を口にした俺に、綾子が若干の呆れを滲ませた口調でそう告げてくる。

 いやまぁ、綾子の言いたい事も分かるけどな。

 

「どういう事です? モルモット隊と一緒に行動するとなると、こちらとしても戦力は上がりますよね?」

 

 アムロの疑問に、綾子はこっちに視線を向けてくる。

 どうやら自分で説明するのではなく、俺に説明しろと、そう言ってるらしい。

 

「幾つか理由があるが……」

 

 そう言った俺に、アムロがほんの僅かだが残念そうな表情を浮かべる。

 もしかして、今のを理由に綾子と話をしたかっただけか?

 まぁ、アムロ以外の面々も興味深そうにこっちに視線を向けているので、説明を続ける。

 

「まず、ホワイトベースに新戦力を合流させるという事は、俺達が次に向かうのは、俺達だけではどうしようもないと判断されたという事だ」

 

 その言葉に、話を聞いていた者達は嫌そうな表情を浮かべる。

 薄々予想はしていたのだろうが、それを直接口にされてしまった……といったところか。

 MSの運用試験を任されている部隊だけに、当然のように精鋭なのは間違いない。

 そんな精鋭が合流しなければならない、敵。

 それは、どう考えても洒落にならない相手なのは間違いない。

 

「可能性としては、ジオン軍の基地の中でも特に守りの堅い場所……重要拠点とかだな。そんな場所を俺達で攻略する必要が出て来る」

 

 そんな場所を攻めるからこそ、ゴップは俺を含めてシャドウミラーの面々を雇うという事にしたのだろう。

 まぁ、俺がその作戦に参加するのかどうかは、ゴップからの報酬によるのだが。

 ただ、恐らく……本当に恐らくの話だが、これからの戦いでゴップが俺に渡してくる報酬は、俺が満足出来るような物であるのは、ほぼ間違いないと思う。

 ホワイトベースをユーラシア大陸まで護衛してくるというのだけで、ピクシーを設計データと一緒に貰ったのだ。

 それを考えれば、より難易度の高い仕事を頼むとなれば……さて、何だろうな。

 考えられるとすれば、やはり連邦軍の新型機といったところか?

 それに、今回の依頼ではアプサラスを使おうかとも考えている。

 ギニアスにしても、テストやシミュレーションでの結果だけではなく、実際に戦闘に参加した時のデータも欲しいだろうし。

 そして、アプサラス……正確には、アプサラスⅡの大型メガ粒子砲の威力を思えば、それこそジオン軍がどれだけ防御を固めていたとしても、それを容易に破壊する事は出来る筈だった。

 何しろ、元々アプサラスはジャブローの分厚い岩盤を破壊して、その下に存在する連邦軍の本部を壊滅させるというコンセプトで開発された機体なのだから。

 それこそ、ジャブロー並……いや、ジャブロー以上の高い防御力がなければ、アプサラスの一撃の前にはどうしようもない。

 そんな訳で、厳しい戦いになるとは言ったが、奥の手のアプサラスがいる以上、そこまで心配はしていなかったりする。

 もっとも、それはあくまでもアプサラスの存在を知っている俺だからこその話であって、その辺の事情を知らない者達にしてみれば、俺の言葉に表情を引き攣らせてもおかしな話ではない。

 

「具体的に……どこだと思う?」

「さて、その辺は俺よりも連邦軍のリュウとかに聞いた方が、分かりやすいんじゃないか?」

 

 ガルマから聞いた話だと、最有力候補としてはオデッサだ。

 ジオン軍にとって地球降下作戦で最初に占領した場所だけに、防衛戦力も十分に用意されている筈だった。

 また、資源が非常に豊富な場所であるのも間違いなく、ジオン軍にとっては最重要拠点の1つであり、同時に連邦軍にとっては出来るだけ早くジオン軍から奪還したい場所。

 

「北米とかの可能性は……ないか」

「だろうな」

 

 カイの言葉にそう同意する。

 そもそも、北米を奪取するのであれば、それこそ俺達をわざわざユーラシア大陸まで移動させる必要はない。

 ……ああ、でもガルマを倒した件もあるし、ホワイトべースが目立つという事も考えると、ジオン軍の目をホワイトベースに引き寄せるという意味で囮として使う可能性は十分にあるのか。

 

「俺達がどこを攻撃するのかというのは、それこそいずれ分かる事だ。それまでに俺達が出来るのは……MSを万全の状態で動かせるようにしたり、この戦線に存在する連邦軍のMS部隊と戦って腕を磨いたりといったところだな」

「……うぇーい」

 

 嫌そうな、それこそ心の底から嫌そうな様子で返事をするカイ。

 カイの性格からして、訓練とかそういうのは決して好きじゃないだろうしな。

 

『アクセル代表、至急ブリッジまでお越し下さい。繰り返します……』

 

 と、不意にそんな通信が流れる。

 フラウだな、この声は。

 けど、急に俺を呼び出すってのは……何かあったのか?

 

「取りあえず、呼ばれてるみたいだしちょっと行ってくる」

 

 その場にいる綾子達にそう声を掛け、俺はブリッジに向かう。

 通路を歩いて移動していると、何人かのクルー達と出会うが、その全員が嬉しそうな様子を見せていた。

 敵に襲われる事がない――確実とは言えないが――場所にやってきたというのが嬉しいのだろう。

 敵に襲われないという意味なら、それこそ連邦軍の基地よりもハワイの方が安全なんだが、ハワイはあくまでもルナ・ジオンの領土であって、連邦軍の領土ではない。

 そうなると、どうしても完全に安心するという訳にはいかなかったのだろう。

 ……ここはジオン軍との最前線の1つでもあるんだが。

 ともあれ、そんな軍人達を見ながらブリッジに到着する。

 

「何の用件だ?」

「ああ、実は連邦軍基地の方から、面会の際にアクセルを同行させて欲しいと言われてな。アクセルが問題ないのなら、頼みたいんだが」

 

 単刀直入に、ブライトが俺に告げてくる。

 この辺りのやり取りは、俺との会話に慣れてきた証だろう。だが……

 

「面会に俺を? ……出来れば遠慮したいんだがな」

 

 面会という事は、恐らく基地の中でも担当の者……という訳ではなく、恐らく上層部だろう。

 だからこそ、面会という言葉を使ったのだろうし。

 そんな中で一番可能性が高い面会の相手は……恐らく、リュウが言っていたイーサンの可能性が高い。

 レビルやゴップとの繋がりが深い俺という存在は、イーサンにとって非常に厄介な代物だろう。

 であれば、会った時に何らかの罠を仕掛けてくるという可能性は十分にある。

 もしくは、基地を使わせる条件として、ホワイトベースの戦力をジオン軍との戦いに使うか?

 考えてみれば、そっちの方が可能性は高いな。

 東南アジア戦線は、現在ジオン軍と戦力が拮抗している。

 それこそ、地元のゲリラがどちらにつくかで、天秤が大きく揺れ動いてもおかしくはないくらいに。

 そんな中で、ホワイトベースとモルモット隊の戦力を自由に使う事が出来れば、それは大きな意味を持つ。

 そして、当然のように手柄はイーサンが奪う、と。

 レビルに対する意趣返しと、自分の手柄が増えるという事で、まさに一石二鳥。

 いや、ホワイトベースのMSやモルモット隊のMSの性能とかも自分の目で確認出来るとなると、一石二鳥以上の効果があると思ってもいい。

 

「そこを何とか頼む。先方も、是非アクセルに会いたいと、そう言ってるんだ」

「……貸しだぞ」

「悪い」

 

 短い言葉でやり取りが終わる。

 まぁ、イーサンとやらを直接自分の目で見て確かめておくのも、そう悪い話ではないだろう。

 こうして1つの戦線を預かっているとなると、恐らくイーサンは俺と決定的に相性が悪い強硬派という訳でもないだろうし。

 だからこそ、こちらとしてもそれなりにやりやすい一面があるのは間違いない。

 それに、個人的にはここでジオン軍と戦うのは、そう悪い話ではないと思う。

 ホワイトベースのMSであれば、お互いに阿吽の呼吸……とまではいかないものの、それなりに長い間一緒に戦っているという事もあり、ある程度の連携は出来る。

 だが、そこにモルモット隊が入るとなると、話は変わってしまう。

 モルモット隊が精鋭揃いであっても、上手く連携がとれないとなると、色々と不測の事態が起きかねない。

 であれば、この東南アジア戦線にいるジオン軍と戦って、連携をしっかり出来るようにしておくというのは、決して間違ってはいない。

 ただ、それがそのままイーサンの手柄になるのは、あまり面白い話でないのは間違いなく……そうだな。なら、陸戦型ガンダムだったか? 報酬としてそのMSを1機貰うというのは、そう悪くない話だろう。

 ホワイトベースを護衛するだけで、ピクシーを報酬として貰った以上、ぼったくってる訳でもないし。

 新しいMSを入手できるかもしれないという予想から、俺は笑みを浮かべるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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