一通り陸戦型ジムについての説明を受けたところで、俺はふと疑問を抱く。
陸戦型ジムの装甲は、ルナ・チタニウムだ。
ガンダムを見れば分かる通り、ルナ・チタニウムは非常に高価ではあるが、同時に高性能でもある。
それこそ、ザクマシンガンを至近距離から食らっても殆どダメージを受けないくらいには。
だというのに、現在モルモット隊のMSは基地で修理中だという。
つまり、これは敵にルナ・チタニウムを破壊出来る武器があるという事になる。
実際にはルナ・チタニウムもヒートホークやザクバズーカによってダメージを受けるのを考えると、絶対に無敵という訳ではない。ないのだが……
「ジオン軍に襲われたって話だったが、敵のMSは?」
「あー……何だったか。ほら、ホバー移動する奴」
「ドムか」
ジオン軍のMSの中でも、ホバー移動が可能なMSとなれば、ドムしかない。
そして、同時に納得もする。
ドムの持つメインの射撃兵器はジャイアントバズ。その威力はザクバズーカよりも上だ。
そして、ザクバズーカでも命中すればルナ・チタニウムを破壊出来る以上、当然それよりも威力が上のジャイアントバズが命中すれば、ルナ・チタニウムを容易に破壊出来る。
その事に納得は出来たが、同時に新たな疑問も出て来た。
「この東南アジア戦線で、ドムが出たのか?」
この近辺は林や森、山といったような地形が多く、ザクやグフの類であればまだしも、ホバー移動で高い機動力を持っているものの、運動性という点では難のあるドムには向いていない。
いや、腕利きなら木々が林立している中でもホバー移動出来るのだろうが、それには非常に高い技量を必要とする。
それこそ異名持ちのような。
「はい。アクセルさんの考えていることは分かります。ですが、この東南アジア戦線は別に全部が林のような場所という訳ではないです。中には、平地のような場所もありますから」
サマナが俺の言いたい事を理解したのか、そう告げてくる。
だが、なるほど。言われてみれば東南アジアだからといって、全部が全部林とか森とか山とか、そういう場所であるとは限らないんだよな。
モルモット隊は、そういう場所でドムに襲われたのか。
だが……この地域にドムが配備されたというのは、色々と不味いな。
ああ、イーサンが俺達を戦力として使いたいと思ったのは、その辺も理由の1つなのか?
ドムは重装甲の重MSだ。
MSパイロットになったばかりでも、高い防御力と高い攻撃力がある事もあり、相応に強力な戦力となる。
イーサンが要するMS部隊は陸戦型ガンダムと陸戦型ジムを要するが、そのパイロットはどうしてもジオン軍のベテランやエースには劣る。
そんなパイロットの損耗を可能な限り少なくしたいと考えるのは、イーサンとしては当然だろう。
「イーサンが俺達を戦力として使おうとしたのは、ドムがいるからかもしれないな」
俺の言葉に、ブライトとリュウがそれぞれ同意するように頷く。
そして、不思議そうな視線を向けてくるモルモット隊の面々に、ブライトはイーサンからの提案……いや、要望を告げる。
それにショックを受けるモルモット隊。
まぁ、自分達のMSの修理でイーサンに借りを作り、その為に俺達がここでの戦闘に加わらなければならないとなれば、責任を感じて当然だろう。
「そこまで心配する必要はない」
落ち込んだ様子のサマナとモーリンの2人にそう告げる。
ちなみにユウは特に表情を変える様子がなく、フィリップは不愉快そうに話を聞いているだけなので、励ます必要性は感じていない。
「え? どういう事ですか?」
「モルモット隊が俺達に合流したのは、ユーラシア大陸で何らかの作戦……それも、ホワイトベースやモルモット隊単独では、攻略出来ないような場所の攻略をする為なのは間違いない」
その説明に、モルモット隊の面々は頷く。
フィリップのみが、若干不満そうな表情を浮かべていたが、その性格は大体理解したので、スルーしておく。
「とはいえ、ホワイトベースとモルモット隊は全く違う性質を持つ」
半ば民間人が操縦しているMS隊と、最初からしっかりと軍人が乗っているMS隊。
これを一緒にするのは、明らかに間違っているだろう。
ましてや、ホワイトベースの艦長が士官候補生から特例――成り行きと言ってもいい――で中尉となったブライトとなると、そんな二つの部隊が一緒に行動してすぐに息の合った行動が出来るのかといった問題がある。
特にホワイトベースの方に素人が多い以上、どうしてもこっちは独特な機体運用とかになってしまう事も多い。
その辺りの摺り合わせも考えると、やはり実際に何度か一緒に戦場を共にした方がいいのは間違いないのだ。
そういう意味では、イーサンからの要望は決してこっちにマイナスであるだけではない。
……勿論、イーサンの要望である以上、補給物資とかはしっかりと向こうで用意してくれるだろうし。
これで、俺達を戦力として使う上に、補給物資もこっち持ちだとか言われるなんて事は……幾ら何でもない、よな?
もしそうなったら、レビルにでもクレームを入れるか。
そんな風に考える。
もっとも、俺達が戦場に出るのかどうかは、それこそイーサンがレビルに頭を下げるかどうかといったところなのだが。
「ともあれ、難易度の高い作戦に俺達が協力しなければならない以上、ここでしっかりとお互いに連携を確認しておくのは、決して悪い話じゃないってのは分かるだろ?」
その言葉に、モルモット隊の面々が頷きを返す。
モルモット隊が具体的にどのくらいの実力なのかというのも、知っておきたい。
向こうもまた、俺達が具体的にどのくらいの実力なのかは知っておきたいと思ってるだろう。
「アクセルの話を分かって貰えたようで何よりだ。それで、敵についての情報は他に何かあるのか?」
リュウの言葉に、ユウを始めとしたモルモット隊の面々は少し考えてから首を横に振る。
「ドムだったか。そのMSが2機いるのは確認出来た。……ホバー移動ってのは、かなり厄介だな。こっちの攻撃がなかなか当たらねえし」
苦虫を噛み潰したかのような表情のフィリップ。
まぁ、ザクしか知らない状態であれば、ドムというのは驚いて当然だよな。
運動性は低いものの、ホバー移動による高い機動力は、初見の者にしてみれば脅威なのは間違いない。
「グフはいなかったのか?」
地上戦闘用MSとして、ドムとはまた違った答えを持つMS、グフ。
グフの開発にゲラートが関わっていただけあって、ルナ・ジオンとグフは縁がある。
ハワイではジオニック社からの改修データ案を貰って、グフカスタムが開発されていたし。
「いや、ザクとドムだけだ。……グフってのは、あれだろ? 近接戦闘に特化してる機体。かなり使いにくそうなのは間違いないよな」
「あー……まぁ、フィリップの言いたい事も分かるけど、腕の立つパイロットが乗っている場合、グフはかなり厄介な機体だぞ」
言ってみれば、グフというのはザク……それもJ型やD型といった、地上での戦闘に特化した機体の上位互換のような代物だ。
カタログスペック的な意味ではザクと大差ないのだが、実際にはザクとは比べものにならない……30%以上も能力が上がってるって話だし。
「そういうものか?」
「ああ。ただ、今の話を聞く限りでは、敵にグフはいないようだし、MSのパイロットとしても、そこまで操縦技術が高い訳ではないみたいだ。そういう意味では、こっちとしても助かったな」
出来れば、ドムは鹵獲しておきたい。
とはいえ、ジオニック社製のグフとは違い、ドムはツィマッド社製のMSだ。
ツィマッド社はルナ・ジオンと縁が深いので、あるいは新品を入手出来る可能性もある。
「そういうものか? ……とにかく、もし実戦に出るのなら、ホワイトベースのMS隊と模擬戦とかはやっておいた方がいいかもしれないな。……アクセル、お前もどうだ?」
「え? 本気か?」
フィリップに対してそう言ったのは、俺……ではなく、リュウ。
それは冗談でも何でもなく、本気で言ってるような雰囲気だった。
まさに素の状態……と言ってもいい。
それが逆にフィリップの興味を引いたのか、不思議そうに口を開く。
「アクセルが凄腕なのは知ってるけど、グラナダを攻略した機体じゃなくて、連邦軍のMSなんだろ? なら、別に問題ないんじゃないか?」
「いやまぁ、お前がそう言うなら、別にいいけど」
一応フィリップもリュウにとっては上官なのだが、その言葉遣いはフランクだ。
フィリップの方も、そんなリュウの言葉遣いに特に気にした様子はない。
「何だよ、アクセルと模擬戦をやると、何か問題があるのか?」
「問題があるっていうか……俺達はもう慣れてしまったけど、MSの操縦技術の差にかなり衝撃を受ける事になると思う。取りあえず、最初は暫く自信喪失状態になるのは間違いない」
そんなリュウの言葉をフィリップが笑い飛ばそうとするものの、真剣なリュウの顔を見ると、それが冗談でも何でもない事実だと理解したのだろう。
恐る恐るといった様子で、俺の方に視線を向けてくる。
いや、それはフィリップだけではない。
モルモット隊の全員がこちらに視線を向けてきていた。
「本当なのか?」
「さて、どうだろうな。自信をなくすかどうかは、それこそ人によって違うだろうし。その辺は、実際に試してみないと分からないと思うぞ」
俺の言葉に、何故かリュウが溜息を吐く。
そこまで気にする程の事だったか?
とはいえ、リュウ達が揃って……それこそ、綾子がいても俺との模擬戦ではこっちが全戦全勝であるのは間違いないのだが。
「その辺は正直分からないが、東南アジア戦線のジオン軍と戦うよりも前に、模擬戦はしておいた方がいいかもな。……とはいえ、物資の関係上から実機を使った模擬戦じゃなくて、シミュレータでの模擬戦になると思うけど」
その言葉に、フィリップは獰猛な笑みを浮かべる。
ニーズヘッグを使っての戦いならともかく、MSを使っての戦いであれば勝ち目はあると、そう判断しているのだろう。
……だが、モルモット隊で使っている機体が陸戦型ジムとなると、それは陸戦型ガンダムの下位互換にすぎない。
そしてピクシーは、陸戦型の機体という点では、陸戦型ガンダムの上位互換と言ってもいい。
そうなると、MSの性能差という点ではこっちの方が明らかに上だ。
向こうが勝つとなると、操縦技術に頼るしかない訳で……さて、その辺はどうなるんだろうな。
ただ、模擬戦をやるのなら俺以外のホワイトベースのMS隊とやった方がいいような気もするが。
アムロやカイは高い才能を持っているし、ガンタンク隊にしても今まで自分達が高めてきた連携がどのくらい使えるのかを確認する意味では、決して間違ってはいないだろう。
「シミュレータか。……出来れば、もっとしっかりとした戦いをしたかったんだけどな。じゃあ、これから早速いいか?」
「ちょっと待って下さい! まだ、着任の許可も貰ってないんですよ!?」
フィリップの言葉に対し、サマナがそう叫ぶ。
この2人のやり取りは、見ていて面白いな。
ユウが基本的に寡黙な性格をしている以上、この2人のやり取りがモルモット隊としては主に喋っているのだろう。
「ブライト艦長、着任許可を願います」
サマナに見せつけるように、フィリップはブライトに向けて敬礼する。
その敬礼は、先程までのふざけた様子とは裏腹に、非常に立派なものだった。
それこそ、サマナがそれ以上は何も言えなくなるような、それ程の立派な敬礼。
「あ、ああ。フィリップ少尉……いや、モルモット隊の着任を許可する」
ブライトも、そんなフィリップに押されるようにして、そう答えた。
まぁ、軍人としては明らかにブライトよりもフィリップの方が経験は長いしな。
それどころか、モルモット隊では最年少と思われるサマナでさえ、ブライトよりは軍歴は長いだろう。
何しろ、ブライトの軍歴はまだ1ヶ月から2ヶ月……といったところか?
もっとも、密度という点で言えば、ジオン軍のトップエースたるシャアとの戦いを繰り広げてきたので、間違いなくこちらが上なのだろうが。
「ほら、着任許可を貰ったぞ。これでいいんだろ? 後は……アクセル、模擬戦をやりに行こうぜ。そっちのリュウだったか? お前も」
「あー、もう! フィリップ少尉!」
サマナの叫びが艦長室に響き渡る。
こうして見ると、腕利きではあっても癖の強いメンバーが揃ってるんだな。
サマナとモーリンの2人は、押さえ役といったところか。
うん、見るからに大変そうなのは間違いない。
少なくても、フィリップがホワイトベースにいなくてよかったと、そう思うくらいには。
まぁ、いたらいたで、意外と皆を引っ張って行ったりしたかもしれないが。
「ブライト、取りあえずシミュレータで相手をしてくる。こっちもモルモット隊の練度は知りたいしな」
「ああ。……向こうの自信をなくさせるような真似はするなよ」
俺の言葉に、ブライトはしみじみとそう答えるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469