転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2375話

 模擬戦が終わって、シミュレータの外に出る。

 そこにいたのは、唖然とした様子のメカニック達。

 それぞれが、信じられないといった様子で俺の方に視線を向けてくる。

 まさか俺1人対それ以外全員という模擬戦で、俺が勝つとは思ってもいなかったのだろう。

 ここはホワイトベースの格納庫だからこの程度で済んでいるが、基地の方でシミュレータを使っていた連中はもっと驚かれているだろう。

 ……問題なのは、これを見てホワイトベースのMS隊やモルモット隊を侮る奴が出てこないかという事か。

 たった1人に負けたのだから、やっぱりMSは使い物にならないとか、そんな事を考える奴が出てこないといいんだが。

 いや、ジオン軍のザクを始めとしたMSがどれだけの性能を発揮したのかを実感していれば、そんな風には思わないか。

 そうなると、残るのはMSパイロットの技量の問題だと思われる事か。

 シローを始めとしたMS部隊であれば、アムロやユウがどれだけの操縦技術を持っているのかは分かるのだろうが、MSパイロット以外は……正直なところ、どうだろうな。

 ともあれ、イーサンにこちらの戦力を見せつけるという意味では、成功したと思ってもいい。

 イーサンにしてみれば、俺という戦力がレビルに頭を下げる事によって、多少の期間であっても、この基地の戦力として使えるのだ。

 とはいえ、ユーラシア大陸での作戦が待っている以上、あまり長くはいられないが。

 

「うっそだろ……俺、殆ど何も出来ないで負けちまったよ」

「カイさんは、まだ戦えたじゃないですか。俺なんて……」

 

 カイとハヤトがそう言葉を交わしている光景が目に入ってきた。

 他の面々も、似たような感じだ。

 

「あー……ほら。相手はアクセルだから。大抵はそれで納得出来るようになるよ」

 

 綾子がそんな2人を慰めていた。

 いや、その『アクセルだから』ってのは、正直どうなんだよ?

 そう思わないでもないが、あれだけの面子を相手に、ピクシーという高性能機を使っているとはいえ1機で倒したのを考えると、そう言われても納得してしまいかねない。

 

「アクセル、お前……」

 

 こちらは、唖然とした様子のブライト。

 とはいえそこまでショックを受けた様子がないのは、俺がホワイトベースの戦力だと理解しているからだろう。

 

「取りあえず、今回の模擬戦はこの基地にいる連邦軍にとっても意味あるものになった筈だ。MS隊がこっちを侮るような真似はしないと思う」

 

 サンダースと揉めていた連邦軍の軍人は、MSパイロットだった。

 イーサンから何らかの罰を受けている筈だが、今度会ってもこっちに絡んでくるといった事はない……と、思う。

 もし絡んで来たら、それこそ模擬戦で勝負するか? と言えば、普通なら受けたりはしないだろう。

 

「あー……まぁ、そうだろうな」

 

 ブライトが俺の言葉に微妙な表情を浮かべて、そう告げる。

 ブライトもあの連中を面白くないと思っていた筈だけど、もういいのか?

 

「ともあれ、だ。多分これからイーサンから……もしくはイーサンの部下から色々と連絡が入ると思うけど、頑張ってくれ」

「おい、待て。全て俺に押しつける気か!?」

 

 冗談ではない! といった様子で叫ぶブライトだったが、実際に今回の一件に関してはホワイトベースの艦長たるブライトが交渉すべき問題だろう。

 あくまでも俺はゴップによって雇われた、ホワイトベースに協力する傭兵のような存在なのだから。

 

「これについての交渉は、ブライトの仕事だろ?」

 

 ぐっ、と。

 俺の言葉にブライトが黙り込む。

 実際、ブライト本人もそう思ったからだろう。

 こういう時に、生真面目な性格をしているブライトは損をする。

 もっと思考が柔軟であれば、それこそイーサンとの交渉を俺達に任せるといった事も出来るだろうに。

 とはいえ、俺も別に交渉をしたい訳ではないので、わざわざ言わないが。

 もし言われても、それこそ通信機を使ってエザリア率いる政治班に丸投げする。そんな面倒なことを投げてくるなと、エザリアには怒られそうな気がしないでもないが。

 

「今日はこの模擬戦で俺の仕事は終わりだろ。……ああ、ちなみにこの基地の戦力として出撃するのは構わないぞ。モルモット隊との連携を確認する意味もあるしな。それと、この辺りにいるっていうゲリラの情報も集めておいて欲しい」

 

 ぶっちゃけ、ゲリラとなるとMSは運用していない以上、生身での戦いとなるので俺が生身でどうにかしてもいいんだが。

 それこそ刈り取る者を召喚すれば、この世界の人間に生身でどうにか出来るような相手はいないだろうし。

 そんな風に思いつつ、俺は格納庫を出る。

 何気に、ホワイトベースに乗っていた者達の多くは格納庫に集まっていたので、それ以外の場所にいる数は少ない。

 そう言えば、月でもドックから出なかったし、北米に落下した後はジオン軍の追撃やら何やらで結局ホワイトベースから出る事はなかった。

 唯一の気分転換は海水浴だったが、それもアムロの一件とロス奪還作戦の一件から途中で切り上げになってしまったし。

 そしてハワイでもドックから出るような事が出来なかった。

 それを思えば、連邦軍の基地たるここでなら、普通にホワイトベースから出てもいいと思うんだが。

 ……まぁ、ホワイトベースは何気に居心地もいいしな。

 避難民がいる時は人数が多くて息苦しい一面もあったが、今となっては適正人数となっている。

 食事も食堂で出るのは美味いし……ただ、ナデシコと違って気分転換とかが出来る、レクリエーション的な施設がないのは痛いな。

 一応格納庫に畳を敷いて柔道をやったりとか、そういう事は出来るんだが、あれを気分転換と言ってもいいものかどうかは、正直微妙なところだろう。

 とはいえ、模擬戦が終わったばかりの今の状況で俺がホワイトベースから外に出ると、色々と面倒な事にもなりかねない。

 そうならない為には、やはり部屋で適当に漫画か雑誌でも読んでいた方がいいか。

 綾子も、今回の模擬戦の反省会を終えれば俺の部屋にやって来るんだろうし。

 そう思いながら、自分の部屋に戻ると……

 

「あら、遅かったわね。勝利おめでとう」

 

 何故か俺の部屋にいたミナトが、俺に向かって笑みを浮かべて手を振っていた。

 どうやら、俺の部屋でさっきの模擬戦を見ていたらしい。

 あの模擬戦は基地で大々的に放送されていたらしいので、俺の部屋でも見る事が出来たのだろう。

 

「正直、ギリギリだったけど」

「そうなの? ピクシーは無傷で勝ってたでしょ?」

「機体は無傷でも、密林の中であれだけの動きをすると、どうしても推進剤の問題が出て来るんだよ」

 

 一応それなりに推進剤を節約する……いわゆる燃費のいい操縦はしたが、それでも密林という戦場が悪かった。

 車でもそうだが、急発進や急ブレーキといった事を繰り返すと、どうしても燃費が悪くなってしまう。

 結果として、勝負には勝ったが敵の数がもう数機いれば、恐らく俺は推進剤がなくなって負けていた可能性もある。

 ただでさえピクシーは、高機動型のMSとして燃費が悪いのだから。

 この辺は、車でもスポーツカーとか軽自動車に比べるとスポーツカーの燃費が悪いのと似たようなものか。

 R型のザクも高い運動性や機動性を得た結果として、推進剤の消耗が激しくなったらしいし。

 とはいえ、R型は進化していくに従って推進剤の量を増やしたり、操縦システムを見直したり、推進剤のカートリッジ化という手段が考えられたりと様々に進化した。

 それに対して、ピクシーはピクシーとして完結してる。改修によって多少の性能や燃費の向上は可能かもしれないが、それが画期的とまではいかない。

 ピクシーの燃費の悪さは、そういうものだとして使いこなすしかない。

 ハワイや月……もしくはいっそホワイトスターに戻れば、ある程度は何とかなるとも思うが、ピクシーのような希少なMSをそういう風に改修してもいいものかどうかというのは迷うしな。

 主に資料的な意味で。

 

「ふーん。……まぁ、アクセルが勝ったのは嬉しいけどね。それで、明日からはどうなると思う?」

「普通に考えれば、俺達を戦力として実戦に投入だろうな。……イーサンがレビルに頭を下げる事が出来れば、の話だが」

 

 そう告げるも、俺の実力をここまで見せた以上、イーサンとしてはホワイトベースやモルモット隊の戦力を逃がすといった真似はしないだろう。

 

「そうなると、予定通り?」

「ああ。ここで少しの間ジオン軍と戦って、モルモット隊との連携をしっかりと確立させる。……ホワイトベースは、色々な意味で特殊だからな」

 

 ガンタンクが3機あって、後方から援護というだけでもモルモット隊としては今までとは違うだろう。

 そこに、ガンダム、ガンキャノン、そしてピクシーという、連邦軍の軍人ではないMSパイロットが操縦するMSがいるのだから、モルモット隊はとてもではないが今まで通りには戦えない筈だ。

 だからこそ、もしイーサンが万が一、億が一にもこちらに戦力として要請してこない場合は、こちらから戦いたいと申し込む必要があっただろう。

 とはいえ、現状の東南アジア戦線の状況を考えれば、イーサンがこちらの戦力をいらないなどというとは、到底思えなかったが。

 

「MSのパイロットは大変ね。こっちはそこまで気にする必要もないから、楽だけど」

 

 スナック菓子を食べながら、ミナトがそう言ってくる。

 楽そうな様子だが、その気持ちは分からないではない。

 聞いた話によると、モルモット隊はミデアを母艦代わりにしているらしい。

 正直なところ、モルモット隊の果たす役割の大きさを思えば、それこそホワイトベース……とは言わないが、もっと高性能な母艦を用意した方がいいと思うんだが。

 モルモット隊のようにMS運用試験を行っている部隊によって、連邦軍のMSの性能が上下するのだから。

 この上下の幅が具体的にどれくらいになるのかは、俺にも分からない。

 だが、決して少なくない事は間違いないし、それによって連邦軍の軍人の生還率が大きく変わってくるのは間違いない。

 だというのに、何故モルモット隊はここまで冷遇されているのか。

 これがモルモット隊だけの待遇だとすれば、話も分からないではないが……同じような部隊全てが冷遇されていた場合、連邦軍は大きなミスを犯した事になる。

 とはいえ、ゴップやレビルが上にいる以上、そんな真似をさせるとも思えないのだが。

 

「モルモット隊もホワイトベースで移動する事になるしな。ミナトの操縦があれば、俺も安心出来るよ」

「あら、嬉しい事を言ってくれるわね」

 

 お世辞でも嬉しい……といった風に言わないのは、ミナトもまた自分の実力を正しく理解しているからだろう。

 実際、ホワイトベースをミナトが操縦していなければ、ユーラシア大陸どころか、ハワイに到着する前に撃沈されていた可能性すらあるのだから。

 それを思えば、やはりミナトがいてよかったと、しみじみ思う。

 

「ミナトがいないと、ここまで到着出来なかった可能性があるしな」

 

 もしそうなった場合は、最悪動かなくなったホワイトベースを空間倉庫に収納し、ホワイトベースのクルーを影のゲートで運ぶ……といった真似をする必要があっただろう。

 それも、地球でなくては出来ない方法なのだが。

 

「ふふっ、ならその言葉はありがたく受け取っておくわ。それにしても……比べるのは少し可哀想だけど、シャドウミラーはともかく、ルナ・ジオン軍のMSパイロットと比べても、連邦軍のパイロットは腕が落ちるわね」

「アムロやユウのような連中は例外だよ」

 

 連邦軍の中でもトップエースと呼んでもいいだけの実力を持つのが、その2人だ。

 カイやフィリップといった準エースでは、ジオン軍やルナ・ジオン軍のエースや異名持ちのパイロットを相手にすれば、まず勝ち目がないだろう。

 ……ガトーやノリスといったMSパイロットとシミュレータでいいから模擬戦をやらせてみたら、ちょっと面白いかもしれないな。

 現在その2人はグフカスタムのパイロットとして、機体の習熟に励んでいる筈だ。

 そういう意味では、アムロやユウのような者達との模擬戦は、双方共に利益になる。

 とはいえ、それをやるのは色々と問題も多いのだが。

 

「あ」

「うん? どうしたの、いきなり?」

「いや、アムロやユウとハワイのルナ・ジオン軍のパイロットで模擬戦をやったら面白いと思ったんだけど、それが難しくてな。けど、ユーラシア大陸で今度行われる作戦には、アプサラスを呼ぶ事になってるし、そうなれば護衛としてノリスやガトーが来るから、模擬戦をやろうと思えば出来るかと思ってな。……もっとも、シミュレータでやるのは難しいから、ペイント弾とかを使って実機での模擬戦になりそうだけど」

 

 連邦軍のシミュレータに、グフカスタムのデータがある訳がない。

 そうなると、やはり実機を使った模擬戦になるのは当然であり……少しだけ、楽しみに思うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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