転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2397話

 ギニアスの言葉通り、アプサラスⅡの実験準備はすぐに終わった。

 今回は前線に向かうという事で、当然ながら危険が伴う。

 その為、実験に同行する者の数はサハラ砂漠で実験を行った時に比べればかなり少なくなっている。

 また、ノリスやガトーを始めとしてMS戦力も用意された。

 ……ただ、ノリスやガトーが乗っているのは、グフカスタムかと思いきや、空を飛ぶグフ、グフ・フライトタイプと呼ばれるMSだった。

 聞いた話によると、このグフは単純に空を飛ぶMSを目指してグフを改修した機体で、これもまたジオニック社から流されてきたらしい。形式名としては、MS-07H8。

 うーん、グフカスタムの一件でもそうだったが、ジオニック社が本気でルナ・ジオンに協力姿勢を取るようになってきたな。

 ジオン軍の状況はそこまで悪い訳ではないと思うんだが……いや、ラサ基地はこれから攻略されるし、オデッサも攻略されることを考えると、先見の明があると言うべきなのか?

 ジオニック社はジオン公国の中でも最大の兵器メーカーで、当然のように会社の内部でも色々な派閥がある。

 そんな派閥の中では、ジオン公国に忠誠を誓うといった者から、ザビ家を憎んでいる者、ジオン・ズム・ダイクンの正統な後継者たるセイラ……いや、アルテイシアが率いるルナ・ジオンに協力すべきだと考えている者や、単純にジオン公国よりも高い技術を持っているシャドウミラーと接触して技術を習得したいと思っている者……それ以外にも様々な派閥があってもおかしくはない。

 巨大な兵器メーカーだからこそだが、今回に限ってはそれがこっちにとって有利な方向に働いた形だ。

 とはいえ、グフ・フライトタイプはグフカスタムとの共通点も多い。

 そもそも、グフ・フライトタイプはグフカスタムをベースにして改修されたMSだ。

 だからこそ通常のグフで使われて評判の悪かったフィンガーバルカンは廃止されており、通常のマニピュレータに戻っている。

 武器も、グフカスタムの持つ3連装ガトリング砲やガトリングシールドといった物を共用していた。当然ヒートソードも装備はしているが。

 そう考えれば、グフカスタムを開発したグループがグフ・フライトタイプを流してきた理由にも納得出来るものがある。

 また、少数ではあるがグフ関係の生産ラインもハワイのゲラートに譲渡したというのだから、こちらに乗り換えようとする者達の本気度が理解出来る。

 ぶっちゃけ、ハワイのトップがグフの開発にも関わったゲラートだというのも、ここまでグフ関係のMSを融通している理由なのかもしれないが。

 ともあれ、そんな訳で空を飛ぶアプサラスの護衛として、ガトーとノリスはグフ・フライトタイプに乗る事になった。

 普段はグフカスタムに乗ってるんだけどな。

 基本的にアプサラスの研究者達は、連邦軍のかなり後方に陣地を設ける事になる。

 正直なところ、連邦軍のすぐ側が最適なのだろうが……何しろ、使用しているMSはグフで、ジオン軍の機体だ。

 識別信号で味方と主張しても、それを連邦軍が素直に信じるかどうかというのは微妙なところだ。

 結果として、それならいっそ離れた位置の方がいいという事になった。

 ……アプサラスが前線に出ず、遠距離からのメガ粒子砲でラサ基地の存在する山を攻撃するというのも、ギニアスが陣地を連邦軍から離れた場所にするのを許容した理由でもあるのだろうが。

 

「よし、じゃあ陣地を展開してくれ。護衛のMSを含めて、どこにどう出せばいいのか、指示を頼む」

 

 ギニアスを含む面々にそう告げ、陣地を構築していく。

 連邦軍の一部が馬鹿な事を考えた時の為にメギロートも数機いるので、基本的には安全だと思ってもいいだろう。

 MSも、グフカスタムが何機かいるし。

 ……うん、このままだとルナ・ジオン軍の地上用MSはグフが主力MSになりそうだな。

 グフ・フライトタイプとか、砲撃用のMSとしてはかなり使い勝手のいいMSなのは間違いないし、グフカスタムは乗りこなすのは難しいが、乗りこなす事さえ出来れば強力なMSだし。

 ゲラートが自分の趣味でグフを主力MSにした……とは思わないが、見る者によってはそう思われてもおかしくない。

 ともあれ、そうして準備をしていると……

 

「アクセル代表、前方からMSが1機やってきます!」

 

 技術者の1人が、不意にそう告げる声が聞こえてきた。

 既にアプサラスⅡやMSを含め、研究所から持ってきた代物は全て空間倉庫から出している。

 今は、技術者達がそれらを起動したり、様子を見たりして異常がないかをチェックしているとことろだった。

 そんな状況でいきなりMSが近づいてきたと言われれば、当然ながら皆が驚くし、不安にもなる。

 面倒な事にならないといいんだが。

 そう思いながら近づいてくるMSに視線を向けると、それは陸戦型ジムだ。

 問題なのは、その陸戦型ジムに乗ってるのが誰なのかという事だろう。

 陸戦型ジムということは、モルモット隊か……それとも、イーサンの部下か。

 いや、モルモット隊ならこうして近づくよりも前に、こっちに連絡をしてくるか。

 そうなると、イーサンの部下と考えた方がいい訳だが……さて、一体何を考えてこんな真似をしたんだ?

 そんな事を考えている間に、陸戦型ジムは動きを止める。

 この拠点からある程度離れた場所で動きを止めたのは、こちらと敵対する意志がないということを示しているのだろう。

 とはいえ、その距離なら陸戦型ジムが持っている武器を使えば簡単にここにいる者達を殺せるだろうが。

 だが、陸戦型ジムは武器を手にしていないまま、コックピットを開けるとそこから軍人が1人姿を現す。

 あれは……見た事がない奴だな。

 とはいえ、イーサンの部下のMSパイロット全員を俺が知っている訳ではない。

 何だかんだと、MS小隊は結構な数が存在するし。

 それこそ俺が直接知っているのは、シローの08MS小隊と、サンダースを殴る蹴るとしていた連中だけだ。

 ……シミュレータで対戦した事は、それなりにあるから、もしかしたらそれで会ったことはあるかもしれないが。

 

「アクセル代表、自分はダイル・グランド准尉です。今回は、この場の護衛を任されました」

「……護衛、ね」

 

 口では護衛と言ってるが、正確には監視だろう。

 何しろ、山の内部にある基地を攻撃可能な兵器を持っており、しかもそれを用いるのは連邦軍ではない、別の勢力なのだ。

 それも、その勢力はジオン公国から分かれて立ち上げられたルナ・ジオン。

 そのような存在が自分達の後ろにいるというのに、恐怖を覚えるなという方が無理だった。

 勿論ギニアスは連邦軍を攻撃するようなつもりは一切ない。

 だが、それはギニアスを知らなければ、信用する事は出来ないだろう。

 イーサンはギニアスを知らない以上、こうして念の為に人を運んできてもおかしくはなかった。

 ……いや、イーサンの性格を考えると、俺がいなくなった後で何らかの理由をつけて、アプサラスを強引に接収するという可能性も否定は出来ない。

 ついでに、口封じとしてこの場にいる者達を殺すとか。

 実際にそんな真似をしようとすれば、メギロートが出て来るし、グフカスタムも配備されているのだが。

 

「はい。上官からの命令なので、自分も何故そのような事になったのかは分かりませんが」

 

 自分は何も知らないと告げるダイルに、どうするべきか迷う。

 アプサラスの能力そのものは、今回の戦いで全員に見せる以上は知られても構わない。

 だが、それ以外の……それこそ、ギニアス達が取ろうとしているデータの類を見られるのは、色々と不味い。

 連邦軍がアプサラスと同じようなMAを開発しないとは、限らないのだから。

 

「どうする? どうしても邪魔なようなら、離れた場所で待機でもしていて貰うか? そうすれば、問題ないと思うが」

「いえ、構いません。もし彼が何かしようとしても、こちらにはしっかりとした護衛もいますし」

 

 ギニアスの言葉に、ダイルは微かに表情を引き締める。

 この場合の護衛というのは、やはり陣地の側で待機しているメギロート……それ以外にもグフカスタムを始めとしたMSの事だろう。

 メギロートは、純粋にその性能だけを考えればガンダムよりも上だ。

 それこそ、現在UC世界において存在するどんなMSよりもその性能は上だろう。

 ……もっとも、性能は上でも実際に戦えばパイロットの要素もかなり大きくなる。

 それこそ、メギロートとアムロの操縦するガンダムが戦った場合、メギロートの勝率は決して高くはないだろう。

 メギロートは1機ではなく、それこそ集団で、群れで運用する機体なので、1対1で勝っても、あまり意味はないのだが。

 ダイルがメギロートについてどこまで詳しい情報を持っているのかは、俺にも分からない。

 だが、今の俺とギニアスの台詞から、かなりの性能を持っていると予想するのは難しい話ではないだろう。

 それを意図的に聞かせて、妙な動きをしないように牽制した、という意味もあるのだが。

 

「何か誤解をしているようですが……」

 

 ダイルは俺とギニアスの会話を聞いて、慌てたようにそう言ってくる。

 ダイルにしてみれば、連邦軍がこの拠点を襲うのを前提としているように聞こえたのだから、それも当然だろう。

 

「私がここに配属されたのは、あくまでもルナ・ジオンの方達の安全を守る為です。主力のMSがグフである以上、ジオン軍と間違われる可能性も否定は出来ませんし」

「だと、いいんだけどな」

 

 俺の言葉に、ダイルが困ったように頭を掻く。

 自分の言葉が信用されないのが、ダイルにとっては悔しいといったところか。

 もっとも、イーサンが直々に手を回して用意した護衛だと考えれば、完全に信じるという方が無理なのだが。

 これが、ブライトが用意した護衛だったり、もしくはシローの08MS小隊から派遣されてきた護衛なら、まだ信じる余地はある。

 

「ともあれ、護衛としてやって来たのなら、頑張って護衛をしてくれ。1発だけの誤射が飛んでこないとも限らないしな」

 

 この場合の誤射を撃つのは、恐らくイーサンの指示によるものだろう。

 とはいえ、イーサンもそう簡単にそんな真似が出来る筈もない。

 自分がその一件に関わっていると知られれば、それこそ出世コースから完全に外れて、レビルに追いつくのは無理になるだろうし。

 ……ただ、アプサラスⅡの力を見せた直後が、若干心配する必要はあるだろうな。

 幾らイーサンでも、アプサラスⅡのメガ粒子砲の威力を見れば、血迷う可能性は十分にある。

 だからこそ、その辺は気をつける必要があった。

 

「分かりました。護衛はお任せ下さい。また、連邦軍の中にもし不埒な考えを抱くような者がいた場合も、こちらで対処します」

 

 敬礼し、そう告げるダイル。

 この様子なら、取りあえず信じてもいいか?

 

「分かった。なら、ここは任せる」

 

 そう告げ、ギニアス達と軽く打ち合わせをしてから、影のゲートを使ってホワイトベースに戻る。

 ホワイトベースはまだ浮かんでおらず、地上で待機したままなので、影のゲートでも無事に出入り出来た。

 これがミノフスキークラフトを使って空を飛んでいる状態だと、直接転移する事は出来ないのだが。

 とはいえ、俺の場合は空を飛べるので、ホワイトベースのすぐ側まで転移した後、空を飛んで合流するといった真似が出来るのだが。

 

「ブライト、戻った」

「……随分と、早いな」

「影のゲートを使ったからな」

「羨ましいな」

 

 しみじみとした様子で呟くブライト。

 まぁ、ホワイトベースの現状を思えば……特に今はともかく、地球に降下したばかりの時の事を思えば、影のゲートという転移魔法は、羨ましいどころの話ではないだろう。

 とはいえ、ブライトの美点はその生真面目さもそうだが、こういう時に何故自分達にそんな方法を使わなかったのかと、そう俺を問い詰めたりはしない事だろう。

 これは、ブライトが生真面目だからなのか、それとも魔法という、少し前まではこの世界になかった存在を完全に信じる事が出来ないからなのか。

 その辺りの理由は色々とあるだろうが、ともあれブライトにとっては頼るという選択肢はないらしい。

 ……UC世界に魔法が受け入れられるには、一体どれくらいの時間が掛かるんだろうな。

 そんな風に思いつつ、現状を確認する。

 

「それで、作戦開始までには間に合ったみたいだが……これは、イーサンがこっちの行動を待っていてくれたと思ってもいいと思うか?」

「どうだろうな。恐らくそれ以外に何らかの問題が起こったと思うんだが……それが一体どのような問題なのかというのは、分からない」

 

 ブライトが若干戸惑ったようにそう告げる。

 イーサンにとって、この戦いはレビルに対する意趣返し……いや、反撃の狼煙とも言うべき作戦だ。

 それを考えれば、無謀な真似をするとはちょっと思えない。

 だとすれば、どんな問題があったのやら。

 その問題によって、こっちの動きが楽になったのは、寧ろ歓迎すべき事だったが。

 

「それで、アクセル。お前の言ってた件は本当に大丈夫なんだな?」

 

 若干心配そうなブライトの言葉に、俺は頷きを返すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1500

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