転生とらぶる   作:青竹(移住)

249 / 4301
0225話

 ドミニオンの左舷カタパルトデッキからその艦内へと侵入した俺とムウ。乗っていたストライクとグロウセイヴァーに関してはドミニオンのMSデッキへと置いてきた。この艦の整備員達もいたが、一応この機体に近づいた奴は一緒にドミニオンへと入って来たメギロートが無条件で攻撃すると言っておいたので、命を大事にする奴なら死ぬ事はないだろう。それを知った上で俺達の機体へと手を出そうとするのなら、殺されても自業自得だ。

 

「……思ったよりも人がいないな」

 

 ムウの呟きに黙って頷く。

 MS格納庫から出て通路を進んでも、出会うのはMSパイロットや保安要員とかではなく整備員やオペレーター、中には食堂のコックなんてのもいた。

 

「俺達が侵入したのは既にブリッジでも察知している筈だ。何せ堂々とカタパルトデッキから入って来たんだからな。それに当然格納庫からも連絡がいっているだろう。となると……」

「ふん、俺とアクセルが確実に来るであろうブリッジで待ち伏せるか。ありがちな手だな」

「それも、恐らくこの艦の保安要員なんかが総出でな」

「なるほど、いかにもブルーコスモスのやりそうな事だ」

 

 ムウの手には格納庫から通路に出た時に腰に装備していた拳銃が握られている。ムウの持っている拳銃を見ながら、俺は脳裏に表示されたリストの中からレモン達技術班が改造してくれた拳銃を選択する。この世界の人間相手なら素手でどうにでも出来る自信があるが、一応念の為にだ。

 

「……つくづく羨ましいな、お前さんのその能力は」

 

 そんな俺の様子を見ながら、ムウがボソリと呟く。

 

「そうか? ……そう言えば、レモンも昔同じような事を言っていたな」

 

 既に空間倉庫の存在が当たり前になっている俺に取っては、あって当然のものなのでそういう風に言われても微妙に困る。

 そんな下らない話をしながらも、ブリッジへと続く最後の通路へと辿り着く。当然の如く通路には人の姿は無いが、扉の向こうにあるブリッジからは拙い殺気が放たれているのが感じ取れた。

 

「さて、どうする? このまま特攻というのは俺の趣味じゃないが」

「それは俺もだ。この程度の敵相手なら特に問題無く制圧出来るだろうが、ブリッジにいるナタルを負傷させる訳にはいかないだろう? ついでに、ブルーコスモスのメンバー以外も」

 

 今回の戦闘で連合軍の軍人を散々殺しておいて言う台詞では無いかもしれないが、ムウの恋人であるナタルの仲間なのだから出来れば助けてやりたいと思う。

 

「という訳でちょっと休憩だ」

「は?」

 

 信じられないといった様子でこっちを見るムウをそのままに、床へと腰を下ろす。

 

「おい、アクセル。巫山戯ている暇は」

「いいから、お前も座れ。ナタルを無事助けたいんだろう?」

「……」

 

 不承不承ながらも俺の隣に腰を下ろすムウ。

 

「はぁ……で、どうするんだ?」

「まぁ、見てろ」

 

 空間倉庫を展開し、スライムを出現させる。隣で俺が何をするのかと見ていたムウは『うおわっ!』といった声を上げていたが。

 

「と言うか、スライムを見るのは初めてだったか?」

「あ? ああ。話には聞いていたが、実際に見るのは初めてだな」

「そう言えばそうだったか。まぁ、それはともかくこのスライムは俺の意志通りに動くし、音や温度、触覚で相手を察知出来るという優れものな訳だ。つまり……」

 

 意識を集中して、スライムを伸ばす、伸ばす、伸ばす……1mm程度まで細くなったスライムは、通路にあるメンテナンスハッチからその身を伸ばして隙間へと潜り込み、ある時はスライムを通せる程度の穴を空け、ブリッジの天井へと辿り着く。そこからさらにその身を0.1mm程度まで細くしてブリッジの中へと侵入する。

 まず聞こえてきたのは複数人の息遣い。ざっと18……いや、19人か。聞こえてくる方向と、アークエンジェルのブリッジを思いだしブリッジクルーの人数は……9人、か? だが、これは……

 

「ぐぅっ」

 

 何かを堪えるような、ナタルの声。そしてその声と同じ場所から聞こえてくるのはポタ、ポタ、という何かが垂れる音。汗か?

 

「くそっ、くそっ、くそおぉっ! お前は僕の言う事を大人しく聞いていればいいのに、なんでいちいちそうやって逆らうんだよ。この戦いが終わったら軍事裁判に掛けてやるから覚えてろよ」

 

 聞こえてくるのはヒステリックなアズラエルの声。苛立ちと焦燥で酷く切羽詰まった様子に感じられる。なるほど、原作のように追い詰められている訳だ。となると、もしかしてナタルからポタポタと床へ垂れているのは汗じゃなくて血か? 少なくても俺が偵察を始めてからは銃声が聞こえなかったから、撃たれたとしたらその前だろう。そして銃を構えている人数は9人で、ブリッジの扉の方を向いている。

 

「ブリッジ内の戦闘要員はアズラエルも入れて10人。そのうち9人はあそこのドアの向こうで待ち構えている」

「もう1人は?」

「アズラエルだ。ここからが悪い知らせだが、どうやらアズラエルがナタルに向かって発砲したらしい」

「っ!? ナタルの様子は!」

「取りあえずすぐに命に別状がどうこうって訳では無いようだから安心しろ」

 

 ナタルが撃たれたという事実にムウの顔が緊張で引き締まった。そんなムウを落ち着かせながら突入の作戦を伝える。

 

「いいか、俺はこのスライムの操作に集中しないとならないから、実際に突入するのはムウ1人でという事になる」

「……分かった」

「安心しろ、スライムできちんと援護するから。まずこのスライムでナタルの周辺に壁を作ってアズラエルや戦闘員からナタルとブリッジクルー達を分断する。このスライムの壁は並の銃弾は通さないから、お前は突入したら遠慮無く銃を撃ちまくっても構わない」

 

 俺の言葉に黙って頷くムウ。俺はその様子を見ながらスライムのコントロールに意識を集中する。ブリッジの天井へと壁を作るのに十分なスライムの量を確保し……

 

「行けっ!」

 

 俺のその言葉と共に、ムウが解き放たれた猟犬の如くブリッジへと突入していく。同時に俺もスライムをコントロールして、ブリッジクルーとナタルをアズラエル達から遮断するようにスライムの壁を作りあげた。

 

「うわっ、なんだよこれ!」

 

 恐らくアズラエルの仲間だろう者の声が聞こえてくるが、それもしょうがない。何せいきなり目の前に銀色の壁が現れてブリッジクルーと自分達を分断したのだから。

 

「うおおおぉぉぉっっっ!」

 

 同時にムウの雄叫びと、パパパパパパンッという、思いの外に軽い銃の発砲音が連続して聞こえる。

 ムウの撃った銃弾により、倒れ込む音が5、6、7……ちぃっ、さすがに全員は無理か。

 

「ムウ、一端退け!」

 

 俺の言葉に、ブリッジから飛び跳ねるようにして通路へと飛び出してくるムウ。その様子を見ながら、ナタルやブリッジクルーとアズラエル達を分断している壁を操作して十数本の鋭いトゲ――いや、この場合は槍と言った方が正確か――を作り出す。

 

「ぎゃあっ!」

「ひぃっ、何だよこれ!」

「うわああぁぁぁぁっ!」

 

 まだ立っていた3人分の悲鳴が聞こえたのを確認し、無造作に槍を引き抜く。その時に再び悲鳴が聞こえてきたが、問題は無いだろう。

 

「ムウ、一応念の為だ。様子を見てきてくれ」

「あ、ああ。それは構わないが……あのスライムとかいうの、俺を襲わないよな?」

「あのスライムは俺の手足と同じようなものだ。俺が動かそうとしない限りは問題無い」

 

 そう保証した事でようやく安心したのか、それでも恐る恐るブリッジの中を覗き込む。

 

「……OK、もう大丈夫だ」

「了解」

 

 スライムへと触り、そのまま空間倉庫へと収納する。

 

「うおっ! いきなり消えたぞ」

 

 そんなムウの言葉に苦笑を浮かべつつ、俺もドミニオンのブリッジへと入っていく。

 まず目に入ったのは当然と言うか、ブリッジの床へと倒れ込んでいる10人だ。殆どが死んでいるようだが、数人はまだ息があるらしい。

 

「……アズラエルもか」

 

 そして驚いた事に、アズラエルもまた生き残っている側へと入っていた。

 

「ム、ムウ? それにアクセル・アルマーも……」

 

 聞こえてきたその声が誰の声か分かった途端、ムウは床に転がっている者達はそのままに声の方へと駆け寄っていく。

 

「ナタル、無事か!」

「え、ええ。撃たれたのは足なので何とか。……それよりもムウは何故ここに? 貴方は確か教官として転属になった筈じゃ?」

「アラスカで嫌な予感がしてな。それで結局アークエンジェルに戻ってサイクロプスの自爆に巻き込まれた訳だ」

「そうですか。ムウが転属した先を探しても見つからない筈です」

「ま、今は元気でオーブに協力しているよ。……それでアクセル、これからどうするんだ?」

「そうだな、取りあえずナタルは捕虜って事にでもして連れていくか。ドミニオンは……悪いが、艦長無しで他の艦と月基地へ戻るように」

「いいのか?」

 

 ムウの言葉に頷く。

 

「俺達の強さを広めてくれる者がいないと、また連合軍やザフトが余計なちょっかいを掛けてくるだろうしな。その為に自分達がどうやって負けたのかをしっかりと上に報告して貰う必要がある。……で、問題は……」

 

 床で気を失っているアズラエルへと視線を向ける。

 

「アズラエルか? 殺すんじゃなかったのか?」

「もちろんそのつもりだった。だが、生きてるなら生きてるで使い道があるんだよ。この戦争が終わった後の連合軍側のスケープゴートとかな」

「生け贄の羊か。……だが、ブルーコスモスが今までやってきた事を考えればある意味自業自得だろうがな。よっと」

「ちょっ、ム、ムウ。いきなり何を!?」

 

 いきなりムウに抱え上げられて動揺するナタル。……あっちは自分の恋人を抱え上げているのに、こっちはアズラエルか。とは言え、ムウに言ったようにこいつには連合のスケープゴートになってもらうという大事な役目があるので殺す訳にもいかないだろう。スライムの攻撃で死んでたなら死んでたで全然構わなかったんだがな。

 ムウのように横抱きではなく、アズラエルの胴体を右肩へと乗せて運んでいく。

 

「ナタル、ブリッジクルーに命令を頼む。生き残っている連合軍艦隊を率いて月基地へと帰還しろとな」

「……了解した。皆、聞いての通りだ。ここで無駄に命を散らせる必要も無いだろう。生き残っている艦を率いて月基地へと帰還せよ。戦闘の経過については基地司令に提出するように。……皆、私の拙い指揮で迷惑を掛けたが、よくここまで付いてきてくれた。礼を言う」

 

 ムウに抱かれながらも敬礼をするナタル。ブリッジクルーの返礼を受けながら、俺とムウは格納庫へと向かい自分達の機体に乗ってアークエンジェルへと帰還する。

 ちなみにドミニオンにいる整備員達は俺の言う事を真剣に受け止めたらしく、グロウセイヴァーやストライクの周囲には死体やメギロートからのサークル・レーザーが発射された痕跡は一切無かった。




名前:アクセル・アルマー
LV:37
PP:540
格闘:258
射撃:278
技量:268
防御:268
回避:298
命中:318
SP:454
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:361

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。