ホワイトベースが救難信号を受け取り、やがて俺達はその場所に到着する。
……が、その時には2隻のミデアが墜落しており、残り1隻のミデアも様々な場所から煙を上げつつ、何とか飛んでいるという状態だった。
それでも全滅する前に到着出来たのは、ホワイトベースの性能のおかげだろう。
そして……
「ドム、か。だよな」
ミデアに攻撃をしていたMSを見て、納得する。
現在ジオン軍が有するMSの中で、一番移動速度の速いMSは何かと言われれば、普通に思いつくのはドムだろう。
ザクやグフなんかをドダイに乗せるという手段もあるが、自由度という点ではやはりドムの方が上となる。
グフ・フライトタイプ辺りがいれば、ある程度はどうにかなるような気がしないでもないが……ただ、グフ・フライトタイプはコスト的な面で結構高い。
また、MSで空を飛ぶという以上、当然ながら普通にMSを操縦するよりも高い技量を必要とする。
その辺りの諸々を考えると、やはりミデアを襲う時に一番便利なのはドムだったという判断なのだろう。
少なくても、このミデアを襲っているジオン軍にしてみれば。
しかし、その3機のドムは俺達の姿を見た瞬間、躊躇する事なく逃げ出す。
この辺りの判断の素早さを考えると、敵部隊の指揮官は相当に優秀な奴だと考えてもいい。
とはいえ、優秀な相手だからこそ逃がす訳にはいかない。
それにドムは最新鋭MSの1つである以上、こちらとしてもそれをわざわざ見逃すといった真似はしたくなかった。
撃破出来る時に撃破しておくのが一番いいだろう。
幸い……本当に幸いではあったが、今回出撃してきたのは俺とアムロとユウという、機動力の高い機体だ。
だからこそ、ドムが幾ら速くてもずっとは無理でも多少の時間なら追いつける。
ましてや、こっちにはビーム兵器もあるのだ。
……あ、いや。ドムも胸部に一応ビーム兵器はあるのか。
ただし動力炉の関係だったり、ビーム兵器に対する技術的な問題で、ドムのビームは目眩ましか至近距離でかなり装甲の薄い相手にしか効果はないらしいが。
だが目眩ましとなると、今の状況ではそれなりに役立つ事を意味している。
「ドムには胸に目眩まし用の拡散ビーム砲があるから、注意しろよ」
一応アムロとユウにそう言い、ビームスプレーガンを手にする。
俺が使う事の多い拡散モードではなく、ビームライフル的な使い方をする――取り回しの良さを優先した為に、威力はビームライフルに及ばないが――収束モードに変えてトリガーを引く。
その瞬間、ピクシーから逃げようとしていたドムの胴体――具体的には脇腹辺り――を貫き、そのまま転ぶ。
ホバー移動は非常に便利な移動方法で汎用性も高いが、その分かなりデリケートな一面もある。
それこそ、少しの衝撃でもバランスを崩しそうになったりとか。
……もっとも、ホバー移動しているドムに攻撃を命中させるのがそもそも難しい。
そういう意味で、連邦軍の中でも最精鋭のホワイトベース隊、それもホワイトベース隊の中でも最上位に位置するパイロットの俺達が先んじて出撃してきたのは、まさに幸運だったと言えるだろう。
俺が攻撃したのを見て、アムロのガンダムとユウのブルーディスティニーもビームライフルを発射する。
収束モードのビームスプレーガンとビームライフルでは、ビームライフルの方が射程は長いんだが。
そんな風に思いつつも、見れば2機から発射されたビームライフルは見事にドムに命中していた。
ユウの方は俺と同じく足を攻撃してバランスを崩させたが、どうやらアムロのビームライフルは後ろからドムのコックピットを貫いたらしい。……動力炉の核融合炉が爆発しなくて助かった。
ともあれあのドムのパイロットの中に一連の作戦を行っていた指揮官がいるのか、それともあの3機のドムは指揮官から命じられて出撃してきただけなのか。
一応この周辺には連邦軍で使っているホバートラックのような、小さいが指揮を出来るような車両の類がないのは確認している。
もっともミノフスキー粒子が散布されている以上、レーダーは殆ど使い物にならないし、何らかの手段でカモフラージュしていようものなら、見つけるのは難しいだろうが。
見つからない以上、今はないものとして考える方がいい。
「ブライト、ミデアを襲っていたドム3機を撃破。うち2機はパイロットも生きている」
『そうか。……情報を得るという点では、助かる』
ブライトからの通信の中には、若干やるせない思いが混ざっている。
同じ連邦軍に所属している仲間である以上、可能であれば助けたかったというのが、ブライトの正直な気持ちなのだろう。
……とはいえ、今はそんなことに構っていられるような余裕はない。
助けられなかった相手に関しては、この戦いが終わった後で悲しんで貰うとしよう。
「で、ミデアの方はどうだ? 2隻はもう墜落してるけど、残りの1隻は……」
『そちらは何とか無事らしい。連絡を貰った』
ブライトの言葉に、少しだけ救われた思いを抱く。
2隻のミデアと、そのミデアが積んでいた戦力がなくなってしまったのは痛いが、それでも今回の一件においては最悪の結末にはならなかった。
いや、それどころかワルシャワに集結中だった連邦軍を襲っていたジオン軍のMS部隊を倒したのだから、手柄を挙げたと言ってもいいだろう。
……もっとも、撃墜されたミデアに乗っていた者達にしてみれば、そんなのは関係ないと言いたくなる事だろうが。
ともあれ、こちらにとって最善とは言わないが、ある程度の利益があったのは間違いない。
『よかった』
アムロの安堵したような声が聞こえてくる。
取りあえず1隻でもミデアを助けられたというのが、大きかったのだろう。
「それで、そのミデアはどうするんだ? ここで放っておくと、またジオン軍に襲われる危険もあるけど……っと!」
俺が倒した方のドムが、こちらにジャイアントバズの砲口を向けているのを見ると、再びビームスプレーガンを撃つ。
収束されて放たれたビームは、ドムの腕……正確には肩を貫く。
ちっ、出来れば完品に近い状態でその機体を入手したかったのに。
ツィマッド社に手を回せば、ドムを入手するのはそう難しくはないだろう。
何しろ、現在ジオン軍での主力MSは、地上ではドムが多くなっているし、宇宙でもリックドムが高機動型ザクとのコンペで勝っている。
それを考えれば、ドムの1機や2機をルナ・ジオンに横流しするのは難しい話ではない。
とはいえ、それでもこちらとしては出来るだけ多く入手したいと思うのは当然だろう。
『どうした?』
そう聞いてくるブライトだったが、そこには俺を心配する色はあまりない。
俺がこの程度の相手に負けるような事はないと、そう信じていると、そう思っておくとしよう。
「いや、倒したドムがまだ動けたらしくて、こっちに攻撃しようとしていたから、それを防いだだけだ。……出来るだけ損傷がない状況でドムが欲しかったんだけどな」
『それよりも、自分の安全を重視してくれ。話を戻すが、ミデアは現在無事にワルシャワ基地に向かっている。先程も言ったが、損傷はしているようだが致命的なものではない』
「……俺から見たら、結構損傷が酷かったように思えたんだけどな」
黒煙が機体中から上がっていたのを思えば、それこそ下手をすれば空中で爆発してもおかしくはないのではないかといったような、そんな感じだ。
にも関わらず、損傷がない様子で移動出来るというのは、少し驚きだ。
俺のイメージとしては、ミデアというのはどうしても脆いというのがある。
MSが入るようなコンテナを抱えて飛ぶのだから、輸送量という点では文句なく一級品だし、だからこそ連邦軍でも量産して大量に運用しているのだろうが。
だが、輸送量に秀でているだけあって、武装はバルカン程度で速度も遅い。
一長一短といった感じか。
そう考えると、メガ粒子砲を持っていてMSも輸送可能なジオン軍のガウってかなり優秀だよな。……燃費が悪いらしいけど。
連邦軍としては、MSもそうだがガウも接収して使った方がいいような……いやまぁ、連邦軍としても何から何までジオン軍のパクリって訳にはいかないんだろうが。
「ミデアの件については分かった。それで、墜落した2隻のミデアはどうするんだ? 見た感じだと生存者は絶望的だけど、MSとか戦闘機とか、何らかの使える部品は残っている可能性があるけど」
『……そちらについては、ワルシャワ基地から連邦軍がやってくるらしい。接収するか、調査だけにするのかは、上層部の方で決めると思うから、気にしなくてもいい』
言い方が悪かったのか、若干ブライトが不機嫌そうになる。
同じ連邦軍に所属している者が、死んでいるかもしれないのに使える部品云々というのは、ブライトにとっては面白くなかったのか?
この辺、戦闘に慣れすぎてしまった弊害と言ってもいいのかもしれない。
ともあれ、今はここで悩むよりは行動する方が先か。
「分かった。なら、ドムの方はどうする? 出来ればこっちで欲しいんだけど」
『そのドムをそのままというのは難しいだろう』
「俺が倒した1機でもか?」
俺も、別にアムロやユウが倒したドムを欲しいとは言わない。
あくまでも自分が倒したドムだけを希望しているのだ。
『アクセルの要望となれば、聞き入れられるかもしれないが……ここであまり目立つのはどうかと思うぞ?』
「いや、それは今更だろ」
ホワイトベースのMSパイロット、それもピクシーという量産型ではない一点物を使っている時点で、目立つなという方が無理だった。
また、模擬戦においてインフィニティという難易度で挑戦するべき相手として密かに有名だという点もある。
そのような状況である以上、ブライトに言ったように今更の問題だろう。
「とはいえ、そっちにもう1つメリットをやるか」
『メリット?』
「ああ。俺が倒したドムのパイロットを引き渡す。捕虜としてオデッサの情報を引き出すなりなんなりしてくれ」
レビルがいるこのワルシャワでなら、基本的には捕虜も南極条約に沿った扱いになる……筈だった。
中にはコロニー落としをしたジオン軍の軍人は許せないと思っており、例えレビルがいるこのワルシャワ基地でも、そんなのは関係ないと捕虜を虐待する可能性はない訳ではなかったが。
『分かった。ともあれ、ドム3機を倒したという報告はワルシャワ基地に送る。回収部隊が来るだろうから、そちらに引き渡してくれ』
そう言い、ブライトからの通信は切れる。
うーん、結局ワルシャワ基地から専門の者達が来るまでは、ここで待ってるしかないのか。
これで、ホワイトベースに余裕があれば、ドムとかを格納庫に積み込んで移動するといった真似も出来たのだろうが、今のホワイトベースは15機と、まさに限界までMSを搭載している状況だ。
その上で、本格的な軍人――MSとかじゃなくて陸戦部隊とかそういうの――はホワイトベースにはいない……訳ではないが、数は少ない。
それこそ、リュウとかはそういうタイプだろう。
陸戦兵としても戦え、ガンタンクやコアファイターとしてのパイロットをもこなし、その上でブライトの相談役としても活動している。
……何気に、ホワイトベースの中で一番忙しいのって、実はリュウだったりするんじゃないか?
一応俺も最近ではブライトの話し相手くらいにはなっているが、俺の場合はどうしても所属している組織が違うので、ブライトも色々と話せない事、話さない事といったのがあるだろうし。
そうなると、もしかしたら……それこそオデッサ作戦が終わったら、新しく誰かが配属されるかもしれないな。
とはいえ、俺はオデッサ作戦が終わったらホワイトベースを降りる予定だから、その後に誰がホワイトベースに来ても構わないが。
いや、でも何だかんだとホワイトベースとの付き合いもそれなりにあって、気に入ってる奴もいる。
何より、この世界の主人公と思われるアムロが迂闊な行動で死ぬといった事になるのは困るんだが。
俺とセイラだけが見た、シャアの小惑星落とし。
あの一件はそもそも起こさせないように行動しているし、シャアよりも前にジオン・ズム・ダイクンの子供という事でセイラを大々的に押し出して月に正当なジオンの国家を作るような真似をした。
更には、シャドウミラーがその新国家を大々的に後押ししているという点もあり、ダイクン派の多くが現在はルナ・ジオンに所属している。
そうである以上、もしシャアが何らかの組織を作ろうとしても、キャスバルという名前は使えない。……いや、使えない訳ではないだろうが、それだとセイラの二番煎じになってしまう。
だとすれば、赤い彗星の異名を使う方がまだマシだが、赤い彗星のシャアの異名はザビ家がトップのジオン公国で与えられた代物だ。
ザビ家を憎んでいるのだろうシャアが、それに耐えられるかどうか。
……そんな事を考えながら、俺はワルシャワ基地からの回収部隊が来るのを待つのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1512