転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2420話

「へぇ……ブルーディスティニーの後継機、ね。また随分と早いな」

 

 シローの小隊が陸戦強襲型ガンタンクとの模擬戦に負けてから数日……俺はフィリップと格納庫で話をしていた。

 その話題が、ブルーディスティニーの後継機。

 アルフとジオン軍から亡命してきた人物が開発した機体で、それが完成して近々ワルシャワ基地に持ち込まれるらしい。

 元々、現在のブルーディスティニーは陸戦型ジムの頭部にEXAMシステムを搭載し、その頭部を陸戦型ガンダムの胴体にくっつけた代物だ。

 そうである以上、どうしてもどこかに負担が掛かる。

 その辺りを解決する為の後継機……と、そう考えるのが自然だろう。

 

「具体的にどんな機体なのかの情報はないのか?」

「無理を言うなよ。この情報だって、簡単に入手出来るような代物じゃないんだぜ?」

「まぁ、そうだろうけど。……それでもフィリップならどこかから情報を入手してたりするんじゃないのか?」

 

 リュウが下士官同士のネットワークを持っているように、フィリップは何気に情報を集めるのが大きい。……もっとも、フィリップの場合は情報を集めるのはついでで、基本的に女を口説くのに話し掛けており、そこから情報を手に入れているのだが。

 女同士の噂話のネットワークってのは、それこそ下手をすれば正規の情報よりも早く伝わる事が多い。

 だからこそ、フィリップもブルーディスティニーの後継機についての情報を素早く得られたのだろう。

 中途半端な情報だったが。

 

「無茶を言うなよ、無茶を。ただまぁ、オデッサ作戦は後継機で行えるらしいから、そのうちこの基地に到着するんじゃないか? 具体的にいつになるのかは、俺にも分からないけど」

 

 そう告げるフィリップの様子は、とてもではないが出鱈目を言っていたり、勿体ぶっているようには思えない。

 そうなると、これは恐らく本当の事なんだろう。

 

「そうか。……そうなると、実際に後継機がホワイトベースに到着するまで待つしかない訳だ。妙な事にならないといいんだけどな」

 

 ブルーディスティニーの後継機。

 ジオン軍のEXAMシステム搭載機のイフリート改を使っているニムバスがそれを聞けば、間違いなく何らかの行動に出るだろう。

 一番可能性が高いのは、その後継機を奪いに来るという事か。

 敵の新型機を奪うというのは、敵の戦力を減らすと同時に、自分達の戦力を増すという効果もある。

 問題なのは、向こうがどこでそれを行動に移すかという事だ。

 とはいえ、それは大体予想出来る。

 ワルシャワ基地に運び込まれてしまえば、幾ら何でもそう簡単に襲撃は出来ない。

 であれば、当然のようにニムバス達が襲ってくるのは、ブルーディスティニーの後継機がワルシャワ基地に運び込まれる前……ミデアでの輸送の時にの可能性が一番高いだろう。

 開発している基地に攻め込むという可能性も考えられるが、当然ブルーディスティニーの後継機を開発している場所である以上、守りも相当に固い筈だ。

 そんな基地を襲撃するよりは、ミデアに積まれた状態の方がどうにか出来る可能性は高い。

 ……とはいえ、ミデアを撃破してしまえば積み荷たるブルーディスティニーの後継機も一緒に破壊してしまう以上、ミデアを撃破しないで不時着させるなり降伏させるなり……もしくは、いっそジオン軍の内通者を送り込んでミデアを自分達の拠点まで運ぶといった風にする必要がある。

 実際にそうするのは難しい。

 難しいだろうが、それでもニムバスの性格を考えれば、やってもおかしくはない。

 

「そのブルーディスティニーの後継機がワルシャワ基地にやって来る際には、前もってこっちで護衛をするとかした方がいいだろうな」

 

 オデッサに、ニムバスやその部下が、そしてイフリート改がいるという確証はない。

 だが、ラサ基地から脱出した中で一番頼りやすい存在がどこなのかと言われれば……それはやはり、オデッサとなるだろう。

 ましてや、ニムバスのイフリート改は特殊な機体だ。

 保守部品とかの問題も考えると、やはりオデッサのような一大拠点に向かう可能性が高い。

 ……実際には、もしかしたらオデッサ以外の場所に向かっているという可能性も否定出来ない訳ではなかったが。

 

「そうなると、またユウが狙われるのか?」

 

 ラサ基地での事を思い出しているのか、フィリップが若干心配そうに言う。

 EXAMシステムはMSの動きを明らかに通常よりも上のものにするが、その反則的な能力の代わりにシステム的に不安定なところが多い。

 それこそ、アムロを狙ったり、同じEXAMシステム搭載機を狙ったりといったように。

 フィリップが心配しているのも、その辺だろう。

 それ以外にも、ユウが使っているEXAMシステムはリミッターが掛けられており、ニムバスのイフリート改と比べると性能を十全に発揮出来ない。

 リミッターがないと何故かアムロに向かって攻撃をするので、リミッターの解除は出来ないのだが。

 リミッターの有無は、EXAMシステムの性能に対して明確に差を与えている。

 フィリップにしてみれば、ユウを心配するのは当然の事だった。

 表には出す事は少ないが、何だかんだと面倒見がいいのは間違いない。

 小隊長はユウだが、ユウはその寡黙な性格が影響しているので、フィリップがその代わりを務める事も珍しくはないし。

 

「だろうな。……ニムバスはEXAMシステムを乗りこなしているというのもあってか、強い。ユウも油断すると……いや、ユウが油断するような事はないか」

「確かに」

 

 俺の言葉に、フィリップがしみじみといった様子で同意する。

 寡黙なユウだが、敵と戦う時に油断をするような真似はまずしない。

 それどころか、常に相手を全力で倒すといった戦い方をする。

 正直なところ、ニムバス本人は強い事は強いのだが、それでもシャアのように桁外れの実力を持っている訳ではない。

 間違いなくエース級ではあるのだが。

 それが今のように普通のパイロットでは手が付けられない程に強くなっているのは、EXAMシステムのおかげというのが大きいだろう。

 いつも思うが、有用で興味深いシステムではあるんだよな。

 ただ、容易に量産出来ないというのは、痛い。

 これでEXAMシステムが量産出来て、その上でパイロットにも悪影響がないのであれば、全く問題はないんだろうが。

 

「ともあれ、ブライトに連絡してみるか。ブルーディスティニーの後継機が来るのなら、ホワイトベースで護衛した方がいいだろうし。……いや、寧ろミデアじゃなくてホワイトベースで運搬した方がいいのか?」

 

 とはいえ、その場合はホワイトベースに現在搭載しているMSを何機かワルシャワ基地に置いていく必要がある。

 ブルーディスティニーの後継機と、その予備パーツやら武器やらを積み込む必要があると考えると、2機から3機置いていけばいいか。

 ヤザンの小隊を置いていけば、ちょうどいいか?

 シローにはMS隊の指揮を執って貰う必要があるし、モルモット隊はユウのいる部隊である以上、外す訳にはいかない。

 ガンタンク隊は移動砲台として使えるので、ホワイトベースが戦うという点では何気に使い勝手がいい。

 低反動キャノンは威力的にビームライフルよりも低いけど、曲射射撃が出来るというのは、移動砲台としては使い勝手が悪い訳ではない。

 アムロやカイ、綾子は腕利きだし……うん、やっぱりヤザン達だな。

 最悪の場合は、それこそ機体を空間倉庫に収納するという方法がない訳でもないんだが……それはそれで、色々と問題が起きてしまうしな。

 

「分かった、頼む。……何があるのか分からないのが、この場合は痛いけどな」

「それはいつもの事だろ」

 

 フィリップにそう返し、俺は視線をピクシーに向ける。

 現状では最高性能を持つ機体なのは間違いない。間違いないが……ぶっちゃけ、ピクシーって近接戦闘が主体の機体なのは間違いないんだよな。

 俺も別に近接戦闘が苦手な訳ではないのだが、それでも射撃の方が得意ではある。

 高機動射撃型というのが、一番合ってるんだよな。

 ニーズヘッグとかもそんな感じだし。

 

「アクセル、どうした?」

「いや、ピクシーはいい機体だけど、性能がピーキーすぎて量産には向かないと思ってな」

「あー……それな。実は量産されるらしいぞ。いや、実際にはピクシーそのものが量産されるんじゃなくて、ピクシーのコンセプトを受け継いだ機体が開発されてるらしい」

「……本当に、どこでそういう情報を仕入れてるんだよ? まぁ、いい。それで具体的にどんな性能のMSなんだ?」

「簡単に言えば、ジムにピクシーのコンセプトを組み合わせた形らしいな。徹底的に装甲を削ったりして軽量化して、防御力を捨てた代わりに高い機動力を得た機体らしい。武器に関しても、アクセルがピクシーではビームスプレーガンを使っているから、それを継承するような形で一撃の威力よりも取り回しを重視しているとか何とか」

「それは、また。……俺が言うのも何だけど、随分と極端な機体だな」

 

 ピクシーはルナ・チタニウム製の装甲を持っているので、実弾であれば大抵の攻撃は無効化出来る。

 だが、ジムにピクシーのコンセプトを与えるとなると、装甲は普通のジムと同様だろう。

 陸戦型ジムのような、ルナ・チタニウム製の装甲を持つという可能性もない訳ではないが、陸戦型ジムはあくまでもアムロのガンダムに使えなかったパーツを使って開発されたMSであり、数は非常に少ない。

 それを考えれば、やはりその機体も普通のジムをベースにする事になるのは確実だった。

 

「ああ、俺もそう思う。そのMSを普通の……その辺にいるパイロットが使うのなら、それこそすぐに撃破されてもおかしくはない。ただ、アクセルみたいな能力の持ち主の場合なら、その性能を最大限に発揮してもの凄い戦果を挙げる事が出来ると思う。……違うか?」

「それは否定出来ない事実だな。とはいえ、そんな能力の持ち主がそういるとも思えないが」

 

 例えば、アムロとかならそんな機体を操縦しても十分に活躍出来るかもしれない。

 だが、連邦軍の中にアムロと同等の操縦技術を持つ者が一体何人いるかと言われれば……それは、かなり少ないだろう。

 ヤザンのような性格のパイロットがそのジムを操縦する事になれば、悲惨な未来しか見えない。

 

「ともあれ、ブルーディスティニーの後継機については、ブライトに連絡してみるか」

 

 そう言い、格納庫にある通信機に向かい、ブリッジに通信を送る。

 

『はい、アクセルさん? 何でしょう?』

 

 映像モニタに映し出されたモーリンが、俺の姿を見て少しだけ意外そうな様子を見せる。

 ブリッジに通信を送るのは、別にこれが始めてという訳じゃないんだから、そこまで驚くような事はないと思うんだが。

 

「ブライトはいるか? ちょっと話がしたいんだが」

『ブライト艦長なら、現在艦長室にいますよ。お繋ぎしますか?』

 

 モーリンの言葉に頷くと、やがてすぐに映像モニタの映像がモーリンからブライトに代わった。

 

『アクセルか? 一体どうした?』

「実は、ブルーディスティニーの後継機がワルシャワ基地に送られてくるって話を聞いてな」

『……お前、一体どこからその話を……』

 

 俺の言葉を聞いたブライトが表情に浮かべたのは、驚きと呆れが半々といった感じの様子だ。

 ブライトにしてみれば、ブルーディスティニーの後継機を運んでくるというのは、機密か、それに類するものだったのだろう。

 

「人の口に戸は立てられないってな。どんな情報であっても、それを隠し通す事は不可能だって事だよ」

「いや、何でアクセルがそう偉そうなんだ?」

 

 俺とブライトの会話を聞いていたフィリップが、若干の呆れ混じりに言ってくる。

 自分の持ってきた情報だけに、それで俺が偉そうにしているのが納得出来ないのだろう。

 

『うん? そこにアクセル以外にもいるのか? いや、格納庫だから、それもおかしくはないか』

「ああ、フィリップがいる。ブルーディスティニーの後継機についての情報も、フィリップが仕入れてきた」

『なるほど。一体どこからその情報を仕入れたのかを詳しく聞きたいところだが、それはともかくとして。後継機についてどうした?』

「ジオン軍にもEXAMシステム搭載機のイフリート改があるというのは、報告書にも書いたし、覚えてるよな?」

『ああ』

「そのジオン軍のEXAMシステム搭載機を使っているニムバスにしてみれば、連邦軍がEXAMシステム搭載機の新型を開発したとなれば……ましてや、その機体をホワイトベース隊に持ってくるとなれば、ジオン軍としては黙って見逃すと思うか?」

『いや、だが……アクセルの言いたい事も分かるが、連邦軍の中でも極秘の計画だろう? なら、そう簡単に情報は……』

「甘いぞ。連邦軍の中……それも上層部に近い場所にはスパイがいる可能性が高い。ニムバスが俺の事を知っていたようにな。であれば……」

 

 そこまで言えば、ブライトも俺の言いたい事を理解したのだろう。

 表情を険しく引き締める。

 

『情報が漏れる……か』

 

 その言葉に、俺は頷きを返すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1512

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