ホワイトベースのカタパルトから射出されたピクシーは上手く地面に着地する。
そのまま動きを止めず、ピクシーをミデアのいる方に向かって走らせる。
普通に走るのではなく、スラスターを全開にしながら、その勢いも使っての疾走。
高機動型の陸戦MSとして開発されたピクシーだからこそ、可能な速度での疾走。
スラスターを全開にしながらバランスを崩さないようにして走るのは、当然ながら相応の技量が必要となる。
操縦技術が未熟な者がこれをやろうとすれば、転倒するのは間違いないような技術。
だが、幸いなことに俺はそのくらいであれば、特に問題なく機体を操る事が出来た。
そのまま真っ直ぐ地面を走っていると、攻撃されているミデアの姿がはっきりと確認出来た。
既にかなり攻撃されたらしく、2機のミデアからは黒い煙が吹き出ている。
このまま時間が経過すれば、間違いなくミデアは墜落する筈だ。
今の状況でミデアがまだ撃墜されていないのは、恐らく……いや、間違いなく襲っている者達がミデアの積み荷に用があるからだろう。
それを考えれば、ミデアのパイロットにとっては運がいいと言ってもいい。
襲われている時点で運がいいとは言えないのかもしれないが。
ミデアを襲っているのはザクとドム。それと空中にはドップの姿もある。
そして……当然のように、イフリート改。
グフがないのは、やはり近接戦闘主体のMSだからだろう。
グフもザクマシンガンとかザクバズーカを持てるようにしたタイプもあるので、それが絶対とは言えないが。
とはいえ、元々グフの製造数というのは少ない。
ザクより高性能とはいえ、ザクの方が圧倒的にコストパフォーマンスに優れているし、何よりグフの性能を最大限に発揮出来るのは、凄腕のパイロットが必要となる。
パイロットの質という点で考えれば、明らかに連邦軍よりジオン軍の方が上だが、だからといってグフを十分に扱えるだけの実力の持ち主が幾らでもいる訳ではない。
そう考えると、やはりグフよりも初心者が使いやすい……重装甲で高い防御力を持ち、ジャイアントバズによって高い攻撃力を持ち、ホバー移動によって高い機動力を持つドムが優先されるのは当然だろう。
パイロットの質が高いとはいえ、ジオン軍にも新兵とかMSの操縦技術がそこまで高くない者というのは、相応にいるのだから。
とはいえ……
「俺にしてみれば、ドムが多いってのは嬉しい限りなんだけどな。確保的な意味で」
まずは敵の注意をこちらに向けるという意味で、90mmサブマシンガンの銃口をジオン軍のMSの群れに向け、トリガーを引く。
今は少しでもミデアに攻撃する敵を減らす為の行動だったが、その成果は十二分にあった。
90mmサブマシンガンの着弾の音や発射音により、ミデアに攻撃していたMSの中でも結構な数がこちらを向いたのだ。
……そしてピクシーを見た瞬間、何機かは即座に撤退し始めた。
ちっ、援軍が来たからもうこの戦場にはいない方がいいと判断したのか、それとも以前俺と戦った事があって、戦っても勝ち目はないと分かっているのか。
イフリート改がいるということは、後者か?
その辺の理由は確実には分からなかったが、それでも厄介なのは間違いない。
もしくは、ホワイトベースの存在に気が付いたのか?
ともあれ、こちらとしては厄介だというのは間違いなかった。
だが、ミデアの襲撃を少しでも減らすという意味では、そう悪い話でもない。
こちらに向かって移動してくる敵MSを見ながら、そう思う。
あ、ニムバスのイフリート改もこちらに向かって進み始めた。
ニムバスの乗っているイフリート改は、基本的に遠距離射撃用の武器に乏しい。
そんな状況では、ミデアをどうこうするよりも俺を攻撃した方がいいと判断したのだろう。
……ニムバスは、俺に恨み骨髄といった感じだったし。
「ブライト、ミデアに対する攻撃を減らす事に成功した。ミデアにこの戦闘空域から離れるように言ってくれ」
『分かった。他のMSもすぐに出撃させる』
「頼む。もっとも、出撃するのに時間が掛かれば、そっちが到着するよりも前に俺が軒並み倒すことになると思うけどな。それと、俺の姿を見て逃げ出したMSもいるから、何機かはそっちの追撃に回した方がいいと思う」
そう言い、通信を切る。
ピクシーが活躍しているのは間違いないが、それでも即座に逃げ出すという判断が出来る程に逃げ出せるかと言えば、それは微妙なところだろう。
こうなると、やっぱり俺の情報がジオン軍に漏れていると考えた方がいいのかもしれないな。
普通に考えれば、ジオン軍に協力するといった真似は自殺行為でしかないんだが……その辺を理解していないのか、それともそれでも協力するだけの利益を得ているのか。
もしくは、ジオン軍に亡命するという事を考えている可能性もあるか。
「っと」
ドムが一斉にジャイアントバズをこちらに撃ってきたのを、ピクシーはあっさりと回避しながら前に出る。
攻撃力という点ではジオン軍の中でもトップクラスの威力を持つジャイアントバズだが、基本的には施設や軍艦に撃つ武器であって、その砲弾の速度は遅い。
普通のMSでも回避するのは難しくない以上、それがピクシーともなれば、回避するのは完全に余裕であると言っても間違いなかった。
それこそ、今のように前に出ながら回避するくらいは、楽に出来るくらいには。
そうして前に出た俺に対し、次にザクマシンガンが連続して放たれる。
こちらはジャイアントバズと違って多数の弾丸を放つといったものである以上、全てを回避するのは難しいが……生憎と、それでも前に出ながら攻撃を回避していく。
中には何発か掠ったりした弾丸もあったが、ルナ・チタニウムの装甲を持つピクシーにしてみれば、その程度はどうという事はない。
反撃に90mmサブマシンガンの連射をしつつ、もう片方の手でビームスプレーガンを撃つ。
ビームダガーで二刀流が出来るのだから、二丁拳銃が出来ても不思議ではない。
……実際には、スキルのガンファイトやステータスの命中、技量といった数値が高くなければ出来ないのだが。
そうしてこちらに攻撃していたザクが手足に90mmサブマシンガンの弾丸を食らってその場に擱座し、ドムの1機が収束モードで放たれたビームによって右足を貫かれ、ホバー移動出来なくなってその場に倒れ込み、周辺の土を削っていった。
『アクセル、待たせた』
「お前のお友達は随分と待っていたようだぞ」
ブルーディスティニーに乗ったユウからの通信に、そう返す。
実際、EXAMシステムの不安定さを考えれば、俺がニムバスのイフリート改と戦うのは、色々と不味い。
可能であれば、やはりEXAMシステム同士で戦うのが最善だろう。
もしくはニュータイプのアムロが戦うか。
……この世界には存在しないか、もしくは存在しても全く知られていない念動力……超能力の類を持った俺がEXAMシステム持ちのMSと戦うのは、危険なのだ。
それこそ、一体EXAMシステムにどんな不具合が起きるのか、分かったものではない。
だからこそ、ニムバスの相手はユウに任せる。
そしてユウがニムバスと戦っている間に、俺はそれ以外の連中……特にドムを出来るだけ完品で入手するように動く。
「やっぱりな」
戦場にユウのブルーディスティニーが姿を現したと見るや否や、ニムバスのイフリート改は俺には全く目もくれず、ピクシーに迫る速度でブルーディスティニーに向かって駆け出す。
スラスターを全開にしながら走るその技術は、俺もピクシーで相応に使ってはいるが、それなりに高い技術を必要とするものだ。
ニムバスも、何だかんだと技量は高い。
だからといって、味方に欲しいとは思わないが。
そうしている間にもアムロのガンダムを始めとして、他のMS達も次第に到着してきた。
また、ホワイトベースの移動砲台としての役割を持つガンタンク隊の砲撃に撃破されているザクも出て来ている。
こと、この場においては既に戦いの趨勢は決しつつあった。
最初はミデア2隻を相手に圧倒的に有利な立場だったジオン軍だったが、ホワイトベース隊が来たおかげでその天秤は完全に逆転したのだ。
フィリップやサマナ、綾子が操る陸戦型ジムは、空を飛んでミデアに攻撃をし続けているドップを排除するべく、攻撃を開始する。
空中に浮かぶ爆発の花を眺めつつ、俺は武器をビームダガー2本に持ち替えると、近くにいるザクに向かって突進する。
向こうも自分に近づいてくるピクシーに気が付いたのか、ヒートホークを抜いてこちらに振り下ろしてくるが……その一撃は回避しつつ、横薙ぎに振るわれたビームダガーがザクのコックピットを横に斬り裂く。
コックピットを貫いた訳ではないので、これで相手を殺したかどうかは確認出来ない。
それでもザクの動きが止まったのを見れば、無力化としたというのは間違いのない事実だった。
撃破出来たかどうかは、後でステータスの撃破数を確認すればはっきりするので、今は気にしない。
「ついでだ。お前もこれを食らえ!」
ザクの後ろにいたもう1機のザクのコックピットを、ビームダガーで貫く。
これで、2機。
次の敵を探して周囲を見回したその瞬間、驚くべき光景が目に入ってきた。
ドップの何機かが、ミデアのコックピットに向かって突っ込んでいったのだ。
それもただのドップではなく、機体から黒い煙を上げているドップが。
フィリップ達の攻撃によって被弾したが、それでも撃破はされなかったドップが、このまま機体が爆発するのを待つよりはと、ミデアに突っ込んだのだ。
ビームダガーから90mmサブマシンガンに持ち替えようと考えるも、残念ながらその行動は遅かった。
90mmサブマシンガンに手を伸ばした瞬間には、ドップはミデアのコックピットに突っ込む。
本来なら、ドップの1機が突っ込んだところで、即座に何らかの影響が出るといったことはなかっただろう。
だが、ドップはミデアに特攻をしてぶつかった瞬間にミサイルでも撃ったのか、ミデアのコックピットで派手に爆発が起こる。
ミデアはあくまでも輸送機で、コックピットがそこまで頑丈な訳ではない。
外から拳銃を撃った程度であれば、その弾丸を弾くようなことも可能だろう。
しかしそれがドップが装備しているミサイルとなると、話は変わってくる。
そしてコックピットでミサイルが爆発すれば、当然のようにそこにいた操縦者は俺のように特殊な体質でもなければ生きている事は出来ず……結果として、ミデアは地上に向けて落下していく。
「ちっ、厄介な」
ミデアがブルーディスティニーの後継機を運んでいる以上、当然あのミデアを敵に渡す訳にはいかない。
その上で、墜落したミデアが爆発しようものなら、それは最悪に近い結果を迎える事になる。
……つまり、俺達はミデアが地上に落下して爆発しないように運を天に任せ、その上で地上に落下したミデアにジオン軍が近寄らないように守り抜く必要もあった。
正直、これを一体どうしろと? というのが俺の正直な気持ちだ。
今の状況では一応こっちの方の人数が多いが、それでもミデアを守るとなると相当数の機体を裂く必要がある。
「ブライト、墜落したミデアの積み荷を敵に渡す訳にはいかない!」
混戦の中でピクシーのスラスターを全開にしてその場から跳躍し、一度混戦となっている戦場から抜けつつ、ホワイトベースに通信を送る。
跳躍したピクシーをいい獲物だと思ったのか、何機かのザクがこちらにザクマシンガンやザクバズーカを撃ってきたりもするが、ザクバズーカはスラスターを使って空中で回避し、ザクマシンガンの弾丸は多少当たるのを覚悟する。
『分かっている! 現在、シローとサンダースにミデアを守るように指示を出した!』
なるほど、上手い。
シローがホワイトベースで期待されているのは、あくまでもMSの指揮であって、本人の操縦技術ではない。
だからこそ、直接戦闘には参加せずにミデアのいる位置からMS戦の指示をさせようというのだろう。……あくまでも、ミデアが撃墜した衝撃で爆発しなければ、の話だが。
そしてサンダースは、そんなシローの護衛といったところか。
『アクセルは、出来るだけ敵の数を減らしてくれ! そうすれば、向こうもミデアに向かうような戦力的な余裕はなくなるし、撤退するかもしれない!』
ブライトの指示が聞こえてくるが、果たして問題なのはそこまで上手くいくかどうかという事だろう。
この襲撃の主導権を握っていると思われるニムバスの性格をしっかりと知ってる訳ではないが、それでもこれまでの言動からある程度の推測は出来る。
そうして推測をする限りでは、この状況でニムバスが退くとは思えない。
それどころか、不利だからこそ一か八かといった事をしかねなかった。
「ニムバスが撤退するとは思えないが、ブライトの指示は理解した。今はとにかく、敵の数を減らす事を最優先にする」
そう言い、俺は地面に着地した状態から、再び前に出る。
狙うのは、こちらにザクバズーカの砲口を向けているザク。
出来ればドムの数を減らしたいのだが、ホバー移動しているドムに追いつくのは簡単な事ではない。
そんな訳で、一気にザクとの間合いを詰め……そのコックピットにビームダガーを突き出すのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:655
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1515