ユウの救助に成功したと報告すると、すぐにホワイトベースが現在俺達のいる場所にやってきた。
既にジオン軍は完全に撤退を完了しており、この近辺にその姿はない。
……いやまぁ、もしかしたら逃げ損なった奴とか、こっちが追撃の構えを見せたらすぐにでも攻撃するような役目を持つ奴がいる可能性はあるが。
ともあれ、今の状況で攻撃をしてきてもすぐに対処出来るようになっているので、そこまで問題はない。
それにしても、この戦いで受けた被害はそれなりに大きい。
何気に一番被害が大きかったのは、実はシローのEz8だったりする。
墜落したミデアを守る為に待機していた関係もあり、シローはミデアのすぐ側にいたのだ。
そんな中で、ニムバスがミデアに積んでいたブルーディスティニーの後継機を奪い、コンテナを内部から破壊した。
そのすぐ側にEz8がいたのだから、それで被害を受けないという事は有り得ない。
ニムバスはダメージを受けたEz8に興味を示さず、そのまま戦場から去っていったので、シローが死んだり、Ez8が致命的な被害を受けるといった事はなかったのだが。
それでも小破以上、中破未満といった感じでダメージを受けたのは、間違いのない事実だ。
ともあれ、全機がホワイトベースに集まると、連邦軍から後始末の部隊が来るという事で、それまで待機する事になる。
取りあえずその待機している間に、俺は自分で倒したMSを空間倉庫の中に収納しておく。
そんな中で、当然のように撃墜されたミデアの捜索も行われる。
ドップの特攻によってコックピット周辺は半ば全滅に近かったが、ミデアの場合はコックピット以外にも人はいる。
コンテナにいる人員は、ブルーディスティニーの後継機が内部から破壊した時に死んだ可能性も高かったが、それは絶対とは言えない。
そんな訳でミデアの中にいる者の救助作業を、連邦軍の部隊が来るまでに行う事になったのだが……そこで、重大な事実が発覚してしまう。
「間違いない。クルスト・モーゼス博士だ。……何故ミデアに乗っていたのかは、分からないが」
ホワイトベースのメカニックとしても働いているアルフが、その死体を見て断言する。
クルスト・モーゼス。
ブルーディスティニーやイフリート改に搭載されているEXAMシステムの開発者で、EXAMシステムはクルスト独自の理論によって作られている為に、クルストがいない今ではEXAMシステムを新しく作る事は出来ないらしい。
そして……フラナガン機関から連邦に亡命した人物。
俺から見れば、死んでも全く構わない相手なのは間違いなかったが、EXAMシステム搭載機をジオン軍に奪われたというのは大きかった。
ちなみに、死因はコンテナの爆発……ではなく、頭部に銃弾を食らっての即死。
ニムバスに付着していた贖罪の血とやらの正体は、クルストの血だった訳だ。
何を思って贖罪といった風に言ってるのかは、分からない。
純粋にジオン軍を裏切った事に対する復讐なのか、それともそれ以外の別の理由なのか。
ともあれ、クルストが殺されてしまったのは、連邦軍にとっても痛い出来事なのは間違いないだろう。
特に連邦軍の中でEXAMシステムの開発を熱心に行っていた上層部の者達にしてみれば、それこそ最悪の結果をもたらしたと言ってもいい。
今まで、何気にEXAMシステム云々によって理不尽な命令がホワイトベースに来ていたりもしたので、それがなくなるというだけでも、十分にありがたいが。
「それで、クルストは死んだけど、それ以外の連中は?」
「重傷や軽傷を負っている者は何人か発見して、現在はホワイトベースに運んで治療中だ」
リュウの言葉に、なるほどと頷く。
どうやら、やはり生き残りは他にもいたらしい。
「それにしても、ブルーディスティニーの後継機を奪われたのは痛いな」
イフリート改を撃破したので、ジオン軍にEXAMシステム搭載機はなくなった筈だった。
いや、もしかしたらまだ他にもEXAMシステム搭載機があったという可能性は、ないでもないが。
ともあれブルーディスティニーの後継機が奪われてしまった以上、ジオン軍にEXAMシステム搭載機が最低でも1機はあり、こちらにはそれがない。
勿論、EXAMシステムは強力だが、他に対抗手段がない訳ではない。
俺や綾子ならEXAMシステム搭載機が相手でも勝つ事は出来るだろうし、アムロも勝つのは難しいかもしれないが、互角に戦える。
そうなると、ある程度はどうにかなるというのは間違いない。
……とはいえ、厄介な状況にあるのは間違いないので気楽に安心出来るという訳ではないのだが。
「心配するな」
そう言ってきたのは、クルストの死体を前に黙祷していたアルフ。
根っからの技術者と言うべきか、その表情にはクルストが死んだ事による悲しみはあるが、今は技術的な事について考えているのは間違いなかった。
「心配するなって、どういう意味だ?」
アルフの様子に、俺だけではなく他の面々も不思議そうな視線を向ける。
そんな俺達を前にして、若干得意げな様子で、アルフが口を開く。
「ミデアが2隻いただろう? そのうちの1隻に搭載されていたブルーディスティニー2号機はジオン軍に奪われた。これは正直痛い。痛いが……もう1隻の方には、ブルーディスティニー3号機が搭載されている」
「は? ちょっと待ってくれ。つまり何か? ブルーディスティニーの後継機は2機同時に開発していたのか?」
リュウの言葉に、アルフはそうだと頷く。
それに、話を聞いていた全員が驚く。
当然だろう。普通後継機となれば、2種類も作ったりはしない。
今回は助かったが、ただでさえEXAMシステムというのは適性のあるパイロットでなければ操縦出来ずに暴走するのだ。
それを考えれば、一体何を思ってブルーディスティニー3号機を作ったのかと言った疑問を抱くのは当然だろう。
ともあれ、と。
まずはブルーディスティニー3号機がどのような機体なのかを尋ねる。
「それで、3号機はどんな機体なんだ? ニムバスに奪われた2号機は、陸戦型ガンダムをベースにした機体みたいだったけど」
「単純な性能で言えば、2号機と大差はない。いや、リミッターがあるから、安定性という意味では上だが、そのリミッターのおかげで純粋な性能では2号機に及ばない。元々はリミッターの有無でどれだけの性能差が出るのかの比較の為に開発されたからな」
「つまり、3号機も陸戦型ガンダムをベースにした機体という事か?」
「そうなる。ただし、陸戦型ガンダムと違って宇宙での戦闘も出来るように、改修されているがな」
「それは、また……」
陸戦型ガンダムというのは、アムロが使っているガンダムの機体に使えない精度の部品を、更に宇宙での戦闘を捨てて地上での戦闘に特化する事によって完成した機体だ。
そんな陸戦型ガンダムを宇宙でも戦えるように改修するというのは……非常に複雑というか、色々と無駄なように思えないでもない。
いやまぁ、実際に宇宙で戦闘出来るようになれば活躍の幅も広がるだろうし、オデッサ作戦終了後に俺やミナト、綾子はホワイトベースから降りるが、ホワイトベースそのものは宇宙での戦いに参加する可能性が高い。
それを思えば、3号機の仕様も理解出来ない訳ではなかった。
「正直なところを言わせて貰えば、2号機、3号機共に純粋な性能という意味では、1号機とそう変わらない。勿論、若干の性能アップはしてるがな」
「後継機という触れ込みで、若干の性能アップってのは……正直、どうなんだ?」
アルフの言葉にそう返す。
個人的には、後継機となればもの凄く性能が上がっているという印象を受ける事が多い。
だからこそ、ブルーディスティニーの2号機、3号機に関しては微妙に納得出来ないところがあった。
とはいえ、それはあくまでも俺の考えだ。
「そう言われてもな。一応頭部も陸戦型ジムではなく陸戦型ガンダムベースにしたものになって、様々な処理速度が上がっているのも事実だ。……そもそもの話、クルスト博士が連邦軍に亡命してきたのは、先月だぞ? ユウが今まで使っていたブルーディスティニーは、EXAMシステムがあったからそれに適応する形でMSとして成立させる事が出来たが、その後継機を1ヶ月かそこらで作れる筈がないだろう? 寧ろ、若干とはいえ性能が上がった2号機、3号機を作った事に感心してもいいんじゃないか?」
アルフの言葉は、否定出来ない。
いや、寧ろEXAMシステムを搭載したMSをよくその短期間で開発したと言ってもいいだろう。
EXAMシステムそのものは出来ており、連邦軍でも陸戦型ガンダムや陸戦型ジムが既に存在していたからこそ、出来た事なのだろうが。
「あー……うん。そうだな。これは俺が無茶を言った。悪い」
魔法球があるのならともかく、普通の時間で生きている者達にとって、1ヶ月という時間はあまりにも短い。
少なくても、MSを開発するのに1ヶ月というのは、かなり厳しいのは事実だ。
V作戦のように、連邦軍が全力でバックアップするのなら可能かもしれないが。
だが、EXAMシステムについて知っている者は驚く程に少ない。
ましてやレビルやゴップも関わっていないとなると、その計画にかなり制限が出来るのは当然だった。
寧ろ、クルストとアルフの2人を……そしてEXAMシステムの計画に関わっていた者達を褒めてもいいくらいに。
「分かって貰えれば、それでいい。……クルスト博士が生きていれば、アクセルが言うような性能が段違いの後継機というのも開発出来た可能性はあるが……」
そう言い、アルフは首を横に振る。
EXAMシステムで何が問題だったのかと言えば、クルストが技術を隠匿して後継者を作らなかった事だろう。
おかげでクルストが死んでしまった今となっては、EXAMシステム搭載機の新型を作るのはほぼ不可能に近くなった。
クルストが残したデータで似たような物は作れるかもしれないが、それは結局似て非なる物でしかない。
まぁ、クルストの残したデータをベースにして、EXAMシステムの発展系……といったシステムを作れるのであれば、また話は別だが。
「そうなると、3号機は非常に貴重な機体になる訳か。……一応聞いておくけど、予備のEXAMシステムとか、そういうのは?」
「ないな」
あるいは、万が一には……そんな思いで尋ねる俺の言葉に、アルフはあっさりとそう告げてくる。
恐らく、最初からそのように聞かれるのは分かっていたのだろう。
現在のEXAMシステムは、ユウのように適性のある者しか操縦出来ないが、驚異的な動きを可能とする。
連邦軍にしてみれば、パイロットの質で劣っている現状、是が非でも欲しい代物だろう。
だが、肝心のEXAMシステムがないとなると……
「もしかして、連邦軍の方から3号機は使うなって言ってくるんじゃないか?」
嫌な予感がして、そう告げる。
連邦軍にとって唯一残されたEXAMシステム搭載機。
それを実戦に持ち出すというのは、それこそ考えたくもないだろう。
あるいは、ニムバスが奪った2号機に対処出来る機体が3号機しかなければ、もしかしたらそんな事にはならないかもしれない。
だが、現在ワルシャワには多くの戦力が集まっており、何よりホワイトベースには俺や綾子、アムロといった、EXAMシステムを使ったユウとも互角に渡り合える戦力がいるのだ。
連邦軍にしてみれば、ここで無理をさせる必要はないと思ってもおかしくはない。
「心配するな。ブルーディスティニーの1号機とイフリート改だったか? あの機体はほぼそのまま残ってるから、EXAMシステムという意味ではまだある程度の余裕はある」
アルフの言葉に、そう言えばと思い出す。
実際、戦場には相打ち状態になった2機のEXAMシステム搭載機が存在するのは、間違いのない事実なのだ。
そのうえ、基本的にEXAMシステムが搭載されているのが頭部であり、ブルーディスティニーとイフリート改は双方共に頭部は無事だ。
……胴体の方が大きな被害を受けており、機体を動かすといった真似は出来そうにないが。
それを考えると、アルフの言葉は納得出来るものがあった。
とはいえ、もう2度とEXAMシステムが作れないとなれば、EXAMシステム搭載機は多ければ多い程いいと思うのだが。
俺達にしてみれば、高い性能がある機体を使えるのなら、歓迎するが。
ともあれ、そんな感じで俺達は連邦軍の後始末部隊がやってくるまで、周辺を警戒しながら時間を潰す事になる。
幸いにも俺が警戒していたようにジオン軍の中で置いていかれた者、もしくは自分の考えでこの場に留まった者の類はおらず、戦いの疲れを癒やすのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1522