転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2436話

「っと」

 

 遠くから飛んできたザクバズーカの砲弾を、ビームスプレーガンの拡散モードで撃墜する。

 周囲を見てみれば、61式戦車やセイバーフィッシュといった通常兵器が残骸となって転がっていた。

 希にザクの残骸もあるが、その数は本当に少ない。

 それこそ、連邦軍の兵器との比率は、比べるのも馬鹿らしくなるくらいに。

 

『アクセル、なるべく早くそこにいる敵を排除して他の場所に援護に回ってくれ! 予想していたよりも、敵の数が多い!』

 

 シローからの通信には、見るからに焦りの色があった。

 俺の事をアクセル代表と呼ぶのではなくアクセルと呼ぶようになったのは今更だったが、今はとにかく現状を何とかしようと焦っているのが分かる。

 とはいえ、その気持ちも分かる。

 オデッサに向かっている途中で不意に救援要請がホワイトベースに届いたのはともかく、何故か出撃しようとした途端に上層部から出撃を禁止するといった命令が届いたのだ。

 元々、ホワイトベースが受けていた命令は、空を飛んでオデッサまで移動する事。

 そして空を飛べるという機動力の高さを活かし、ジオン軍がオデッサに向かう連邦軍の部隊を各個撃破しようとした時に、即座に援軍に向かう事だった。

 だというのに、何故か……本当に何故か上からの命令で動くなときたのだ。

 明らかに理不尽。

 だが、軍隊というのは上からの命令は絶対だ。

 だからこそ、ブライトも動くに動けなかった。

 それでも何とかレビルに連絡を取る事に成功し……何故かオデッサに向かう部隊が襲われているという報告そのものが上がっていなかった事に驚き、すぐに出撃するようにと命令を出され、それでようやくこうして援軍に来たのだ。

 だが、結果としてそれは遅かった。

 襲撃現場に到着した俺達を待っていたのは、それこそ既に戦いは終わっており、残っているのは撃墜寸前の61式戦車のみ。

 戦車というのは、正面からの攻撃には強いが上の部分はどうしても装甲が薄くなってしまう。

 上から乗り込む以上、この辺はどうしようもない。

 そんな理由から、MSという人型機動兵器にとって61式戦車というのはいい獲物となる。

 とはいえ、ジムを始めとしたMSが量産され始めていても、やはり現状で一番数の多い……主力兵器が何かと言えば、61式戦車だ。

 ミノフスキー粒子さえなければ、電子制御とかそういうので61式戦車は十分強力な兵器なのだが、それは今更の話だろう。

 そんな場所にやって来た俺達だったが、ジオン軍にしてみれば敵からわざわざ自分達の戦場にやって来てくれた訳で……ここで俺達を逃がすような真似はしないと、戦闘に入った。

 これでもう10分か20分遅く到着していれば、すれ違いになって戦闘にはならなかったんだろうが。

 いやまぁ、まだ生きている連邦軍の兵士を助ける事が出来たのだから、この結果は決して悪い事ではなかったのだろうが。

 そんな訳で戦力を集中して連邦軍の部隊を各個撃破していたジオン軍との戦闘になった訳だが、戦力を集中しているだけあって、向こうはかなりの数だ。

 現在こちらは数でかなり不利になっている。

 その上、ジオン軍もホワイトベース隊が厄介な存在であるということは十分理解している為か、近接戦闘を挑んでこない。

 とことん動き回りながら、こちらに向かって当たればルナ・チタニウム製の装甲であってもダメージを受けるザクバズーカやジャイアントバズを撃ってくるだけだ。

 うーん、さすがにピクシーとの戦闘をかなり繰り返しただけあって、近接戦闘向きの機体であると見破られてるな。

 まぁ、今までピクシーでジオン軍にどれだけのダメージを与えてきたのかを考えると、向こうも当然のようにこちらを分析するだろう。

 それでもビームスプレーガンを入手した事により、以前よりは中距離でもある程度は戦えるようになったのだが。

 90mmサブマシンガンも、牽制という意味では結構役に立つし。

 そんな訳で現在俺は複数のザクやドムを相手にしていた訳だ。

 最初のこの戦場にもグフといった他のMSが存在したのだが、近接戦闘向けのグフはすぐにこの場から立ち去った。

 ザクくらいなら逃げようとしても追いつけるんだが……それをカバーするように、ドムがジャイアントバズを撃ってくるんだよな。

 だが、シローからの注文が入った以上、こちらとしても悠長にはしていられない。

 アイナとの一目惚れからフラれるまでの一連の流れと、それに業を煮やしたキキの捕食。

 それによってとてもではないがベストコンディションと言えないシローだったが、当然のようにその判断力の低下は指示にも影響してくる。

 いつもであれば、ジオン軍がこちらを分析していても、ここまで後手に回るといった事はなかった筈だ。

 そんなシローの調子の悪さをフォローする為には、やはりここはシローに頼るのではなく、こちらで素早く対処した方がいい。

 そんな訳で、一気にドムとザクを倒してしまった方がいいか。

 機体の整備でメカニック達に苦労を掛けるかもしれないが、その辺りは馬鹿な判断をした連邦軍の上層部に恨みをぶつけてくれ。

 

「加速」

 

 何だか、随分と久しぶりに使った精神コマンドの加速。

 元々高機動型のピクシーだけに、その速度はジオン軍が今まで集めたデータよりもかなり上になっているだろう。

 考えようによっては、ピクシーにはリミッターがあり、それを解除したと、そう思われてもおかしくはない。

 精神コマンドの加速を使った事で、見る間に敵との間合いが詰まっていく。

 ジオン軍のMS隊にしてみれば、ピクシーのこの速度は完全に予想外だったのだろう。

 数秒という短い……だが、この状況では致命的なまでに大きな隙を生み出す。

 そうして生み出された隙を突き、まずはザクのコックピットに向けてビームダガーの切っ先を突き刺す。

 一撃で敵のパイロットを殺し、そのまま機体を半回転させて近くにいたザクの機体のコックピットにビームダガーを突き刺す。

 これで2機。

 3機小隊で動いているジオン軍だけに、もう1機はと探すと……残る1機のドムは、他の小隊と共に戦場から撤退していく。

 ドムが1機とザクが2機の小隊。

 組み合わせとしては、ドムの機動力が活かせないのだが、今回のように近接戦闘を完全に捨てて、遠距離から攻撃をするだけ……自分達の損耗を可能な限り減らし、敵に一方的なダメージを与えるには十分な組み合わせだろう。

 疑問なのは、61式戦車とかと戦う時もこういう組み合わせだったのかという事だが……いや、今はそんな事を考えていられる余裕はないか。

 シローの調子が戻るまでは、取りあえずこっちでしっかりと活動する必要がある。

 現状のホワイトベースではシローがMSの指揮に向いているというのは、間違いないのだから。

 

「シロー、こちらアクセル。敵部隊を撃退した。どこに向かえばいい?」

『ヤザン小隊に向かってくれ』

「了解」

 

 シローの言葉は、俺が予想した通りのものだった。

 ホワイトベース隊は、色々な部隊に分けられるも、やはりモルモット隊、ヤザン小隊といった具合に、元から決まっていた小隊で動く事が多い。

 そうなると、当然の話ではあるが、ヤザン小隊が一番弱い。

 ヤザンは相応の技量を持っているが、ダンケルとラムサスの2人はヤザン程に強い訳ではないのだ。

 ヤザン並とは言わなくても、ヤザンより劣るくらいの実力があれば……

 そう思わないでもなかったが、何気にバニングの小隊と模擬戦をした時はヤザン達が勝っていたりする。

 しかもヤザン達は3機なのに対し、バニング小隊は4機で戦っての成果だ。

 うん、こうなるとやっぱりホワイトベース隊のMSパイロットの技量が、そもそもおかしいんだろうな。

 元々技量が優れていたというのもあるが、それに加えてワルシャワで模擬戦を繰り返したのが、この場合は大きかったといったところか。

 例え相手が自分より弱くても、戦いを繰り返せば自然と操縦技術は上がる。

 勿論、自分よりも強い相手と戦った方が技量が上がるのは間違いないのだが。

 

「ヤザン、そっちはどうなっている?」

『こっちか? 負けてるって訳じゃねえけど、勝ってる訳でもねえな』

 

 ヤザンの言葉を信じるなら、ほぼ互角の勝負をしているといったところか。

 そしてシローが指示してきた、戦力的に一番弱いヤザン達で互角となると、他の面々は戦いを有利に進めているのは間違いないだろう。

 

「分かった。シローからの指示でこれからそっちに向かうから、そのつもりでいてくれ」

『俺達の方に来るのか!? ……ちっ、分かったよ。なら、早く来てくれ。アクセルが来れば、手っ取り早く片付けられるだろ』

 

 そう言い、通信が切れる。

 ヤザンにしてみれば、自分達の小隊に俺が援軍に向かうというのは、実力不足を指摘されてるようで面白くないのだろう。

 ダンケルとラムサスの2人がヤザン並の実力を持てば、安心して任せられるんだが。

 そんな風に思いながら戦場を移動していると……軍用車で移動している連邦軍の軍人を見つける。

 うわ、これって絶対に面倒臭い奴じゃないか?

 そう思うも、見つけた以上はこれを放っておくような真似も出来ない。

 

「聞こえているか? お前達は、ここで戦っていた連邦軍の生き残りか?」

 

 外部スピーカーで尋ねると、軍用車に乗ってる者が大きく手を振ってきた。

 基本的に連邦軍の軍用車は、前に2人、後ろに……無理をすれば3人といったように、5人乗りだ。

 だが、ピクシーの映像モニタに映し出されている軍用車には、7人もが乗っていた。

 それこそ、どうやってそんなに詰め込んだのかといったような人数か。

 軍用車はピクシーの足下で停まると、声を掛けてくる。

 

『そっちは俺達を助けに来てくれたのか!?』

「ああ。もうジオン軍は殆どが撤退し始めている。あっちの方に行けばホワイトベース……俺達の母艦があるから、収容して貰えると思う」

『分かった。助かる』

 

 それだけを言うと軍用車は俺が示した方向……ピクシーが指さした方向に走り去る。

 俺と受け答えした奴はそうでもなかったが、他の何人かの軍人は、俺を……いや、ピクシーを睨むように眺めていた。

 まぁ、その気持ちは分かる。

 俺達が来るのがもう少し早ければ、あの軍人達の仲間も無事だったんだろうし。

 俺達が遅かったからこそ、ジオン軍の攻撃で大きなダメージを受けた。

 今回の一件も、恐らくは上層部にいる内通者が何らかの動きを見せたのだろう。

 以前レビルがその辺を調べてみるとか言ってたが、まだ内通者が捕まった様子はない。

 勿論この状況で実は連邦軍の上層部に内通者がいましたといった事を公表すれば、これからオデッサ作戦なのに士気が落ちる。

 とはいえ、その内通者の策動によって仲間を殺されてしまった者達にしてみれば、そんなのは知った事ではないといった感じだろう。

 内通者が誰なのかを知れば、それこそ軍人達が自分で始末してしまいそうな気がする。

 上層部と実際に前線で戦っている者達とでは、純粋な身体技能という点では明らかに後者が上だし。

 軍人達の件は取りあえず置いておくとして、再びヤザン達のいる方に向かう。

 互角に戦ってるって話だったし、多分まだやられたりはしてないと思うんだが。

 そうして戦場を進むと、やがて見覚えのある3機のジムが視界に入ってきた。

 そんなジムは、林を盾代わりにして戦っている。

 ……とはいえ、敵は遠距離からザクバズーカやジャイアントバズといったような高威力の武器を撃ってきている以上、林程度では盾代わりとしては到底使えない。

 これなら、それこそ61式戦車の残骸とかを盾代わりに使った方がいいのではないかというのが、俺の正直な思いだ。

 いや、でも61式戦車の残骸でもザクバズーカやジャイアントバズの威力には耐えられないか?

 そうなると、破壊された残骸によってジムがダメージを受ける可能性もあった、か。

 そうならない為には、案外林を盾にするというのはおかしくないか。

 

「ヤザン、援護する」

 

 そう言い、精神コマンドの加速を利用し、一気に敵との間合いを詰めながら収束モードでスプレーガンを発射し、同時に90mmサブマシンガンも撃つ。

 二丁拳銃――正確には拳銃ではないのだが――というのは正直どうかと思わないでもなかったが、それでも取りあえず敵を撃破ではなく追い払うという目的では、十分な成果を挙げた。

 ドムはビームによって右肩を貫かれてジャイアントバズを右腕諸共地面に落とし、ザクの方も90mmサブマシンガンの弾丸が次々と当たった事により、ある程度の被害が出たのだろう。

 まだ無傷の機体もあったが、このまま戦えば自分達も大きな被害を受けると判断してか、戦場から逃げ出し始める。

 出来れば撃破したかったところなのだが、取りあえず今はヤザン達を助けることが出来たので、よかったとしよう。

 そしてヤザンと戦っていた部隊が撤退したのを始めとして、まだ戦闘中のジオン軍は全てが撤退を開始したとモーリンから連絡が入るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:700
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1524

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