転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0229話

 ASRSを展開してジェネシス本体へと近づいていくと、スライムで把握したその大きさを改めて実感出来る。ホワイトスター程で無いが、その大きさはかなりのものだ。

 

「……どうやって追い出すべきかだな」

 

 これだけの大きさだ。当然中で作業や調整をしている人数もそれ相応の数になるだろう。それだけの人数をどうやってこのジェネシスから追い出すかだが……

 

「一次反射ミラーに関しては2人だけだったから楽だったんだが、な」

 

 人数にもよるだろうが、さすがに100人単位で人が残っている場合は全員を気絶させて……というのは時間が掛かりすぎるし却下だろう。

 そうなると残るのは自分からこのジェネシスを出て行って貰うのがベストだ。

 

「いや、待てよ?」

 

 一次反射ミラーで聞いた完成度70%という言葉が頭の中に思い浮かぶ。完成度が70%の状況でジェネシスを発射しようとした場合、当然不具合が出る可能性が高いだろう。それはガンマ線レーザーがあらぬ方向へと飛んでいく事かもしれないし、あるいはNジャマーキャンセラーの誤作動によってこのジェネシスが自爆する可能性も考えられる。

 なら、その自爆するという風に情報を流してやれば我先にと逃げ出すんじゃないか? 全員が全員それで逃げ出すかどうかは分からないが、このジェネシスにいる大半は脱出する筈だ。

 

「その方針で行くか」

 

 グロウセイヴァーのコックピットから降り、空間倉庫へと格納してからジェネシスの内部へと向かう。

 一次反射ミラーの時とは違い戦艦が駐留する事の出来る港口からの侵入となったが、スライムの索敵により誰にも見つからずにジェネシスへの潜入に成功する。

 宇宙港の中だけでも10人近い人数の作業員達がいるのを見ると、やはり内部にはかなりの人数が残っていると考えるべきか。

 このジェネシスで働いている作業員や軍人達をヤキン・ドゥーエやプラントに運ぶ為だろう、ドックには大型のシャトルやランチが数隻駐留されていた。

 

「ジェネシスが自爆するという事を放送して作業員達を脱出させるにしても、まずは制御室を確保しないとな」

 

 宇宙港の近くにある空き部屋へと入り込み、換気口からスライムを侵入させてジェネシスの内部へと張り巡らせる。

 排気口やダクト等のジェネシスの裏側とも言うべき場所をスライムで探索する事十数分。ようやくこのジェネシスの制御室らしき場所を発見する。

 

「おい、一次反射ミラーの方から連絡が来てないがどうしたんだ?」

「知るか。恐らくヤキンで行われている戦闘の影響か何かじゃないのか」

「ザラ議長からいつ発射命令が来るか分からないんだぞ。その時に一次反射ミラーにいてみろ、確実に死ぬぞ。何とか連絡を取るんだ」

「にしたって、連合も何を考えてボアズを飛ばしてここに奇襲を仕掛けてきたんだろうな」

「いや、それが連合じゃないって話だ」

「何?」

「ラクス様が奪取したエターナルが敵にいるらしい」

「様付けなんかするなよ。上にクライン派だと思われると厄介な事になるぞ」

「そうそう。それに連合軍にNジャマーキャンセラーが装備された機体を渡すような裏切り者だぜ?」

「……だが、俺の息子は彼女の歌が好きでな。ここ最近の報道を見ているとどうもな。それにこのジェネシス、本当に使ってもいいものなのか……」

「おい、いい加減にしろ! 本気で上層部に睨まれるぞ」

「ていうか、もしかしてお前、本当にクライン派じゃないだろうな?」

「……いや。このジェネシスがコーディネーターの為になると俺も信じてるさ」

 

 会話に参加しているのは4人から5人って所か。だだ、スライムの熱探知を使った所、会話に加わらないで作業に集中しているのが4人程。全部で10人いるかどうかって所だな。そして運のいい事にクライン派、あるいはラクス・クラインに同情的な人物が最低1人はいるらしい。この人物に手伝って貰えば自爆の情報を流すにしてもスムーズに進められるだろう。

 

「よし。方針は決まったな」

 

 取りあえずこの小部屋からジェネシスの制御室まで移動しないといけないので、空間倉庫から伸びていたスライムを収容して部屋から抜け出す。

 そのまま通路を進み、作業員達に気が付かれないように接近した時は気配を殺して身を潜め、やり過ごす。

 そんな状態で進む事10分程。ようやく目的の制御室に辿り着く事が出来た。

 念の為に再度スライムを使い、制御室の内部を索敵。

 

「……ん?」

 

 スライムで感じ取れる人数が4人にまで減っている? さっきは10人近くいたというのに。

 中にいない以上は何かの用事で出たのだろうが、その何かが問題だ。トイレや休憩なら構わないが、一次反射ミラーからの連絡が途絶えたのを不審に思い、それを直接確認する為にランチなりなんなりで一次反射ミラーのあった場所へと移動したとかだと施設そのものが無くなっているのに気が付くだろう。

 なにしろ一次反射ミラーは既に俺の空間倉庫に取り込まれているので、本来あるべき場所はただ宇宙空間が広がっているだけなのだ。そしてそれを知らされて騒ぎにでもなったりしたら自爆の放送を流しても真偽を確認しようとする奴が少なからず出てくる可能性がある。

 つまり、より素早い行動が求められる訳だな。

 深呼吸を一つして、意識を集中。

 

「加速、集中」

 

 精神コマンドの加速と集中を使い、身体能力と集中力を強化する。

 そしてドアを開け……

 

「ん? 早かったな。あっちの連中とは連絡が……」

 

 自分の作業に集中していた為か俺の方を見もせずに声を掛けてきた男の首筋に手刀を叩き付け、声も出させる事無く気絶させる。同時に制御室の中を素早く見回すと、残り3人のうち2人はここから少し離れた所で何らかのプログラムを入力している。そして最後の1人は……いない? 馬鹿な、確かに突入前にスライムで調べた時は4人いたはずだ。くそっ、取りあえずはあの2人を!

 

「おいっ、お前……ぐっ!」

 

 プログラムを入力していた2人のうちの片方が俺に気が付き、立ち上がりながら声を掛けてくるが、精神コマンドの加速で速度の上がった俺の身体は瞬時にその男との距離を詰めて鳩尾へと拳を叩き込む。大分手加減した一撃とは言え、軍人でも無いらしい技術者にそれを回避する術などある筈もなく、そのまま気を失って部屋の中を漂う事になる。

 

「う、うわっ、一体何を!?」

 

 こちらを呆然と見ている3人目のその男の首筋にも手刀を叩き込もうとして、ギリギリで止める。今の声に聞き覚えがあったからだ。先程のスライムで会話を盗聴した時にクライン派じゃないかと疑われていた人物だ。

 パッと見20代から30代くらいの男に見えるが、コーディネーターは外見年齢が当てにならない事が多い。なにせイザークの母親であるエザリア・ジュールはオーブで見たニュース映像を見る限りでは俺とそう大して変わらない年齢のように見えるのに、17歳の息子を持っているのだから。

 まぁ、それは取りあえず置いておくとして。

 

「もう1人いた筈だが、そいつは?」

 

 今更ながらに懐から銃を取り出し、目の前の男へと突きつける。

 

「あ、あっちだ」

 

 男の顔が向いた方には扉がある。そして俺が顔を向けたその瞬間に扉が開き、1人の男が慌てたように飛び込んでくる。

 

「おい、何だ今の音は……っ!? 侵入者か!」

 

 目の前の男に銃を突きつけている俺を見るや否や、素早く懐から銃を取り出しこちらへと向けて……

 

「加速」

 

 引き金を引く前に、再度の加速を使った俺にその手を押さえられ、腹へと一撃を食らって気を失い、先程の男と同じく部屋の中を漂う。

 

「……さて」

 

 振り向いた俺の目に映ったのは、呆然と俺の方を見ている男の姿。何か信じられないようなものを見るような目で俺に視線を向けている。

 そんな男の様子を無視して口を開く。何せ時間がないのだから、なるべく急がないといけない。

 

「率直に聞こう。お前は俗に言うクライン派だな」

 

 クライン派。その単語を聞いた男が顔を引きつらせる。

 

「な、何の事だ? 俺は別にそんなんじゃ」

「慌てなくていい。別に俺は評議会からの刺客とかそういうのじゃない。お前も知ってると思うが、現在ヤキン・ドゥーエへと攻撃を仕掛けている部隊にはラクス・クラインの指揮する艦もある。その友軍と思ってくれて構わない」

「ラクス様、の?」

「ああ。それでラクスに協力して貰いたいんだが構わないか?」

「……本当に、ラクス様の為になるんだな?」

 

 躊躇いながらもそう尋ねてくる男。脈有りだな。

 

「もし嘘なら後で俺の首をやってもいい」

「……いや、あんたの話を信じよう」

 

 説得しておいて何だが、ラクスのプラントにおけるカリスマは一種の宗教染みたものを感じるな。まぁ、宗教だろうが何だろうがこの状況で利用できるのなら存分に利用させて貰うが。

 

「で、何をすればいいんだ?」

「ラクスはこのジェネシスが発射された場合、地球に存在する生き物の殆どが死滅するというのを憂慮している。だからこのジェネシスをどうにかする為に俺が派遣されて来た訳だ」

「……」

 

 いかにもラクスらしい動機を聞き、無言で話の続きを促される。

 

「それでお前にやって欲しい事だが、この制御室からジェネシス全体に放送する事は可能か?」

「ああ。この制御室からなら可能だ」

「よし。ならパトリック・ザラから緊急の命令が来てジェネシスを敵に発射する事になったが、まだジェネシスが完成していないのに無理をした為にミラージュコロイドの解除が不可能になり、PS装甲の展開も出来なくなった。その為、このままではジェネシス内部は核によって自爆する可能性が高いので至急避難するようにと放送してくれ」

「なるほど、このジェネシスから人を追い出すんだな?」

「ああ、放送が終わったらお前もすぐに逃げろ。後は俺が何とかする」

 

 クライン派の男は俺の言葉に頷き、制御室の中でも中央に近い位置にあるコンピュータへと移動してなにやら操作を始める。その様子を見ながら、特にやる事の無かった俺は部屋の隅にあった紐を使い気を失っている男達3人を縛り上げて行く。

 

『こちら、ジェネシス制御室。緊急事態が発生した。繰り返す、緊急事態が発生した。ザラ委員長の命により、現在ヤキン・ドゥーエへ攻撃を仕掛けている部隊に対してジェネシスを発射すべく準備していたのだが、まだ完成していない状態で無理に発射態勢に入った為に予期せぬ不具合が起きた。現在、このジェネシスはミラージュコロイドを解除できなくなっており、その影響かどうかは不明だがPS装甲の展開も出来なくなっている。また、同様の理由によりジェネシス内部の安全を保証できない。このままでは原子爆弾によりジェネシスが内部から自爆する可能性がある。よって、現在ジェネシスに残っている人員は至急避難するように。繰り返す、このままではジェネシス内部で自爆の可能性あり。至急避難せよ!』

 

 俺が男達を結び終わった丁度その時、男の通信がジェネシス内部へと響き渡った。最初の数秒はしんと静まりかえっていたが、すぐに怒号のような声が聞こえて来る。皆が争って避難しようとしているのだろう。

 そしてその後を追うかのようにジェネシス非常用アラームが放送で鳴り響いている。

 縛り上げた男達を宙に浮かんで運びながら、そのロープを男へと渡す。

 

「助かった。お前も早くここから脱出しろ。すぐにこのジェネシスは消えて無くなる」

「……分かった。ラクス様を頼んだぞ」

 

 男はそれだけ言って、ロープを握り制御室から出て行った。




名前:アクセル・アルマー
LV:37
PP:540
格闘:258
射撃:278
技量:268
防御:268
回避:298
命中:318
SP:454
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:361

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