転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2439話

 ホワイトベースから出撃したピクシーの映像モニタに真っ先に表示されたのは、右足を破壊されて動けなくなっているジムと、既に撃破されて残骸となっている2機のジムだった。

 勿論戦力はこれだけではなく、61式戦車で生き残っているのもいれば、既に撃破されているのもいる。

 現在の状況を考えるに、全滅寸前といったところか。

 そんな連邦軍の部隊に対し、追撃のジャイアントバズを放とうとしている複数のドム。

 やはりと言うべきか、連邦軍のジムではドムの相手は務まらないらしい。

 性能的な意味では、ジムとドムだとジムの方が上だろう。

 特に攻撃力という点では、ジムのビームライフルの方が圧倒的に上だ。

 勿論ジャイアントバズも高い攻撃力を持つが、取り回しや連射性、また複数の射撃モードがあるという点で、ビームスプレーガンに劣る。

 まぁ、ジムの中にはビームスプレーガンではなく実弾のマシンガンを使っている者もいるが。

 だが……例えどれだけ攻撃力が高くても、その攻撃が当たらなければ意味はない。

 ジムがザクやグフと同じく2足歩行型であるのに対し、ドムはホバー移動だ。

 言ってみれば、地面を滑って移動している。

 そんなドムを相手に、まだMSでの戦闘に慣れている訳ではない連邦軍のMSパイロットがそう簡単に攻撃を命中させられる筈もなかった。

 連邦軍のMSパイロットの中にも高い技量を持つ者はいる。

 また、ワルシャワ基地でホワイトベース隊との模擬戦を行った事により、間違いなくその技量は上がっているだろう。

 それでも、やはり模擬戦は模擬戦。実戦となれば話は違ってくる。

 ましてや、相手は戦争開始時からずっとMSを使い続けてきたジオン軍のMSパイロットなのだから。

 ……とは言っても、ジオン軍も1週間戦争やルウム戦役においてMSパイロットをかなり損耗しているのだが。

 

「ともあれ、まずはあのドムをどうにかする必要があるな」

 

 呟き、90mmサブマシンガンをドムに向かって撃つ。

 当然のように射程範囲外からの攻撃だったので、ドムに命中はしない。

 いや、命中しても厚い装甲に阻まれてまともにダメージを与える事は出来なかっただろう。

 だが、敵の注意をこちらに引き付けるという目的は無事に果たした。

 ドムは、戦場に近づいてきた……いや、乱入したピクシーの姿に気が付く。

 そしてピクシーの姿に気が付けば、当然のように背後に浮かんでいるホワイトベースについても気が付く。

 さて、どうする?

 ここで退くか、自分達の実力を信じて……もしくは過信して、俺達に攻撃を仕掛けてくるか。

 こちらとしては、出来れば後者がいいんだが。

 そう思っていると、やがてドムを主力にした敵部隊は、急速に戦場から離脱していく。

 どうやら、向こうが選んだのは撤退らしい。

 ホワイトベース隊の戦力を考えれば、退くという選択肢を選んだのは当然だろう。

 とはいえ、戦場で冷静に判断出来る者というのは、あまり多くはない。

 特に今回は、連邦軍の戦力を一方的に倒すといった真似をしており、結果として戦闘の興奮に襲われてもおかしくはなかった筈なのだから。

 そんな中でここまで冷静に判断したというのは、凄いと言ってもいい。

 ……まぁ、軍人として考えれば、ある意味でそれは当然の事なのかもしれないが。

 

「ホワイトベース、聞こえるか? そっちでも見ていて分かると思うが、敵が撤退を始めた。どうする? 追撃をするのなら、少しでも早い方がいいぞ」

 

 連邦軍にとって、ドムというのは非常に厄介な存在だ。

 ザクやグフが容易い相手だという訳ではないのだが、ドムというのは新兵が乗っても、その高い攻撃力と機動力で大物食いを出来る可能性があった。

 ビッグトレーが、新兵になったばかりのジオン軍の新米パイロットに偶然で撃破されてしまう。

 そんな事になれば、連邦軍としては到底許容出来ないだろう。

 新兵が乗っているわけではない、ベテランやエースパイロットが乗っているドムともなれば、その脅威度は更に上がる訳だが。

 ともあれ、どんなパイロットが乗っていても危険なMSがドムなのだ。

 高い防御力があるから、ビーム系の兵器でなければ倒しにくいという点も大きいが。

 ともあれ、そんな訳でドムを倒せるのなら倒しておいた方がいいというのが俺の意見ではある。

 だが、通信で返ってきた言葉は俺にとっては予想外のものだった。

 

『いや、追撃は不要と上から命令が来ている。今の状況で深追いするような事は、なるべく避けたいということなのだろう』

 

 そう、追撃をしないようにという命令だったのだ。

 正直なところ、一体何を言っている? と思わないでもなかったのだが、俺達がここで深追いをする事によって、他の場所に攻撃をされた時に対応が遅くなるかもしれないとなれば、その理由にもいくらかの理があるのは分かった。

 それに……ドムを逃す事で被害を受けるのは、あくまでも連邦軍だ。

 連邦軍にもある程度の被害を受けて欲しいこちらとしては、ドムを見逃せというのは悪い話ではない。

 さて、この件に関わったのは、連邦軍の上層部にいるスパイなのか、それとも偶然が重なった結果なのか。

 正直、その辺の事情はあまりよく分からない。分からないが……取りあえず追撃はするなという事なので、大人しくホワイトベースに戻る。

 俺以外にも出撃してきた機体が何機かあったが、その機体も今回は何も出来ないままでホワイトベースに戻っていく。

 

『ったく、もしかしてアクセルがいたから、敵が逃げたんじゃねえのか?』

 

 不満そうにそう言ってくるのは、ヤザンだ。

 ヤザンとしては、ドムと戦ってみたかったという思いがあるのだろう。

 実際にヤザンも今までドムと戦った事はあったと思うから、そこまでドムとの戦いに集中する必要があるとは思えないんだが。

 

「俺に言われても困る。結局のところ、向こうが不利だと思って逃げたんだろ。もしくは、単純に任務を果たしたから余計な戦闘をしないようにして、すぐに撤退したという可能性もあるけどな」

 

 ジオン軍にしてみれば、オデッサを守る事が最優先なのだ。

 そうである以上、俺達と戦うといったような余計な真似をする余裕があるとも思えない。

 勿論、その辺はパイロット次第だ。

 中には敵がいるのなら撃破してしまえばいいといったような考えを持ったパイロットもいるだろうが、今回俺達と遭遇したのはそういうパイロットではなかった。

 あくまでも、これは可能性でしかないが。

 

『ふんっ、分かってるよ』

 

 俺の言葉に、不満そうにヤザンが告げる。

 ヤザンにしてみれば、今の言葉はあくまでも自分の不満を口にしただけであって、本当に俺のせいだとか、そんな風には思っていなかったのだろう。

 

『すまない、助かった』

 

 ヤザンとの通信が終わると、まだ無事だったジムからそう通信が入ってくる。

 見たところ、20代後半といった年齢。

 恐らくはMS小隊の隊長だったと思われる男。

 

「気にするな。それより、そっちはこれからどうするんだ? 生き残りはかなり少ないらしいが」

『本当なら、あんた達に回収して欲しいところなんだけどな。上から回収部隊をすぐに送るから、それまで待機していろとの事だ』

「あー……そうか。まぁ、俺達は限界までMSを運用してるから、余分にMSを搭載出来ないからな」

 

 とはいえ、一応甲板の上に置いておくという意味では、無理をすれば搭載は可能だ。

 ……もっとも、その場合は当然格納庫に入る訳ではない以上、修理とか補給とかそういうのはちょっと難しいが。

 もしそれを本当にやるのなら、それこそ俺達の機体を甲板に移動させる必要がある。

 あ、でもガンタンクは移動砲台として運用しているので、甲板で待機させていても問題はないか?

 通信を送ってきた相手がここで待機するように命じられている以上、考えても意味のない事だが。

 

『ああ。じゃあ、またこっちが困っていたら助けてくれ』

 

 その言葉を最後に、通信が切れる。

 さて、正直なところこのまま放っておくのは半ば見殺しに近い気がするんだけどな。

 ただ、本人がそれで満足をしているように見える以上、こちらからは特に何も言う事はない。

 連合軍も馬鹿ではないのだから、ある程度の戦力はすぐに用意するとは思うのだが。

 もしここで見捨てるような真似をした場合、上層部に対する批判が……もしかして、それが狙いだったりするのか?

 上層部にいるスパイにしてみれば、連邦軍が不利になる事はジオン軍の利益になる以上、進んでそれをやるという可能性がある。

 

「……どう思う?」

 

 ホワイトベースに通信を繋ぎ、尋ねる。

 連邦軍の上層部にジオン軍に通じている者がいるというのは、既にホワイトベース隊の中では公然の秘密に近い状況である以上、それを隠すような真似はしなくてもいい。

 勿論、誰か他の部外者がいたりすれば、また話は別だったが。

 その場合でも、俺はあくまでも傭兵で連邦軍の兵士という訳ではない以上、聞かれて困るような事はない。……歴とした連邦軍の軍人であるブライト達は、また話が別だろうけど。 

 だからだろう。ブライトは微妙に言いにくそうな様子ではあったが、それでも俺の質問に答える。

 

『可能性としてはあると思う。思うが……連邦軍に被害を与えるというだけなら、別にそんな真似をしなくても、俺達に援軍として向かわせなければ、それでいいんじゃないか?』

「命令や連絡を途中で止めるというのは、以前もやっただろう? だとすれば、同じ事を繰り返した場合、スパイが誰なのかというのは容易に判断されかねないだろ?」

『それは……そうか』

「それ以外にも、俺達を援軍として出さないというのは、短期的な利益という点では大きいが、長期的に見れば今回の方が効果は大きい。何しろ、前線にいる兵士が上層部に見捨てられたという風に思われかねないんだから」

 

 兵士からの信頼を失った上層部というのは、いっそ哀れな程に無力となる。

 命令をしてもそれを聞かないでサボタージュされ、場合によっては後ろから撃たれるといった可能性すら出て来るのだ。

 もっとも、サボタージュというのは軍事用語では破壊工作とかそっち系の意味なので、サボる的な意味でのサボタージュとはまた微妙に違うのだが。

 とてもではないが、ジオン軍との戦いどころではなくなってしまう。

 ……もっとも、それはあくまでもこの戦いが長引けばの話だが。

 

『取りあえず、今はレビル将軍を信じるしかない。レビル将軍も、今の状況が決して最善ではないというのは、理解している筈だ』

「だろうな。それは分かってるけど、理解していても実際に行動に移せないというのは、この場合大きな問題だと思うが?」

『だが、レビル将軍に代わってこの戦争を主導出来る者がいると思うか?』

 

 そう言われれば、俺としてもそれに頷く事は出来ない。

 実際問題、この戦争で連邦軍が現在のようにジオン軍と対抗出来ているのはレビルの力があるのが大きい。

 一種のカリスマと言ってもいいか。

 そんな能力を持つレビルだけに、今の状況を考えると連邦軍の上層部から排除する訳にはいかない。

 小粒のレビル……といった能力を持つような者なら、それなりにいるんだが。

 それこそ、ティアンムなんかはそんな感じだろう。

 連邦軍の中でも実力派の軍人として高い評判を得ているのは間違いないが、それでもレビルには及ばない。

 あとは、准将の立場になるが、コーウェンという人物もやり手という風に言われているが……レビルの代わりになるかと言われれば、首を傾げざるを得ないだろう。

 ゴップはという思いもあったが、それもまた難しい。

 ゴップは間違いなく有能な人物だが、それはあくまでも後方の補給を担当する者としての有能さだ。

 レビルのように前線に出てどうにか出来るかと言われれば、その答えは否だ。

 あるいは、平時であればゴップが連邦軍のトップに立ってもどうにか出来るかもしれないが、今はあくまでも戦時だ。

 ゴップが連邦軍のトップでどうこうといったところで、それは全く意味がない。

 

「いないな」

『だろう?』

 

 ブライトが、俺の言葉にそう告げてくる。

 ……今更、本当に今更の話だが、俺達はかなり危険な話をしてるな。

 ブライトもそれに気が付いたのか、小さく咳払いをしてから、改めて口を開く。

 

『さて、取りあえず戦いが終わった事だし、ここから移動するぞ。アクセルも戻ってこい』

 

 話を半ば強引に切り替える感じでの言葉だったが、実際にこれ以上この手の話をしていると危険なのは間違いない。

 ホワイトベース隊の中に、誰かの手の者がいないとも限らないのだ。

 であれば、やはりここではこれ以上話をしない方がいい。

 

「分かった。とはいえ、やっぱりオデッサ作戦……忙しくなりそうだな」

 

 俺の言葉に、ブライトは頷く。

 今回の出撃命令が下るまで、暇だと言っていたのがうそのような、そんな急激な変化。

 オデッサ作戦が始まったばかりで俺達の出番が来るというのは、色々と……本当に色々と面倒な事になるのは、間違いない。

 連邦軍にいるスパイも、きっと今頃は嬉々として動き回っている事だろう。

 ……そうして派手に動けば、それはそれで見つかりやすくなるのだろうが。

 そんな風に思いながら、俺はホワイトベースに戻るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:700
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1524

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