転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2440話

 これから忙しくなる。

 そんな予想は、図らずとも当たってしまった。

 オデッサ作戦において。色々な場所で連邦軍がジオン軍の攻撃を受けたのだ。

 これが、オデッサ作戦に参加している部隊が偶然ジオン軍と遭遇して戦いになったのであれば、納得も出来る。

 だが、今回の場合はそのような問題ではない。

 何しろ、偶然であるのならほぼ同時に複数の場所で戦場になるとは思えなかったのだから。

 そうなった時点で、明らかにおかしい。

 これもまた、連邦軍の上層部にいるスパイが必死に頑張った成果なのだろう。

 連邦軍にもある程度の被害を受けて欲しいと思っている俺としては、決して不満を抱くべき事じゃない。ないのだが……それでも不満に思ってしまうのは、実際に働いているのは俺達だからだろう。

 また、敵を撃破しようにも、敵はホワイトベース隊が近づけば、即座に撤退するという、念の入れようだ。

 それでもアムロとカイがそれぞれビームライフルで数機のMSを撃破しているが、それだけだ。

 ……俺の撃破数も0だし。

 ジオン軍にとって、ホワイトベース隊の中で最も危険な戦力と認識されているのが、俺のピクシーだ。

 だからこそ、ピクシーの姿を見れば、戦闘するような事は一切考えず、そのまま逃げ出す。

 また、ピクシーの射撃武器が牽制用の90mmサブマシンガンと射程の短いビームスプレーガンしかないというのも、痛い。

 ガンダムやガンキャノンが持つビームライフルに比べると、どうしても射程で劣ってしまうんだよな。

 これは俺の実力云々の問題ではない以上、今の状況ではどうしようもない。

 精神コマンドの加速を使って一気に間合いを詰めるという方法も、ない訳ではないのだが。

 

「面倒な連中だな!」

 

 苛立ちの声を出したのは、ヤザン。

 戦場に到着したかと思えば、すぐに敵が撤退していくのだから、血の気の多いヤザンが不機嫌になるのも当然だろう。

 ちなみに、フィリップも同様に苛立ちを露わにしていた。

 

「幾ら俺達が強くても、結局1部隊でしかない以上、戦場の全てをどうにかする事は出来ないんだよな」

 

 皮肉げに呟くカイ。

 カイにしてみれば、今のような状況は面白くないのだろう。

 もっとも、カイのガンキャノンは低反動キャノンとビームライフルを持っているので、今の状況はそれこそカイにとっては活躍のしどころだと思うんだが。

 そんな風に思っていると……

 

『救援の要請が来た。ホワイトベースは至急救援に向かう。繰り返す、ホワイトベースは至急救援に向かう!』

 

 ブライトの声が通信で艦内に響く。

 これまでにも何度も聞いている内容なので、特に驚くようなことはない。

 ……ただ、また向こうに行けば敵がすぐに撤退をするのだろうから、やる気が出ないのは間違いなかったが。

 とはいえ、ずっとこんな事が続くとも思えない。

 連邦軍の上層部には、今回の一件の原因たるスパイがいたり、私腹を肥やしているような者もいるが、同時に有能な者も決して少なくない。

 だからこそ、今のこのような状況も、暫くすれば解決する……と、そう思いたい。

 それが解決するまでの間は、俺達が忙しい時間を送る事になるのだろうが。

 

『な!? ……緊急通信、今回向かう場所には、ジオン軍の中に蒼い陸戦型ガンダムがいるという情報がある!』

 

 ピリリ、と。

 そんな緊張した空気が周囲に広がる。

 当然だろう。ジオン軍の中にいる、蒼い陸戦型ガンダム。

 それが一体どのような機体なのかは、考えるまでもなく明らかだったのだから。

 

「奪われたブルーディスティニー2号機、か」

 

 呟く俺の声が周囲に響く。

 あの戦いは、ホワイトベース隊にしてみれば大きな失点だった。

 連邦軍の重要な軍事機密をニムバスに……ジオン軍に奪われたのだから。

 勿論、その最大の理由は情報を流した上層部のスパイなのだろうが、俺達の失態であるというのは、変えられない事実でもある。

 そのブルーディスティニー2号機が敵の中にいるのだ。

 もしかしたら、ニムバスが機体と共にオデッサから脱出しているかもしれないという可能性を考えてはいたのだが、幸いにもその辺を心配する必要はなくなったらしい。

 後は、どうやってニムバスの乗る2号機を撃破するなり、鹵獲するかだな。

 性能的には3号機と差はない機体ではあるが、それを開発していたクルストが死んでしまった以上、EXAMシステムは非常に希少だ。

 普通ならどういう風にそのシステムを作ったのかとの開発書とか、場合によってはバックアップを残しておくのは当然だ。

 だが、アルフから聞いた話によると、EXAMシステムにその手の代物はないらしい。

 つまり、現状で存在するEXAMシステムは、2号機と3号機の2つだけ。

 あ、でもイフリート改とブルーディスティニー1号機の方は、まだ残ってる可能性はあるのか?

 ともあれ、EXAMシステムが非常に希少だというのは、間違いのない事実だ。

 ……そもそも、連邦軍もクルストの亡命を受け入れた時、その辺をしっかりとしなかったのか? という疑問がない訳でもないのだが、アルフがいうにはクルストがかなり偏屈な性格だったのが大きかったらしい。

 連邦軍側としても、クルストの協力は是非欲しいところだったのもあって、クルストの機嫌を損ねない事にした結果が、唯一EXAMシステムの全てを知っているクルストの死により、EXAMシステムという技術が消えてしまったのだ。

 勿論、クルストが死んだからといって完全にEXAMシステムが消えた訳ではない。

 クルストと一緒にローレン・ナカモトという人物が亡命してきたらしいし、アルフはアルフでクルストの助手兼弟子といった扱いだった事もあってか、多少なりともEXAMシステムについての情報は持っている。

 だが、全体像を知っていた人物がいなくなってしまった事により、完全な……本来の意味で完成形と思われるEXAMシステムが完成する事は、なくなってしまった。

 ともあれ、そんな貴重なEXAMシステムだけに、可能なら2号機を確保したいと思うのは当然だった。

 出撃の命令を出した上層部にしても、可能なら鹵獲するようにと指示は出してるだろうし。

 ブライトは、その辺について何も言ってなかったが。

 

「ともあれ、出撃準備をするか。ニムバスなら、俺達の姿を見たから逃げ出すといった真似はしないだろうから、多分戦闘になるだろうし」

「面白れえ」

 

 俺の言葉に、ヤザンが獰猛な笑みを浮かべる。

 何故? と一瞬疑問に思ったが、そう言えばラサ基地攻略戦でヤザンはニムバスの部隊と遭遇して、手酷く敗北してるしな。

 あれからヤザンはよりMSの操縦訓練を真面目にやるようになった。

 そんなヤザンにしてみれば、今度こそニムバスに勝利しようと思っているのだろう。

 EXAMシステム搭載機に関しては、同じシステムの機体に搭乗しているユウに任せた方がいいと思うけどな。

 

「意気込むのはいいけど、くれぐれも注意しろよ。ニムバスは性格はともかく、腕は一流だ」

 

 元々ニムバスはグラナダにいたジオン軍人だ。

 忘れていた俺が言うのもなんだが、あの時の態度からして、ジオン軍人の中でも相当に腕が立つのは間違いない。

 EXAMシステム搭載のイフリート改に乗っていた事からも、その辺は明らかだったが。

 ただ、EXAMシステムの場合は純粋に操縦技術云々だけでははく、それこそ才能というかシステムとの相性が大きな意味を持つ。

 とはいえ、アムロに並ぶ操縦技術を持つユウがEXAMシステムの適性を持っていた事を考えると、EXAMシステムとの相性というのは操縦技術に関しても色々と影響してくる可能性は高いのかもしれないが。

 

「分かってるよ。けど、俺だって相応に準備をしてきた。ダンケルとラムサスの2人もな」

 

 ヤザンがそう言いながら、少し離れた場所で何かを話している2人の部下を見る。

 ヤザンという好戦的な上司を持った事は不運かもしれないが、ヤザンに高い才能があるのも事実だ。

 少なくても、無能な上官の下に配属されるよりは、よっぽどいいと思う。

 そうして俺とヤザンが話していると、不意にカツがこっちに近づいてくる。

 

「カツ?」

「うん? ああ、どうしたんだ?」

 

 俺の言葉でカツの存在に気が付いたヤザンが、そう言ってカツに声を掛ける。

 以前肩車しているのを見た事があったが、何気にカツとヤザンは相性が悪くないらしい。

 あれから何度かヤザンとカツが話しているのを見た事がある。

 非常に好戦的なヤザンと、大人しい……臆病とすら言ってもいいカツ。

 そんな2人だから、相性は悪いと思ったんだが、この辺は少し予想外だった。

 もしくは、性格が正反対だからこそ仲がいいのか。

 

「頑張って」

「ああ、任せろ。俺は以前あいつに負けたが、今度は間違いなく勝ってやる」

 

 カツの言葉に、獰猛な笑みを浮かべるヤザン。

 他人から見れば、それこそ恐ろしくて泣きそうになってもおかしくはないような笑みだったのだが、カツにとっては違ったらしい。

 獰猛な笑みを浮かべるヤザンの姿を、頼もしそうに……それこそ、ヒーローでも見るような目で見ている。

 うーん、カツくらいの年齢でヤザンのような男に憧れるってのは、正直大丈夫なのか? と思わないでもないんだが。

 カツの成長に悪影響を与えないといいんだが。

 そんな風に思っていると、ヤザンはカツの頭を乱暴に撫でると出撃準備に入る。

 

「ほら、キキとミケルがお前を探してるみたいだぞ」

 

 ヤザンが立ち去った後でもそれを見送っていたカツに、そう告げる。

 実際に格納庫の入り口には、キキとミケルの姿があった。

 いつもはキキだけで子供達の相手をしているのだが、今はミケルも手伝っているらしい。

 ミケルにしてみれば、今はそんな余裕はないんだろうが。

 基本的にミケルはホワイトベースで銃座を任されている。

 本人はMSのパイロットを希望していると、以前噂話か何かで聞いた覚えがあったんだが……センスがな。

 そもそもの話、今のホワイトベース隊でMSパイロットをやるのなら、相応の技量が必須となる。

 だが、残念ながら今のミケルにそんな技量は到底ない。

 シミュレータとかで訓練はしているみたいなんだが、この辺はやっぱり純粋に才能がないんだよな。

 歩かせるといったような事は出来るのだが、戦闘機動とかになると途端にボロが出る。

 たまに……本当にたまにの話だが、MSパイロットが忙しくて、それでもMSを動かさなければならない時に、ミケルが呼ばれて動かしている事があるらしい。

 

「あ、やっぱりここにいたのね。全く……ほら、これからホワイトベースは戦闘なんだから、食堂に行くわよ」

 

 全くもう、といったように私は怒ってるんだぞといった様子を見せながら、キキはカツに近づくと抱き上げ、その場を去っていく。

 いつもならここでシローの姿を探したり、もしくはカツの近くにいた俺に何か声を掛けたりといった真似をしてもおかしくはないのだが、これから戦闘になると理解してるのだろう。

 さて、カツもいなくなった事だし、俺も戦闘の準備を始めるとするか。

 ホワイトベースがこれから向かう場所、ニムバスが連邦軍を襲っている場所に到着するまで、具体的にどれくらいの時間が掛かるのかは俺には分からない。

 オデッサ作戦という名前ではあるが、その作戦にはかなり大規模なものだ。

 それこそ、かなり広範囲の作戦区域がある以上、襲われている場所によってはホワイトベースでも到着まである程度の時間が掛かる事がある。

 とはいえ、それは時間の掛かる場所であるかもしれないというのと同様に、比較的近くでの戦いとなっているという可能性でもあるのだが。

 特にニムバスの性格を考えると、こっちが来るの待ち構えている為、意図的にホワイトベースから近い場所にいる連邦軍を襲っていてもおかしくはない。

 その救援要請は、一種の決闘状に近いという感じで。

 ヤザンがニムバスとの再戦を望んでいるように、ニムバスもまた、ユウとの再戦を……そして俺との再戦を望んでいる。

 そうなると、ニムバスがユウとならともかく、ヤザンと戦うつもりになるかどうかは、正直なところ分からない。

 とにかく、今は襲われている部隊が全滅するよりも前に援軍として到着出来ればいいんだが。

 ただ、正直なところそれは難しいと思える。

 何故なら、ニムバスがEXAMシステム搭載機を使っているという事は、純粋に戦力として評価した場合、予想以上に強力な戦力となるからだ。

 だとすれば、連邦軍の部隊が持ち堪えるような事が出来るとは思えない。

 あるいは、精鋭部隊なら全滅はしないまでも、死人を出さないようにといったことは出来るかもしれなかったが。

 

「ピクシーは?」

「問題ありません。万全の状況です。……もっとも、戦闘は全くしていないので、損耗とかが元々殆どありませんでしたが」

 

 苦笑と共にそう言ってくるメカニックに頷き、俺はピクシーのコックピットに乗り込むのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:700
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1524

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