ニムバスの乗るブルーディスティニー2号機と向かい合う、俺のピクシー。
ビームサーベルとビームダガーを持ち、お互いが相手の隙を窺う。
純粋に機体性能だけで比べれば、ピクシーの方が強い。
だが、ブルーディスティニー2号機には、ピクシーには存在しないEXAMシステムが搭載されている。
アルフの話によると2号機にはリミッターが設定されていないらしいので、その性能を最大限に発揮出来るのだろう。
そんな相手を観察しながらも周囲の様子を確認すると、周囲では俺以外のホワイトベース隊の面々がニムバスの部下……もしくは単純に同じ部隊か? 分からないが、そのMS部隊と戦いを始めていた。
目立つのは、やはり綾子、アムロ、ユウの3人が操縦するMS。
向こうも相応の数を揃えてきてはいるのだが、にも関わらずこちらが蹂躙するといった形になっているのだから、その活躍がどれだけのものなのかが分かるだろう。
『行くぞっ!』
EXAMシステムによって俺が周囲の様子を確認している事に気が付いたのか、ニムバスは再びビームサーベルを構えたままピクシーとの間合いを縮めてくる。
そんなニムバスに対し、俺もまたそれを受けて立つ。
先程の突きとは違い、今度は袈裟懸けに振り下ろされる一撃。
その一撃をスラスターを使って強引に動かす事で回避し、一撃が外れた2号機は頭部バルカンをこちらに向けてくる。
ピクシーの装甲も、2号機と同様にルナ・チタニウム製だ。
当然のようにバルカン程度の攻撃でどうにか出来る筈もなく……だが、向こうが一瞬であってもこっちを牽制する為の目眩ましと考えれば、決して悪いものではない。
ないのだが……斬っ、と。
ビームダガーの一撃が、2号機の左腕を肘から切断する。
いや、この場合はよく肘の一撃だけでどうにか対処出来たと褒めるべきか。
もし咄嗟に左腕を盾にしなければ、振るわれたビームダガーは間違いなく2号機のコックピットを斬り裂いていたのだろうから。
それがコックピットの装甲だけで済むのか、それともパイロットそのものも殺してしまったのか、それは分からない。分からないが……ともあれ、2号機が左腕を犠牲にして自分の致命傷になったのかもしれない攻撃を回避したのは間違いない。
「やるな」
呟き、だがピクシーの動きは止まらない。
2号機の左腕を切断した動きを活かし、もう片方の手で持ったビームダガーを2号機に当てようとし……だが、2号機はまるでこちらの攻撃を読んでいたかのような動きでその場から強引に退避する。
混沌精霊の俺ならともかく、普通の人間のニムバスが瞬間的ではあっても、あんなGを受ければ結構な負担だろう。
これがシャドウミラーの実働班なら、魔力や気とかそういうのである程度Gを防ぐ事も出来るのだが。
しかし、さすがEXAMシステムと言うべきか。
本来なら絶体絶命でもおかしくはないあの状況で、まさか回避に成功するとは思わなかった。
EXAMシステムの有用性を、しっかりと見せつけられた形だ。
もしクルストが死んでいなければ……もしかしたら、本当にもしかしたらだが、いずれ連邦軍のMS全てにEXAMシステムが搭載されるような日が来ていた可能性もある。
クルストが死んだ今となっては、考えても意味はないのだろうが。
もし連邦軍のMS全てにEXAMシステムが搭載されるような事になっていれば、それこそMS技術では連邦軍より進んでいると言われているジオン軍であっても、間違いなく倒されていただろう。
場合によっては、俺の前にいるニムバスのような動きをするMSが量産される事になるのだから。
元々国力という点では連邦軍の方が大きく勝っている以上、MSの数もそのうち逆転するのは確実だ。
そうなれば、ジオン軍は一部のエースパイロット以外は、質でも量でも連邦軍に負ける事になる。
そんな事を考えている間にも、俺はニムバスとの……ブルーディスティニー2号機との戦いを続けていた。
振るわれるビームサーベルを回避し、もしくはビームダガーで弾き、受け流す。
その隙を突くように、ビームダガーの一撃を振るう。
こちらにとって有利なのは、相手は1本のビームサーベルしか持っていないのに対し、俺は両手にそれぞれビームダガーを持っている事だろう。
ビームサーベルとビームダガーでは、その長さが……間合いが違う。
普通なら、その間合いの短いビームダガーが不利になるのだが、俺の場合はそれを操縦技術で対処可能だった。
ビームサーベルとビームダガーで鍔迫り合いが出来るというのが、この場合は大きい。
向こうがEXAMシステムの力を使い、通常ではとても考えられない程の一撃をこちらに向けてくる。
だが、俺はそれを捌き続ける。
機体の反応速度が俺の操縦に追いつける速度を見極めつつの戦い。
向こうがピクシーの下位互換とも言える陸戦型ガンダムがベースの機体で、助かったといったところか。
この反応速度を維持しておけば、2号機よりも先に機体が限界を迎えるという事はない筈だ。
とはいえ、それでも限界の類はあるのだが。
頭部から左右真っ二つにしようと振るわれたビームサーベルを少しだけ後方に下がる事で回避し、ビームサーベルが振り下ろされた瞬間に前に出る。
これがジンの使っているような重斬刀の類であれば、武器を踏んで動きを止めるといった真似も出来るのだが、UC世界ではビームサーベルとヒートサーベルの類がメインだしな。
ビームサーベルを踏もうものなら、足が切断されかねない。
ヒートサーベルも同様で、そんなのを踏めば足にダメージがある。
そういう点では、この世界の武器はレベルが高い。
……そう言えば、何でSEED世界ってヒート系の武装が少ないんだろうな。
あ、でもグフ・イグナイテッドはそっち系の武器を持っていたような。
そんな風に考えつつ、俺は1歩下がった状態から一気に前に出る。
当然のように、ビームダガーを構えながら。
EXAMシステムを破壊するのは勿体ないが、今はそれよりもニムバスを倒すのが最優先だ。
EXAMシステムの破壊を躊躇して、ニムバスを逃す……なんて事になったら、洒落にならないしな。
だが、ニムバスもリミッターの存在しないEXAMシステムを最大限に使っているので、こちらの一撃を何とか回避する事に成功する。
それでも軽く装甲を削るような真似は出来たが……左腕を奪った一撃に比べれば、そこまで大きなダメージではない。
左腕を失った事により、当然機体バランスは崩れている筈だ。
特にEXAMシステムを使った激しい動きをすれば、万全の状態と比べても機体の制御に問題が出て来るのは間違いない。
それでもニムバスが操る2号機をこうして制御しているのは、ニムバスが高い操縦技術を持っているからというのもあるのだろうが、やはりEXAMシステムとの相性が良好だというのが大きいのだろう。
とはいえ、こちらもそれにいつまでも付き合う訳にもいかない。
こちらの攻撃を回避した2号機だったが、システムの影響からか一瞬動きが止まり……その隙を、こちらが見逃す筈がない。
動きに鈍さが出たのは1秒にも満たない短い時間だったが、この場合はそれで十分だった。
投擲されるビームダガー。
そのビームダガーが狙ったのは、2号機のコックピット……ではなく、頭部。
そう、EXAMシステムの本体が収められているという頭部だ。
クルストが死んだ以上、EXAMシステムは非常に希少だというのは分かっているのだが、今はEXAMシステムの確保よりもニムバスを殺す方を優先する必要があった。
出来ればEXAMシステムを無事に入手したいという思いはあるのだが、どちらを優先するかとなると決まっている。
それでもニムバスは頭部の破壊を……EXAMシステムの破壊を免れようとしたが、それには一瞬の硬直が致命的だった。
ビームダガーが、2号機の頭部を貫く。
残っていた右手で何とかその行動を防ごうとした2号機だったが、ビームサーベルを握っている右腕が頭部に届くよりも前に、2号機の動きは止まる。
これが普通のMS……それこそ、ジムや陸戦型ガンダムといったようなMSであれば、頭部を失ってもすぐに動きを止める事はない。
MSにとって頭部とは、あくまでもカメラやセンサー、その他諸々のシステムが集まっている場所にすぎず、頭部を失ってもかなり大変ではあるが、MSの操縦を出来ない訳ではない。
だが、それがEXAMシステム搭載機となれば話は変わる。
その最大の特徴たるEXAMシステムが頭部にある以上、そのシステムが破壊されたのだから、2号機がただですむ筈がない。
特に2号機の場合は3号機と違ってリミッターの類もなく、より純粋にEXAMシステム搭載機としての一面を重視した形だ。
そのような機体だけに、頭部が破壊された時点で動きが止まるのは当然であり……
「これも、食らえ!」
頭部を失い、動きの止まった2号機のコックピットに向け、残っていたもう1本のビームダガーを投擲する。
真っ直ぐコックピットに向かったビームダガーは、そのままならニムバス諸共にコックピットを消滅させただろう。
だが、俺にとっては不幸な事に、そしてニムバスにとっては幸運な事に、不意に2号機はバランスを崩して膝から地面に崩れ落ちた。
結果として、ビームダガーはコックピットのすぐ上を貫くだけに留まる。
とはいえ、ビームダガーの刃を構成しているメガ粒子というのは、非常に高温だ。
それに軽く触れただけで致命傷となる程の。
それを考えれば、ニムバスが無傷という事はないだろう。
念の為に追撃の一撃を加えようとしたその時、不意にこちらに向かって飛んでくる砲弾を察知する。
ドムのジャイアントバズか、ザクのザクバズーカか。
それは分からないが、俺は半ば反射的にピクシーを後方へと跳躍させた。
ルナ・チタニウム製の装甲を持つピクシーであっても、ジャイアントバズやザクバズーカの砲弾を食らえば、それは致命傷となりかねない。
砲弾だけに回避するのは簡単だったが、ニムバスに追撃出来ないのは痛い。
それでも半ば駄目元で、後方に跳躍しながら頭部バルカンを撃つ。
頭部バルカンは、普通ならルナ・チタニウム製の装甲を相手に、ダメージを与える事は出来ない。
だが、それはあくまでも普通ならだ。
今の2号機が、頭部とコックピットのすぐ上の胸部をビームダガーによって貫かれて破壊されており、ルナ・チタニウム製の装甲で覆われていない場所も多い。
そのような場所に攻撃をすれば、容易に機体の内部構造にダメージを与える事は可能だった。
実際に頭部バルカンが命中した場所には次々と火花が散っており、内部構造にダメージを与えたのは確実だ。
そして頭部バルカンの攻撃を防ぐかのように俺のすぐ近くに着弾した砲弾が爆発。周囲に爆風と土煙を巻き起こす。
そんな爆風と土煙を突破し、2号機に最後の一撃を……と思ったところで、予想外の展開が起こった。
何と、ドムが突っ込んできたのだ。
この場合、何よりも厄介なのはドムの重量だろう。
全速のホバー移動で突っ込んできた速度と重量が、そのまま体当たりの威力となるのだ。
ビームダガーを持っていれば、即座に対処も出来ただろう。
だが、ピクシーの持つ2本のビームダガーは、生憎と未だに2号機の頭部と胸部に突き刺さったままだ。
ピクシーの重量は30t程。それに比べて、ドムの重量はピクシーの3倍程。
正確には分からないが、90tくらいだったと思う。
そんな一撃をまともに食らえば、それこそルナ・チタニウム製の装甲であってもダメージを受けるのは間違いなく……俺は、その一撃をスラスターを全開にして跳びすさる事で回避しつつ、ビームスプレーガンを構えると、ほぼゼロ距離から収束モードでコックピットに叩き込む。
ドムの胴体を貫くビーム。
半ば反射的な攻撃ではあったが、それでもビームスプレーガンの一撃はドムのコックピットを貫いていた。
この辺りは、やはり幾多もの戦場を潜り抜けてきたが故の反射的な行動だろう。
とはいえ、コックピットを破壊されたからといって、ドムが突っ込んできた慣性までもが消える訳ではない。
そのままドムから距離を取り、ホバー移動の操作が出来ず、地面を転げ回るようにして移動したドムだったが、俺はそんなドムには構わず、未だに周囲に漂っている土煙の中に突っ込む。
……爆風そのものが消えているのは、幸運だったと言うべきか。
もし爆風があれば、それこそ突っ込むのには苦労しただろう。
ともあれ、土煙の中を抜けた俺が見たのは……地面に仰向けに崩れ落ちた2号機の姿。
ただし、その2号機はコックピットが引き千切られており、ニムバスの姿はどこにもない。
嫌な予感を覚えてステータスを確認するが……増えている撃墜数は1で、それがニムバスではなく、そのニムバスを庇う為に突っ込んできたドムだったのは間違いなかった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:705
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1525