ブルーディスティニー2号機に乗っていたニムバスは、敵MSによって救出された。
怪我をしたのかどうかといったことは分からなかったが、恐らく……本当に恐らくではあるが、無傷という事はないと思う。
ビームダガーはコックピットを破壊出来なかったが、コックピットのすぐ上を貫いている。
ニムバスも火傷くらいは負っている筈だ。
いや、場合によっては火傷程度では済まない可能性もある。
その辺は、2号機のコックピットを詳細に調べれば、ある程度判明する可能性が高いだろう。
とはいえ、その情報が俺達に下りてくるかどうかは、分からないが。
ホワイトベースで調査をすればいいのだろうが、残念ながら今のホワイトベースは格納庫にこれ以上MSを搭載出来ない。
ホワイトベースの甲板とかになら置いておく事が出来るかもしれないが、移動の途中で何らかの問題が起きないとも限らない以上、回収は連邦軍に任せた方がいい。
『アルフが、その2号機を是非とも回収して欲しいと主張してるんだが』
ブライトが少し困ったように言ってくる。
現在は既に戦闘も終了しており、それぞれがホワイトベースに戻っているところだ。
ある意味で予想通りではあったが、あの戦闘ではニムバスの乗った2号機が撃破されたところで、他のMSは撤退したらしい。
そうなると、あの全員がニムバスの部下だったという事か?
それも形式上の部下という訳ではなく、ニムバス個人に忠誠を誓っているような感じの。
そう考えれば、ニムバスがやられたと判断した瞬間には、俺に向けてドムが特攻まがいの事をした理由も理解出来た。
自分が忠誠を誓った相手が死ぬかもしれないから何とかして助けたいと思い、あのような行動をしたのだろう。
ともあれ、そんな訳で戦闘は終了しているのだが……
「アルフの気持ちも分からない訳じゃないけどな」
アルフは、現状において唯一のEXAMシステムについて詳しい人物だ。
クルストが死んでしまった以上、今はアルフ以上にEXAMシステムに詳しい者がいなくてもおかしくはない。
そんなアルフにしてみれば、EXAMシステムの中で一番重要な頭部を破壊されはしたものの、それでも現物が残っている2号機は出来るだけ回収したいのだろう。
『どうにかならないか?』
「ならないな。いやまぁ、修理と補給が終わったMSを甲板に出して、それで空いた空間に2号機を収納するという方法はあるが……止めた方がよくないか? オデッサ作戦は始まっている以上、いつまた敵に襲撃されるか分からないし、同時にまたすぐどこそこに向かえという命令が来る可能性もあるぞ?」
オデッサ作戦においてホワイトベース隊が期待されているのは、火消し部隊だ。
ジオン軍を相手に負けている場所に向かい、そこにいる敵を倒すという仕事。
そうである以上、今この状況においても、他の戦場で危機に陥っている部隊があれば、すぐに上層部から出撃するように命令が来る筈だ。
そんな時に2号機の残骸――というにはまだ機体がしっかりとしているが――を格納庫に収納したままでの移動となると、問題が起きる可能性は十分にあった。
何より、EXAMシステムは連邦軍の方で強い興味を抱いている者がいる。
そんな者達にしてみれば、幾らアルフがホワイトベース隊にいるとはいえ、出来れば2号機は自分達の手で回収したいだろう。
とはいえ、クルストがいない以上は新たなEXAMシステム搭載機を作る事は不可能なのだが。
それでも2号機を欲しているという事は、恐らくEXAMシステム搭載機を分析して、クルストがいなくても自分達で別の、それこそEXAMシステムをより発展させたようなシステムを作ろうしているのか?
問題なのは、それが出来るかどうかという事だが……ジオンの独立戦争が起こっている中でそのような真似をするのは難しくても、この戦争が終わった後でなら可能かもしれない。
確かにクルストは科学者や技術者としては天才と呼ぶべき存在ではあったのだろう。
だが、そのような天才は世界にクルスト1人という事ではない。
人口の多さを考えれば、それこそ連邦にもクルストと同様の才能を持った人物がいてもおかしくはなかった。
そのような人物が、2号機の残骸を調べ……場合によってはユウの乗っている3号機についても調べるといった真似をした場合、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、EXAMシステムより性能の高いシステムを生み出せる可能性は、決してゼロではない。
空間倉庫に収納するという手段もあるが、それは取りあえず言わないでおこう。
「それよりも、今は可能な限りMSをホワイトベースに戻して、補給と整備をした方がいいと思うぞ。俺も、ビームダガーに異常がないかどうか調べて貰いたいし、もし異常があるのなら別のに交換する必要があるし」
2号機との戦いで、ビームダガーの投擲という攻撃手段を行った。
だが、当然のようにビームダガーは本来なら手で持って使用するものであり、投擲するという風には考えられてはいない。
そのように予想外の方法で使用した以上、ビームダガーに何か異常がないかどうかを調べて貰うのは当然だった。
ビームダガーはピクシーにとって主力武器だ。
いやまぁ、ビーム兵器という意味ではビームスプレーガンもあるので、唯一のビーム兵装という訳ではないのだが……それでも、元々ピクシーが使うように設計された武器だけに、使い勝手は悪くない。
何よりも便利なのは、その刀身の短さだろう。
攻撃する際には攻撃範囲が短くなるが、突きで敵MSの動力炉を破壊する心配を殆どしなくてもいいというのは、非常に嬉しい。
間違って動力炉の核融合炉を破壊しようものなら……
とはいえ、連邦軍からもMSが出撃している今の状況を考えると、オデッサでは小規模ながら動力炉を壊した事による核爆発とかが起きていても不思議じゃないんだよな。
『そちらについては問題ない。……ピクシーのビームダガーも予備の方を準備させている』
ピクシーは、言ってみれば試作機だ。
そういう意味では、アムロの乗っているガンダムとそう変わらない。
それだけに、武器の方も専用の物が用意されている。
……ビームスプレーガンを使っているのを見れば分かるように、ジムの武器を使おうと思えば、使えない事はない。
その汎用性は、実際に褒められるべきなのだろう。
だが、やはりピクシー専用に開発された武器があるのなら、そちらの方が有効的に使えるのは間違いなかった。
そしていざという時の為に、MSの予備部品同様、武器の予備も用意されているのは当然だろう。
この辺り、レビルやゴップも抜かりない。
「分かった。なら、俺はホワイトベースに戻るぞ」
『ああ。2号機の件は、アルフにも言っておく』
そうして話が纏まると、俺はホワイトベースに戻っていく。
ニムバス、か。
殺すことが出来なかったのは痛いが、それでも負傷させたのは間違いない。
問題なのは、それが具体的にどれくらいの負傷だったのかという事か。
俺の目から見た限りでは、ビームダガーはコックピットのすぐ上くらいの場所を貫いた。
それこそ、コックピットに直撃という訳ではなかったが、場合によっては致命傷になっていてもおかしくはない、それだけの一撃。
しかしステータスの撃墜数の数字がドムを倒した分しか上がっていない以上、ニムバスが生き残ったのは確実だ。
ニムバスの追った負傷の度合いによっては、それこそこの戦争中はもう前線に出てこない可能性もあるが……ただ、ニムバスの性格を考えれば、正直なところどうだろうな。
あいつは俺に……そして自分と同じEXAMシステムを使っているユウに対しても、強い憎しみを抱いている。
それこそ、絶対にその恨みを忘れないといった感じで。
……俺に恨みを持つのは分かるが、何故同じEXAMシステムを使っているからといって、ユウにまで? と疑問に思うのだが、ユウが言うには間違いないらしい。
ともあれ……少なくても、このオデッサ作戦の最中にニムバスが出て来る事はないと思うし、もし万が一にも怪我が大した事がなくて出て来ようとしても、乗るMSがない。
いや、オデッサはジオン軍の基地だけに、当然のようにMSの余裕はあるだろうが……それでも、EXAMシステム搭載機のようなMSを準備するのは、不可能な筈だ。
実はEXAMシステム搭載MSがイフリート改以外にもありましたとなれば、話は別だが。
しかし、恐らくその心配はない。
だとすれば……それこそ、出て来てもザク、グフ、ドムといったMSになる筈だ。
いや、近接戦闘を得意としているニムバスの性格を考えれば、ドムはないか?
そんな風に思いつつ、ホワイトベースの格納庫に戻ると忙しそうにしているメカニックに声を掛ける。
「ビームスプレーガンのエネルギー充電と、90mmサブマシンガンの弾丸の補給、それとビームダガーの予備を頼む」
「はい、ブライト艦長からその辺の話は聞いています」
任せて下さいと、そう自信満々な様子を見せるメカニックと別れると、少し休憩しようとパイロットの控え室に向かう。
「お、今日の英雄の登場だな」
そう言い、笑みを浮かべるリュウ。
別に皮肉でも何でもないと思えるのは、リュウの持つ雰囲気からだろう。
「英雄って言われてもな。結局ニムバスは逃がしてしまったし」
「いや、あれはしょうがないだろ。寧ろ、あの状況で2号機を使えなくしたという時点で十分だ。あの戦いを見たけど、一体何がどうなってあんな戦いになったのか、全く分からなかったぞ。もし俺がアクセルの代わりにピクシーに乗っていたら、間違いなく2号機に負けていた筈だ」
「あー、俺もその意見には賛成。ビームサーベルとか、何であんなに的確に振るう事が出来るのやら。特に俺のガンキャノンは、装甲は厚いけど、素早さに欠けるし」
カイがリュウの言葉に同意するように告げる。
その気持ちも分からないではない。
シールドいらずと言われるガンキャノンだが、その装甲はあくまでもルナ・チタニウム製で、ザクマシンガンのような実弾なら弾く事が出来るが、ビームを防ぐ事は出来ない。
そういう意味では、何気にガンキャノンを倒せるのはジオン軍のMSよりも、ビーム兵器を標準の武装として持っている連邦軍のMSなのだろう。
……勿論、ジオン軍のMSでガンキャノンを……ルナ・チタニウム製の装甲を持つMSに勝てない訳ではない。
ザクバズーカやジャイアントバズ、ヒートホーク、ヒートソードといったように、ジオン軍の武器でもルナ・チタニウム製の装甲を破壊出来るだけの威力はあるのだから。
「ビームサーベルは、厄介な武器だよな。使ってる方にしてみれば、強力で頼れる武器だけど、敵対している方にしてみればちょっとな。とはいえ、これだけビーム兵器の有用性を見せつければ、ジオン軍の方でも次の主力MSではビーム兵器を運用可能になると思う。そうなる前に、出来るだけ早くジオン軍を倒せるといいんだけどな」
そう言いながらも、出来ればジオン軍の方でもビーム兵器を標準搭載したMSを出来るだけ早く量産して欲しいと思う。
月の立場を思えば、この戦争で連邦軍とジオン軍はどちらか一方の圧倒的な勝利というのは、好ましくない。
だからこそ、ジオン軍にもより強力な攻撃力を持った武器が必要となる。
……まぁ、それが具体的にいつになるのかというのは俺にも分からないが。
ああ、でもジオン軍では現在次期量産型MSがどうとかいう話があったな。
そうなると、場合によっては……
「まぁ、どうなるかはお楽しみだな」
「は? お楽しみ? 何がだ?」
何気なく呟かれた俺の言葉を聞きとがめたカイに、俺は何でもないと首を横に振る。
「いや、あの2号機を連邦軍が確保して、それでEXAMシステムの発展型の機体を作れるかどうかが楽しみだなと思って」
取りあえず、そう誤魔化しておく。
カイにしてみれば、特に何か理由があって俺にそう聞いた訳でもないのか、その言葉に特に何かそれ以上疑問を抱く様子もなく、頷く。
「ふーん。そんなものか。……で、アクセルは開発出来ると思うのか?」
「出来るか出来ないかで考えれば、出来ると思う。ただ、それが具体的にいつになるのかは分からないけどな。科学者や技術者の数という点で考えれば、明らかにジオンよりも連邦の方が上だし」
「……どこぞの月には、そんな連邦の有能な科学者や技術者を引き抜いている国があるけどな」
カイの皮肉は、取りあえず聞こえなかった事にしてスルーした。
実際に月に移住を希望する科学者や技術者が多いのは間違いないが、だからといって全ての科学者や技術者が移住を希望する訳ではない。
それこそ自分の住んでいる場所から移住したくないと思うような者や、未だに月を……正確には、その後ろにいるシャドウミラーという存在を、信じ切れない者も多いのだから。
「それでも人的資源という点では、連邦軍はまだまだ宝庫といってもいいと思うぞ」
ホワイトベースが移動を始めたのを感じながら、俺はカイにそう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:705
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1525