ノエルに頼まれた2機のグフを倒し、さて次はと思って視線を向けると……そこでは2機のザクが倒され、残り1機になったザクが撤退していくところだった。
右腕を失ったそのザクは、撃墜しようと思えば出来ただろう。
俺の場合は、オデッサで連邦軍とジオン軍が共に消耗してくれる事を期待しているので、ここで見逃すという選択はありだ。
だが、連邦軍としては出来るだけジオン軍の戦力を削っておきたい筈だった。
元々がパイロットとMSの質で連邦軍に対抗しているジオン軍なのだから、ジオン軍で1人死ぬのと、連邦軍で1人死ぬのとでは、その意味は大きく違う。
勿論、それは連邦軍が有利になるという意味で。
だからこそ、ここでマットとかいう隊長がザクを撃破しなかった理由が分からない。
まさか、人を殺すのが嫌だとか、そういう昔のキラみたいなタイプじゃないとは思うが。
ともあれ、ホワイトベースに戻る途中で遭遇した戦いは無事に終わった。
「聞こえるか? そちらのオペレータから連絡が入ってると思うが、俺はホワイトベース隊に所属しているアクセルだ。そっちは無事だな?」
『ああ、全員無事で怪我もない。……救援、ありがとう』
顔立ちの整った、まだ若い男。
恐らくこれがマットなのだと思うが、その人物が通信に出て、感謝の言葉を口にしてくる。
「そっちにも被害がないようで何よりだ。けど、何だってこんな場所でジオン軍と遭遇したんだ? やっぱり、向こうが連邦軍の勢力圏内に侵入してきてるのか?」
『恐らくはそうだろう。それで、アクセルは……すまない、階級を聞かせてくれないか? 俺はマット・ヒーリィ中尉。この部隊の隊長を務めている』
「生憎と、俺は傭兵としてレビルやゴップに雇われている立場だからな。階級は存在しないよ。アクセルでいい」
『……分かった』
何だか俺の言葉にマットは微妙な表情を浮かべていたが、何かあったのか?
まぁ、正規軍なら傭兵に対して思うところがあってもおかしくはないが。
「それで、お前達はこれからどうするんだ? 俺はホワイトベースに戻る予定だが……」
『こちらも一度上に指示を仰ぐ必要がある。……よければ、一緒に移動しても構わないか?』
「は? 俺とか? いや、構わないかどうかと言われれば構わないけど、ホワイトベースは限界までMSを搭載しているから、格納庫に入る事は出来ないかもしれないぞ?」
部隊が出撃してまだ戻ってきていなければ、格納庫に入れる可能性はある。
だが、それを最初から当てにするような事は、しない方がいいのも事実だ。
MSの整備や補給の状況を考えれば、マット達には俺と別行動を取った方がいいと思うんだが。
一応その辺を言ったのだが、マットはそれでも構わないから一緒に移動させて欲しいと言ってくる。
一体、何がどうなってそんな風に思ったんだ?
こちらとしては、戦力が増えるというのは問題ないのだが。
ホワイトベース隊として動く以上、間違いなくこの先も火消しに追われる。
つまり、このまま俺と一緒に来てホワイトベース隊と行動を共にするという事になった場合、間違いなくマット達もその行動に巻き込まれる事になる。
……いや、この場合、巻き込まれるって表現はおかしいか?
ともあれ、そんな風に思うも……向こうの事を考えず、純粋にホワイトベース隊として考えた場合は、戦力が多い方がいいのも事実だ。
ジオン軍によって多くの戦いが起こっている影響から、現在このオデッサでは多くの戦場で連邦軍が戦っている。
その中でも不利になっている場所が多い以上、当然のようにホワイトベース隊も忙しくなるのだから。
「俺達と一緒に来ると、格納庫に入れないどころか色々な戦場に出向く事になるぞ? それでもいいのか?」
『構わない』
何故そこまで俺達に拘るのかは、分からない。
だが、この様子を見る限りではとてもではないが、諦めるつもりはないらしい。
俺達と一緒に行動すればいいと、何らかの嗅覚で嗅ぎ取ったのか。
その辺りの理由は俺にも分からなかったが。
「なるほど。俺達と一緒に来るのは別にいい。ただ、1つ聞かせろ。お前、さっき逃げたザクを撃たなかったな? あの時に撃っていれば、間違いなくザクを撃破出来ていただろう。なのに、何故ザクを撃たなかった?」
『…………逃げたのなら、殺す必要はないと思ったからだ』
数秒……いや、10秒を超える沈黙の後で、マットはそう告げる。
なるほど。やっぱりそっちのタイプだったか。
「お前の主義主張は好きにすればいいが、ホワイトベースではそれは通じないぞ」
これは半ばブラフに近い。
ホワイトベースにも、相手を殺さなくていいのなら出来れば殺したくないという者もいる。
例えば、シローやハヤトなんかはそのタイプだろう。
とはいえ、それでも実際に戦いになった場合、倒すべき相手は倒せる。
マットがどこまで殺さないという主張を通すのかは分からないが、それによってはホワイトベース内で妙な騒動になりかねない。
だからこそ、出来ればマットを連れていきたくはないのだが……
そんな俺の言葉に、マットは少しだけ考え……やがて、口を開く。
『構わない。それでも、俺達を連れていってくれ』
「何でそこまでして、俺達と一緒に来たがる? お前達の部隊は、俺達の部隊とは命令系統も違う筈だ。わざわざ俺達と一緒に来る必要はないと思うが?」
『……機会があったら、ホワイトベース隊と行動を共にするように言われているんだ』
なるほど。上から元々そういう命令が出ていたのか。
この様子を見る限りでは、可能だったならといった程度だが。
「誰からの命令だ?」
『ジョン・コーウェン准将だ』
ジョン・コーウェン……以前レビルとの話でちょっと出て来た事があったような。
確か、レビルの派閥の1人だった筈だ。
その上、准将ともなれば将官の中では一番下だが、それでも佐官よりも上なのは間違いない。
レビルと同じ派閥だからこそ、MSについての情報とかも得られて、こうしてMSを使った部隊を運用出来る訳か。
とはいえ、陸戦型ガンダムや陸戦型ジムはイーサンが主導して行われた計画で、そのイーサンはレビルとは違う派閥の筈だ。
……まぁ、その辺はホワイトベース隊に陸戦型ガンダムが何機も配備されている状況では考えてもあまり意味はないか。
「分かった。取りあえずホワイトベースまでの移動は一緒でもいい。ただし、そこから先も一緒に行動するのかどうかは、俺では判断出来ないからブライト……ホワイトベースの艦長に任せる。それでもいいか?」
『それで構わない。よろしく頼む』
マットは俺の言葉に頷き、結局マット達は俺と一緒に移動する事になるのだった。
「何だかんだと、マット達に一緒に来て貰って助かったな」
移動しながら、そう通信を送る。
言ってる事が色々と変わってる気もするが、ホバートラックに乗ったノエルが、連邦軍の本陣と連絡を取り、現在ホワイトベースがどこにいるのかを聞き出してくれたのだ。
そのおかげで、こちらとしては苦労せずにホワイトベースの場所を知る事が出来た。
もしかして、コーウェンはそれを狙ってマット達を俺と一緒に動くようにと言っていたのか?
ノエルという、本来ならホワイトベースとは全く関係のない場所からの報告だったからこそ、ホワイトベースがどこにいるのかという情報はすぐに入ってきたのだろう。
もしこれが俺からの問い合わせだった場合、もしかしたら上層部にいるスパイの影響によって、その返答が遅くなっていた可能性は十分にある。
『そう言って貰えると、助かります』
映像モニタに映ったノエルが、嬉しそうにそう言ってくる。
自分達の隊長が無理を言ったというのは理解しているのか、ノエルとしてはその件を気にしていたのだろう。
幸いにも、ホワイトベースのいる場所は現状からそう離れた場所ではない事もあり、そのまま進み続けるとやがてミノフスキー粒子散布下であっても通信が出来る場所まで近づく。
「ホワイトベース、聞こえているか? ホワイトベース。こちらアクセルだ」
通信を入れてから数秒。
やがて、映像モニタにモーリンの姿が映し出される。
『アクセルさん、無事だったんですね』
「ああ、MSの装甲に多少の傷はあるかもしれないけど、その程度で他は問題ない。それで、俺以外の面々はどうしてる?」
複数の場所で味方が幾つも一気に危険になった関係上、ホワイトベースのMS部隊はそれぞれが各個に戦場に向かっている。
だからこそ、その辺が少し心配だったんだが……モーリンの表情を見る限りでは、特に何か被害を受けた様子は見られない。
勿論、全く何の被害も受けていないという事はないだろう。
それこそ、MSが小破や中破くらいならしている奴もいるかしれないが、それでもパイロットが無事だというのは、俺にとって嬉しい出来事なのは間違いない。
『今のところ、誰も負傷したといった報告は入っていません。また、ヤザン少尉とアマダ少尉の部隊の向かった場所の報告は、双方共に入っていませんが……恐らく大丈夫かと』
シローもまだ戻ってきてないのか。
ヤザンの方もそうなのだが、この場合はやはり本調子ではないシローの方が少し心配になってしまう。
とはいえ、それで東南アジア戦線を生き抜いただけの実力を持っている以上、大丈夫だとは思うのだが。
キキとの一件も、そろそろ覚悟を決めてもいいとは思うんだけどな。
「分かった。ヤザン達は突出してないかが心配だな。シローの方はサンダースが護衛をしているから、多分大丈夫だとは思うけど」
『そうですね』
俺の言葉に、モーリンは同意するように頷く。
ユウ達が無事だというのも、この場合は大きいのだろう。
何だかんだと、モーリンはユウ達との付き合いは俺よりも長いし。
「俺が向かった戦場も、こっちの勝利で無事に解決した。ジオン軍は撤退したらしい」
『アクセルさんとピクシーの性能を思えば、おかしくはないですね』
モーリンも俺とピクシーが戦った場合はどれだけの戦力になるかというのは知っているので、素直に俺の言葉に頷く。
俺も自分の実力は自覚しているし、何よりアリーヌ達の件は隠しておきたかったので、話題を移す。
「それと、ホワイトベースに帰還中に連邦軍のMS部隊……それも陸戦型ガンダムや陸戦型ジムを使っている部隊と合流した」
『陸戦型ガンダムと陸戦型ジム、ですか?』
俺の言葉に、モーリンは不思議そうな表情を浮かべた。
当然だろう。ただでさえ普通のジムに押されて数が少なくなってきている陸戦型ガンダムや陸戦型ジムを、まさか自分達以外に使っている者がいるとは思わなかったのだろう。
「ああ。何でも、ジョン・コーウェン准将という人物直轄の部隊らしい。レビルの派閥だって話だし、そういう意味では俺達のお仲間だな。……で、ここからが本題なんだが、このMS部隊はホワイトベース隊と行動を共にしたいと言ってる」
『え? だって、それは……ホワイトベースには、もうMSが限界まで搭載されてますよ?』
モーリンが問題にしたのも、俺が思っていたのと同じ事だ。
その気持ちは分からないでもないのだが、それでも今の時点では、まだ大丈夫なのは間違いない。
何しろ、モーリンの話によるとヤザンとシローの小隊がそれぞれまだ戻ってきていないのだから。
「分かってる。俺も一応その辺については言ってみたんだが、それでもって事だからな。実際、MSの操縦技術はそう悪いものじゃない。ホワイトベースと一緒に行動するのなら、そこまで悪い事にはならないと思う。ブライトに代わってくれないか? 俺がその辺を直接聞いてみる」
『分かりました』
モーリンが俺の言葉に頷き、すぐにブライトが映し出される。
とはいえ、そのブライトは俺とモーリンの会話を聞いていたのか、難しい表情をしていたが。
『また、難しい話を持ってきてくれたな』
「悪いな。ただ、准将という立場にいる人物からの命令だと言われれば、傭兵的な扱いの俺が勝手に受け入れたり断ったりといったことは出来ないだろ」
『それは……』
その言葉が事実だけに、ブライトは俺の言葉に否とは言えない。
実際に今回の件はそういう問題なのだ。
傭兵としてホワイトベース隊に参加している俺が何かを言うよりも、きちんと連邦軍に所属しているブライトが話す必要がある。
『……分かった。取りあえずホワイトベースの近くまで来た以上、ここで追い返すような真似は出来ない。連れて来てくれ』
「ああ。……ちなみに、どうしても、本当にどうしても格納庫が狭くなったりした場合は、俺の空間倉庫に一時的にMSを預かってもいいぞ。甲板に置いて野晒しにするよりはマシだろ?」
『その場合、もしアクセルがいなければ、いざという時に出撃出来なくなるんだが。……まぁ、その辺はホワイトベースに来てから話すとしよう。今は合流を急いでくれ』
そう告げるブライトに、俺は頷きを返すのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:745
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1533