アッザムが飛び去ったのを、ただ見守る。
いや、追撃をしようと思えば出来たとは思う。
だが、これ見よがしに撤退していったのを考えると、その逃げた先に何かがあるのは間違いなく、これが罠という可能性も否定出来なかった。
何より、ブライトからの通信で追撃はしないように言われてしまったのも大きい。
「ブライト、本当に追撃しなくてもよかったのか? ……まぁ、あんなところであからさまに撤退したのを考えると、何か罠があると疑ってしまうのも分からないではないが」
『ああ。俺もそう考えた。……アッザムとかいうあのMAも、多少なりとも不利な状況なのは間違いなかったが……惜しかったな』
惜しいと言うのなら、それこそ追撃させてくれればよかったものを。
そう思わないでもなかったが、ブライトの場合はこの戦場だけではなく、他の戦場にも目を向ける必要があったといったところか。
ともあれ、今回の一番の収穫はアッザムがそれなりに興味深いMAだと理解した事だろう。
とはいえ、アプサラスと同様に巨大であるが故の弱点も持つ。
特にアプサラスよりも移動速度は遅いから、遠距離狙撃に向いた武器……ガンキャノンのビームライフルとかなら、あっさりと倒せそうな気もする。
メガ粒子砲とミノフスキークラフトは、そこまで珍しいものではないし。
だが、アッザムリーダーは話が別だ。
電気系の武装は、それなりに知っていた。
このUC世界の武器だけではなく、俺の乗っているニーズヘッグの尻尾も電撃で相手の電子系統にダメージを与えるといった武器はあるのだから。
だが、アッザムリーダーは違う。
武器の種類というか、結果としては似たようなものではあるのだが、広範囲攻撃だというのが大きい。
今までにちょっとなかった技術の1つではある。
とはいえ、興味深いし発展すればかなり便利そうな技術であるのは間違いないが、発動するまでに段階を踏む必要があるのが、面倒だ。
最初にカプセルで何かの粉末を散布し、その後にあの鳥籠のような武器を使用するのだから。
出来れば二段階ではなく、一度であの攻撃を出来れば最善なんだが。
アッザムのデータを受け取ったら、ディアナと技術班の双方で研究して貰うか。
ザクが使っている、クラッカーやシュツルムファウストのような、使い捨ての武器としてアッザムリーダーのような武器が使えれば、それはかなり有効な兵器となる。
MSを撃破するだけの威力はないが、動きを止めて多少なりとも電子系統やパイロットにダメージを与えられるというのは大きい。
『ともあれ、ホワイトベースに戻ってきてくれ。レビル将軍に呼ばれている』
「……何?」
レビルに呼ばれている?
いやまぁ、それそのものはそこまで珍しい話ではない。
ホワイトベースはレビル直属の部隊なのだから。
……まぁ、それでもレビルの階級を思えば、誰か他の部下を介して命令してくるといった事が普通なのだろうが。
俺の場合はアプサラスⅢのお披露目の時とかにレビルと会っているし、シャドウミラーの代表という立場からレビルやゴップに対し、いざという時は連絡を取れるようになってる。
だが……そんな状況、それもオデッサ作戦という一大反攻作戦の最中にこちらを呼び出すというのは……おかしい。違和感がある。何らかの事情があるのは、ほぼ間違いないと思われた。
「何があったか聞いてるか?」
『いや、残念だが何も聞いていない。とにかく、至急レビル将軍に会いに来るようにとだけ』
レビルの方でも今の状況では何も言っていない、か。
そうなると……間違いなく何か裏の事情があるのは確実だ。
レビルにしても、アッザムというジオン軍の新兵器を撃破する機会を逃してでも、俺達を呼ぶという事は……さて、一体何があったんだろうな。
「分かった。シロー達はどうするんだ? まだこっちに合流してないだろ?」
とはいえ、マット達の小隊がホワイトベースにいる以上、シロー達が来ても格納庫には入らない。
そうなると、やはりマット達のMSはホワイトベースの甲板で待機させる事になるのだろう。
『ここからだと、ホワイトベースで迎えに行くよりも、直接レビル将軍のいるビッグトレーに移動して貰った方が早い』
ブライトの言葉を聞きながら、俺はピクシーをホワイトベースに向かって移動させる。
そう言えば、アッザムに攻撃されたMSって一体どうなったんだろうな。
ホワイトベースでは、それこそ積み込む場所もないだろうし。
かといって、連邦軍のMSをジオン軍に与える訳にはいかない以上、戦場に放棄も出来ない。
これが最終決戦なら、そんな真似をしても問題はないのだろうが、連邦軍とジオン軍の戦いはまだ続く。
このオデッサ作戦が成功すれば、地球上での軍事バランスは逆転するだろうが、それでも地球にはまだ他にもジオン軍の拠点が幾つも存在するのだ。
そうである以上、今回の一件でジムをジオン軍に奪われるのは極力避けたいだろう。
……とはいえ、このオデッサという広大な戦場の様々な場所でジオン軍と連邦軍が戦っているのだ。
そこで倒されたジムの全てを回収するといった真似は、まず無理だろうが。
そうなると、ここで相手に渡さないようにするというのも焼け石に水、暖簾に腕押し、猫に小判、豚に真珠……いや、後者に行くに従って全く関係のない内容になっているな。
ともあれ、その辺は別に俺が考える必要はないか。
俺の中ではジオン軍が連邦軍に負けるというのは決定事項となっているが、同時にそれで連邦軍が勝ちすぎないようにするというのもやる必要がある。
そう考えれば、やはり今回の一件は色々と考えるべき事がある訳で……正直、ジオン公国の独立戦争がどうなるのかは、分からない。分からないが……それでもやはり、連邦軍の勝ちすぎというのは、止めて欲しいところだ。
『よし、ピクシーの着艦を確認。これよりホワイトベースは移動を開始する!』
ピクシーが格納庫に到着するや否や、格納庫に……いや、恐らく船内にだろうが、ブライトの声が響く。
その言葉が終わるかどうかといった中で、移動を開始するホワイトベース。
かなり急いでいるのは、その様子からも窺えた。
いやまぁ……うん。レビルに呼ばれたとなると、そうやって急ぎたい気持ちも分かるけど。
ピクシーのコックピットから降りてメカニックに補給を頼む。
それが終わると、パイロット達の控え室に向かう。
パイロットスーツとか、そういうのに着替えたりする場所でもあり、何となく部室というイメージのある場所だ。
「お、今回の殊勲者のお出ましだな。……あの巨大な奴、どうだった?」
カイのその言葉に、他のパイロットの面々も俺に視線を向けてくる。
やはり直接アッザムと戦った俺の意見が聞きたいのだろう。
マットやその部下達の姿もあるのは、少し意外だったが。
逆に、綾子やガンタンク隊の女パイロットの姿はないのは……男だけの場所にいるのは、色々と問題があると判断したのだろう。
男達は、それだけアッザムの存在に度肝を抜かれたといったところか。
「そうだな。まず厄介なのはメガ粒子砲だ。ルナ・チタニウム製の装甲は実弾ならある程度無効化出来るんだが、メガ粒子砲は防げないしな。だから、こちらとしては回避するしか出来ない。……なのに、8門もメガ粒子砲の砲門があるってのは、間違いなく厄介だ。それ以外に、アッザムリーダー……あの鳥かごのような武器だな。あれもまた厄介だ。せめてもの救いは、アッザムリーダーは2段階に分かれているから、最初のカプセルを発射してきた時点でその範囲内から回避すれば、問題はない」
アッザムリーダーは、決まった場所に攻撃する武器であって、対象が回避したからといって、それを追って攻撃するといった真似は出来ない。
これがビームライフルを始めとした普通の射撃武器なら、銃口や砲口の向きを変えるだけで狙いを変えられるのだが。
「メガ粒子砲か。……アプサラスⅡだったよな? あれよりは威力が弱かったけど」
「いや、あれと比べるのは論外だろ」
カイの言葉に、リュウがあっさりとそう告げる。
その気持ちは分からないではない。
アッザムのメガ粒子砲も十分に強力な一撃だったが、アプサラスⅡのメガ粒子砲は、そんなアッザムのメガ粒子砲が問題にならないくらいの破壊力を誇ったのだから。
上手く使えば、戦局を一瞬にして引っ繰り返す事すら可能な、それだけの威力を持っているメガ粒子砲だ。
「そんなに強力なのか? その、アプサラスⅡとかいうMA? の持つメガ粒子砲は」
この中で唯一自分の目で直接アプサラスⅡのメガ粒子砲を見た事のないマットが、そう疑問を口にする。
「凄かったですよ。山肌を貫通して、山の中にある基地に直通の通路を作ったくらいですから」
しみじみと呟くアムロ。
あのラサ基地での戦いが、アプサラスの運用方法としては最適だと言ってもいい。
少なくても、アプサラスで前線に出て戦うといった真似に向いていないのは間違いないのだから。
……意外と、アムロならニュータイプ能力とかで敵の攻撃を読んで回避したり出来るんじゃないか? と思わないでもないが。
とはいえ、アプサラスはアッザムよりも運動性は高いが、それでもやはりMAである以上、MSよりは運動性が劣る。
将来的には、もしかしたらMSにも負けないくらいの動きが出来るMAというのも、出て来るかもしれないが。
あるいは、もしかしたらジオン軍でその辺を既に開発している可能性もある。
「山肌を……それは凄い」
「そうだな。あれはルナ・ジオンの中でもある意味で特殊な存在感を持つ機体だ。そのくらいの事は、出来て貰わないと困る」
マットの言葉に、そう返す。
とはいえ、今はアプサラスについての話をしているのではなく、あくまでもアッザムについての話だ。
「話を戻すぞ。とにかく、アッザムと戦う時はメガ粒子砲やアッザムリーダーには気をつける必要がある。それと、着陸脚に乗っている護衛のザクも厄介だな。……とはいえ、倒すのはそう難しい話じゃない。目には目を。メガ粒子砲にはメガ粒子砲を。具体的にはビームライフル。それも、ガンダムのビームライフルじゃなくて、より遠距離からの狙撃に向いていて威力も高い、ガンキャノンのビームライフルだな」
俺のその言葉に、その場で話を聞いていた者達の視線がカイに集まる。
俺の乗っていたガンキャノンが既に存在しない以上、ホワイトベースで有するガンキャノンはカイの機体しかない。
「うっ」
急に全員に視線を向けられたカイは、その迫力に思わずといった様子で呻く。
カイにしてみれば、ここまで人から注目を浴びる事は、滅多にないのだろう。
「とはいえ、アッザムと俺達がまた戦う事になるかどうかは分からないけどな。もし出て来た場合は、カイの活躍が重要になる」
現在ホワイトベース隊のMSの中で、最も攻撃力の高い武器を持っているのはカイのガンキャノンだ。
ガンダムのビームライフルよりも威力が高く精密性も上のビームライフルは、試作機だけあってコストとかはかなり無視した代物だ。
それ以外の機体でもビームライフルを持っているMSはいるが、威力という点ではどうしてもガンキャノンのビームライフルより劣ってしまう。
「と、と、と、ところでよぉ。何だって急にレビル将軍が俺達を呼び出したんだと思う?」
自分に注意が向いている状況をどうにかしたかったのか、カイは話を逸らす。
それはあまりにもあからさまだったが、俺以外の者達もそんなカイの健気――という表現が相応しいのかどうかは微妙だが――な様子に、素直に話題を変える。
実際、この状況でホワイトベース隊をレビルが呼び出すという事に興味を抱くなという方が無理だったという理由もある。
「普通に考えれば、この状況で俺達を呼ぶなんてことはないんだよな」
リュウのその言葉に、皆が同意して頷く。
実際にこうしている今も、オデッサでは多くの者が戦っているのだ。
そんな中には当然のように連邦軍が不利になっている場所もある筈であり、それを考えるとホワイトベース隊という火消しの部隊は最大限動かした方がいいのは間違いない。
だというのに、それをやらない。
それは一体、何がどうなってそのような事になったのか、それに興味を抱くなという方が無理だろう。
「つまり、普通じゃない何かが起きたってことですか?」
ハヤトのその言葉に、リュウは頷く。
その意見には俺も賛成だった。
正直なところ、この状況で呼び出されたという事は何か尋常ではない出来事が起きたと言う可能性が高い。
すぐに思いつくのは……以前から探していた連邦軍上層部の裏切り者についてか?
だとすれば、嬉しいような、今更感があるような……正直なところ、何か微妙な感じがするのも事実だった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1534