転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2463話

 敵のパイロットを殺さないで、無力化する方法。

 そう言われて真っ先に思いつくのは、当然のようにMSの手足と頭部を破壊する事だった。

 陸戦型ガンダムのように胸部にバルカンがあるのなら胴体もどうにかする必要があったが、幸いにも相手は普通のジムだ。

 ただし、この場合問題なのは……ジムはともかく、61式戦車をどうするべきかという事だろう。

 四肢と頭部を破壊されれば、MSは無力化出来る。

 だが、61式戦車の場合は、砲塔を破壊するとなると、かなり力の加減をする必要がある。

 ここで下手に砲塔を潰せば、それこそ中にいるパイロットが死にかねない。

 この辺、MSパイロットと違って厄介なのは間違いないよな。

 ともあれ、61式戦車も厄介だが、今の状況で必要なのはやはりジムを可能な限り早く潰す事だろう。

 何だかんだと、一番厄介なのはやはりMSなのだから。

 ……だからといって、61式戦車を無視する訳にいかないのも、また事実。

 こうなると、どれだけ素早く敵を倒せるかに掛かってる。

 幸い……本当に幸いな事に、敵にいるのはあくまでも61式戦車とジムだけだ。

 連邦軍と言えば、それこそセイバーフィッシュを始めとした戦闘機とかも結構な種類が存在している筈だったが、それが姿を現す様子はない。

 とはいえ、これはある意味理解出来る。

 地上を移動しているのであれば、それは敵に見つかりにくい。

 ジムや61式戦車なんかは、まさにそんな感じだろう。

 だが、セイバーフィッシュを始めとした戦闘機が空を飛んでいるのであれば、それこそ遠くからでも発見出来る。

 今回の一件で裏切り者が誰だったのかは、判明するだろう。

 戦闘機がいなくても、ここまで大規模に戦力を動かしてしまえば、隠しようがない。

 だからこそ、裏切り者の正体が発覚するのが出来る限り遅れるように、戦闘機を使わなかったのだろう。

 俺が向こうの立場なら、自分の正体が判明するよりも敵を可能な限り早く倒してしまうという選択肢を選ぶと思うんだが……この辺は、あくまで個人の考え方による違いが出るか。

 ともあれ、俺はビームダガーを引き抜き、真っ直ぐジムに向かって突っ込んでいく。

 普通に考えれば、20機近いジムの数に対し、性能的には上でも結局のところ1機のMSでしかないピクシーで突っ込んでいくという時点で自殺行為に等しい。

 それは分かっているのだが、それでも今の状況では、俺が頑張る必要があった。

 いや、アムロとかユウなら、連邦軍のジムを無力化する程度は容易にやってのけるだろう。

 殺さないで四肢や首を切断するというのも、恐らく可能な筈だった。

 だが、それでも……やはり連邦軍に正式に所属しているアムロやユウが連邦軍のジムと戦うのは、止めておいた方がいいと判断したのだ。

 61式戦車ならいいのか? 敵の攻撃を回避しつつ間合いを詰めながらふとそんな疑問が俺の中に浮かぶが、MSという兵器が出て来た以上、このUC世界においても主力兵器は確実にMSになる。

 戦車の類はなくなる可能性が高い。

 いやまぁ、コスト的な問題を考えれば、もしかしたら生き残る可能性もあるかもしれないが。

 ただ、戦車という点では、それこそガンタンク的な存在が取って代わるような気がするんだよな。

 

「まず、1機!」

 

 一番近くまで近づいた敵に、ビームダガーを振るう。

 ジムの左右の両腕を、ピクシーが両手にそれぞれ持っているビームダガーで一息に切断し、その動きを止めないまま、ピクシーの両腕を交差させる。

 するとジムの足も太股から切断され、そのまま地面に落ちる。

 ……崩れ落ちるとかじゃなくて、普通に落ちるという表現が、この場合は相応しいんだよな。

 そして返す刃で頭部を貫き、無力化したジムが1機完成。

 何気に、結構手間がかかるな、これ。

 いや、両手両足だけなら一度の動きでどうにでも出来るんだが、この場合問題なのは地面に倒れた頭部を破壊するという行為だ。

 両手両足を破壊した後で、胴体が地面に落ちるのを待って、それから頭部を破壊する。

 この最後の頭部を破壊するという行為が面倒なのだ。

 近づかれたからだろう。ビームサーベルを俺に向かって振るってくるジムの一撃を回避し、横を通り抜けながら相手の右腕を切断しながら、綾子に通信を送る。

 

「綾子、悪いがこっちを手伝ってくれ!」

『わか……わ』

 

 掠れた声で綾子から雑音交じりに返事がある。

 ちっ、この距離でこうまで雑音混じりになるとはな。

 一体、どれだけミノフスキー粒子を散布したんだ?

 それだけ、向こうにしてもレビルに見つかりたくないという事なのだろう。

 それでもある程度の通信は出来るので、まだお互いに連絡は取れているのだが。

 ……そして、ジムの群れは混乱する。

 向こうにしても、まさか自分達の攻撃を回避されてここまで入り込まれるとは思っていなかったのだろう。

 この様子を見ると、どうやらワルシャワ基地にいなかった者達なのは、ほぼ間違いない。

 ワルシャワ基地で俺達と模擬戦をやっていれば、ピクシーの動きくらいは容易に想像出来ただろうし、この程度で混乱するような事もなかった筈だ。

 俺達と模擬戦をやっていないMSパイロットが相手だというのは、こちらにとってもラッキーだったな。

 おかげで、かなり有利に戦えている。

 ビームダガーで次々と敵の手足を、そして頭部を切断していく。

 ビームサーベルの一撃を回避しながら、右腕を切断し、頭部を切断し、左足を切断していく。

 こちらは周囲全てが敵である以上、躊躇する必要がない。

 だが、敵にしてみれば、ピクシー以外は全て味方なのだ。

 その上、ジムの装甲はルナ・チタニウム製ではない以上、マシンガンでも致命的な損傷になりかねない。

 だからこそ、ピクシーの周囲に大勢の敵がいても、実際にピクシーに攻撃出来るのは周囲にいる数機だけだ。

 それも、マシンガンではなくビームサーベルによって。

 向こうにしてみれば、マシンガンを撃てば味方に当たる可能性がある。……というか、その可能性の方が高い。

 だからこそ、自然と遊兵となるべき存在が多くなるのだ。

 普通なら、そうして遊兵となれば他の敵……こちらも俺から少し離れた場所で暴れている綾子の陸戦型ガンダムや、それ以外の61式戦車を倒している他のMSに攻撃をするといった真似をするだろう。

 だが、生憎と俺はジムの群れの中を好き放題に動き回っている。

 俺に後ろを向ければ、当然のようにそのジムはピクシーの接近を許し、手足や頭を切断される。

 ジムにとって、ピクシーはその可愛らしい名前とは裏腹に、悪魔か何かのようにも見えただろう。

 ……まぁ、どこぞのエンデュミオンの鷹の策略のせいで、このUC世界における俺の異名は月の大魔王となっているのを考えれば、悪魔なんてのは特に気にする必要もないのかもしれないが。

 

「っと、惜しい! もう少しだったな!」

 

 スラスターを使い、ビームサーベルによる突きを回避する。

 仲間のMSに攻撃を当てたくないからこそ、攻撃範囲の狭い……線ではなく点による突きの攻撃をしてきたのだろうが、残念ながらその一撃は甘かった。

 考えてみればすぐに分かるのだが、攻撃範囲の狭い点による攻撃となれば、当然のようにこちらも回避するのは線の攻撃よりも容易い。

 もっとも突きはその分速度があるので、あくまでもMSの性能を十分に使いこなす事が出来て、初めて簡単に回避出来ると言えるのだろうが。

 突きを放ってきたジムに、ビームダガーの一閃……いや、左右両手でそれぞれ攻撃したから、二閃と言うべきか? そんな攻撃を返す。

 その結果を見る事もなく、俺はその場から跳躍する。

 跳躍とはいえ、その高度は決して高くはない。

 ピクシーが高い場所まで跳躍すれば、それは俺が敵の真ん中に突っ込んできた意味がなくなる為だ。

 上空に1機だけ存在するピクシー。

 当然ながら、そのような存在は地上にいるジムにとって絶好の狙うべき相手になるのだから。

 跳躍後、即座にスラスターを全開にし、地上に降りる。

 地上に降りた瞬間にビームダガーを振るい、目の前にいたジムの両腕を切断した。

 そうして次々にジムを倒し続けていると……やがて、まだ無事だった数機のジムが戦場から逃げ出す。

 どうやら、こちらの実力を見せつけすぎたらしい。

 こちらとしては、こうして逃げてくれた方が便利なのは間違いない。

 元々俺の役目はオデッサ作戦に出来るだけ影響がないように、MSパイロットを殺さずに無力化する事だ。……ぶっちゃけここまでジムを破壊したのを考えると、その時点でオデッサ作戦に悪影響を与えているような気はするが。

 もしくは、連邦の国力を考えればジムを量産するのは難しくないのか。

 

「ともあれ、こっちは片付いたが……お、向こうも逃げ出したな」

 

 映像モニタには、61式戦車が逃げ出している光景が見える。

 ジムが逃げたので61式戦車が逃げ出したのか、それとも61式戦車が逃げ出したのでジムも逃げ出したのか。

 そのどちらが正解なのかは、俺にも分からない。

 分からないが、逃げ出したのは間違いのない事実なのだ。

 にしても、戦車の方は数が多いけど楽そうではあるよな。

 逃げ出している戦車の大半が、本来なら2門ある筈の砲門を破壊されているか、もしくは折れ曲がっているのだ。

 こうなれば、61式戦車の攻撃力は……ない訳ではないが、最大の攻撃力を誇る主砲が使えない以上、どうしようもない。

 戦っている相手が歩兵なら、61式戦車そのもので轢き殺すといった方法が使えない訳でもないのだが、今回61式戦車が戦ったのは、あくまでもMSだ。

 戦車に突っ込まれれば……多少なら被害はあるかもしれないが、所詮はその程度でしかない。

 

「綾子、そっちの方はどうだ?」

『も……ない……』

 

 やはりと言うべきか、綾子から返ってきた通信には酷い雑音が混ざっており、聞き取るのが難しい。

 ただ、俺が綾子の言葉をしっかりと聞き取れないのと同様に、綾子も俺の言葉をしっかりと聞き取る事は出来ていないだろう。

 それでも俺の言葉に綾子の陸戦型ガンダムが軽く手を挙げたのを思えば、向こうに特に何か問題の類はないらしい。

 俺もピクシーのビームダガーを収納してからホワイトベースを指さし、向こうに戻ろうと示す。

 陸戦型ガンダムはその動作に頷き、ホワイトベースに向かって歩き出す。

 そんなピクシーと陸戦型ガンダムを見たのか、61式戦車と戦っていた者達もまた、ホワイトベースに戻り始めた。

 気が付けば、既にホワイトベースを待ち伏せしていた敵の姿は完全に消えている。

 ……敵に指示を出していた奴も、恐らくこの戦場にはいた筈であり、出来ればそいつは捕まえたかったところだ。

 とはいえ、ああも一斉に逃げ出そうとすれば、指揮をしていた人物も、間違いなく……いや、多分真っ先に逃げているような気がしないでもないが。

 ホワイトベースの方でも、俺達が戻ってくるのに気が付いたのか、こちらの方にやって来て地上に降下してくる。

 上空にいたのなら、それこそ援護射撃でもしてくれれば……と思わないでもなかったが、敵を殺さないで無力化するというのが、今回の主な仕事だった。

 それを考えれば、基本的にホワイトベースの武器は強すぎるか。

 砲座とかでも、相応に攻撃力はあるし。

 だからこそ、ホワイトベースは……いや、ブライトは俺達に戦闘を任せ、自分達は上空に待機していたのだろう。

 もっとも、ブライトの事だから俺達がピンチになったら、恐らくすぐに援護攻撃をしただろうが。

 そうして着地したホワイトベースの格納庫に戻ったのだが、リュウはすぐに何人か連れて車に乗ってホワイトベースを出て行く。

 ちなみに先程の戦いの最中、ガンタンク隊は当然のように戦闘には参加していない。

 ホワイトベースの甲板で待機はしていたらしいが、結局攻撃する事はなかった。

 ……当然だろう。ガンタンクの主兵装たる低反動キャノンは、純粋に威力だけで見ればかなり強力な代物だ。

 今回の戦いでは、可能な限り相手を殺さないという事を目的にしていた以上、ガンタンクの低反動キャノンを使える筈もない。

 ルナ・チタニウム製の装甲ではないジムや、そもそもMSですらない61式戦車。

 これらにガンタンクの持つ低反動キャノンが命中すれば、一撃でパイロットを殺す事になってしまう。

 ……それ以上に、基本的にガンタンクの低反動キャノンは援護射撃が主な目的であり、混戦になっている場所に撃ち込もうものなら、味方に誤射をする可能性があったというのも大きい。

 狙撃の類には向いていない武器である以上、どうしても混戦となっている時には向いていない武器なのだ。

 そうしてリュウ達が手足を破壊されて身動き出来なくなっているMSからパイロット達を引っ張り出し、情報を得る為の数人を連れて戻ってくると……ホワイトベースは、すぐにこの場から離脱するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1534

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