転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2469話

『この戦い、勝利するのは我々だ。全軍、前進!』

 

 演説が終わった後、レビルの号令によって連邦軍はオデッサ基地に向かって進軍を開始する。

 レビルがわざわざ演説を行ったのは、やはりエルランの一件がそれなりに広まっているからだろう。

 秘密というのは、知っている者が多ければ多い程に、それを隠すのは難しくなる。

 中将という地位にあったエルランが、実はジオン軍側に寝返っていたというのを隠し通す事は出来ず……結果として連邦軍の士気は決して高くはなかった。

 だからこそ、レビルは連邦軍全体の士気を高めるべく、演説を行ったのだろう。

 ジオンに兵なしの演説をした事や、一度は捕らえられたにも関わらず無事に脱出してきた事、そして何より連邦軍の指揮を執っているという事もあり、レビルの人気は高い。

 特に兵士や下士官といった者達からの人気が高いのが、レビルの特徴だろう。

 そんな訳で、レビルの援軍を聞いた連邦軍の兵士達の士気は高まり、オデッサ基地に向けての進軍を開始した。

 

『凄いと思わない?』

 

 そんな志気の高まりを感じたのだろう。綾子が通信で俺にそう言ってくる。

 

「そうだな。士気を高めるというのは、どんな戦いでも必須の出来事だ。そう考えれば、やはりレビルは指揮官として優れてると思う」

『アクセルも同様に凄いと思うけどね。……ただ、タイプが違うだけで』

「あー……まぁ、それは否定しない」

 

 俺は自分が最前線で戦うタイプの指揮官だしな。

 というか、俺は基本的に突出した個の戦力であって、真っ先に敵陣に突っ込んでいき、それを突破することで敵を動揺させ、その隙にシャドウミラーの本陣が攻撃を開始するというのが、シャドウミラーとしてはオーソドックスな戦術だ。

 味方の指揮に関しては、基本的には実働班のトップたるコーネリアに任せている。

 俺も指揮を執ろうとすれば出来ない事はないのだが、それでもやはり指揮という点ではコーネリアの方が上なのは事実だ。

 であれば、基本的にその辺が得意なことは得意な相手に任せておけば、それでいい。

 ……一般的な軍事組織として考えれば、論外の戦術だろうが。

 普通は軍のトップ……いや、国のトップが最前線で戦ったりといった真似はしないし、指揮も執らないで戦い続けるというのも有り得ない。

 とはいえ、その普通ではない事がまかり通るのが、シャドウミラーなのだが。

 俺が混沌精霊という人外の種族で、ニーズヘッグという強力極まりない機体を使っているからこその戦術。

 

『アクセルが前線にいるってだけで、安心出来るのよね。……普通は考えられないことなんだろうけど』

「まぁ、そうだろうな。一応これでも国のトップだし」

『聞いてる限り、シャドウミラーって面白そうなところだな』

 

 俺と綾子の会話を聞いていたのか、ヤザンがそんな風に声を掛けてくる。

 戦いを好むヤザンにしてみれば、俺が言うシャドウミラーはこれ以上ないほどに面白そうに思えるだろう。

 おまけに、シャドウミラーに所属した場合はまだMSが実用化したばかりのUC世界とは比べものにならないくらいの性能を持つ機体を使えるようになるし、生身での戦いでもエヴァによって鍛えられることになって、普通の人間とは一線を画すだけの実力を手に入れられる。

 ……もっとも、後者のエヴァとの訓練は慣れるまでは地獄を見る事になるが。

 そもそも、魔力や気を使いこなせるようになるのが必須だし。

 

「そうだな。ヤザンには向いてる場所だと思うぞ」

『へぇ。……なら、この戦争が終わったら、俺もアクセルの率いるシャドウミラーに所属したいんだけどな』

 

 あっさりとそう言ってくる。

 基本的に勘とかそういうので色々と決めたりするヤザンの性格を思えば、こうして成り行きで決めるのはおかしな話ではないのか?

 とはいえ、そう簡単にシャドウミラーに入れる訳にいかないのも、事実。

 

「すぐにシャドウミラーに入れるのは不可能だな。ただ、月のクレイドルからならシャドウミラーの本拠地に行ったりする事も出来るようになっているから、色々と特殊な体験は出来るようになると思うぞ」

 

 今はまだ、クレイドルの住人が好き勝手にホワイトスターに行くような真似は出来ない。

 だが、それはあくまでも今は、だ。

 この先、月全体が発展していき、その結果として何人かシャドウミラーに所属する者が出て来ても、おかしくはない。

 それに……UC世界における月というのは、シャドウミラーの保護国だ。

 言わば、シャドウミラーの出先機関的な意味合いも強い。

 悪い言い方をすれば、従属国といったところか。

 とはいえ、シャドウミラーとしては月に何らかの搾取をしようとは思わない。

 唯一、UC世界独自の技術を欲している以上、その辺をしっかりと収集したり研究したりしてくれれば、それで構わない。

 そもそもの話、現時点においては圧倒的にシャドウミラー側からの持ち出しが多いのだから、搾取のしようもない。

 

『……月、か。興味がない訳じゃないけどな』

 

 ヤザンが微妙な様子でそう告げてくる。

 ヤザンにしてみれば、シャドウミラーという極上のご馳走があるのに、それよりも劣る月にしかいけないというのは、面白くないのだろう。

 とはいえ、今の状況を思えば当然の事なのだが。

 

『全機、お喋りはそこまでにしておくんだ。どうやら敵が見えてきたらしいぞ』

 

 シローからの通信と共に、ホワイトベースの外の様子が映像モニタに映し出される。

 そこにあったのは、予想通り戦力を集中してこちらを迎え撃とうとしているジオン軍の姿。

 にしても……2つの軍勢が目に見える位置でお互いに向かい合って戦いを始める、か。

 ミノフスキー粒子は戦いを第2次世界大戦まで引き戻したと聞くけど、こうした戦いの様子を見ると、第2次大戦よりも前といった感じに思えてしまうな。

 

『ようやく到着か。……もしかして、これでお互いに前口上とかを述べたりとか、そういう事はないよな?』

 

 フィリップの冗談めかした言葉。

 こうして敵対する集団同士が向かい合っている状況を思えば、そんな風に考えてもおかしくはない。

 どうやらフィリップも俺と同じような事を考えていたらしい。

 とはいえ、フィリップが言ったのは……それこそ、騎士同士が戦っていたような、そんな中世とでも呼ぶべき頃の戦いについて、思いを馳せるようなものだったが。

 これはあくまでも時間がない状況――それこそ一晩で――考えた作戦だからこそ、こんな風になっているのだ。

 連邦軍の物量を活かした作戦となると、やはりこうした戦い方になるのだろう。

 もっと作戦を考える時間があれば、連邦軍の参謀達も別の作戦を考える余裕があったかもしれない。

 だが、一晩で作戦を考え、その上で戦力を集めるといった事を考えると、やはりこれが最善だったのだろう。

 

「さすがにそこまではないだろ。そもそも、既に戦いの準備は双方整って……お……」

 

 連邦軍とジオン軍が相応の距離を取って向かい合い……そうして、どちらが先に動くのかといった風に眺めていると、ジオン軍が急に動き出した。

 こちらに向かって真っ直ぐに突っ込んできたのだ。

 MSやマゼラアタック、ドップ、といった主力が先鋒を進み、その後方からはダブデのような陸戦艇が進む。

 そんな中で真っ先に連邦軍に近づいて来たのは、当然のようにドップ、そしてドダイの上に乗ったザクやグフといったMS達。

 だが、次の瞬間映像モニタが焼き付くのではないかと思える程に強力な光を有するメガ粒子砲が連邦軍の後方から放たれると、連邦軍に近づいていたジオン軍の航空部隊を文字通りの意味で一掃する。

 通信を見ていた者の何人かが驚きの声を出す。

 そんな中で、一番驚いた様子を見せていたのは……昨日からホワイトベース隊と行動を共にする事になったマット達だった。

 それ以外の面々は、ラサ基地攻略作戦の時にアプサラスの砲撃を自分の目で見ている。

 ……とはいえ、ラサ基地の時はアプサラスⅡ。それに比べて今回はアプサラスⅢ。

 次世代機となり、今のアプサラスⅢの性能は明らかに以前よりも上がっている。

 とはいえ……

 

「ジオン軍も引き下がるような事は出来ない、か」

 

 映像モニタでは、消滅したドップやMSを乗せたドダイの代わりに、再びジオン軍の戦力がこちらに向かって来ている。

 それも、アプサラスⅢのメガ粒子砲対策にだろう。一ヶ所に固まるのではなく、お互いに距離を取って。

 だが……それは甘い。

 アプサラスⅡの時であれば、被害は出るものの、それを最小限にする事が出来ただろう。

 しかし、それはあくまでもⅡでの話だ。

 Ⅲになった今となっては……

 キュインッ!

 そんな音が聞こえたような気がしたが、それは俺の気のせいだろう。

 それでも、そんな音が聞こえてもおかしくはないような……先程のメガ粒子砲が嘘のように細いメガ粒子砲が複数、一斉に放たれたのだ。

 先程の巨大なメガ粒子砲をロープだとすれば、細いメガ粒子砲はロープを編んでいる紐の一本ずつ……といったところか。

 そんな複数のメガ粒子砲が、射出されたままそれぞれがある程度の距離を動き、空を飛んでいる敵を纏めて薙ぎ払い、それどころか地上にいたジオン軍の陸戦部隊に対しても大きな被害を与えていた。

 うわぁ……アプサラスⅢの本領発揮といったところか。

 ぶっちゃけた話、これってアプサラスⅢといざという時の護衛だけでオデッサを攻略出来るんじゃないかと思うくらいの、強力な印象を周囲に与えている。

 アプサラス計画の総決算といったところか。

 正直なところ、何に驚いたかと言えばアプサラスⅢのメガ粒子砲の威力もそうだけど、その制御システムだ。

 いわゆる、マルチロックオンシステム。

 SEED世界のフリーダムが分かりやすいか?

 ニーズヘッグにも搭載されているが、そこはT-LINKシステムで補正されてるんだよな。

 俺が知る限りでは、このUC世界においてその手のシステムというのは存在しない。

 いや、もしかしたらミノフスキー粒子が発見される前の戦場ではある程度あったかもしれないが、MS全盛の時代になってからは姿を消した筈のシステムだったり、考え方だった。

 それをギニアスは、自分の力だけで――勿論他の者達にも協力しては貰ったのだろうが――開発したのだ。

 ギニアスがどれだけ開発者としての才能を持っているかという事の、証拠でもある。

 ……素直に凄いとしか言いようがない光景ではあったが、今はギニアスを賞賛するよりもやるべき事があった。

 

『ホワイトベース、出撃する。MS隊各機は、いつでもすぐに出撃出来るように準備をしておいてくれ』

 

 ブライトの言葉に続き、ホワイトベースが移動する。

 だが、そんな状況で少し意外だったのは、収束メガ粒子砲、拡散メガ粒子砲の2射の後、アプサラスⅢからの攻撃が続かなかったからだ。

 ……何でだ?

 これが少し前なら、アプサラスⅢの予期せぬトラブルか何かかと考えもしたのだが、今のアプサラスⅢはテストにテストを重ねた機体だ。

 何らかの攻撃を受けたのならまだしも、普通に動かしているだけで機体に不具合が出るなどといったことはまずない。

 であれば、もしかして連邦軍側から待ったが掛かった?

 こちらは……普通にありそうで困るな。

 アプサラスⅢの能力は、当然のように連邦軍も知っていた。

 だが、知ってはいたが、それでも実際の戦場でどれだけの能力が発揮されるのかというのは、分からなくてもおかしくはない。

 そして実戦で行われた結果が、これだ。

 アプサラスⅢだけで勝てるのではないかと、俺がそう思ったように、連邦軍側でもそう思ったとしてもおかしくはない。

 

「ブライト、アプサラスⅢの攻撃が止まったが、その理由は分かるか?」

『いや。だが……連邦軍としては、これからの戦いを考えて、じゃないか?』

 

 これからの戦いか。

 その意味するところは、アプサラスⅢが……ルナ・ジオンの戦力だけが活躍してオデッサ作戦を終えるのは、不味いという事だろう。

 俺が予想した通りに。

 オデッサ作戦において、その実力を連邦軍に示したアプサラスⅢ。

 だが、俺が思ったようにアプサラスⅢだけの実力だけでオデッサ作戦に勝利したとなると、連邦軍には利益はない。

 ……まぁ、そんなMAを開発する実力を持つルナ・ジオンと協力関係にあるというのを示すという意味では、そこまで悪いことではないのだが。

 また、ルナ・ジオンの技術力について調べるという意味でも利益は大きい。

 しかし、今の状況を考えるとエルランの裏切りという大きな……大きすぎるマイナスがある以上、アプサラスⅢの活躍だけで勝ってしまった場合、連邦軍の面目は丸潰れだ。

 そうである以上、やはりここでは連邦軍の実力でジオン軍を倒す必要があると考えたのだろう。

 レビルがその意見を受け入れるとは思わなかったが……いや、アプサラスⅢの役目は、メガ粒子砲の2射で十分だと判断したのか?

 そんな疑問を抱きながらも、ピクシーの発進準備を整えるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1534

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