転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0233話

 クルーゼが散った宙域からグロウセイヴァーで10分程移動すると、ようやくアークエンジェルやクサナギ、エターナルの姿が見えてきた。

 

「アークエンジェル、こちらグロウセイヴァー。アクセル・アルマーだ」

「アクセル! 無事だったのね……良かった」

 

 通信に出たマリューが、瞳を潤ませながら心底安堵した様子で艦長席の背もたれへと寄り掛かる。

 

「だから言ったでしょ? 伊達にシャドウミラーの実行部隊を率いていた訳じゃないのよ」

 

 そんなマリューの肩を軽く叩きながら、笑みを浮かべるレモン。その後ろにはマリューと同じく安堵の息を吐いているコーネリアの姿もあった。その3人の姿を見て、ようやくこの戦争が終わったのだと実感する。

 

「アクセル、お疲れ様。あの放送は聞いたでしょう?」

「ああ。クライン派のクーデターは無事成功したようだな」

「それでこれからの事だけど……」

 

 微妙に言葉を濁すレモン。プラントは国家としてこちらに従うと宣言したが、連合軍に関してはまだ旗色が決まっていないのを心配しているのだろう。一応ブルーコスモスの盟主であるアズラエルは捕らえてあるが、実質的に連合を率いてはいてもアズラエルの肩書きは所詮大西洋連邦の国防産業連合理事でしかないのだ。

 

「ウズミと連絡を取る必要があるな。結局の所俺達は武力集団でしかない。外交に関してはオーブに任せるとしよう」

「そう、ね。この世界の行く末に関しては、この世界の人達に任せた方がいいでしょう」

「それと、今更だがこちらの被害は?」

「メギロートに関して言えば、残存13機。その他に関しては、ストライクが小破から中破といった所ね。それ以外はどの機体もかすり傷程度よ。こちらの被害の殆どをメギロートが被った形になるわ」

「そうか、それは何よりだ」

 

 メギロートは所詮無人機で、ホワイトスターにさえ戻れば大量生産するのもそう難しくはない。ここで失った機体に関してもそう遠くないうちに補充出来るだろう。

 と、丁度その時、視界の端でメギロートがスラスターを破壊されて動けないジンを抱え込んでヤキン・ドゥーエの方へと運んでいるのが目に入った。

 

「……なぁ、レモン。何かメギロートがレスキュー活動してるんだが」

「え? あぁ、その件ね。アイリーン・カナーバが放送でも言ってたでしょう? 『負傷している兵達の救助に全力を尽くして下さい』って。だから私達も協力する事にしたのよ。今まで敵対していた相手との共同作業でも、同胞の命が掛かっていれば協力せざるを得ないでしょうし。そして、そうすれば嫌でも連帯感が育まれる」

 

 なるほど。いくら最高評議会が全面降伏したとは言っても末端の兵士達はつい先程まで俺達と敵対していたのだから、どうしても遺恨が残る。それを少しでも無くしたいといった所か。理解は出来るが、これはレモンの発想じゃないな。こちらのメンバーでそれを提案しそうな人物と言えば……

 

「ラクスの発案か?」

「惜しい。カガリのお嬢ちゃんもよ」

「ほう、カガリが」

 

 レモンのその言葉に、思わず感心する。何かと言えば突撃していく猪突猛進お姫様にしては、よく考えられている。

 

「その関係で、この艦に残っているのは私達と機体が使えないムウだけなんですけどね」

「ムウの怪我は?」

「怪我? 軽い切り傷と打撲程度よ。すぐにでも……ほら」

「おい、アクセル! 奴はどうした!?」

 

 レモンの会話に割り込んできたのは、額にガーゼで血止めをしているムウだった。確かにレモン言う通り軽傷らしい。

 

「……元気なようだな」

「俺の事はいいから、クルーゼの野郎はどうした!? 倒したのか?」

「ああ、奴は死んだよ」

「……そう、か」

 

 色々と思う事もあるのか、苦い溜息を吐きながら首を振っている。

 

「悪いな、家族のゴタゴタに巻き込んで。だが、これでフラガ家の血縁は俺一人になったし、もうこんな馬鹿げた事は起きないだろうよ」

 

 ここで言うべきか、言わざるべきか。非常に迷ったが、どのみち通信で話すような内容でもないので詳しくは時間が出来てから、だな。

 

「レモン、他の皆が救助活動を手伝っているなら俺も手伝った方がいいのか?」

「馬鹿言わないで頂戴。責任者はここでどっしりと構えていればいいのよ。何でも自分でやりたがるのは貴男の悪い癖よ? ヴィンデルが最前線に出たのなんて殆ど無かったでしょう?」

 

 ……いや、俺はその最前線から帰ってきたばかりなんだが。

 

「とにかく、責任者の貴男はこのアークエンジェルに戻って指揮を執るように。他にもプラントとの会議やオーブとの連絡とか、ただでさえ仕事は山程あるんですからね」

「了解。……ムウ、戻ったら話がある」

「話?」

「ああ、クルーゼに関する話だ」

「分かった」

 

 ムウが頷いたのを確認し、通信を切ってアークエンジェルへと向かう。

 この辺も余程の激戦地域だったのか、ジン、シグー、ゲイツの頭や腕といった部品が浮遊しており、その中を泳ぐようにして進み、アークエンジェルの格納庫へと着艦する。

 

「兄ちゃん、無事だったか」

「まあ、何とかな」

「フラガ少佐のストライクが右腕を無くして戻ってきた時にはどうなるかと思ったが、兄ちゃんの機体は殆ど無傷だな」

 

 マードックの言葉に、チラリとMS格納庫の中を見る。そこにはストライクが右腕を損傷したまま存在しており、その近くにはヴァイスセイヴァーとラピエサージュの姿もある。ヤキン・ドゥーエとの戦いで一番の激戦区だった場所を戦い抜いた機体なのだが、両機共損傷らしい損傷をしていないのは、さすがレモンとコーネリアといった所か。

 デュエルやバスターに関しては、レモンが言っていたように救助活動をしているのだろう。イザークやディアッカにしても、助けるのは同胞のコーディネーターなのだから張り切ってレスキュー活動をしていると思われる。

 

「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱは?」

「ああ、そいつ等も救助活動に駆り出されてるよ」

 

 微かに眉を顰めるマードック。この世界の人間としては、人造人間である量産型Wを受け入れにくいのかもしれないな。

 

「さて、ここでこうして話しているのもいいが、ブリッジに顔を出さないと後が怖いからな。行かせて貰う」

「けっ、恋人が複数なんてハーレム作っておいて何言ってやがる。しかもあんな綺麗所を揃えやがって。いつの間にか艦長まで引っ張り込んでやがるし」

 

 そうか。アークエンジェルで地球に降下した後、ブリッジでは俺とマリューの関係は公然の秘密だったらしいが整備班までは広がっていなかったのか。

 まぁ、男所帯の整備班だ。そんな話が広まっていれば恨み言の一つでも言われていただろう。

 

「あ、そうだ。兄ちゃん」

 

 格納庫を出て行こうとした俺の背中へと、再びマードックが声を掛ける。

 

「どうした?」

「この騒動が一段落してからでいいからよ、俺もホワイトスターって所に連れていって貰えないか? 俺達の世界よりも進んだ技術ってのを見てみたいんだよ。兄ちゃん達の機体以外にも、な」

「そうだな……まぁ、構わない。シャドウミラーの技術班となら話も合うだろう」

 

 この時、ふと脳裏に『混ぜるな危険』という単語が浮かんできたが、気のせいだと思う事にする。

 

「おう、よろしく頼む。そっちの技術を理解出来ていないと兄ちゃん達の機体整備が出来ないからな」

 

 苦笑を浮かべながら言うマードックだが、実際ADである俺達の機体3機や、量産型Wの使っている量産型ゲシュペンストMk-Ⅱはこの世界のMSとは全く違う技術体系で出来ている為、MSという存在が現れ始めたばかりのこの世界の技術者達では弾薬の補給作業や簡単な整備程度しか出来ないのだ。なので俺達の機体整備に関しては疑似経験や疑似記憶を流し込んだ量産型Wが行っている。

 マードックは技術者として俺達の機体に興味を持っていたのだが、迂闊に触る事も出来ずに悔しい思いをしていたのだろう。特にグロウセイヴァーなんかは、この世界では概念すらないT-LINKシステムが組み込まれているだけに酷く好奇心を刺激されていたらしい。

 ……もしかしたら、戦後処理が一段落したらマードックはホワイトスターに移住してくるかもな。

 

 

 

 

 

「で、話ってなんだ?」

 

 パイロット控え室へと入ると、そこには既にムウの姿があった。どうやら俺が格納庫でマードックと話している間に待ちくたびれてここで待ち構えていたらしい。

 まぁ、話の流れからクルーゼに関する事だと予想したからこそだろうが。

 取りあえずパイロットスーツから着替えて、近くにある椅子に座ってムウと向かい合う。

 

「知っての通り、俺はこの戦いでクルーゼを殺した」

「ああ、それはさっき聞いた」

「で、だ。その時、クルーゼが最後に言い残した事がある」

「言い残した事?」

「ああ。プラントには自分と同じ存在が1人いる、とな」

「っ!?」

 

 クルーゼと同じ存在。それはすなわち、ムウの父親であるアル・ダ・フラガのクローンだ。それを理解したムウは俺の言葉がもたらした衝撃に動きを止めている。

 

「つまり、それは……親父のクローンがもう1人いるって訳か?」

「半分当たりで、半分外れだな。その存在は確かにお前の父親、アル・ダ・フラガのクローンと言っても間違いはない。ただし、正確にはアル・ダ・フラガではなく、ラウ・ル・クルーゼのクローンだ」

「……続けてくれ」

「クルーゼのクローン。つまりはクルーゼと同じくテロメアの問題を抱えている。クルーゼは死ぬ寸前にその治療を俺に託して散っていったよ」

「治療って、大丈夫なのか?」

「可能か不可能かで言えば、恐らくは可能だ。正確な所はレモンに聞いてみないと分からないけどな。ただし、治療を施すには当然ホワイトスターじゃないと出来ないし、何よりもこちらの技術を迂闊に流出させる訳にもいかない。もし治療をするとしたら、ザフトではなくシャドウミラーに所属して貰う事になるだろうし、当然しばらくの間は監視が付くだろう。それをそのクローンの保護者が納得するかどうかだな」

 

 ギルバート・デュランダル。軍人だったクルーゼとは違い、政治家としてその頭角を現す人物だ。俺が知ってるのはDESTNYの最高評議会議長になってからの姿だけなので、今の時点で既に政治家になっているのか、遺伝子科学者として研究を続けているのか。……あるいは、その両方か。どちらにしろ、その答はレイの治療に関して会った時に判明するだろう。

 

「保護者?」

「そうだ。クルーゼにはテロメアの問題があっただろう? その対処の為に細胞分裂を抑える薬を用意していたのがその保護者だ」

「ちょっと待て! じゃあ、そいつはもしかしてクルーゼがこの世界を破滅させようとしていたのを知っていたんじゃないのか!?」

 

 信じられないといった様子で大声を出すムウだったが、俺は首を傾げる。

 原作ではその辺が語られていなかったが、タリアを愛するデュランダルが世界を滅亡させようと企むクルーゼに手を貸すだろうか?

 まぁ、どのみちこの世界では既にDESTNYのフラグを折りまくっているし、デスティニープランなんてものを承認する気もないが。

 

「さて、その辺の所は分からないが……可能性は低いと思っている」

「何故だ?」

「歴史の流れを知ってるから、と答えておこうか」

「……分かった、取りあえずはそれで納得しておく。ただ、そいつと会う時は俺も連れて行って貰えないか? どんな人物か一度会って確かめてみたい。もしクルーゼの目的を知っていて手を貸していたようなら……」

 

 その先は言葉に出さなかったが、大体の予想は出来た。俺もまたデュランダルには釘を刺しておくべきだろうし、ムウと共に会うのは別に構わないだろう。

 

「ああ、それで構わない。近いうちにラクスを通してアイリーン・カナーバにその人物と保護者との面会を希望する予定だ。約束を取り付けたら知らせる」

「ああ、頼む」

 

 ムウは俺の言葉に頷き、一人で何かを考えたいのかパイロット控え室から出て行った。それを見送りながら、俺も椅子から立ち上がる。予想外にここで時間を取ってしまったが、俺もブリッジへと行かなければならないのだ。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:615
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:374

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