オデッサ作戦で出撃していたMS隊も合流し、現在ホワイトベース隊はオデッサ基地の警備についていた。
既に連邦軍の兵士が何人もオデッサ基地の中に入っており、そんな者達に見つかったのか、基地内部では何度か銃撃戦も行われていた。
また、ワッパや軍用車、軍用バイクといった物を使ってオデッサ基地から脱出しようとする者達もおり、そのような者達との間でも戦闘が起こっている。
いやまぁ、戦闘と表現出来る程に派手な戦いではなく、小競り合いと呼ぶのが相応しいような戦いだったが。
……ただ、中には何を考えたのか、MSで脱出しようとする者もいる。
気持ちは分かる。
連邦軍にMSを渡したくなかったり、それ以外にもオデッサ基地から脱出した後で仲間のジオン軍と合流した時に、MSというのは非常に貴重な戦力となるのだから。
それ以外にも、単純にMSのような戦力を持っていれば、仲間と合流した時にも大きな発言権を得る事が出来るというのもある。
その辺の事情を考えると、やはりMSを持っていきたいのだろう。
だが……それなら、別に今ではなくても、連邦軍が来る前にオデッサ基地を脱出すればいいだけだったのではないかと、そう思うのだが。
何でわざわざ連邦軍が来てから脱出するのか。
その辺りの事情は、残念ながら俺には分からなかった。
もしかしたら連邦軍はこのオデッサ基地にやって来ないとか、単純にそんな事を考えていた可能性もあるが、その辺りは正直どうなんだろうな。
そう思いつつ、周囲の様子を確認する。
『アクセル、聞いたか?』
通信を送ってきたのは、ヤザン。
当然ながら、ヤザンの小隊も俺と同様にオデッサ基地の警備を任されているのだが……一体、何があったんだ?
「聞いたかって、何をだ?」
『俺の知り合いから流れてきた情報なんだけどよ。何でも、オデッサ基地のマ・クベとかいう奴、HLVで宇宙に脱出したらしいぜ』
「……誰から聞いた情報だ?」
『だから、俺の知り合いからだよ』
「その知り合いがどういう知り合いなのかを聞きたかったんだがな。具体的に、どういう知り合いだ?」
『戦車の随伴歩兵をやってる知り合いだ。そいつも人伝の話だから、確実って訳じゃないが』
うーん、人伝の情報というのは、あまり信じたくないというのが正直なところなんだけどな。
友達の友達の友達から聞いた話とか……もしそんな情報ソースだとすれば、とてもではないが信じられない。
「その知り合いは信用出来るのか?」
『ああ。何でもオデッサ基地にいたジオン軍の兵士を尋問して聞き出した話らしいし』
さて、この情報は信じてもいいのかどうか。
マ・クベのようなお偉いさんなら、オデッサ基地が陥落するよりも前に脱出するくらいはおかしくない。
水爆の一件を誤魔化す工作とかもしてそうではあるが、その辺はどうなんだろうな。
「尋問したって事は、そのジオン軍の兵士はオデッサ基地に残ってたんだろ? そういう奴にとって、マ・クベって一体どういう風に思ってるんだ?」
『好感を抱く……って訳にはいかないらしいな。ああ、それとちょっと面白い話も聞いたぞ』
「面白い話?」
『ああ。何でもマ・クベは壺を集める趣味があったらしい』
「……なるほど」
正直なところ、何と言えばいいのか迷った。
にしても、壺か。
『何でも、地球の文化とかそういうのに強い関心を持ってるらしい』
「いや、けど……それなら、核兵器を使おうとかするか?」
水爆を使ったら、地球の文化云々といった話ではないだろうに。
もしくは、オデッサは特に水爆が爆発しても問題ないと判断したのか。
そんな疑問を感じながら、周囲の様子を確認していると……不意にレーダーに反応がある。
「ワッパだ。ワッパが出て来たぞ。ヤザン、そっちに向かってる」
オデッサ基地から出て来たワッパの姿を発見し、ヤザンに通信を送る。
人数は1人。
ワッパに乗って何とかここから脱出しようと企んでいるのは、明らかだ。
とはいえ、ワッパの速度は決して速いものではない。
軍用バイクとかに比べれば、どうしても速度で劣ってしまうのだ。
……もっとも、代わりにホバー移動という特徴があり、バイク以上に道を選ばずに移動出来るのだが。
そんな訳で、オデッサ基地から逃げる際に選ぶ逃走手段としては、それなりに妥当だと言ってもいい。
もっともその辺は逃げる場所にもよるのだが。
そのワッパもそれは理解してるのか、山のある方に向かう。
基本的にMSは山とか森とか、そういう場所の移動には向いていない。
いや、移動出来ない訳ではないのだが、木にぶつからないように注意して移動する必要がある。
木にぶつからないようにという意味ではワッパも同じなのだが、そもそもの大きさが違う。
ワッパであれば楽に通れる場所でも、MSでは通る事が出来ない。
だからこそ、ヤザン達はそのワッパを逃がさないようにする必要があった。
……とはいえ、別にオデッサ基地の周辺を警護しているのはホワイトベース隊だけではない。
それ以外の者であっても、歩兵とかバイクに乗った者達とかが周囲にはいる。
だが、それでも……ヤザンの性格を考えれば、ここで逃がすという選択肢は存在しないのだろう。
『逃げるな! 止まれ! でなければ撃つぞ!』
そう言いながら、ヤザンのジムは逃げるワッパに頭部バルカンを発射する。
通信が繋がったままなのは、ヤザンの意図的なものなのか、それとも単純に忘れているだけなのか。
その辺りの理由は俺にも分からなかったが、撃たれた頭部バルカンはワッパのすぐ側に着弾し、爆発の衝撃でワッパを揺らす。
移動するという意味では悪くはないワッパだったが、それでも今のように間近で爆発でも起きようものなら、ホバーで空中に浮かんでいる分だけ、大きな衝撃を受ける。
これがバイクの類であれば、タイヤで地面を直接走っているだけに、爆発の影響も……ない訳ではないのだろうが、それでもワッパよりは受ける衝撃が少なくてすむ。
ちなみにヤザンの頭部バルカンはワッパに命中していないが、これは可能な限り生かして捕らえるようにと命令が来ているからであって、もしヤザンが本気になれば、そこそ今頃そのワッパに乗っているジオン軍の軍人は肉体が四散して死んでいるだろう。
ジムやガンダムの頭部バルカンは威力が弱いと思われがちだが、それはあくまでもMSと敵対した場合に限っての話だ。
人間や軍用車程度であれば、楽に殺したり、破壊したりといったことが出来る。
……綾子とかなら、回避するなり、武器で弾くなりして何とかしそうではあるが。
ともあれ、そんな訳でヤザンとしては敵を殺すような真似はせず、何とか生かして捕らえようと、地面に向かって頭部バルカンを撃ったのだ。
その一撃によって、空中に吹き飛んだワッパはそのまま地面に叩きつけられる。
取りあえず死んではいないだろうが、それでもワッパに乗っていた奴は骨折程度の怪我をしているのは間違いない。
後は治療所行きだな。
そこで治療しながら、尋問をされる筈。
具体的にそのような尋問がされるのかは分からないが……多分、そこまで厳しい尋問ではないだろうというのが、俺の予想だ。
何しろ、既にオデッサ作戦は連邦軍の勝利で終わっているのだから。
これがまだ作戦中……もしくは作戦開始前であれば、オデッサに関する情報を少しでも多く得ようとして、厳しい尋問が行われていてもおかしくはない。
そういう意味では、あのジオン軍兵士は運のいい方なんだろう。
オデッサ基地からやって来た連邦軍の兵士達が、気絶しているジオン軍の兵士を連れて戻っていくのを眺めながら、運がいいのか悪いのかと、微妙な気持ちになる。
とはいえ、このオデッサ作戦で死ぬことなく生き残ったのだから、運が悪いとは言わないか。
あのジオン軍の兵士が、この後どうなるのかというのは俺にも分からなかったが。
「ヤザン、お手柄だな」
『何がだよ。こんな手柄、嬉しくねえよ』
不満そうなヤザンの声。
まぁ、本人としてはMS戦とかなら、まだ納得出来たのだろうが……
ヤザンの場合、戦うのは好きだが、弱い相手を一方的に蹂躙するのが好きな訳ではない。
……ヤザンの性格を考えると、将来的にそのような事になる可能性は否定出来ないが、少なくても今の状況ではそのような事は好まない。
だからこそ、今は不機嫌な様子を隠そうともしていないのだ。
「そうか。まぁ、オデッサではこれ以上大規模な作戦はもうないだろうから、戦いを希望するのなら、次の戦いを待つしかないな。……俺達はこの後、ジャブローでホワイトベースから降りるんだが、ヤザン達はまだそのままホワイトベースに残るんだろ?」
『多分、そうなると思う。詳しい話はまだ分からないけどな』
ヤザンがこの辺りの詳しい情報をまだ知らないのは、結局のところ腕利きではあっても一兵士、一パイロットでしかないからだろう。
あるいは、これでパイロットではあっても1人で戦局を左右するような実力の持ち主なら、もう少し話は変わってくるのかもしれないが……ヤザンは腕利きではあっても、そこまでの腕利きという訳ではない。
ホワイトベース隊の中ではそれなりに腕利きと言ってもいいような実力にはなっているのだが。
「なら、いいだろ。間違いなくホワイトベース隊はこれからも激戦の地域に投入されるだろうし」
俺と綾子、ミナトの3人が抜け、シローとサンダースも抜け、マット達も抜け……そう考えると、ホワイトベースの戦力はかなり低下する事になるのは間違いない。
だが同時に、それだけの戦力が抜けても、依然としてホワイトベースの戦力がかなり強力なのは間違いない。
アムロやユウという、この世界で見ても最高峰の実力を持つパイロットが揃っているし、そんな2人には劣るものの、間違いなくエースと呼べるだけの実力を持つカイもいる。
また、そんなカイよりは劣るが、ヤザンの実力も相当に高い。
そんな戦力が揃っている以上、ホワイトベース隊が激戦地区に投入されるのは確実だった。
勿論、俺達が抜けた穴をそのままにする事はないだろう。
それこそ、有望な戦力を補充戦力としてホワイトベースに送り込む筈だ。
その戦力が具体的にどのくらいの力量の持ち主なのかというのは、分からない。分からないが……それでも、現在の状況を思えば連邦軍がホワイトベースを放っておく筈はなかった。
『激戦区か。それなら、少し楽しみだな。……一体どんな戦場になるのか、楽しみにしてるよ』
「そうしろ。……ただし、これはあくまでも俺の予想だからな。もしかしたら、俺の予想と違う方向に話が動くという可能性も否定は出来ない。だから、もし激戦区でなかったとしても、俺を恨むなよ」
一応、保険としてそう言っておく。
普通に考えた場合、俺の言葉はそこまで見当外れだとは思えない。
だが、それはあくまでも俺が考えた場合であって、連邦軍の上層部にしてみれば何か俺が想像もしていない事を考えている……という可能性だって、否定は出来ないのだ。
EXAMシステムとかなんか、まさにその典型だろう。
それと似たような存在をやっていないとは、限らないのだから。
『……分かった』
俺の言葉に完全に納得した訳ではなかったのだろうが、それでもヤザンは納得したように頷く。
取りあえずはこれでよし、と。
「分かって貰えたようで何よりだ。……タイミングも丁度よかったみたいだしな」
こちらに近づいてくる数機のジムを見て、そう告げる。
『ホワイトベース隊の諸君、交代だ。これからは私達がオデッサ基地の護衛をするので、君達は休んでくれたまえ』
そう言ってきたのは、30代から40代くらいの髭を生やした男。
その特徴的な口調が強く印象に残る。
どこぞの砂漠の虎……いや、今はコーヒーの虎と呼ぶべき人物を思い出させるような口調だ。
「分かった。……少し油断すると、オデッサ基地から脱出しようとする奴がいるから、その辺は気をつけてくれ」
一応、その辺はしっかりと注意しておく。
俺達が注意しなかったせいで、オデッサ基地からの脱出を許してしまったと言われたら面白くないしな。
向こうも俺達と交代しに来るくらいだから、現在のオデッサ基地の状況については理解しているのだろう。
だが、それでも甘く見ているという可能性は十分にある。
何だかんだと、オデッサ作戦の最後はニーズヘッグの攻撃によって、結構あっさりと片付いたからな。
それでも、俺がニーズヘッグを使うまでは結構な被害を受けていた事もあって、そこまでジオン軍を下に見る……といった真似をする奴はいないのだが。
それでももしかしたら、万が一、億が一……そんな事を考えていたりしたら、連邦軍にとってそれが致命傷にもなりかねない。
何だかんだと、今回の戦いで結局のところ連邦軍も大きな被害を受けているのだから。
そんな風に思いながら、俺はホワイトベースに戻るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:900
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1560