ベルファスト基地に戻ってきた俺とミナトが見たのは、ジオン軍の水陸両用MSのゴッグが暴れている光景だった。
ゴッグ。それはツィマッド社が開発した水陸両用MSの1機で、結構な完成度を誇る機体だ。……MIP社のズゴックには及ばないが。
特徴としては、その厚い装甲を活かした高い防御力と……何よりもメガ粒子砲を装備しているというのが大きいだろう。
とはいえ、ガンダムのような手持ちのビームライフルによるメガ粒子砲ではなく、腹部に内蔵されている形だが。
ジオン軍の中でメガ粒子砲を装備したという事では、最初の機体となる……んだったか?
ゴッグしかりズゴックしかり、海水を冷却に使えるからこそ実現した装備ではあるのだが。
ともあれ、高い性能を持つMSであるのは間違いない事実だ。
そんなゴッグが、腹部のメガ粒子砲を使ってベルファスト基地に攻撃を続けている。
どうやら、やってきたのは2機だけだな。
これは一体どう判断すればいいんだ?
もしホワイトベース隊がここにいるのなら、幾らゴッグが優れた水陸両用MSだとはいえ、たった2機でどうにか出来るとは思えない。
そうなると、もしかしてホワイトベース隊がベルファスト基地にいるというのを知らないジオン軍の仕業?
もしくは……強行偵察的な感じ?
ともあれ、そんなゴッグに向かって基地から素早く出撃してきた61式戦車が攻撃するが、それを見た瞬間にゴッグは海中に潜る。
……ゴッグの装甲なら、61式戦車の攻撃を食らっても平気だと思うんだが。
意外と慎重なのか、それとも攻撃を回避する事で連邦軍を挑発しているのか。
その辺りの事情は俺にも分からないが、ともあれ連邦軍にしてみれば厄介な相手なのは間違いない。
「アクセル、どうするの?」
「取りあえずホワイトベースに戻った方がいいだろうな。もしかしたら、俺達が出撃する事になる可能性もあるし」
ミナトにそう答え、ホワイトベースのいるドックに向かう。
その途中でも、ゴッグの攻撃によって破壊されたと思しき軍用車が燃えていたり、倉庫が破壊されていたりと、2機のMSを相手にしているにしては随分とベルファスト基地は大きな被害を受けていた。
この様子を見る限りだと、下手をすればゴッグ2機によってベルファスト基地が破壊されるのではないかと、そう思えるくらいに。
何よりも、ゴッグは海という絶対の防壁を持っているのが、この場合は大きい。
その為、ベルファスト基地の戦力で対処するのは難しいのだ。
一応海に面した基地という事で、潜水艦や軍艦の類も存在しているんだろうが……MSを相手に、それらが一体どれだけ役に立つのかどうかは、微妙なところだ。
「でも、変ね。ブライトから聞いた話によると、ベルファスト基地の周囲には結構な数の機雷が仕掛けられているらしいんだけど……」
ホワイトベースの存在する格納庫に向かって移動しながら、ミナトがそう疑問を口にする。
影のゲートで移動してもよかったのだが、2機のゴッグがどのような行動をするのか、しっかりと見極めたいという思いがあったので、それもあって現在はこうして普通に移動していた。
2機のゴッグの行動は、まさに蹂躙という言葉が相応しい。
「ツィマッド社から流れてきた情報によれば、ゴッグはフリージーヤードという装備があるらしい。頭部からゲル状の物質を出して、機雷の類を無効化出来るとか」
「……また、随分と限定的な装備ね。あ、ガンダムが発進したみたいよ」
ホワイトベースのいるドックから、ガンダムが出撃してきたのを見て、ミナトが呟く。
……いや、それはいいんだが……
「何であんな武器を持ってるんだ?」
出撃したガンダムが持ってきたのは、鎖の先に鉄球がついてる武器。
ビームライフルやビームサーベルといった最新鋭の武器を使っていたガンダムが使うには、かなり違和感のある武器だ。
もしかして、俺達が必死にベルファスト基地から運び込んだコンテナの中には、あんな鎖のついた鉄球が入っていたとか、そういう落ちか?
そんな疑問を抱いたのだが、相手がゴッグだという事を思い出し、すぐに考えを改める。
当然の話ではあるが、ゴッグは海を防壁としている。
そして海でビームライフルやビームサーベルは……使えない事はないのかもしれないが、威力や射程が極端に落ちるのは間違いない。
であれば、あのような鉄球を使った攻撃は、決して悪い訳ではないのではないかと。
ガンダムが使う武器としては、バズーカもあった筈だ。
ただ、バズーカはどうしても弾数が限られている。
それに比べると、鎖の鉄球は弾数という時点では全く気にする必要がない。
……問題なのは、あの鉄球の攻撃力が具体的にどのくらいなのかだろう。
鉄球と言ってはいるが、実際にあの鉄球は別に鉄で出来ている訳ではなく、もっと別の、それこそ鉄よりもかなり強度の高い金属で出来ている可能性が高い。
ともあれ、2機のゴッグに対してガンダムは1機。
こうして離れている場所にいる俺が言うのも何だが、他の連中はどうしたんだろうな?
カイはナンパをして成功していたのを見たし、綾子もガンタンク隊の女達と一緒に出掛けたのを覚えている。
だが、リュウやハヤト、ジョブ、シロー達、ユウ達、ヤザン達。
ホワイトベース隊には、まだ他にも相応の人数がいる筈だった。
だというのに、何故か出撃してきたのはアムロのガンダムだけ。
……もしかして、他の連中も全員街中に出ていたとか、そういう事じゃないよな?
そんな風に考えている間に、アムロは鎖付きの鉄球を振り回し……ゴッグの1機に向かって投擲した。
「お」
思わず驚きの声が漏れたのは、その鉄球に威力を増す為か、それとも投擲した方向をコントロールする為かは分からないが、スラスターがついていた為だろう。
スラスターによって一段と速度を増した鉄球は、真っ直ぐ……それこそゴッグの装甲があっても、その内部に衝撃を与えんとして突き進むが……
「うわぁ」
ミナトの口からそんな声が漏れた。
まぁ、その気持ちも分からないではない。
何しろ、ゴッグはガンダムの放った鉄球の一撃を両手で掴んで止めたのだから。
人型のMSだからこそ、出来た事ではあるのだが……それでも、MSのパイロットに相応の技量がなければ不可能な事だ。
オデッサが落ちたというのに、ジオン軍にはまだ結構な腕利きのMSパイロットが残ってるらしい。
この辺、MSという兵器を十分に用意する事が出来たジオン軍の面目躍如といったところか。
前もって訓練を行うことが出来たというのは、こういう場合大きいよな。
とはいえ、そのアドバンテージも結局は今のところだけなのだろうが。
今の戦争が終わってしまえば、連邦軍もMSのパイロットを現在よりも大々的に育成するだろうし。
いや、別に戦後ではなくても、今の状況でも結構な数のMSパイロットが現在進行形で育成されている筈だ。
ヤザンやモンシアのような、腕利きだけど問題児といったパイロットではなく、もっと生真面目な……そう、それこそ軍人らしい軍人的なパイロットが。
「って、おい。その鉄球に固執するなよ」
何とか鉄球をゴッグから奪い返そうとするガンダムだったが、それは悪手だった。
何故なら、敵のゴッグは1機ではない。
鉄球を捕まえているゴッグの他に、もう1機のゴッグがいるのだから。
そのもう1機のゴッグが、腹部のメガ粒子砲をガンダムに向けているのを見て……仕方なく手を出す。
ガンダムのルナ・チタニウム製の装甲は、強い防御力を持っているが、ビームに関しては抵抗力がない。
今の状況でもしガンダムが至近距離からゴッグのメガ粒子砲を食らえば、致命傷となる必要がある。
この世界の主人公たるアムロを、ここで殺す訳にはいかない。
瞬動を使い、一瞬にしてゴッグの前までやってくると、メガ粒子砲の内蔵されてている腹に向かって白炎を生み出す。
魔法の炎によってメガ粒子砲の発射口を破壊されたゴッグは、次の瞬間にはエネルギーの向かう先がなくなったことで、その体内にエネルギーが吹き荒れ……やがて爆散する。
メガ粒子砲の発射を防ぐつもりはあったが、まさか爆散までするとは思わなかった。
一瞬、何が起きたのか分からなかったのか、ガンダムとゴッグは動きを止める。
そんな中で最初に我に返ったのは、アムロ。
……ゴッグのパイロットは、何がどうなっているのか分からなかったのだろうが、アムロは違う。
アムロの場合は俺が魔法を使えるというのは知っているし、刈り取る者を間近で見た事もある。
また……俺と初めてあった時から、俺の異常さをニュータイプ能力で察知していた。
そんなアムロだからこそ、俺が何をやってもおかしくはないと、それこそ今回の一撃でそんな真似をしてもおかしくはないと判断したのだろう。
ゴッグに掴まれていた鉄球にそれ以上拘るようなことはなく、その手を離す。
そうしてビームサーベルを引き抜き、ゴッグに斬りかかったのだが……ゴッグの方も一瞬遅れたものの、鉄球を手放すと海の中に潜る。
一瞬の差。
ガンダムが振るったビームサーベルは、一瞬前までゴッグのいた場所を斬り裂いていたが、その対応は明らかに遅かった。
そしてビームサーベルを振るって攻撃に失敗したとなると、当然のようにその隙が出来る。
ゴッグのパイロットはそれを逃さず、沈んだと思った海の中から飛び出し、その鋭い爪をガンダムの頭部に振るい……ルナ・チタニウム製の装甲で出来ている筈のガンダムの頭部に、アイアンネイルの先端が埋め込まれたのだ。
ルナ・チタニウム製の装甲も、今まで物理的な攻撃で破壊されたことはある。
ザクバズーカやジャイアントバズのような、高い攻撃力を持つ砲弾であれば、十分そのような真似は可能だし、ヒートホークやヒートサーベルのようなヒート系の武装であっても、ルナ・チタニウム製の装甲を破壊することは出来た。
だが、ゴッグの場合は特に何か特別な武器という訳ではなく、言ってみればただの鋭い爪でしかない。
だというのに、その一撃が容易にルナ・チタニウム製の装甲を貫いたのだ。
ゴッグの爪は、アイアンネイルとかいう武器だったと思う。
だが、その爪は一体どういう金属で出来ているのか。
その辺は、素直に疑問だ。
瞬動でミナトのいる場所に戻ると、ミナトと共にホワイトベースに急ぐ。
「まさか、ガンダムの装甲をあんなにあっさりと貫通するとは思わなかったな。後でツィマッド社の方にどういう金属を使ってるのか、聞いてみた方がいいかもしれないな」
ルナ・チタニウムを超える金属の開発に成功したのか、それとももっと何か別の理由があるのか。
その辺は分からないが、もしその金属をルナ・ジオンで開発するMSに転用出来れば、近接攻撃の武器が1つ増える事になる。
「そうね。でも、その前にガンダムを何とかして助けないと……あら」
不意にミナトの言葉が途中で止まる。
その言葉に何があったのかと思って視線を向けると、そこでは陸戦型ガンダムが……いや、違うな。あれはブルーディスティニーか。その名前の割に色は通常の陸戦型ガンダムと変わらないので見分けが付きにくい。
ともあれ、ブルーディスティニーが……そしてブルーディスティニーに続くように、こちらは本物の陸戦型ガンダムが姿を現したのを確認し、モルモット隊が出撃したのを理解する。
ゴッグ1機に対し、ガンダムとブルーディスティニーが1機ずつに、陸戦型ガンダムが2機。
ある意味で過剰戦力ですらあるのだが、ゴッグの場合は海を使ってるんだよな。
その海という防壁がある以上、どうしても防御側で有利なのはゴッグになる。
とはいえ……それは逆に言えば、海から出るとゴッグが不利になるという事であり、そういう意味ではある意味で致命傷に等しい。
「さて、この状況でどうする?」
海にいれば安全だが、海から出ると大きなダメージを受けて撃破される可能性がある。
そのような状況では、戦うに戦えないのは間違いないだろう。
であらば……俺がゴッグのパイロットなら、とっととこの場から退散する。
そもそもの話、MS2機でベルファスト基地を壊滅しようなどというのは、幾らゴッグという強力な水陸両用MSがあっても無理な話だ。
最初こそ奇襲でどうにか対処出来たものの、いずれは物量でどうにかされるだろう。
ましてや、そこにホワイトベース隊がいれば、更に不利になってくる。
だからこそ、ゴッグも最初から自分が死ぬまで戦うつもりはない。
恐らくは強行偵察か何かであり……そんな俺の予想を裏付けるように、モルモット小隊が出たのを見ると、ゴッグはもう海から姿を出すことはなく……恐らく、泳ぎ去ったのだと思われた。
この辺りの判断の正確さは、やっぱりアムロとやり合えるだけの技量を持つパイロットだったという事か。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:905
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1561