転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0012話

「さて、お待ちかねだ。今日は初の実機訓練となる」

 

 パイロットコースの校舎にある格納庫。その中で俺達は教官の話を聞いていた。

 

「現在、パイロットコースで使えるのは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが50機。丁度お前達生徒の数と同じだな。もっとも教官用の機体もいくつかあるが。言っておくが、これは正直破格の待遇となる。理由としては、ここが連邦政府や連邦軍のお膝元であるジュネーブ士官学校だからだ。有事の際の戦力としても期待されてる訳だな。ちなみに他の士官学校の配備数は大体10機前後である事を考えれば、お前等がどのくらい破格の待遇をされているかが分かるだろう」

 

 確かに生徒用50機、それ以外にも教官用の機体もあるというのは正直驚きだ。

 もっとも教官が言ってる通りとおり、本当に有事の際の戦力としても考えられているんだろう。

 普通ならジュネーブが襲われるなんてまず無いと言ってもいいと思うんだが、原作ではDC残党やエアロゲイターに襲われているのを考えるとそれ程的外れな備えという訳でもないのか。

 

「さて、操縦自体はシミュレータでやっているので大丈夫だと思うが、PTに乗り込む際にも注意が必要だ」

 

 規則正しく並べられている生徒用の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱではなく、倉庫の入り口近くにある機体の方へと近づいていく。

 ちなみに教官用の機体も俺達と同じ量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのようだ。

 

「機体に乗り込む方法は基本的にはタラップを使って乗り込むか、乗降ワイヤーで乗り込むかのどちらかになる。今回は初めてという事もあるから念には念を入れて各自タラップで乗って貰う」

 

 タラップというのはアレだ。飛行機とかで降りる時に使う奴。この格納庫にも量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ1機ごとの近くに何個か置いてある。

 乗降ワイヤーってのはコックピットの近くにあって、足を乗せて上に上がっていく奴だな。

 

「で、機体に乗り込んだら中にあるリーダーでIDを読み込ませて、TC-OSを起動させる」

 

 TC-OS。PTのOSでTactical Cybernetics Operating Systemの略称だ。

 OSが登録されているモーションの中から適切なものを選択してくれるという、非常に便利なものだ。

 原作にあった『必殺ゲシュペンストキック』なんかはモーションをTC-OSに登録して出来た必殺技だろう。

 ……そういえば、こっちの世界でもその類の必殺技はあるんだろうか。

 ゲシュペンストだけにありそうな気がする。

 

「TC-OSが起動したら後はシミュレーション通りにやればいい。じゃあ、各自機体に乗り込め。そしてTC-OSを起動させたら格納庫前に集合」

 

 教官の声と同時に、生徒が素早く散っていく。

 まぁ、それもしょうがない。早く量産型ゲシュペンストMk-Ⅱに乗ってみたいというのもあるんだろう。

 それに50機と言うかなりの数が揃っているだけに、奥の方にある量産型ゲシュペンストMk-Ⅱは格納庫の外に出るのにそれだけ長時間歩かせなければいけない。

 初めて乗る機体で操作ミスする可能性も考えると、歩く距離は短い距離が好ましいんだろう。

 何て考えていたら、いつの間にか俺の周囲には誰もいなくなっていた。

 バリソンの姿も消えてしまっている辺り、微妙に薄情な奴だ。

 しょうがないので、1番奥にある量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの下へと向かいタラップでコックピットに乗り込む。

 

「えっと、リーダーはこれか」

 

 IDを通し、認識完了。TC-OS起動。

 

「さて、行くとするか」

 

 周囲を確認しつつ、機体を歩かせる。

 幸い、整備員を踏みつけるなんて真似も無く無事格納庫前まで移動出来た。

 えっと、取りあえず1番後ろに並べばいいか。

 並んでいる機体の最後列へと移動する。

 

「よし、全員揃ったな。にしてもいつもはお手本のアクセルが1番遅いとはちょっと意外だな」

 

 通信用モニタに教官の姿が映ったかと思うとこれだ。

 

「こんな日もたまにはあります」

「まあいい。全員この通信が映っていると思うが、これより簡単な実機訓練を行う。なに、グランドをその機体で歩いて回るだけだ。TC-OSがあるんだしそれ程難しくはない。シミュレータでの訓練を思い出せば簡単だ。……ただし、誰か1人でも操作ミスで転んだりしたら連帯責任でお前等全員腕立て500回だ」

 

 うわぁ。腕立て500回とかどこのバニング大尉だ。

 

「行進する順番は、今並んでいるそのままで構わん。じゃあ、始めろ」

 

 結局、全員で腕立て500回をやるはめになった。

 女どころか、男でも何人か泣きながら腕立て伏せをやっていた。

 

 

 

 

 

「さて、座学、射撃訓練、シミュレータ、実機訓練とやってきたが今日は何をするか分かるか?」

「格闘訓練です」

 

 いや、まぁ。運動着の上からプロテクター付けてるんだから逆に言うとそれ以外に何をしろと?

 

「そうだ。お前達も座学で習ったと思うが、TC-OSは各自でモーションを作成して登録が可能だが、そのモーションをきちんと入力したり操作するにもやはり身体を自由に動かせるようになっているのがベストだ。それに、俺自身は聞いた事しかないが噂じゃゲシュペンストに跳び蹴りや背負い投げのモーションを登録して使いこなしているパイロットもいるという話だ」

 

 ……あ、カイ・キタムラってこの世界にもいるんだ。

 俺の記憶じゃ跳び蹴りはともかく、背負い投げはカイ・キタムラしか使っていなかった筈だ。

 正直、鬼教官度で言えば、俺達の担任であるこの目の前いる教官より数ランク上の人物だと思う。

 好んで会いたいとは思わないが、少しでも実力を伸ばす必要のある俺としてはちょっと残念かもしれない。

 

「さて、例によってアクセル前に出ろ」

「了解」

 

 やっぱり俺が最初なのか。

 格闘技自体は幼年学校で習っただけだが、運動神経抜群のアクセルの身体+格闘134は伊達じゃない。

 インファイトがあればもっと安心出来たんだろうが、PPは地形適応の空をSにする為に貯金中だ。

 

「準備はいいな? どちらかが有効打を一撃当てた時点で終了とする」

「分かりました」

 

 頷き、教官と数歩分の距離を取る。

 取りあえず、教官相手にどこまで出来るか。本気でやってみよう。

 グローブで覆われた拳を軽く握るようにして、顔の前で構える。

 

「バリソン、合図をしろ」

「始めっ」

 

 教官がバリソンに促し、戦闘が開始される。

 

 まずは挨拶の一撃をっ!

 開始の合図と共に全力で教官の前まで移動。距離を離す為に放たれた教官のジャブを回避しつつ、教官の右横へと移動し、そのまま足を掬い上げるように蹴り上げる!

 

「っと、やるな」

 

 さすがにパイロットコースの教官だけあり、俺の蹴りはあっさりと回避された。

 教官と距離を取り、改めて向き合う。

 

「さすが主席だな。今の回避から蹴りに繋げる動きはさすがだ」

「いえいえ。教官こそ、その攻撃をあっさりと避けるとはさすがです」

「ふん、それこそ伊達に教官をやってる訳ではないんでな。じゃあ、次は俺から行かせて貰うぞ!」

 

 素早く間合いの中に入ってきた教官が左手で俺の顔、というよりも目に向けて掌底を放つ。

 ちぃっ、これは攻撃というよりもこちらの視線を隠す目的か!

 

「加速!」

 

 教官に聞かれないよう、小声で精神コマンドを唱える。

 いつもより数段素早くなった動きで、教官から放たれた掌底を回避しそのまま腕を絡め取……れない!

 加速によって素早さを増した俺の動きだが、教官は早いというよりも巧いとしか言えない動きで俺に絡め取られる寸前だった左手を引き戻す。

 加速を使っても追いつけない、か。……いや、違うな。単純に俺の動作に無駄が多いだけか。

 例えば教官が1つの動作で目的に辿り着いているのに対し、俺は2つも3つもの動作でようやく目的に辿り着く。そんな状態なら素早さが高くても結局は1つの動作で済む教官の方が最終的には素早く行動が終わる訳だ。

 

「お前、本当に1年か? 何だ、今の速度は?」

「そういう教官だってその速度での攻撃をあっさりと回避してるじゃないですか」

「それはお前、いくら何でも入学したばかりのヒヨ子に教官の俺が負ける訳にはいかないだろう。……もっとも、ヒヨ子はヒヨ子でもお前は鷹のヒヨ子のようだが」

「ありがとうございます。では続けて行かせて貰います!」

 

 言葉と同時に再度間合いを詰める。

 加速の効果時間は約1分。残り10秒程度だ。それが切れる前に仕留めさせて貰う!

 無駄の多い俺の動作だが、加速を使って無駄が入りようがない1直線の攻撃なら!

 繰り出したのは、右ストレート。これが避けられた時の事は考えないでただ真っ直ぐに撃ち貫く!

 

「よし、来い!」

 

 教官も真っ正面から迎撃するべく待ち構えている。

 加速で速さが増した俺の右ストレートが届くか届かないかの合間、教官がカウンターを狙い、こちらと同じ右ストレートを繰り出す。

 間に合うか? いや、このまま行けばこちらの攻撃を回避し、その隙に教官のカウンターが叩き込まれる。

 こちらの速度が足りない。だが、既に加速を使っている為これ以上の速度は出せない。……出せない? いや、出せる!

 咄嗟に念動力を使い、自分の身体の位置をほんの少しだけずらす。

 これでカウンターは無効化した。後はこちらの攻撃を打ち込むだけだ!

 

「む!?」

 

 焦った教官の声が聞こえると同時に、俺の意識は刈り取られ意識は闇に沈んだ。

 

 

 

 

 

 気が付いた時には医務室で寝かされていた。

 あの時、念動力を使って身体をずらしたのはいいが、念動力のLVが足りなかったのか身体の位置を動かし切れなかったらしい。

 で、結局カウンターの直撃はなかったものの、教官の右ストレートが俺の顎を掠めて脳を揺らされた俺は意識を失ってしまった訳だ。

 と言うか、加速と念動力を使っても勝てないって教官強すぎだ。

 授業の最初にカイ・キタムラと比べてしまったが、今思えば、どっちもどっちだな。

 俺の攻撃は結局教官に回避されたし。現在のベストを尽くした1撃だったのだが。

 結構長い時間気絶していたのか、医者によると既に昼休みらしい。

 午後の授業が始まらないうちに、何か腹の中に入れておかないと。

 あ、そうそうこの学校って士官学校だけに保健室には医者がいる。

 普通なら保健室の先生とかなんだろうが、この学校の場合は医師免許を持った歴とした医者だ。

 その辺、怪我をする事が多い士官学校ならではなんだろう。

 医者に礼を言い、食堂へと向かいながらふと思った。

 

「努力使っておけば良かった」




名前:アクセル・アルマー
LV:7
PP:10
格闘:134
射撃:152
技量:144
防御:141
回避:169
命中:191
SP:198
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
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   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
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    ???

撃墜数:4

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