転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0237話

 オーブでの終戦会議に関する話し合いが終わった数日後、俺達シャドウミラーの面々は頭を抱えていた。

 

「まさか、グロウセイヴァーでもアクセルの反応に付いていくのがやっとなんて……」

 

 呆れたように溜息を漏らしたのはアシュセイヴァーをグロウセイヴァーにカスタマイズしたレモン。

 そう。ヤキン・ドゥーエでの戦いも終わったのでグロウセイヴァー、ヴァイスセイヴァー、ラピエサージュのオーバーホールを開始したのだが、その時の検査でグロウセイヴァーの関節部分の損耗度が信じられない程に高くなっていたらしい。これは何かあると技術班が徹底的にグロウセイヴァーを調べた所、T-LINKシステムのログで異常が発見されたのだ。いや、正確には異常ではないか。レモンの愚痴にあったようにT-LINKシステムを使った機体制御でも俺の反応についてくるのがやっとで、その結果機体の各所に損耗が溜まる結果になった訳だ。そして当然その損耗が集中しているのが機体を動かす上で一番負担が大きい関節部分という事になる。

 

「今はまだ大丈夫なんだろう?」

 

 取りあえず、現在の情勢下でグロウセイヴァーが使えなくなるのは避けたい所だ。連合軍にしろ、プラント……いや、ザフトにしろ、俺が操るグロウセイヴァーの驚異的とも言える戦闘力をその目で見ているからこそオーブやシャドウミラーに降伏した訳で、そのグロウセイヴァーが動けないとなると……アイリーン・カナーバがいるプラントはともかく、連合軍が暴走する可能性が捨てきれない。

 

「ええ、今のままなら……だけどね」

「今のまま?」

 

 浮かない顔のレモンに先を促すと、その隣で同じく頭を抱えていたマリューが説明を続ける。

 

「問題なのは、アクセルのパイロットとしての能力が際限なく上がっている事なのよ。つまり、今はまだグロウセイヴァーで対応出来ていても、このままアクセルが成長を続けると機体の方が保たない可能性が出てくるわ」

 

 マリューのその言葉を聞き、息を呑む。そう、俺には転生特典としての成長チートともいえる能力が備わっている。実際、現状の俺のステータスを確認する限りではスパロボに出てくる中でもトップクラスの能力をもつアムロやシャア並か、あるいはそれ以上の数値にまで成長している。それを活かしきれているかどうかは別としてだが。

 ……まさか、こんな所で転生特典に足を引っ張られるとはな。

 

「それで、解決手段としては何があるのだ?」

 

 俺の隣に座っていたコーネリアが尋ねると、レモンとマリューは顔を見合わせて沈黙する。

 まぁ、それも分からなくはない。現状のシャドウミラーにある機体で最も俺の操縦に付いて来られるのがグロウセイヴァーなのだ。と言うか、そういう風にレモンがアシュセイヴァーをカスタム化したのだ。

 

「根本的な解決手段としては1つしかないわ。アクセルの能力に対応出来る新型機を造る事ね。そしてその機体は出来ればグロウセイヴァーのように既存の機体をカスタム化するのではなく、設計段階からアクセルの能力に対応出来るようにしていく必要があるわ。正真正銘のカスタム機。オンリーワンという訳ね」

 

 レモンの言葉にマリューも頷く。

 

「そうね。アクセルの能力を考えると、その辺の機体ではすぐにまた機体がアクセルに付いていけなくなるわ」

 

 2人の説明を聞き、一瞬精神コマンドの連発が原因か? とも思ったのだが、以前技術班と共に行った実験で精神コマンドを使用しても機体に悪影響がないというのは証明されている。……さすが転生特典といった所か。

 

「一から設計するとして、完成にはどのくらい掛かる?」

 

 俺のその質問に、数秒考え……

 

「そう、ね。正確な所までは分からないけど、3ヶ月や4ヶ月程度は考えておいて頂戴。どうせなら最高級の性能を持った機体に仕上げたいしね。グロウセイヴァーを完成させてから今まで培ってきた技術を全て注ぎ込んだ機体を造ってみせるわ」

「私もストライクやブリッツで培った技術を……と言いたい所なんだけど、シャドウミラーの技術を考えると、こちらの世界の最新技術でも時代遅れに近いのよね」

「そうでもないわ。アクセルが全力を発揮すると一番ダメージが大きいのが間接部分だから、機体の骨組み自体をPS装甲にすればいいのよ」

 

 骨組みをPS装甲? それを聞いて後期GAT-Xシリーズの機体を思い出す。

 確か後期GAT-Xシリーズの機体はTP装甲という、PS装甲を進化させた物を使っていた筈だ。

 連合軍に対する賠償でその技術を……と思ったのだが、よく考えてみるとTP装甲というのはダメージを受けた時に瞬間的にPS装甲を展開するという、いわゆるPS装甲の燃費を向上させた物だ。核融合ジェネレーターよりも進んだ技術であるプラズマジェネレーターや時流エンジンを使える俺達シャドウミラーにとっては咄嗟にPS装甲が展開されるTP装甲よりも、常時展開しているPS装甲の方がより有用だろう。

 ……スパロボの世界ではTP装甲が展開する瞬間に併せて攻撃を当ててくる相手とか普通にいそうだしな。スパロボの世界ではなくても、これからそういう敵と戦う可能性を考えると、より確実性の高いPS装甲がありがたい。

 そんな風に考えている間にも、レモンとマリュー、そしてコーネリアの間で話は進んでいたらしく、レモンが俺へと尋ねてくる。

 

「アクセル、他に何か希望はある?」

「そうだな、まずは何と言っても機体の追従性だ。その辺をどうする?」

 

 そもそも、それが原因で今回の新機体製造という流れになっただけにそこが一番気になる所だ。いざ新機体を製造したとしても俺の反応に付いて来れないようでは結局機体にダメージが蓄積していく結果となる。

 

「その辺の問題は解決出来ると思うわ」

 

 だが、俺のその疑問にレモンは自信満々に言い切った。

 

「随分と自信ありげだがT-LINKシステムよりも機体追従性の高い操縦方法があるのか?」

「いえ、ないわね。新機体でも操縦系統に関してはT-LINKシステムを採用する予定よ」

「でも、レモン……グロウセイヴァーで使われていたのもT-LINKシステムという装置なんでしょう? それだと結局変わらないんじゃないの?」

 

 マリューの言葉ももっともだ。俺の隣でコーネリアも同感だと言わんばかりに頷いている。

 だが、そんな俺達を見ながらレモンはその口元に不敵な笑みを浮かべていた。

 

「グロウセイヴァーを造ってからどのくらい経っていると思っているの? アクセル、思い出して。グロウセイヴァーを完成させてから私達が得て来た技術の数々を」

「……なるほど」

 

 グロウセイヴァーを造り上げたのが、俺やレモンが生まれた世界。そこからシャドウミラーが辿ってきた道程を考えると、アースクレイドル、ATX計画、インスペクター、ホワイトスター、ギアスの世界、SEEDの世界と色々な勢力から技術を吸収してきたのだ。確かにそう考えた場合、グロウセイヴァー製造時に比べるとレモンを始めとした技術班の持つ技術力は当時とは比べものにならない程飛躍しているだろう。

 

「特に、このホワイトスターを手に入れられたのは大きかったわ。その時にまだいなかったコーネリアやマリューは知らないと思うけど、このホワイトスターを使っていたエアロゲイターはかなり念動力に興味を持っていたらしいのよ。念動力やT-LINKシステムに関するデータが私の使っている研究室に豊富に残されていたわ」

「そうか!」

 

 レモンの話を聞いて理解する。このホワイトスターを使っていたエアロゲイター……と言うか、イングラムはどういう手段を使ってかは分からないが特脳研で被験体とされていた人物を洗脳し、エアロゲイターとして活動させていた。つまり、その関係でより詳細なT-LINKシステムや念動力のデータがこのホワイトスターに残っていたのだろう。

 元々、俺があちらの世界の特脳研から奪ってきたデータだけでT-LINKシステムを独自に再現して見せたレモンだ。念動力の専門家ともいえるイングラムが残したデータがあれば、それは確かに技術的ブレイクスルーの1つや2つは起きるだろう。

 

「私にはよく分からない話だが、ようはグロウセイヴァーに使っているT-LINKシステムよりも高性能な物を製造可能、という認識でいいのか?」

「そうね、その認識でいいと思うわ。……レモン、後でそのデータを私にも見せて貰えるかしら?」

「構わないけどマリューは念動力に関しては基礎知識が無いでしょう? 後で念動力やT-LINKシステムに関する基本的な理論のデータを渡すから、まずはそっちを見て頂戴」

「ありがとう、そうさせてもらうわ」

 

 そんな3人の様子を見ながら、ふと思う。以前から思っていたがT-LINKシステムってどう考えてもUC系ガンダムに出てくるサイコフレームに似ているよな。……待て。そう、サイコフレームだ! そもそもサイコフレームというのはサイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを金属粒子レベルで鋳込んだMS用の構造部材の総称で、チップ単体では実効的な効果を持たないがコアとなる高出力のメイン・プロセッサを配置することで、非常に高効率かつ高密度なサイコミュ・システムとして機能する訳だ。そして、そのサイコフレームを使った機体として有名なのがνガンダムであり、よりサイコフレームを有効活用したのがムーバブルフレーム全てをサイコフレームで構築したフル・サイコフレーム機であるユニコーンガンダムな訳だ。そして、そこにPS装甲の技術を組み合わせれば……

 

「アクセル? 興奮した顔をしてどうしたの? この時間からベッドに行くのはちょっと早いわよ?」

 

 俺の顔を見たレモンがからかうようにそう言ってくる。……おのれ、本当にベッドに連れ込んでやろうか。じゃなくて。

 

「ちょっと思いついたんだが、聞いてくれ」

 

 そう断ってサイコフレームの概念と、それを利用した機体の駆動式内骨格、同時にPS装甲を併用するアイディアを話していく。

 最初は面白半分に俺の話を聞いていたレモンだったが、話を進めるうちにマリュー共々真剣な顔で俺の話に集中していく。

 

「……T-LINKシステムを金属粒子レベルで鋳込む、か。まさにコロンブスの卵的な発想ね。そんな事、考えもしなかったわ。理論上は可能だけど、まず一度試験的に造ってみないとなんとも言えないわね。マリューの方はどう?」

「PS装甲の方もレモンの言う通りに一度試してみないと何とも言えないわ。でも、良くこんな事を思いつくわね」

 

 マリューが尊敬するような目で俺を見るが、原作知識があってこそ出せた意見なのでそんな目で見られるとちょっと居心地が悪いな。

 そんな興奮状態も一段落し、再びレモンが俺へと尋ねる。

 

「他に何か要望は?」

「そうだな……取りあえず今思いつく要望は3つ程ある。1つ目は新機体に装備するのは量産型のシステムXNじゃなくてトリニティゲインのアギュイエウスを頼む。トリニティゲインが高性能機だというのは分かってるんだが、いかんせん俺の戦闘スタイルと噛み合わないからどうしても戦闘に使うのはグロウセイヴァーになってしまう。なら最初からアギュイエウスを新機体に内蔵した方がいいだろう?」

「なるほど、確かにそれもそうね。でも、そうすると新機体はトリニティゲイン程とまではいかないけど、少なくてもグロウセイヴァーよりは大型になる可能性があるわよ?」

 

 個人的には大型の機体……というよりも、スーパー系は余り好みじゃないんだがな。そもそも、動力炉の出力が同じなら小型の方が機動力に関しては完全に上になるしな。

 

「その辺はレモンに任せるしかないが、俺の戦闘スタイル的に特機系統は好ましくない。出来るだけPTサイズに収まるようにしてくれると助かる」

「難しい事を言ってくれるわね……でもまぁ、恋人の頼みくらい聞いてあげないと女の意地が廃るわね。マリューもそう思うでしょう?」

「そうね。難しい注文だけど新しく学べる技術もあるし、技術者冥利に尽きるわ。私も問題無しよ」

「悪いな。それで2つ目だが新機体にはシャドウミラーの機体上ASRSが標準装備されるだろうが、追加でミラージュコロイドも使えるようにして欲しい」

「ミラージュコロイドって、アクセルがこの世界に来た時に使っていたブリッツとかいう機体の?」

 

 レモンの言葉に頷く。

 

「ああ、特殊任務用として設計された機体だ」

「でもなんでまた? ASRSがあれば十分じゃないの?」

「移動時に関して言えば確かにASRSがあれば十分だろう。ミラージュコロイドのように水面近くで使えなくなる、なんて事も無いしな。だが、ASRSはその性質上攻撃する時に展開出来ない」

 

 あらゆる面でミラージュコロイドに勝っているASRSだが、攻撃時に展開出来ないという一点でミラージュコロイドの有用性は非常に高い。

 

「つまり、移動時にはASRSを。戦闘時にはミラージュコロイドを使うという事ね?」

「そうなるな」

「でも、いいのかしら? 終戦協定でミラージュコロイドの軍事的利用を禁止するって文章があったけど」

 

 マリューのその言葉に、口元にニヤリとした笑みが浮かぶ。

 

「マリュー、その文章は正確には『連合、プラント共にミラージュコロイドの軍事的利用を禁止する』だ。つまり、ミラージュコロイドの軍事的利用の禁止に俺達シャドウミラーやオーブは入っていない」

「そう言えばそうね。なら問題ないの……かしら?」

「そうなるな。ブリッツで問題だったエネルギー消費量の問題でミラージュコロイドとPS装甲の同時展開が不可能という点にしたって、新機体なら全く問題無いだろうし。……だろう?」

 

 そうレモンへと視線を向けると、笑みを浮かべて頷く。

 

「ええ。時流エンジンにしろ、プラズマジェネレーターにしろ、グロウセイヴァーを製造した時に比べると格段に進歩しているしね」

 

 よし。取りあえずASRSとミラージュコロイド両方を搭載するのに問題はないようだな。

 

「そして3つ目。これは武装関係になるが、現在のファントムはレーザー攻撃を反射できるようになっているが、これをビーム系の攻撃も反射可能に出来ないか?」

「ビームを反射……ねぇ。インスペクターの技術にビーム吸収というのがあったけどそれを流用してみる?」

「吸収というのはちょっとな。ファントムに搭載する能力なんだから、許容量以上を吸収して爆発というのは困る」

 

 ビーム反射。それを言ってオーブで開発しているであろうアカツキの事が脳裏をよぎったが、すぐにそれを却下する。アカツキに採用されているヤタノカガミはビームに対する防御力はともかく、物理的な攻撃に対する防御力が弱すぎるのだ。デスティニーのブーメランで腕を持って行かれたのがその証拠だろう。基本的に小型のファントムは敵の攻撃は防御ではなく回避する事になるが、それでも出来れば防御力は高い方がいい。アカツキに関しては、どうしてもシャドウミラーの技術でどうにもならない時まで取っておくとしよう。……オーブに借りを作るのも嬉しくないしな。

 

「武器と言えば、近接戦闘用の武器はアダマン・ハルパーのままでいいのよね?」

「ああ。一番信頼出来るからな。それと、グレイプニルの糸も採用してくれ。もちろん改良出来るのならそれに越した事はないが」

 

 こうして、結局この日は俺の新機体に関する話し合いで一日が潰れてしまった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:615
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:374

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