転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2499話

「えー……」

 

 それが、目の前の光景を見ての俺の言葉だった。

 当然だろう。アムロの試練と考えてあのMAを任せようと考えていたら、何故かホワイトベースのメガ粒子砲で正面から貫かれたガウが、そのMAに向かって落ちていったのだから。

 普通に考えて、そんな偶然が起こるというのは考えにくい。

 ……もしかして、これって実はアムロの持つニュータイプ能力の一端だったりするのか?

 元々ニュータイプ能力というのは、ジオン・ズム・ダイクンが提唱したものだ。

 それは本質的に他の人間と分かり合えるといったような能力であり、俺が知る限りでは自分が危機の時に何らかの幸運を呼び寄せて生き残る道を作り出す……などといった能力ではない。

 その辺の事情を考えると、もしかしてアムロの持つニュータイプの能力は進化して、もっと別の……ニュータイプ以上の能力になったんじゃないか?

 巨大な水柱から少し離れた場所で、海面まで浮かんできたガンダムを見ながら、ふとそんな風に思う。

 勿論、それはあくまでも俺の想像でしかないし、今回の一件も単なる偶然という可能性も否定は出来ない。

 だが……それでも、何だかんだで危険な状態からアムロが生き残ったのは、間違いのない事実なのだ。

 であれば、今回の一件はやはり何らかの理由があると考えてもおかしくはない……か?

 

『すいませーん、ちょっとその……機体をホワイトベースに引き上げてくれませんかー? あのMAとの戦いで、機体に結構ダメージがあるんですけど!』

 

 何というか、間の抜けたようなアムロの声。

 そんなアムロの声に、どう反応したらいいのか迷ったが……ともあれ、今はアムロを助ける方が先だろうと判断する。

 

「ブリッジ、通信は聞いたな? ズゴックの方がどうなってるか分かるか? ガウがやられてMAも沈んだ現状では、もうこっちを攻撃してくるとは思えないけど」

 

 実際、あのMAが沈んでからズゴックがホワイトベースに攻撃をしてくる様子はない。

 正直なところ、MAという最大戦力が撃破された今、まだこちらに対する攻撃を続けるとは思えない。

 ……とはいえ、それはあくまでも普通ならの話だ。

 もしズゴックのパイロットが、ガルマの一件で強くこちらを恨んでいるような奴なら……最悪、自爆覚悟で攻撃をしてくる可能性というのは否定出来なかった。

 

『残っていたMSは引き上げていった模様です。……取りあえず、私達の勝利です!』

『わあああああああああ!』

 

 モーリンの言葉を聞いていた皆が上げる歓声が聞こえてくる。

 ホワイトベースに乗っていた場合、敵に襲撃されるというのは珍しい話ではない。

 それでもこうして皆が喜びを露わにするのは、やはり今回の戦いが厳しかったというのが大きい。

 敵は海という防壁を使ってこちらに攻撃をしてくる。

 それだけなら、以前にも水陸両用MSに襲われた事があったので、そこまで問題ではないのだが……今回は連邦軍の勢力圏内での戦いとなってしまったのが、この場合は大きかった。

 また、やはり水中用のMAというのが大きかっただろう。

 MAというのは、アプサラスⅢの件もあって強力な機体の代名詞となっている。

 ……もっとも、水中用のMAは特にメガ粒子砲の類もなく、空を飛んでいるホワイトベースに行える攻撃は、それこそブーメランのような形をしたミサイルくらいしかなかった。

 水中用ということは、ドン・エスカルゴのような敵を相手にする事も想定してるんだろうが、対空用の武器が貧弱すぎる。

 だとすれば、考えられるのは……そうだな、対空兵器はまだ未完成……MAそのものがまだ未完成だったとか?

 これがMSならそん事はないのかもしれないが、何しろ今回はMAだ。

 ジオン軍にとっても、MAの開発は手こずっていてもおかしくはない。

 そもそも、MS以外……人型機動兵器以外という点でMAというカテゴリにはなっているが、MAそれぞれでは技術系統が違いすぎる。

 アプサラスⅡ、Ⅲにアッザム、それと今回のMA。

 どれもがそれぞれに開発されたので、MAという事で一応一括りにはされているが、実際に関連性は殆どない。

 あ、でもそう言えばMIP社で開発していたビグロと、あの水中用のMAは外見が似ているような感じがするな。

 そうなると、あの水中用MAは実はビグロの系譜だったりするのか?

 実際に水中と宇宙というのは、環境が似ている。

 まだ気軽に宇宙に行けない時代には、プールの中で無重力状態の訓練をしていたとも聞く。

 それだけ環境が似ているとなると、宇宙用MAのビグロの設計を水中用MAに流用するのも不可能じゃないのか?

 

「まぁ、その辺はMIP社に確認すればいいか」

 

 水中用MA。

 今回は何だかんだとアムロが倒す――正確にはガウが倒したのだが――事が出来たのだが、それはアムロだったからだ。

 水中用MAとして考えた場合、ハワイを地球上で唯一の拠点としているルナ・ジオンにしてみれば、かなり魅力的な機体なのは間違いない。

 MAは高コストな機体ではあるが、その辺はルナ・ジオンなら何とかなる。

 また、あのMAが今の状況ではそこまで洗練されていない存在である以上、ディアナの方で改良をする必要もある。

 ジオン公国の中には、地球での……それこそ海という自然を本当に理解した者は少なく、それが水陸両用MSの開発遅延に繋がったという話を聞いた覚えがあった。

 つまり、あのMAもそんな感じで洗練されていないという事なのだろう。

 だが、ディアナはジオン公国からやって来た技術者が主流だが、中には地球からやって来たという者も相応にいる。

 だからこそ、海という環境についても深く理解している者が多かった。

 そのような者達の協力を得られれば、MAの改良も難しい話ではない。

 取りあえず、ズゴッグのようにメガ粒子砲を使えるようにはしたいよな。

 腕というか、MAの大きさを考えると触手的な感じか?

 複数の触手を使い、複数の目標に向かって一斉発射。……難しいか。

 いや、やろうと思えば出来るだろうが、パイロットが1人、もしくは数人で数十もの触手を自由に動かすといった真似は難しいだろう。

 取りあえず、ブーメランミサイル以外の対空攻撃方法も必要となるのは間違いないな。

 

『アクセル、ピクシーもそろそろ回収したいんだが、構わないか?』

 

 水中用MAについて考えていると、メカニックの1人からそんな通信が入ってきて我に返る。

 ん? と周囲を見回すと、現在ガンタンク隊がホワイトベースの甲板上を格納庫に向かって移動しているのが見えた。

 それ以外の面々は、もう多くのMSが格納庫に戻ってしまったらしい。

 海に入っていたガンダムも、ホワイトベースが高度を下げて何とか回収したらしい。

 

「ああ、悪い。すぐに戻る」

『何か機体に不具合でもあったのか?』

 

 俺が黙っていたので、少し心配になったのだろう。

 映像モニタに表示されていたメカニックがそう尋ねてくる。

 

「いや、違う。ピクシーは万全の状況だよ。……今回はちょっと無理をしてしまったけどな」

 

 スラスターを全開にしていた時間は、かなりの時間になる。

 それで壊れるような事はないだろうが、それでも相応のメンテナンスが必要になるのは、間違いなかった。

 

『ピクシーは色々と繊細な機体だからな。その辺は任せておけ。……で? 何を考えていて、行動が遅くなったんだ?』

「あの水中用MAだ。何とか確保出来れば、ハワイの戦力に回せるんじゃないかと思ってな」

『それは……また……』

 

 微妙な表情を浮かべるメカニック。

 このホワイトベースに乗っているという事は、当然のようにその所属は連邦軍だ。

 そして連邦軍に所属している以上、ルナ・ジオンの本拠地たるハワイというのは、目の上のたんこぶに等しいだろう。

 もっとも、本当にそのように思うのは、あくまでも連邦軍の上層部や連邦政府の議員達といったところだろうが。

 それ以外の……それこそ一介の軍人にしてみれば、例えハワイがルナ・ジオンの領土であっても、特に何かを思ったりはしないだろう。

 あ、でもハワイは観光名所としても有名だ。

 そのような場所が別勢力の領土になったということは、色々と不都合を感じる者もいるかもしれないが。

 

「ああ。近いうち……具体的にいつかは分からないが、ハワイにはMAが配備される事になるかもしれないな」

 

 近いうちとは言ったが、実際にはそれなりに時間が必要だろう。

 あのMAをそのまま流用するというのなら、そこまで時間は必要ではないが……改修してとなると、ディアナでもそれなりに時間は必要になる。

 ホワイトスターにある魔法球の類があれば、その辺を心配する必要はないのだろうが……今のところ、その予定はない。

 それに、ジオン軍とルナ・ジオンは今も表向きは戦争状態となっているのだから、万が一にも、ジオン軍に魔法球の情報が漏れるのは防ぎたい。

 いやまぁ、別に戦争中ではなく、多少なりとも友好関係にある連邦軍にも、魔法球についての情報は知らせるような事はしたくないが。

 

『……なるほど』

 

 結局MAがハワイに配備されるということに対し、メカニックはそれ以上何も言わなかった。

 まぁ、その辺は結局ジオンの独立戦争が終わってからの話になるだろうし。

 幸いにして、この戦争で月は連邦に大きく協力してるし、ジオン公国が所有している様々な物に対して、ある程度の優先権はこちらに認められている。……ということになっている。

 実際には協議をしてという事になっているのだが、ルナ・ジオンとしての協力を思えば連邦軍も無下には出来ないだろう。

 それに、ディアナにはMIP社の者も多い。

 そうなれば、あのMAについての設計データを入手する事も難しくはないだろうし、上手く行けば製造ラインの確保も出来る可能性がある。

 ……とはいえ、水中用MAであるということを考えると、その製造ラインがあるのは地球の可能性が高い。

 そしてMAのような巨大な機体の製造となると、その製造ラインがある拠点はそこまで多くない筈だ。

 一番怪しいのが、やはりガルマが拠点としていた北米だろう。

 現在地球上で猛威を振るっているジオン軍の潜水艦部隊も、北米を占拠した際に連邦軍の潜水艦を拿捕し、それを改修してユーコンやマッドアングラーといった潜水艦となっているのだ。

 そうである以上、水中用MAの製造も同じような施設のある北米で行われてるという可能性が高い。

 そうなると……連邦軍が本格的に北米を攻略する際は、MAの製造ラインの所有権を主張する為に、どうにかしてルナ・ジオン軍も参加した方がいいか。

 

「まぁ、今のところ連邦軍と月は友好関係にあるんだし、基本的にはジオン軍が攻めて来た時とかに対処する用途で、MAは使われるだろうな」

『そうなってくれると、俺も嬉しいよ』

 

 メカニックがそう言い、俺もそれに頷きを返す。

 今のところ、連邦軍と正面からぶつかるつもりがなかったのは、間違いないのだから。

 ……もっとも、こっちが連邦軍と正面からぶつかるつもりがなくても、向こう側がどう出るかというのは、また別の話だが。

 連邦軍にしてみれば、ルナ・ジオンという存在は明らかに邪魔だ。

 レビルやゴップなら、ルナ・ジオンとぶつかる事の意味を理解している以上、ハワイに手を出してくるような真似はしない。

 もしそのような事をしても、利益よりも被害の方が大きいと理解しているからだ。

 また、当然そのような事になれば、ルナ・ジオンが売っている資源も止められる事になるだろう。

 ジオン公国に売るよりも割安で売っているだけに、連邦軍……いや、連邦政府としても、それは困る事になる筈だった。

 だが……それはあくまでも大局的に物事を見られるレビルやゴップがいての話だろう。

 それこそルナ・ジオンが気にくわない。資源の値段をもっと安くしろ。技術を寄越せ。何よりも、地球にあるハワイをルナ・ジオン軍が占拠しているのが気にくわない。

 そんな風に思って、連邦軍という巨大な組織にいる自分達の要望が通らないのはおかしいと考え、ちょっかいを出してくるような相手がいないとも限らなかった。

 ……普通ならないと思うんだが、ルナツーのタカ派がやって来た事を考えると、とてもじゃないけど連邦軍全体を信じるというのは無理なんだよな。

 連邦軍が巨大であればある程に、そこに所属している者は様々な者がいる。

 中には、自分達が月に対して不平不満を言って難癖を付けるのは当然であっても、それで月が連邦軍や連邦政府に言うのは駄目だと考えていたり、敵対的な行動を取っている事から、とてもではないが友好国ではないと判断して資源を売るのを止めたり、資源の値段を相場より高めに設定したら、それは許されない事だと、連邦という国に対する侮辱だと、そう言ってくる者すらいる。

 正直、レビルやゴップがいなくなって、そういう連中がトップに立ったら、全面戦争間違いなしだな。

 そう判断しながら、俺はピクシーをホワイトベースの格納庫に戻すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:955
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1570

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