『……何があったんですかね?』
いきなりの模擬戦中止に、アムロがそう通信を送ってくる。
まさか、模擬戦の中止を告げたあのオープンチャンネルでの放送は何らかの罠ではないだろうが、その事に疑問を覚えるなという方が無理だった。
「どうだろうな。ホワイトベースに連絡を……」
してみたらどうだ?
そう言おうとした俺の言葉を遮るように、ホワイトベースからの通信が入る。
『皆、聞いているか? 現在、ジオン軍の大部隊がジャブローに向かって接近中だ。ホワイトベース隊にも迎撃の任務が来たから、至急準備をしてくれ。ビーム兵器を持っている機体は出力を戦闘用に。実弾を持っている者は……急いでホワイトベースまで戻って補給を頼む』
また、何とも面倒な事に。
「話には聞いていたが、これがいつもの定期便か?」
誰から聞いたのかは忘れたが、ジオン軍はジャブローに向けて定期的にガウを送り込んで爆撃をしているらしい。
北米がジオン軍の勢力圏内で、南米は連邦軍の勢力圏内だと思っていたのだが、そんな俺の予想は外れていた訳だ。
……いや、正確にはそこまで外れという訳ではない。
大まかに考えた場合、それは合っているのだから。
だが、それでもジオン軍のガウによる爆撃を止める事は、連邦軍には無理だった。
もしくは、無理ではなくてガウの爆撃ではジャブローをどうこう出来る訳ではないと、そう判断していたから、放っておいたのか。
ともあれ、7号機の場合はどうしたらいいのか。
基本的にはビームライフルとビームサーベルが武器だが、頭部バルカンもあるし、前腕にグレネードランチャーも装備されている。
当然の話だが、今回の模擬戦において頭部バルカンとグレネードランチャーもペイント弾に変えられていた。
こういう時、実弾兵器って不便だよな。
ビーム兵器の場合は、それこそ武器の出力を変えればそれですぐに実戦に挑めるのに。
とはいえ、それは危険でもある。
もし設定をし忘れていた場合、下手をすればビームライフルやビームサーベルによって、味方を殺してしまう事もあるのだから。
そういう意味では、最初からペイント弾に弾丸を変えている実弾兵器なら、模擬戦をやるにもかなり安全なのは間違いない。
『上から来た情報によると、違うらしい。定期便の時に比べると、ガウの数がかなり多い。それ以外にも、ドダイだったか? あれに乗っているMSもいるという話だ』
……なるほど。
どうやらブライトの言う通り、若干いつもとは違うらしいな。
考えられる可能性としては……やっぱりオデッサが陥落した一件が大きいのか?
オデッサ作戦の影響により、これから先の地球上での戦いの天秤は連邦軍に傾くのは間違いない。
そうなると、当然ジオン軍にとっては面白くない訳で……オデッサという重要な場所を落とされた事によって天秤が傾いたのなら、その天秤を更にジオン軍の方に傾ける為にジャブローを攻略するというのはおかしな話ではない。
連邦軍もオデッサ作戦で勝利はしたものの、被害がない訳ではない。
いや、純粋に被害という点では連邦軍もかなり多い。
元々兵器の質という点ではMSを使えるジオン軍の方が有利だ。
連邦軍は物量でそれを押し切った……言わば、消耗戦に持ち込んで勝利したのだ。
勿論、連邦軍にもホワイトベース隊のようにMSを使っている部隊があったし、その部隊が結構な活躍をした事によってジオン軍に大きなダメージを与えたが、それは連邦軍の方でも大きなダメージを受けたということを意味している。
いや、兵器の質では連邦軍が負けてるんだから、客観的に受けた被害の量では、もしかしたら連邦軍の方が大きくてもおかしくはない程に。
そんな状況で、オデッサの防衛を固めて各戦線から集めた戦力を戻してとなれば、オデッサにあった予備戦力の多くをそちらに使うのも当然だ。
そういう意味で、今のオデッサは戦力的な意味では決して万全という訳ではない。
ジオン軍としては乾坤一擲と言ってもいい行動ではあるが、同時に勝算が全くない訳ではない。
「ジオン軍も追い詰められているな。けど、逆に言えばこの攻撃を耐えれば、ジオン軍はもうこれ以上どうしようもなくなると考えてもいい」
『だろうな。だからこそ、ホワイトベース隊にも出動要請がきた訳だが……アクセルはどうする?』
え? と。
ブライトの言葉に一瞬意表を突かれるが、そう言えばジャブローに到着した時点で俺はもうホワイトベース隊の傭兵という仕事を終えたんだよな。
とはいえ、まだ7号機の予備部品やら何やらを受け取ってはいないし、FSWS計画に沿ったフルアーマー化のパーツも受け取っていない。
また、ジャブローの中にも仲のいい連中がいる。
その辺の事情を考えれば、ここで手を貸さないという選択肢は俺にはなかった。
……何より、模擬戦ではなく実戦で7号機の性能を確認出来るいい機会であるというのは、俺にとっても決して悪い話ではない。
「参加するよ。ホワイトベース隊の連中が戦っている中で、俺と綾子だけが何もしないってのは、色々と後味が悪いしな」
ちなみに傭兵という意味では、実はミナトもそうなんだが……うん、まぁ、その辺は気にしないでおいた方がいいか。
MSと違ってホワイトベースという軍艦は万が一にも撃退されるような事になったりすると困るし。
『そうか、助かる。……ただ、アクセルのMSはホワイトベースに予備部品の類がないから、元々の倉庫に向かう事になるが……それで構わないか?』
「あー……いや、俺はこのままでいい。頭部バルカンとグレネードランチャーが使えないのは少し痛いが、ビームライフルとビームサーベルが使えれば、それで十分だし」
ブライトにそう返す。
実際には頭部バルカンとグレネードランチャーが使えないというのは少しどころではなくかなり痛い。
頭部バルカンはMSを撃破出来るだけの威力はないが、バズーカの砲弾とかを迎撃したり、MSではなくドップやマゼラアタックといった敵を撃破するのには役立つ。
グレネードランチャーは、ミノフスキー粒子散布下での戦闘を前提にされているので、誘導機能の類はないが、それでも威力という点だけで考えればかなり強力で、MSを撃破する事も可能だ。
その2つの武器が使えないのは痛い。痛いが……ぶっちゃけた話、ジャブローに向かっているという敵の技量も、恐らくそこまで高いものではないだろう。
何だかんだと、ジオン軍の中でも腕の立つMSのパイロットは損耗が激しい。
これがシャアのように異名持ちレベルまでなると話は別だが、そこそこのエースといった面々は、どうしても損耗が激しくなってしまうのだ。
……これでMSに脱出装置があれば、MSのパイロットという人的資源の消耗はそこまで大きくなかったんだろうが。
ジオン軍の上層部にとっては、MSのコストの方が人的資源よりも上に思えたのだろう。
その結果が、こうしてベテランやエース級の枯渇という結果を招いている。
とはいえ、それが必ずしも間違っている訳ではないのも事実だ。
もし脱出装置を採用していれば、ザクの製造数は今よりも減っていただろうし。
その辺、悩ましいところだと言ってもいいだろう。
『そうか、頼む。お前は好きに動いてくれていい』
「いいのか?」
『ああ。上から、もしアクセルが協力してくれるのなら、そのようにしてもいいと命令が来ている』
なるほど。
恐らくレビルかゴップ辺りの仕業だろう。
俺の実力を知ってるからこそ、無理に指揮下に加えず、遊撃隊として使った方が便利だと判断したか。
その判断は決して間違ってはいない。
俺としても、その方がやりやすいのは間違いないし。
「分かった。そうさせてくれるのなら、そっちの方がいいのは間違いない。……それで、ガウが到着するまで、後どのくらいだ?」
ガウは大量の爆弾を積んではいるものの、その影響もあって決して足が速い訳ではない。
……その分だけ、いざ到着すれば厄介な事になるのだが。
『10分も掛からない。……30分くらいの余裕があれば、武器の変更も何とかなるんだがな』
「その辺は仕方がないさ。取りあえず、推進剤とかはホワイトベースで補給するから、そのつもりで頼む。ビームライフルの充電は……難しそうだけど」
ビームライフルは、エネルギーの充電に時間が掛かるという意味で、実弾に劣ってるんだよな。
実弾の方は、それこそ弾倉を変えれば普通にまた使えるし。
「ビームライフルのエネルギーが切れたら、ホワイトベースにある実弾の銃を使わせて貰う。ジムライフルとか、陸戦型ガンダムの100mmマシンガンとか、まだあったよな?」
一応7号機はFCSによって連邦軍で採用されている武器は、その大半が特に問題なく使用出来るようになってる筈だった。
この辺、7号機がアムロの乗っているガンダムの性能向上機であるというのが、よく分かる設計やシステムだ。
『それは問題ない。だが……いいのか? アクセルは実弾よりもビームライフルの方を好んでいたと思ったが』
「それは間違いじゃないけど、今のこの状況で好み云々なんて言ってられないだろ。それに、ピクシーでは90mmサブマシンガンとか、普通に使ってたんだし」
確かに、俺個人の好みとしては実弾よりもビームライフルの方を圧倒的に好む。
だが、現在のこのUC世界におけるビーム兵器は、ズゴックのようなジオン軍の水陸両用MSはともかく、連邦軍が使用するビーム兵器……ビームライフルの類は、基本的に外部の装置で充電する必要があった。
その辺の事情を考えれば、やはりそこまで好き嫌いは言えない。
それに、俺がビーム兵器を好んでいるのは事実だが、だからといって別に実弾兵器を嫌っている訳でもない。
『そう言って貰えると、こちらとしても助かる。とにかく今は、迎撃準備を整える必要があるから、色々と忙しくなるぞ』
ブライトの言葉に頷く。
これがいつもの定期便であれば、そこまで神経質になる必要はないのだが、今回の戦いはジオン軍が本気でジャブローを攻略しにきている。
それだけに、連邦軍としても本気で対処せざるをえないのだろう。
これが原作では一体どのような感じになっていたのかという疑問がない訳でもないが……今のこの状況では、そんな事を考えているような余裕はない。
「忙しくなるのは間違いないな。ともあれ、俺の方は適当に準備を整えておく。何か用事があったら連絡をするか、誰かを伝言に向かわせてくれ」
ミノフスキー粒子散布下になると通信の類が殆ど出来なくなるというのが痛いよな。
勿論、場合によってはある程度の距離であっても通信が出来る事はあるのだが、それだってミノフスキー粒子の濃度が濃くなれば不可能になる。
結局のところ、そういう状況で手っ取り早く連絡を付ける為に必要なのは、伝令役だったりする。
だが、その伝令役にしても、MS同士の戦闘が行われている中で移動するのはかなり大変だ。
場合によっては、戦闘に巻き込まれるのだから。
それを避ける為には、伝令もMSに乗るのが最善なのだが……MSをそんなに簡単に伝令に回す訳にもいかない。
結局伝令をするには、軍用バイクとワッパとか、そういうのを使う必要がある。
それも、ジャブローの真上である密林でだ。
何だかんだと、ああいうのを使うのは……いや、使いこなすのは相応の技量が必要となるんだよな。
とはいえ、連邦軍は人数だけで考えれば膨大な数がいるだけに、その辺の人員を集めるのも難しい話ではないのだろう。
『そうさせて貰おう。ともあれ、こちらはこれから色々と忙しくなる以上、そろそろ通信は切らせて貰う』
「分かった。頑張ってくれ」
そう言葉を交わし、通信が切れる。
俺との会話は普通にしてたけど、やるべき事は多いんだろうな。
ホワイトベースは、現在の連邦軍の中では最精鋭と言ってもいい。
それだけに、このような状況で活躍を期待されるのは当然の事なのだろう。
とはいえ、俺と綾子がいないとなると何だかんだと戦力が落ちたのは間違いないので、今まで通りの活躍といったようには出来ないだろうが。
「綾子、俺達も移動するぞ。ジオン軍の連中が来るのなら、盛大にお出迎えしないとな」
『そうね。……もっとも、まだ時間があるのなら、戻ってもいいと思うけど』
「そこまでの時間はないな。出来ればフルアーマーガンダム7号機のビームキャノンを使いたいところだったけど」
フルアーマーガンダム7号機の背中に装備されるビームキャノンは、ビームライフルの倍の射程を持ち、威力も相応に高い。
今回のように、迎撃戦においては非常に役立つ武器なのだが……残念ながら、それを装備している時間はない。
そんな訳で、今ある武器――頭部バルカンとグレネードランチャーは使えないが――で取りあえずはどうにかするしかなかった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:955
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1570